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【直木賞作家が折に触れて読み返す珠玉の一冊とは】 書き手は誰しも、はじめに書きたいものを持っていて。 けれど、だんだん集まってくる仕事を受けていくと、自分のやりたいことが見えにくくなって疲弊してしまう。 そうして力が削がれて、書けなくなっていくんじゃないかと思う。 ーー垣根さんは、そう語る。 舞台は激動の鎌倉〜室町時代。ブレブレの主人公・足利尊氏を、側近の高師直・弟の足利直義の視点で描いた直木賞受賞作『極楽征夷大将軍』。 著者・垣根涼介さんへのインタビュー第3回。 基本的には芯のない尊氏だが、弟・直義についてだけは一貫して守るスタンスを貫いた。その理由を分析するに「尊氏はヒモ気質だ」と垣根さん。 インタビューでは彼がなぜ長きに渡り小説家を続けてこられたのか。何度も読み返すについて珠玉の一冊についても伺った。 【プロフィール】かきね・りょうすけ 1966年長崎県諫早市生れ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞と、史上初の3冠受賞に輝く。翌05年、『君たちに明日はない』で山本周五郎賞を受賞。16年、『室町無頼』で本屋が選ぶ時代小説大賞受賞、週刊朝日「2016年 歴史・時代小説ベスト10」第一位。著書に『ヒート アイランド』『サウダージ』『光秀の定理』『信長の原理』『涅槃』などがある。 『極楽征夷大将軍』(文藝春秋) ▼垣根涼介さんオススメ本 『白い牙』(ジャック・ロンドン/新潮社) 【垣根涼介さんへのインタビュー】 第一回 第169回直木賞受賞作『極楽征夷大将軍』ここだけの創作秘話 https://youtu.be/UrxgyoZxJQQ 第二回 執筆の流儀 https://youtu.be/vT2Yhd4qYHE 第三回 直木賞作家が折に触れて読み返す珠玉の一冊とは https://youtu.be/H2PBQsB8Rfs 第四回 「気分ファースト」のすすめ (8/28公開) 再生リスト | https://youtube.com/playlist?list=PLh7eiOWS7pyjko4NcGbjgDczIh3-zEjUa ▼インタビュー力を身につけたいあなたへ https://www.auchikara.com/ ▼ポッドキャストを配信したいあなたへ https://podcast-branding.com/ ▼ニューズレター https://yoheihayakawa.substack.com/ ▼番組への感想・質問はこちら https://bit.ly/INTERVIEW_QandA ▼【聞き手・早川洋平プロフィール】 はやかわ・ようへい/1980年横浜生まれ。新聞記者等を経て2008年キクタス株式会社設立。羽生結弦、コシノジュンコ、髙田賢三など世界で活躍する著名人、経営者、スポーツ選手等ジャンルを超えて対談。13年からは「世界を生きる人」に現地インタビューするオーディオマガジン『コスモポリタン』を創刊。 海外での取材を本格化するいっぽうで、戦争体験者の肉声を世界へ発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。 公共機関・企業・作家などのパーソナルメディアのプロデュースも手がけ、キクタス配信全番組のダウンロード数は毎月約200万回。累計は3億回を超える。『We are Netflix Podcast@Tokyo』『横浜美術館「ラジオ美術館」』『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』などプロデュース多数。近年はユニクロやネスレ、P&GなどのCMのインタビュアーとしても活躍。 外国人から見た日本を聞く番組『What does Japan mean to you?』で英語での発信もしている。 ▶Spotify https://bit.ly/Spotify_INTERVIEW_YH ▶Apple Podcast https://bit.ly/Apple_INTERVIEW_YH 【目次】 00:00 尊氏の人生のターニングポイント 02:20 史料の読み解き方 05:28 ふだんとは違うテーマで本を書くこと 08:48 小説家を続けられている理由 11:22 賢い人間であること 12:15 最近もっとも自分を疑っていること 14:08 垣根涼介さんのおすすめ本『白い牙』(ジャック・ロンドン/新潮社) 17:48 メンバーシップのお知らせ ▼関連キーワード #垣根涼介 さん #極楽征夷大将軍#文藝春秋

サマリー

タカウジのターニングポイントは弟に対して果敢になることであり、彼の人生で唯一の願いは弟を守りたいということです。タカウジは常に不本意な流れに巻き込まれながら、最終的には弟との争いから人間として成長するための努力を始めます。垣根亮介さんの直木賞作品は外れることがありません。彼は24年半世紀もの間、自分がやりたいことだけに取り組んできたことが彼の成功の秘訣です。ジャック・ロンドンの『大神と犬』は、彼の行動を通して彼の精神世界を感じることができる話です。関連性は感じられませんが、ある種の精神世界を描いた興味深い小説と言えます。

目次

タカウジのターニングポイント
タカウジの人生を振り返った中で、ターニングポイントを一つ挙げるとしたら、タカウジのターニングポイントはどこだったんですかね?
