いやでも、なんかそういう意味では、このインタビュー聞いてる方ね、小説家になりたい方も結構いると思うので、今のテクニックはテクニックで。
いや、小説家はならない方がいいんじゃないですか。
なぜですか?
基本的にヨスデビッドみたいな生活になりますよ。朝起きて小説を書いて、ずっと書き続けて、日が暮れるっていう。
垣根さん満足ですか?
満足かどうかなんて、ほとんど考えたことないですね。
たまたまこういう仕事になっちゃったっていうのは正直なところで。正直言うと、もうちょっと違う、マシな生き方もあるんじゃないかっていうのはよく思います。
なんか最近も思ったことありそうなような感じですね。
結構ありますね。
これはちょっと話飛びますけど、小説家を目指す時、午前3時ルースター。その時に最初はもう賞金目当てだったみたいな情報も。
そうですよ。
やっぱり本当にその通り?
もちろんそうです。じゃなかったら書かなかったと思います。
もうその前に家がゆとりのルースから破産しそうだったみたいな。
でも、それをまだパチッと分けられるわけじゃないと思いますけど、やっぱりいろいろその中の小説家を目指そうと思った理由が。
それは、もともと僕、小説読むの好きだったんです。それはもう間違いない。
それがベースにないとその選択がないんですよ。
どっちかって言うと、本を読むのが好きだっただけで、書こうとはそんな思ったことはなかった。
本を読むのが好きで、元手がかからずにできるっていうことと。
あとは正社員だったので、正社員しながら、夜家帰ってから、何とか別の収入を得る仕事っていう感じで始めましたよね。
そうか。じゃあ、なるべくして成った手はなったけど。
まあ偶然が重なって、たまたまそうなったっていうことでしょうね。
もし賞金、午前3時ルースで取れてなかったら、もう一回応募してました?
もうヒートアイランドが書き始めてたんで、それはやったと思いますから。
どちらにしても、あのまま行くと、僕の会社では経済状況パンクしてたんで、
そっちの方向に、今の道に進まざるを得なかったんじゃないのかなっていう気持ちはあります。
ちょうどね、29とか30ぐらいですか?もうちょい?
作家になると思ったら30ですね、明確に。
僕もわりと新聞社とかいて書いてたんですけど、
いろいろこの世でやっていけない感じになって、やめて29で起業して現在いたんですけど、
周りから全員止められて、この高渕じゃないんですけど、
社会に僕の場合は適合できないんで。
柿根さんの場合も、やっぱり今みたいなバックボーンあってもやめるっていうのは、
ちょっと僕からすると、やめた僕が言うのなんですけど、相当周りに止められたりはしなかったんですか?
止められましたよ。ほとんど止めましたけど、
じゃあその周りの人たちが俺の人生のお尻を拭ってくれるの?って話ですよ。
そうじゃないですよね。
であれば、基本的には自分の責任において、自分がやりたいことをやった方がいいですよ。
自分の責任においてですよ。
本当ですよね。
そういう意味では僕はもう100%同意なんですけど、そっからまた高渕に戻りますけど、
高渕と柿根さんは対局ですか?それか似てるところも?
高渕は凄みがある人間だと思ってます。
でも、肝心な個人として見ると、本当にグズグズでどうしようもないヤツだと思ってたんですよ。
そういう意味で書いてたんですが、僕、大学の時とか結構仲良いやつがいるんですが、
僕、結婚式で友人代表のスピーチとかされてたからね。
読んでて、「これお前のことじゃん!」って言われた時、結構ショックでした。
俺ってこんなグズグズの人格みたいな。
どの辺だったんでしょうね。
もう一個も、ある編集者が会いに来たんですよ。読みましたって。飲みに行きましょうって。
飲んでたら、「高渕さん、ついに自分のこと書きましたね!」みたいなこと言われて。
えぇーって。書いてないよって。
え、俺こんなダメに見えるの?とか言ったら。
見えます?とか言ったら、マジかと。
大西は本位じゃないけど、あるらしい。
ビックリしました。本位じゃない以前にビックリしました。
自分とは程遠い人間として書いてたつもりなんですけど、
僕の近くからいる人間から見ると、
このグズグズさ加減とか、気分やさ加減ってそっくりだみたいなこと言われて。
えぇーっていう感じは、結構ショックは受けました。
じゃあ、取材とか本当に気になかったら、叩きつけて出てくるとかもある?
