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みなさん、おはようございます。
こんのぎるラジチアプップへようこそ。
この放送は、子どもも大人もゆったり過ごせるよう、
絵本とともに朝のほんのひと時をお届けします。
はい、今日お届けするお話は、
出版ワールドライブラリー
文・絵・フェリドゥン・オラル
訳、植村久美子
【ちがうけれどいっしょ】です。
それではお聞きください。
【ちがうけれどいっしょ】
春の日の夕方、
ヤギ会がヤギや羊を連れて
紫色の山を降りてきました。
一日中草を食べて過ごしたヤギたちは、
少し疲れています。
途中のオリーブの林で休んでいる時、
お母さんヤギが赤ちゃんを産みました。
真っ黒な耳をした。
とてもかわいい小ヤギでした。
でも他のことは少し違うようです。
足が動いていません。
ヤギ会はすぐに気がついて、
小ヤギを抱き上げました。
前足がダランとしています。
これでは歩くことができません。
小ヤギはヤギ会に抱かれて帰りました。
メーメー鳴き続けて、
小屋に着く頃には眠り込んでいました。
その日からヤギ会は、
歩けない小ヤギをカバンに入れて運びました。
他の子たちはどんどん大きくなり、
草場で走り回って遊んでいます。
小ヤギは頑固なヤギの真似をして、
みんなを笑わせては楽しく過ごしていました。
ヤギ会は時々笛を吹いて聞かせました。
笛の調べに小ヤギの心は沈みました。
みんなのように跳ね回って遊んだり、
山の上で走ったりできたらどんなにいいでしょう。
ある日、ヤギたちが草を食べている間に、
ヤギ会は小ヤギを見ながら地面に絵を描き、考え込んでいました。
それから近くの端ばみの木の枝を切ってきました。
枝を曲げて何かを作り始めます。
小ヤギが不思議そうに見つめていました。
次の朝、ヤギたちがまだ小屋で寝ている頃、
ヤギ会は小ヤギを抱いて庭に連れ出しました。
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三輪車のようなものが木の枝でこしらえてあります。
ヤギ会は小ヤギを三輪車に乗せるとそっと押しました。
小ヤギは驚きました。何が何だか分かりません。
小ヤギは生まれて初めて後ろ足で立っていました。
こんなに自分の体が重いなんて、一体どうすればよいのでしょう。
ヤギ会に励まされ、恐る恐る足を前に出します。
一歩、もう一歩、
そうするうちにスルスルと動き出しました。
嬉しくてたまりません。
メー、メー、メー、大きな声にみんなが目を覚ました。
小ヤギはすぐにお母さんのそばに行きました。
ああ、歩けるってなんていい気分なんでしょう。
それからというもの、小ヤギはみんなと一緒に自分で山に登るようになりました。
友達と草を食べたり遊んだり、
後から生まれてきた子羊や小ヤギを背中に乗せて連れて回ったりしました。
やがて小ヤギは立派な若いヤギに育ちました。
そしてもっと大きな三輪車を作ってもらいました。
ある日、山で草を食べているときに、
首に鶴が絡まったオスのヤギを助けてやりました。
それから二匹は仲良くなりました。
一緒に草を食べて回ります。
一時も離れることはありません。
春が来て、ヤギは赤ちゃんを二匹産みました。
一匹は黒いヤギ、もう一匹は白いヤギです。
そこら中をぴょんぴょんと飛び跳ねています。
お母さんヤギとは少し違うけれど、一緒です。
おしまい。いかがでしたでしょうか。
こちらですね、「すべての子どもたちへ」というメッセージが載っております。
絵もすごく素敵で、ほっとするようなほんわかしたタッチなので、
ぜひ読んでいただけると嬉しいなと思います。
水彩なのかな?すごく色鉛筆のような優しい色合いで描かれているので、
ぜひご覧いただければ嬉しいです。
それでは、きょうもお聞きくださりありがとうございました。
コンでした。ではまた。