• 成城石井への宣戦布告 ―― 150円の正体
手にした12品目のサラダ。マイバスケットなら290円、成城石井なら450円。中身は同じ工場、同じ具材。この差額への怒りがどうしても収まらないけどまた同じことしそう。成城石井怖いよ。
• 5%・10%割引の「微かな幸せ」
レジで気づく「意外と安くなってない」という現実。でも、割引シールは節約のためじゃない。それを理由に「これ、買っちゃおう」と自分を甘やかすための、免罪符という名のエンターテインメントなのだ。
• 人生を支えた「ボルシチ」の衝撃
ロシア料理店で出会った、ボルドー色のスープ。成城石井は、そのマイナーな「血の色」のスープを、お惣菜として用意してくれている。水(スープ)にお金を払うという壁を越えさせる、ブランドの凄み。
• 「もしもし成城石井」への改名案?
ラベル一枚で人を狂わせ、高くても「やっぱり成城石井がいい」と思わせる圧倒的な存在感。イラストレーター「もしもし五島列島」を捨て、いっそこの強靭なブランド名に改名したいほどの敗北感と憧憬。
• ソクラテスも驚く「無知のハッピー」
知らない方が幸せだった。マイバスケットの正体を知らなければ、私は成城石井のサラダを最高のご馳走として立ち食いできていたのに。解像度が低いからこそ、駅の階段を登るだけで「F4の世界」のように楽しめる私の人生。
成城石井の惣菜は、味や見た目だけではなく「成城石井で買っている自分」という物語を食べているのだと思う。
工場が同じだと知ってしまった今、私の心はマイバスケットの冷たい現実に引き戻された。290円のサラダと、ラベルが貼られた450円のサラダ。160円あれば、美味しい牛乳がもう一本買えたはずなのに。
けれど、ボルシチという「庶民には遠い異国の味」を身近に置いてくれる成城石井の優しさは、やっぱり捨てがたい。スープは水だ。けれど、あのボルドー色の水に150円余計に払うことで、私は日常の少し先にある「リッチな時間」を予習しているのかもしれない。
知らないことは、最高にハッピーだ。
バラのお風呂を知らなければ、銭湯の薬湯で王族の気分になれる。
成城石井の「正体」を知ってしまった私は、もう無邪気な立ち食い客には戻れない。けれど、騙されていると分かっていてもなお、あのラベルが放つ「威厳」に抗えない自分も、また愛おしいと思うのだ。
これからは、成城石井で買うときは「私は今、150円の夢をトッピングしている」と自覚しながら、背筋を伸ばしてレジに向かおう。
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