いや、それはないですよ。取材を受けた以上は。
ただ、異なることはありますよね。
それは気分が乗らないとか、そういうことは結構あります。
そうなんですね。ちょっと緊張してきましたね。
そうなんじゃないですよ。去年プロモーションは全部受けました。
ただ、要はプロモーション以外の講演会とか、そういうのはほぼほぼ全部断ってますよね。
だって嫌ですもん。
そもそも気分乗らないですよね。
嫌ですよ。
嫌ですよね。
僕、書くことが仕事なんで、喋ることが仕事ではない。
今喋ってますけど、これはプロモーションの一環として仕方なく喋ってる感じです。
じゃあ、フェイスブックでも、1年に1回新刊出されるときに楽しいコラムと一緒に書かれてるのも、
フェイスブック書くのが好きなんじゃなくて、あくまでプロモーションの一環として。
そうです。僕ね、毎日文字を書いてるんですね。
何が好き?この本では悲しくて、他に余分な文字を書かなくちゃいけないんだと思ってます。
でも、書くこと自体は好きってわけでもないですか?
自分が書きたいように、無責任に書くんだったら書くこと楽しいですよ。
そうですよね。
ただ、それでお金をもらって、っていうプロの目線で、しかも妥協点を高く挙げて書くことはすごい辛いですよね。
そういう意味では、実際この作品も含めてですけど、プロとしてなので、
その辺の求められるものって、ずっとこれまでのキャリアであったと思うんですけど、
本当に好きかって書きたいことと、実際に求められるギャップとか、多少、どうですか?
それは自分の中の基準なんですよね。
この基準がクリアしておかないと、ちょっときついなっていうのは自分の中にあるんですよね。
正直言うと、自分が書きたいように書ければ、どんだけ素敵なことかっていうのは、いつも思います。
ただ、あくまでも僕の場合は、それをやったら良くないなと思ってます。
だって、僕はこれで身も蓋もない話なんですけども、
原稿料というお金をもらい、本が出たらその印税をもらうんですよ。
それに対しての、やっぱりある程度のクオリティは担保しなくちゃいけないよっていうような考えがあって、
読者に読んでもらうために書いてるんですね、すごいシンプルに言えば。
僕が楽しむためではないんですよ。日記とは違うので。
まあ、そういう答えになりますけど。
ちょっとね、これ、めちゃめちゃ、なんで書くかっていうことじゃないですか。
それが分かってたら、書いてないですよ。
多分。
自分のいろんな曖昧もことしたい、いろんなものがあって書いてて、
それがたまたま僕を食わせてくれる手段であったりするので、
そこに関しては妥協はできないから、ちょっと書くのが辛いなって思うことはほぼ毎日ですけどね。
当然、商業出版とか出版してそれを売って作家さんやってる中で、
どうしても読者とか、まさにこのたかしの世の中、世間を無視することは絶対当然できないと思うんですけど、
その中でも作家の方も僕もいろいろインタビューさせていただいてて、
なんて言うんでしょう、すごいステレオタイプになっちゃいますけど、
いわゆる芸術家肌みたいな方と、お仕事としてみたいな方が両方いらっしゃるなと思うんですけど、
垣根さんの場合もちろん両方あると思うんですけど、
それはこれまでの、例えば最初のキャリアでリクルートとか、金吊りとか、
そういうのと、ある意味延長線上であるみたいなところもあるんですか?やっぱり全然違う?
