00:05
おはようございます。コウブンです。
栃木県の片田川にある蓮城院というお寺で、副住職をしております。
今回も、現代人のための仏教心理学をお送りしたいと思います。
これは、前5回のシリーズでお送りしているもので、
今日は第5回目、つまり最終回というわけなんです。
そして、今回のテーマは、人間関係の悩みを解く、というものです。
前回は、自己肯定観についての学びだったわけなんですけれども、
今回は、その学びを他者との関係性に広げていきたいというふうに考えているわけなんです。
内閣府の調査によると、現代社会において、人間関係の悩みというのは、
若者の抱える主要な課題の一つということなんです。
特に職場や学校での人間関係、そして家族関係など、
様々な場面で悩みを抱える人が増加傾向にあるということなんですよね。
このような状況の中で、私たちはどのように豊かな人間関係を築いていけばよいのか。
今回は、仏教の知恵を通じて、この問いについて考えていきたいというわけなんです。
仏教では、すべては関係性の中で存在している、というふうに説いております。
これを演技と呼びます。
演技の良いとか、演技が悪いとか、演技が良い、演技が悪いとか、そういった言い方をしますよね。その演技ですね。
演技というのは、あらゆる現象が相互に依存しあって成り立っているという考え方。
つまり、私たちは決して独立した存在というわけではなくて、常に他者との関わり合いの中で生きているということなんです。
この考えに基づいて、仏教では人間関係を育むための4つの心、心無量心というものを説いております。
心無量心、ちょっと言葉だとわかりにくいので、説明します。
心無量心の心というのは、4ですね、数字の4。
そして無は無いという字を書いて、無、無しという字ですね。
03:03
量は、計量とかの測るという字ですね。
そして心は心。
4つの無い量の心、そのように書いて心無量心ですね。
その心無量心を1つずつ解説します。
1つ目は、慈。
慈というのは慈しみのことですね。
すべての生き物に楽しみを与えようとする心、これを慈と言います。
2つ目は、悲。
悲というのは悲しいという字を書きますね。
すべての生き物に、すべての生き物の苦しみを抜こうとする心、これが悲ですね。
3つ目が、喜。
喜は喜びです。
他人の楽しみを共に喜ぶ心。
そして4つ目が、謝。
謝は捨てるですね。
哀憎、嫌悪の心を捨てて平等に接する心、ということなんですね。
この4つ、それが心無量心というわけです。
では、具体的にどのような実践をしていけば良いのでしょうか。
3つのポイントでお伝えをしたいと思います。
1つ目は、自他の境界線を意識するということ。
相手と自分は別の存在であるということを理解することから始めるのが良いでしょう。
仏教では執着から生まれる苦しみについて説いております。
相手への過度な執着というものは、かえって関係性を損なう可能性があるということなんですね。
例えば家族。家族の関係性って何でしょう。
あたかも我が子が自分のもののかのような振る舞いをとってしまうことってありませんか。
自分の子供が言うこと聞かないということで過度に干渉してしまったりとかいうことがあったりすると思います。
親子と言えど、自分と他人は別だというところをしっかりと認識するというのが大事だよということですね。
2つ目のポイントは、コミュニケーションの質を高めるということですね。
正しく話して正しく聞くということなんですけれども、
その中で正しく話すということを仏教では正語という考え方で説いております。正語。
06:01
正しい言語と書いて正語。
これは発祥堂と言われる仏教の推奨する生き方の中の一つのことなんですけれども、
どういうことかというと、嘘をつかないとか悪口を言わないとか、裏表両舌を使わないとか、無駄話をしないとか、そういった4つの要素。これが正語です。
正しくしゃべる。
正しく聞くということについては、これは相手の話を遮らないでじっくりと聞くということですね。
これを仏教では敬長というふうに呼んでおります。敬長は一般的な言葉でもありますよね。
敬長の実践というのが、敬長の実践と正語の実践というのがコミュニケーションの質を高めるということなんですね。
3つ目のポイントとしては、人間関係のストレス管理ということです。
どんなに気をつけていても、時には関係に行き詰まることというのがあるんですよね。
そんな時は、アナパナという呼吸に集中する瞑想というのがあるんですね。
そして禁品と呼ばれる歩く瞑想というのもあるんです。
そういった呼吸であったりとか、あとはゆっくり歩いたりとか、そういったことを意識を向けて、
そして自分の心を整理するという、そういう時間を作ってくださいということなんですよね。
今回お伝えしたことの内容をまとめますと、演技の理解を通じた関係性の認識、
そして心無量心の実践、そして正語と敬長の実践という3つがポイントとなるわけです。
最後に伝統的な慈悲の瞑想というのをご紹介したいと思います。
静かな場所で安定した姿勢を作って呼吸を整えます。
そしてまず自分自身に対して安穏であれ、安らかであれというふうに念じます。
そして次に身近な人々に対して同じ言葉を向けます。
最後にすべての存在して同じ言葉を向ける。
とにかく自分も他人もそしてすべてのものが平和で穏やかでありますようにというようなことを念じながら呼吸を整えるということですね。
09:09
いかがだったでしょうか。
今回学んだことをぜひ明日からといわず今日からの生活で実践してみてください。
今回でこのシリーズは終了となります。
また明日から通常回といいますか、私の日常に気づいたことなどの雑談等を含めたお話をしていきたいと思います。
では今回のお話はここで終わりたいと思います。
蓮城院副住職の幸文でした。ではではまたね。