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堀木智也
じゃあ自分はどれが合うかなというのを考えるときに、やっぱりその違いを言語にまでしなくても認識していることを自分で確認できるので、
それが結構大事な経験だったかなと。
しゅうた
例えばザローで20種類あっても、もちろんやり方が若干違うっていうのはあると思うんですけど、
それの狙いもだから違うってことですよね。
堀木智也
そうですね。
例えばフォーマルな状態だとこれとか、カジュアルな場ではこれとか、あと最後にゆっくり揃えたいとか。
しゅうた
やっぱり狙いがあるんですね。
はい。
おもろ。しかも20種類はすごいな。さすがですね。
そうですね。
そうするとやっぱりいろんなものが、ザローシャッフルでも全然違うものがあったりして、そのインプットをまずはしていくというのが大事だと。
堀木智也
そうですね。それによって似ているけど違うっていうのが分かるようになると、逆に今度は全然違うものの中に共通項を探すことができるようになったり。
例えば今日の話だとスペインのマジシャンの共通項ってなんだろうみたいな問いを立てることができるようになって、説明できるようになったりしたりとか。
あとはこの人らしさって何なんだろうみたいな。
全然例えば僕今日はアルバンドルスのテジナとスペインのテジナやったんですけど、
じゃあこれら似ているところは何なんだろうみたいなことを言語で説明できるようになるとだいぶ楽しくなるんじゃないかなと思います。
これのすごいメリットは〇〇っぽいみたいな言い方で情報をめちゃめちゃ圧縮できる。
しゅうた
確かに。
堀木智也
コーヒーとかでよくそういう表現されますよね。なんかオレンジっぽいグレープフルーツっぽいみたいな。
しゅうた
はいはいはい。
堀木智也
フレーバーというか風味の。
しゅうた
ワインとかも確かにそういう印象がありますね。
堀木智也
そうですよね。こういうメタファーみたいなのをうまく活用できるとだいぶ説明しやすくなると思います。
ただこれはデメリットにももちろんありまして、
例えば見たすぐに〇〇っぽいみたいなことを自分で言語にしてしまうと体験を賄賞化するみたいなことが起こってしまうので、
いつやるのかというのは結構注意が必要かなと思います。
しゅうた
あとその〇〇っぽいの〇〇っぽさをお互い同じイメージで持ってないと伝わらなかったりしますもんね。
そうですね。
ワインさっき話しましたけど、昔ワイン飲んでて味の説明があったときに太陽のお日様の〇〇とか書かれて、
いや俺わかんねえよみたいな。
ベリーっぽいとかラズベリーっぽいとかってまだわかるけど、
太陽のお日様の〇〇って書かれて、
わかんねえよって思いながら絶望した記憶があるので、
ある程度そこの共通認識がないと伝わらないというデメリットは確かにありそうですね。
堀木智也
国籍によっては同じベリーでも全然違うベリーが出てることとかあるらしいので難しい。
話戻しますが〇〇っぽいみたいな話で、
違っているものの共通語を探す話の中でこれを言語化できるようになると忘れにくくなるんですよね。
例えばタマリッツとアルマンドルセロ似てる部分があるみたいな話をしだしたときに、
アルマンドルセロの定義がすごく複雑なんですけど、
これはタマリッツのあの理論と似ているので、こういう操作だったからみたいな思い出すきっかけになる。
しゅうた
手順を忘れにくくなるってことですか?
堀木智也
そうですね。
しゅうた
スペインのマジックをスカニオで始めたタマリッドとか、
いろいろ学び続けていらっしゃると思うんですけれども、
アメリカとかの違いってどんなものがあると思いますか?
堀木智也
これは難しいなと思います。
しゅうた
これは言語化してくださいという私からのお題なんですけど。
堀木智也
家で考えていたんですけど、
スペインの名作とアメリカの名作と言われているものには実はそんなに違いがないんじゃないかなと思いました。
逆に特徴を持っているのは地味な作品の方が多いというのがまず1つあります。
例えばレストレスレディとか、あとはアスカニオのロイランドウォーターとか、
一般的には地味だと言われる作品だと思うんですけれども、
あちらの方がスペインっぽさをたくさん有していると自分は思っています。
何かなと思ったんですけど、スペインのマジシャンは何をやるかというよりもどうやるかというところをずっとやっているという印象が。
しゅうた
手法ってことですか?
堀木智也
そうですね。手法だったりとか演技の手法だとか、
結局ゴールというのはマジカルアトムスフィアというのはほとんど決まっている。
決まっているというか、マジカルアトムスフィアを部分的に含むゴールをスペインのマジシャンは立っているので、
大体同じようなことをやりたがる。
ですけどオイル&ウォーターという現象をどう伝えるかというのはみんな違う。
このどう伝えるかの部分をみんながいろんな工夫をしているというのがスペインのマジシャンの特徴。
手法もプレゼンテーションもですね。
というのが一番の特徴かなと。
言ってしまったらみんなが実は似たようなことをやっている。
でも細かく見ていくと全然違うというのがスペインのマジシャンの特徴で。
アメリカのマジシャンは自分の特徴を一言で言えるようになるみたいな感じで、
人と違うことをそもそもやりたがる。
しゅうた
オリジナリティをアピールしていくというか。
堀木智也
大きな意味での違いをアピールしてくるというのがアメリカのマジシャンの特徴。
アメリカのマジシャンは意味の無いですけど。
とはいえスペインのマジシャンはどうやるかというのをずっとやっているというのが、
自分の今日のイベントの感想です。
しゅうた
やっぱりアメリカはショービジネス界だから、
違いを見せて差別化していかないとダメみたいな意識があるんですかね。
堀木智也
あるかもしれないですね。
しゅうた
なるほど。
今日本当に1時間半ひたすらやり続けていただいて。
なんなら同じマジックを2回やってもらうみたいな。
そんなくだりもあったので。
堀木智也
ネタ切れがありました。
しゅうた
ネタ切れというかリクエストに近かったんですけど。
本当に面白かったです。
じゃあちょっと追加で今の質問に関係するかもしれない。
スペインのマジックという広いところで言っちゃいましたけど、
コインマジックが分岐があったという話をしてくださったじゃないですか、イベントで。
ちょっとあそこについて触れていただいてもいいですか。
分かりました。
堀木智也
正確に言うとスペインのマジシャンはデビッド・ロストをベースにしているので、
完全に分かれたというよりは1985年にエキスパートコインマジックが出て、
ナワハスというマジシャンがモネダス・ペルソナリスという本を確か同じ年に出したはずなんですね。