基本的には僕、やりたいことしかやらないです。今の仕事において。
書きたい小説しか書かないですし、それはもう商売関係ないです。
ただ、書きたいことを決めて、それを書いていく段階に入ってくると、
それは読まれるものなので、僕のものではないんですよ。
言っている意味わかります。
それは小説として書き始めた時点で、僕のものではないんですよ、もうすでに。
書き始めた時点でなんですね。
そうです。最終的に、最初から読者に読まれるものなんですよ。
読者を楽しませるものだし、読み終わった後に、読者の中に何か残ればいいものであって、
もう僕のものではないんですよ。だからつらいって言うんですよね。
日記ではないんで。もちろん書きたいものを書いてます。好きでやってます。
けど、だからといって、自分と読者との間の断層は無視はできませんよ。
断層みたいなものですよね。その断層をなるべく平たくしてやる。
ツルツルに生きやすいようにしてあげる。
それは努力が必要ですから、努力が必要だと僕は思ってます。
タカウジ戻りますけど、やはりこの、やる気なし、使命感なし、執着なし、
なぜこんな人間が天下を取れてしまったのかというところから、この帯が始まって、
やっぱり読んでみると、ちょっとネタバレになっちゃいますけど、
結果的には、だからこそ天下を取れたのでは?
もちろんそうです。
その中で、僕がふと思ったのは、僕の感じの感覚ですけど、
やっぱりタカウジって、ある意味、ザ・日本人みたいなところがあるのかなと思ったんです。
はっきりしないみたいな。
で、ここからちょっと前に伺いたいんですけど、
僕が調べた限りで、あんまりその先にこれから伺えることが他の記事になかったので伺いたいんですけど、
そのザ・日本人っていうのが、僕がふと思いついた人が一人いて、
結構海外に取材に行くことが多いんですけど、
ロンドンで、ちょっと錆びれたバーでですね、
たまたま日本人の裏ぶれた60くらいの社長が横にいて、
社長っていうかおっさんがいて、
この人なんか寄せ人みたいな人かなと思って話したら、
上場企業の社長さんで、商談でロンドンに来たすごい人で、
話したらオーラ全然なくて、
なんで社長になれたんですかって丁寧に聞いてたら、
特に才能もなかったし、なる気もなかったんだけど、
こだわりもなく気づいたら、周りみんなギラギラした人いなくなってさ、みたいな感じで。
ああ、そういうことですよね、たぶんね。
ちょっとタカウジってそういうところがあるのかな?
一番強い人間って、たぶんなんですけど、何のこだわりもない人間ですよ。
プラスの、たぶん唯一まともな部分がタカウジがあるとしたら、
俺は大したことない人間だってことが骨の髄からわかってたって。
最初からメタ認知できたんですよね。
そうだったと思います。
すごいですよね。
それってたぶん、この人ほど俺は大したことない人間だと思ってた有名な武将はいないと思います。
他の人間は、やっぱり一発の人間だと自分のことを思ってるんですよね。
信長にしたって、楠木正次元にしたって、新田佳人にしたって、
誰でもいいんですけど、いろいろと思いついても。
タカウジは徹頭徹尾、「俺ってダメね?」っていう感じなんですよ。
いろんな資料を読んでも、ここの小説の中には出さなかったんですけど。
タカウジが歌った歌で、「どうせ俺の考えてることなんか誰にもわかりやしねえんだ。俺は悲しい。」みたいな歌があるんですよ。
そんなのあるんですか?
