授業の背景と準備
みなさん、こんにちは。ばじるです。
24回目の放送となりました。
前回の放送から、おそらく1ヶ月近く経ってしまったのではないかと思うので、
久しぶりの収録となりました。
この間、どうしていたかというとですね、
来年度の人事のことで、うちの学校内、わさわさしておりまして、
初任である私が、ちょっと落ち込むような人事だったんですね。
でも、きのう正式に発表が校内でありまして、
いちいち落ち込んでいてもしょうがないと、
せっかくのおばさん初任者だったので、
おばさんのこの力を発揮して、来年度は楽しく過ごしていけるだろうと思っているところです。
授業の方は、4クラス全部終わりを迎えました。
進行方法と生徒の反応
柱根メロスのディベートの振り返りをした後、
君は最後の晩餐を知っているかという評論文に入りました。
最初に最後の晩餐の絵を見て、美術で一度習っているので、
あ、知ってる知ってるとか、ユダはこいつなんだよなんて言いながら、
非常に興味を持ってこの文章に入ることができました。
最終的にはこの評論文の文体を真似して、
推し作文を書くよと伝えました。
推しについて厚く語る。
この著者も最後の晩餐の絵が彼にとっての推しなんだよ、
そんな文章に読みませんかと言いながら、
その文章をまずは読みました。
この文章の構造を真似して、
みんなも推しをどんな世代の人にでも伝わるように、
魅力を伝えていこうという形に授業を進めていきました。
ちょっと心配なことがあって、
まず推しが見つけられない生徒が各クラスに3,4人ぐらいはいたんですね。
中学生なんで口で推しなんかいねえしとかブーブー文句言うんですけれども、
ブーブー文句言いながらも、
心の中ではどれにしようかなって考えている子がほとんどなんです。
女の子なんかはアニメ系の本人、自称オタクたちは
もうありがとうみたいな感じで、
もう書いてもいいですかみたいな前のめりな感じだったんですけれども、
本気で決められない人が3人ぐらいいて、
おかしいな、部活がなかったやった、
早く家に帰って友達と遊ぼうとか、
ゲームしようとか言ってる姿を日々見ていたので、
好きなゲームとかないの?なんて話しかけて、
なんとかテーマを絞り出したっていう生徒が
必ずクラスに2,3名はいました。
推しが見つからないというか、
一番好きなものがどれだかわからないっていう生徒は、
ある意味心配ではありました。
あんなにゲームが好きとか言いながら、
そんなに熱中していないのかとか、
攻略するためにどうすればいいのかとか、
攻略本読んだりとか、実況さんとか言うんでしたっけ、
そういったYouTubeを見たりとかして、
工夫とかしていないんだなぁと、
不安になるようなこともありました。
今回の推し作文の縛りと言いますか、
型は、まずは序論・本論・結論の3段落構成でいくことと、
あとは君は最後の晩餐を知っているかの文体を真似して、
まずは褒め言葉を3回ぐらい使って、
自分の推しの良さを印象付けようと。
褒め言葉、いろんな言葉を書き出して、
その中でまずこの言葉は3回は使おうっていう言葉を
下書きの段階で決めました。
序論でその推しの説明をし、
授業の振り返りと未来への展望
本論で具体的な素晴らしさを伝え、
結論では決め台詞で終えましょうということにしました。
この決め台詞がなかなか決められなかったんですけれども、
君は最後の晩餐を知っているかでは、
芸術は永遠なのだという言葉で終わっています。
それぐらい大きな終わり方をするといいよね、
大きな褒め方で終わるといいよね、
なんていう話をしていました。
下書きでそれをとりあえずメモ書きで考えてから、
Googleのドキュメントで清書をしました。
ここまで型を決めると、
大抵の生徒は自分で書き進めていくことができます。
うちの学校の生徒は、
推しについて書いてねという一言だけだと、
もうどうしていいの、どうしていいのという感じで、
あっちもこっちも拒否されて、
僕のところに来てください、教えてくださいとか、
何なら書き出し決めてくださいぐらいのことを
言われたりとかするんですけれども、
大抵の生徒は楽しく書くことができました。
その中で、こういう生徒が減っちゃったなって
寂しくは思ったんですけれども、
部活動の中の上手になるコツを説明してくれる生徒とか、
あとは部活動の顧問が俺の推しだとかって言って、
顧問について書きたいっていう生徒が少なからずもいました。
その顧問に対する愛がすごくあふれていて、
文章は国語的にはどうだろうというのもあったんですけれども、
最後の授業なので特に大きな手を入れるようなことはせず、
そのまま頑張って書いてもらったものを顧問に読んでもらいました。
こういう活動って本当にすごく嬉しくて、
よく移動するときにありがとうみたいなコメントが書かれているのも
とても嬉しいんですけれども、
これは感謝の言葉を書くよって言ったのではなくて、
