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みなさん、おはようございます。
こんのゆるだじちやクップへようこそ。
この放送は、子どもも大人もゆったり過ごせるよう、
絵本とともに朝のほんのひとときをお届けします。
今日ご紹介する本は、【ソメコとオニ】です。
出版、岩崎書店
作、斉藤隆介絵、瀧浩二郎です。
すみません、瀧浩二郎です。
それでは、読んでいきますね。
【ソメコとオニ】
ソメコは五つだ。
ソメコは毎日退屈していた。
大人たちは、なんてつまらない毎日を送っているんだろう。
ソメコのように一生懸命に遊んだり、生きたりしているものは誰もいない。
ソメコが少し面白くなって、少し夢中になると、大人たちはもう並行して、
ソメコ、あっちゃん行って遊べ。いい子だからな。って言って行ってしまう。
夫も、お母も、あんちゃんも、姉ちゃんもそうだ。
村のおじさん、おばさんたちは遊んでくれさえもしない。
顔を見ると、あっちさ行け、あっちさ。一人で遊べ。いい子だからな。
おばさんは仕事で忙しいんだ。そう言う。
ところがある日、ソメコといくらでも遊んでくれるおじさんが来た。
ソメコは門で草を摘んでいた。
草は御馳走だ。草っ腹は御座敷だ。
いただきます。なんと本日はいいお天気で。まず遠慮なくあがってたんせ。
ソメコが一人で遊んでいたら、
なんと御馳走さんであんす。せば遠慮なくいただくす。
そう言って一人のおじさんが前へ座り込んだ。
少しどこやら怖い顔をしているんだけど、
ソメコは喜んじまって泥のお団子まですすめてしまった。
まんずまんず、ご飯がお休みなんしたら、この団子も一つあがってたんせ。
へいへい、むごむご。ん?これはんまい、これはんまい。
どこか怖い顔をしたおじさんは、うまそうに泥団子を食べるまねまでしてくれた。
こうしてソメコは鬼にさらわれて、鬼の岩屋まで来てしまった。
ソメコはうちのものに離れて、たった一人岩屋に連れてこられても泣いたりなんかしなかった。
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それどころか、さあおじさんと二人っきりで遊べるぞ、と張り切っていた。
連れてこられた珍しい岩屋の中は、あちこちに路地や横丁があって、
暗くってなんかおもしろいことがいっぱいありそうだった。
な、おじさん、こんどはかくれんぼするべ。
だめだ、おれは手紙を書くんだ。おまえ一人であそべ。
手まぎなんか書くよりかくれんぼのほうがおもしろいぞ。
手まぎやめて、かくれんぼするべ。
いやだ、大事な手紙書くんだからな。おまえあっちで一人であそべ。
ふーん、手まぎ誰に書くんだ。
おまえの夫にだ。
なんて書くんだ。
金のたわらを一ぴょう。
馬につんで岩屋の前に届ければ、ソメコは返してやる。
もし届ければくっちまう。
鬼よりってな。
ふーん、じゃあ早く書いちまえ。
そして早くかくれんぼしよう。
おれは鬼なんだぞ。
おまえ、おれがこわくねえのか。
ん、こわくない。かくれんぼしよう。
ふー、よし。
鬼はもうめんどくさくなっちまって、
ソメコが泣いたってかまわないと思って、
人間のすがたをやめて鬼のすがたにかえった。
あららあらら、おへそがみえら。
ソメコはとらのかわのふんどし一まいの
はだかの鬼のすがたをみて、きゃっきゃっとわらった。
な、おまえ鬼なら鬼ごこしよう。
さ、おらはにげるから早くおらをつかまえれ。
さあ鬼さんこちら手のなるほうへ。
ソメコはちっちゃいてをピチョンピチョンとうって、
鬼のまわりをちょこまかとはねてまわった。
いわのつくえのまえにすわっている鬼は
やかましくっててがみなんぞかけはしなかった。
ソメコがいなくなっておおさわぎして、
さがしているソメコのおっとうのうちへ
鬼からてがみがきた。
それにはこうかいてあった。
ソメコのおっとうよ。
ソメコはおれのいわやにいるから
はやくつれにきてくれ。たすけてくれ。
おれはソメコのあいてをさせれて
よるもねられないのであたまがおかしくなりそうだ。
このてがみもソメコとかくれんぼしながらかいている。
それソメコがもういいかい、もういいかい
とさいそくしている。
まだだよ、まだだよといいながら
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おれはたったままこのてがみをかいている。
たすけてくれ、はやくソメコをつれにきてくれ。
ソメコをつれてかえってくれたら
きんのたわらをいっぴょううまにつんでやる。
ソメコのおっとうへ鬼より。
おしまい。
はい、いかがでしたでしょうか。
最初はあれっておもったおはなしだったんですけども
だんだんよんでいくと
ソメコの強さがわかってきますね。
それではきょうもおききくださりありがとうございました。
こんでした。ではまた。