ありました。
この中に出たのも、あんまり良い句じゃなかったけど、もっとひどいのがあったんですね。
もっとひどいっていうか、「自分はダメなんだ。誰にもわかってもらえないんだ。」みたいなことを言ってるんですよ。
そういう感じって、ごくごく凡人じゃないですか。発想の仕方が。
でも、凡人でこだわりがないからこそ、ずっと激動の時代を生きてこられたっていうのが、もう一つありますし。
あと、結局、僕、そういう歴史小説は書いてますけども、今の時代の読者に向けて書いてるんですよ。
今っていう時代を生きてる。テクニック論としてですよ、あくまでも。
だって、基本的にどうでもいいんですよ。
どうでもいい。
その立場に、本当に欲してなったわけではないので。
そうじゃないですか。
その社長さん、ロンドンの社長さんも、おそらく本当に、
社長になれりゃいいけどさ、ぐらいな感じですよね。
全然欲してない。
欲してないです。高氏も多分そうだから、中身はウロのままなんですよね。
なんか逆に、単純に幸せでは最後まであんまりなかったのかな、みたいな。
そういう、フラフラいきたいよ、みたいな感じって言ってるけど、
最後、ガチガチみたいだった。
幸せって何ですかね。僕、よくわかんないんですけどね。
幸せって何ですか?
何ですかね。僕もふっといとかあれですけど。
ただなんか、高氏は、最後まで高氏だったんですかね。やっぱりそういう意味では。
高氏、何だったんでしょうね。
なんか最後、この本の中でも。
ごめんなさい。少なくとも高氏は、
戦意大将軍になろうと自ら思ったことは一度もないですよね。
なのになってる時点で、
まあまあ、幸せとかそういうことでは多分ない。
そもそも幸せとか考えてないか。
と思いますよ。
彼の中では快適だったらいい、楽だったらいいみたいなところが、
多分人生の指針としての大多数を占めていて、
倫理観とか、世の中を生きていく上でこういうものが大事とか、
それはないと思いますよね。
いつもインタビューをご視聴いただいてありがとうございます。
この度スタートしたメンバーシップでは、
各界のトップランナーから戦争体験者に至るまで、
2000人以上にインタビューしてきた僕が、
国内外の取材、そして旅の中で見つけた、
人生をアップデートするコンテンツをお届けしていきたいと思います。
ここでしか聞けない特別インタビューや、
基礎トークにもアクセスしていただけます。
随時、これ面白い、これはいいんじゃないかっていうコンテンツも
アップデートしていきますので、
そちらも含めてどうか、
今後の展開を楽しみにしていただけたらと思います。
なお、いただいた皆様からのメンバーシップのこの会費はですね、
インタビューシリーズの制作費だったり、
国内外のインタビューに伴う交通費、宿泊費、
その他取材の諸々の活動経費に使わせていただきたいと思っています。
最後に、なぜ僕が無料でインタビューを配信し続けるのか、
少しだけお話しさせてください。
この一番の理由はですね、僕自身が人の話によって
うつや幾度の困難から救われてきたからです。
そして何より、国内外のたくさんの視聴者の方から、
これまで人生が変わりました、前に進む勇気をもらいました、
救われましたという声をいただき続けてきたからには他になりません。
この声は、世界がコロナ禍に生まれた2020年頃から一層増えたように思います。
これは本当にありがたいことです。
ただ、同時にそれだけ心身共に疲弊したり、
不安を抱えたりしている方が増えていることに他ならない、
その裏返しであると僕は強く感じています。
正直に言えば、各々自身も15年以上前に起業して以来、
最大のピンチといっても過言ではない時期をこの数年送り続けてきました。
でも、こんな時だからこそ森に入ることなく、
インスピレーションと学びにあふれる、まだ見ぬインタビューを送り続けることが、
インタビュアーとしての自分の使命なのではないかと強く感じています。
世界がますます混迷を極め、先の見えない時代だからこそ、
僕はインタビューの力を信じています。
これまでのようにトップランナーや戦争体験者の方への取材はもちろん、
今後は僕たちと同じ姿勢の人、普通の人の声に耳を傾けたり、
ややもすると内向きになってしまう、
今こそ海外でのインタビューに力を入れていきたいと思っています。
そして彼らの一つ一つの声を音声や映像だけでなく、
本としてもしっかりと残していきたい、そう考えています。
そんな思いに共感してくださる方がメンバーシップの一員になってくださったら、
これほど心強く、そして嬉しいことはありません。
ぜひメンバーシップの方でも皆様とお耳にかかれるのを楽しみにしています。
以上、早貝オヘでした。