タカウジのターニングポイントは、弟のことだけに関しては果敢になるんですよ。そこが全ての歴史を動かしてるんですよ。
あれって、僕はこれを素直にエンタメとして思わせていただいて、本当に真実?
真実です。他のことはタカウジどうでもいいんですよ。
ただ、弟はずっと足利家の所定に生まれて、誰からも見向きもされなかったから、自分の分身みたいなヤツなんで、ここだけは絶対に守りたいんですよ。
それが人としての唯一の気持ち。あとは、嫁さんに関してはどうでもよかったりするんですよ。
徹底的に子供の頃に自負心がない環境で育っているので、それはすごい影響がありますよね。
それはやっぱり即失自難っていうことが多分に影響してる。
即失自難、それにも尽きると思いますけど。当時即失の自難って人権ほぼないですか、家門においては。
その中で今の即失の自難から正義大将軍ってこともそうですけど、やっぱりシンプルに、事実は小説よりきなりじゃないですけど、
観音の冗談だったり、哲士川原合戦とか、本当に映画みたいなことが起こるんですね。
映画っていうか、それがシリーズだったんで。シリーズのもとに映画ができてるんで、それが逆だと思うんですけど。
なるほど。砂ぼこりが吹いたとかも本当なの?
本当です。本当らしいんですよ。僕は見たことがないので。資料にはそう書いてありました。
これ、たられ場は厳禁ですけど、砂ぼこり吹かないで、あそこで死んでたらどうなったんですかね、幕府とかいろんな。
それはね、わからないですね。わからないです。
いや、それはね。
この質問自体は禁句ですかね。そういう禁句なんですかね。
たられ場って、僕はあんま考えないですし、それは後になったからそう言えるんであって、その時はわからないですよ。
そうですね。しかも砂ぼこりだけの要素じゃないですもんね。
おそらく。だからわからないとしか答えようがないですよね。
さっきの話に戻っちゃいますけど、資料に当たりながら膨大に書くっていうのは、その大枠としてはイメージできるんですけど、
弟のために全てを捧げたっていうか、そこで動きが全部あるみたいなものっていうのは、
理屈ではわかるんですけど、資料でどういうところからそういうのがわかるんですかね。会話があるわけじゃないわけじゃないですか。
だって、1回目、高橋が発狂するシーンは、
高橋家の残党に弟が追われて、明日死ぬかもしれないって発狂して、今日出ちゃうわけですよ。
それも資料として書いてあるんですよ。
発狂したみたいにあるんですかね。
発狂したとは書いてないんですけど、すごい焦って、五大御殿のところに出兵させてくれ、出兵させてくれって言うけど、
ダメって言われて、最終的には無断で出兵してるんですよ。
そうでしたね。
ほぼほぼ裸足のまま、何の歓迎ももらわぬまま出兵される。
つまり、そんだけ弟を助けた。
次に弟を助けるのは、結局、超敵になって、自分は坊主になろうとしてた。
弟が死にかけた。坊主になる意思は変わらないけど、なんでかって言うと、
足利幕府を作った後に坊主になろうとしてますからね。
意思は変わらない。とりあえず弟だけは助けようと。
彼が見てる世の中の中で、弟っていうのが一番プライオリティが高いんですよ。
本当にあの感じだったんでしょうね。
で、弟のことを考える時だけ、高橋って人間になるんですよね。
変な言い方ですけど。
弟はどうでもいいんですよね、彼にとって。
足利家も別に都合が継ぐまではどっちでもよかったし、
正義対勝負なんて夢にも思ったことがないし、
五大子天皇に反抗しようとも思ったことがないし、
全て彼の人生、そういう意味じゃ不本意な。
タカウジの成長
そうですね。
不本意に常に流れていってるんですよ。
不本意に流れていった挙句、その不本意な人生を彼に敷いていた
