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カランコローン
いらっしゃいませ。喫茶クロスロードへようこそ。
いよいよ週の後半。ちょっと疲れたなぁ。
今週もなんだかバタバタしていたなぁ。
そんな気持ちが膨らんでくる頃ではないでしょうか。
そんな時こそ一休み。
ここでのんびりしていきませんか。
喫茶クロスロードでは、毎週木曜日、
月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。
今月のテーマは、【卒業】。
今日は、とある卒業までの日々を綴った、
【睡のエッセイ】を、私、清がお届けします。
それでは、どうぞ。
5年間の軌跡
睡眠の悩み
つい、早く一人で寝られるようにならないかなぁ。
ずっとそう思っていた。
私の育児の悩みの種には、いつも寝かしつけがトップ3に入っていた。
私も夫も、寝つきや寝起きが悪いこともなく、
ショートスリーパーでもなかったし、
睡眠に関しては、悩みという悩みはなかった。
とりわけ、私は寝ないとダメなタイプで、
自慢じゃないが、20時間近く連続で寝続けたこともある。
だから、産後の夜間授乳や寝不足はきつかった。
生まれて2、3ヶ月も経つと体内時計も整って、
まとまって寝るようになる、という言葉を信じて頑張ったけれど、
長男は一向に寝るようにならない。
少しの物音や光で目を覚まし、
一度起きるとすぐ覚醒して、1時間近く再入眠できなかった。
私は細切れ睡眠に耐えかねて、
生後2ヶ月頃から、いわゆる年々トレーニング本を読み漁り、
かなり厳格に実践した。
生活リズムを整えたり、赤ちゃんが寝ると言われる音楽をかけたり、
赤ちゃんが寝るという絵本を読み聞かせたり、
寝かしつけの苦労
眠くなるマッサージをしたり、とできる限りの工夫と対策をした。
しかし、長男は生後6ヶ月になっても、
3時間以上まとまって寝たことはなかった。
長男はどうやら寝るのが苦手らしい。
お昼寝も夜の睡眠もいつもスムーズにいかず、
寝つきも悪ければ寝起きも悪いのだった。
私が復職して奈良市保育が始まってみると、
保育園の先生も手こずるレベルのねんねべただった。
生後8ヶ月で保育園に行き始めても、
夜泣きと寝かしつけに悩まされる日々は変わらなかった。
夜間ダンニューするといいよ。
そう言われて復職してすぐ夜間ダンニューにチャレンジした。
1週間ほどで夜間ダンニューには成功したものの、
寝かしつけはスムーズにはならなかった。
抱っこをして寝始めたら布団に置いて手を握った。
寝たかなと思ったらそーっと離れるが、
なぜか気づいてやり直すこともしばしば。
ようやく寝たかなと思ったら30分もすると泣いて起きた。
寝かしつけのために自分の晩御飯を食べるタイミング、
お風呂のタイミングを見失った。
そうしてなんとか寝床についても、夜泣きで息子は起きてくる。
起きてきた息子を抱っこしながら、
次の日がまだ水曜日だということに絶望して、
私も一緒に泣いた。
歩けるようになると日中体力を消耗して寝るようになるよ。
それを期待して歩けるようになるまでの辛抱だ、
そーっと自分を励ましていた。
けれど、1歳を過ぎて歩けるようになると、
寝かしつけの難易度はさらに上がった。
息子の生活リズムを優先して、
親は晩御飯を食べずに対応し、
遅くとも8時には布団に入るようにしていた。
それでも寝かしつけに2時間近くかかり、
やっと寝たと思ったら、1時間も寝ると泣いて起きてきた。
当時の私の寝かしつけのスタイルは、
ただただ無になっての添い寝。
歩けるようになった息子は私の上に乗ってきて、
私の目を無理やりこじ開けてくる。
無視して狸寝入りしていると、
夫にベビーゲートを開けて寝室から出せと泣き喚いたり、
私の上にダイブしてきたり。
2時間近い寝かしつけから生還できず、
晩御飯を食べずに寝落ちしてしまうこともしばしばだった。
寝落ち率が高まるにつれて、
だんだんと子供の生活リズムに合わせて、
寝かしつけと同時に親も寝るスタイルに変わっていった。
その頃、保育園の連絡帳には、
息子の就寝時間は推定時刻を書いていた。
つまり、親の方が先に寝てしまうので、
息子がいつ寝たのかわからないのだ。
寝かしつけの方法は、
布団から脱走する息子の動きを無理やりなだめるために、
私のお腹の上に息子を置いて寝るスタイルになっていたが、
2歳を過ぎてくると重みで限界が近くなっていく。
そい寝するスタイルに戻したが、
そばにピタッとくっついて、
足や手を布団と私の背中の間に差し込んで寝て、
少しでも離れると、
どんな好機能なセンサーが搭載されているのか、
と思うくらい敏感にさして起きてきた。
コロナ禍で在宅勤務と在宅保育になった時、
寝かしつけが昼も必要になり、
すがるような気持ちで8割の子供が寝る、
という絵本のプロジェクターを奮発して購入した。
けれど長男はどうやら残りの2割の子供だったらしい。
絵本が大好きな息子は、
次の絵本を見せてと興奮して全然寝なかった。
寝かしつけいつまで
そんな検索ワードがいつもスマホに残っていた。
次男が生まれてからは寝かしつけはもっと複雑になった。
次男もよく寝る子ではなかったが、長男よりはましだった。
4歳と0歳の寝かしつけの時間は、
基本的には次男を優先して寝かせるが、
なかなか寝ずに泣いていると、
4歳も起きてきて絡んでくる。
私が次男を寝かしつけて自分の布団に戻るまで、
長男が布団の中で起きて待っているなんてことがよくあった。
寝かしつけの卒業
長男が5歳になった月、私は次男の寝かしつけをやめてみた。
正確には抱っこでの寝かしつけをやめて、
暗い寝室のベッドに置くだけにしたのだ。
夢を泣いていた次男だったが、そのうち自分で寝られるようになった。
そうして次男の寝かしつけから解放された私は、
5歳になった長男に相談してみた。
弟もお部屋にいるし、一人でお布団、入って寝れるんじゃない?
寝る前の歯磨き、絵本タイム、トイレを終えて時間になると、
お休みのハグをして長男を寝室に送り出す。
10分もすると、お水飲む、トイレ、と何かと寝室の外に出てくる。
また送り出す。
30分もすると、また寝室の外に出てくる。
お母さんいつ寝るの?
また送り出す。
40分、1時間、2時間、
そうして1ヶ月ほど経った8月8日。
その日寝室に入った息子が一度も起きてこなかった。
おめでとう、一人で寝られたね。
今日は一人寝記念日だね。
朝起きてきた長男にそう声をかけた。
そして心の中でこうつぶやいた。
寝かしつけ卒業。
5年間お疲れさま。
次男の寝かしつけ修了は開放感だった。
けれど長男の寝かしつけ修了は
卒業という言葉がしっくりくる。
あんなに大変だったのに。
あれほどずっと一人で寝てほしいと思っていたのに。
嬉しさだけでなくなぜか寂しさもあったのだ。
だからこそ残したかった。
これは私の寝かしつけ卒業までの5年間の奇跡だ。
いかがでしたか。
さて名残惜しいですが閉店のお時間の前にお知らせがございます。
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それでは本日はお越しいただきありがとうございました。
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