推しについて書こうって言ったら、
僕は〇〇先生のことについて書くって最後に決めて書いた文章っていうのが、
本当に愛にあふれていて、
本当に小学校の漢字も書けないような生徒なんですけれども、
その愛が半端ないんですね。
こんなことを言われて僕は部活を頑張ろうという気持ちになれたとか、
朝練が多くてつらいんだけれども、
顧問のこの言葉で考え方が変わったっていうようなことが書かれていました。
どうしてもその先生に読んでもらいたくて、
クラスルームにアップしてあるものなので、
そこから読んでもらいました。
その先生は数学の先生だったんですけれども、
あいつが最後、きめの言葉で文章を終えているのが
本当にすごいなって笑いながら褒めてくれました。
国語科でない先生が、私のこの授業の狙いというものに気がついて、
その生徒を褒めてくれるのがすごく嬉しくて、
やっぱりこういう活動はすごくいいなって思うのと、
やはり私の手が入っていない、きれいな文になっていないからこそ
伝わる言葉っていうのがあると思うんですね。
やっぱり評価が関わらないっていうところでないと、
こういうふうにお渡しすることができない。
この生徒の拙い言葉のまま伝えることができない。
そういう意味では、本当に嬉しい作文がいっぱい並んだ授業でありました。
ただ、中学校の国語はどうしても言語指導から離れることができないところがあります。
評論文や随筆詩、短歌俳句物語など、あとは翻訳ものなど、
様々なジャンルの文章の構成っていうのを勉強することも必要なことであります。
その構成を真似て書くっていうこと、身体的なことを自分で考えて真似をしてみるっていうことから、
言語技巧を習得するっていうこともできると思うんですね。
習得が早いと思っています。
そんなにお勉強が得意でない生徒っていうのは、まず動いてみないと理解することができない。
動くためには、自分の興味関心を持てることでないと積極的に動くことはできない。
伸びやかに書いてほしいと思いながらも、やはり指導事項から離れることはできないと思っています。
せっかく最後の作文なのに縛りをつけてしまって、伸びやかに書けないんじゃないかなってビクビクしていたんですけれども、
ただ、一方で型をたくさん真似することでしか書く力や読む力はつかないと思っているので、
学年を持ち上がったことが一度しか私はありません。
来年度は持ち上がれると信じて、まずはたくさん真似して書いてみて、
その先を描いた授業をしていきたいなと思っています。
この推し作文ですが、書き上げてから最後、読み合いの時間を作りました。
読み合いをした後、自分の出席番号の次の人の作文の褒めポイントを見つけて、
その褒めポイントをみんなに紹介してくださいという活動でこの授業を終えました。
どうして出席番号の次の人っていうふうに決めつけてしまうのかというと、
褒められない人が出ることが私一番嫌なんです。
必ず全員が一言何か褒めてもらえる。
そんなことで、この国語の1年間の授業を締めたいなと思いました。
この発表もちょっとまた肩にはめちゃったんですけれども、
〇〇という表現がとても良かったですっていうことは必ず入れようねと約束をしました。
そうすることによってみんなは一作品はしっかりと読んで、
この表現がとても良かったですとか、
この表現から本当にこれが好きなんだということが伝わりましたというような
本当に本当に短いコメントだけを発表していたんですけれども、
一人がコメントするたびにみんなが拍手するような感じで、
褒められている人はちょっとはにかんで、みんなうつむきがちで、
温かい雰囲気で授業を終えることができたかなと思っています。
最後にはそのクラスごとの良さ、こんなところがこのクラスとても良かったねっていう話をして、
4月からは4つに分かれちゃうけれども、
それぞれのこのクラスの良さを新しいクラスで発揮していってもらえるといいなといって、
国語の授業を終えました。
毎回国語の授業の振り返りをして、私気がつくことがあるんですが、
この子たちってどんな国語力がついたと思っているんだろうって、
すごく不安になります。
どうしてもメッセージとして、必ず誰かを褒めようとか、
必ずみんなで協力し合おうとか、
いろんな人の意見を聞いて、いいところを取り入れていこうとか、
国語っていうよりも生き方っていうか、人との付き合い方っていうか、
そういうメッセージの方が強いんじゃないかなって最近気がつきました。
来年度に向けてもっともっと国語の教師として成長するために、
一番必要な力、こういう国語力がついたっていう生徒に
自信を持ってもらえるっていうような、
そんな授業のメッセージを送れるような教師に、
来年度から目指していきたいと思っています。
つらつらと長々とお話をしてしまいました。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。