足利忠義っていう弟と、こうの物なおは、2人がいがみ合って死んじゃうわけじゃないですか。
そうすると、じゃあ高橋、僕は幸せが何なのかよく知らないんですけども、
世間一般的な幸せからすると、まあ幸せなのはなかったろうなっていう結論になりますよね。
やめてよって。俺、泣いたくもなかったのにさ、バック開かせて正義対勝になったけどさって。
それやった?お前らみんな死んじゃったじゃんって。
じゃあ俺がなんとかしなくちゃいけないじゃんっていうのもあり、
僕はその高橋の生き方をよく思う時に思い浮かべるのがヒモですね。
ヒモ。
女に食わせてもらってるヒモですね。
高橋はあの人のヒモなんですよ。
はい。
無能力者、生活できない1人では。
たまたま高橋をこれじゃいけない、こうして下さいって言って、
手取り足取り指導してくれる弟と一番の自由心がいて、
彼女たちがある種の女ですよ。
そうですね。
だから、その女たちに手取り足取り教えてもらって、
別に好きでもないんだけど、そっちの道歩んでたけども、
その女同士がいがみ合って殺し合いが始まるんですよ。
そうすると、もうそのいがみ合いを始めた時点で、
高橋はどうしようって。
このまま女がいなくなって、俺一人で生きなくちゃいけないんだ!
っていう感じになるじゃないですか。
そっから少しずつ、人間になるための努力をし始めてるんですよ。
なるほど。
じゃあ、なぜこんなに人間が天下取れてしまったのかってのは、
もうこの時代最大のヒモだったんですよね。
ヒモ人間。
ヒモっていうか、たりき本願、徹底して。
たりき本願で、自分から何の意思もない。
どうなりたいっていうのもないし、
彼が思ってんのは、ひたすら楽に生きたい。
そこはあったわけですよね。
今まで、柿根さんの作品、この歴史小説その前からもですけど、
やっぱり極限状態で自意識が覚醒する瞬間をテーマに、みたいなことを。
これはね、それから外れてます。
っていう感じで受けてきたんですけど、
今回の高橋は、明らかにそうすると、
覚醒ってほとんどしてねえじゃんって、
最後したけどしてないな、みたいに思ったんで、まさにそう。
これまでと対局とか、そもそもこれまでにない。
覚醒ってのは、問題意識がある意識では覚醒していくんですよ。
問題意識がない人には、覚醒なんかしないですよ。
そうすると、
すいません、僕も柿根さんの全部の本を、すいません、
完全に読み込んだわけじゃないんで、見落としあったの申し訳ないんですけど、
この本はそこに、やっぱり当てはまらないっておっしゃいましたけど、
他にもそういう本もあるの?
うん、あるにはありますね。
ただ今回、これがやっぱり当てはまらないっていうのは。
それもあって書くのが嫌だったんです。
苦労するのが目に見えてた。
やっぱりそうなんですね。
だから『陽炎の夏』を書きたかったんですよ。
なるほど。
そうか、じゃあやっぱりもうチャレンジだ。
チャレンジっていうか、ハードなもの。
チャレンジっていうか、
それは高橋と一緒で文芸春秋の前の担当者に、
ほぼほぼ半ば無理地にされて書いたってのは正直なところです。
俺結構恨みましたよ、最初。
ですよ。
ひんどいのにな、こんな小説。
じゃあ高橋は、そういう意味ではこれ、覚醒…
いや、なんか、うっかり言って、
最後やっぱりちょっと覚醒しかけたように見えましたけど、やっぱり覚醒してない?
高橋が覚醒したのは、
世の中の断りが何かってことは全く覚醒してないです。
ただ、2人がいなくなっちゃった。
でもバックできちゃったって。
じゃあどうしようって。
俺、結局体制側の人間として生きるしかないってことですよね。
その意味で、僕実は今までの小説の中で、
体制側についた人間を書いたこと一回もないんで。
ですよね。
絶えず反体制側にいて、
葛藤と社会の仕組みに対してアゲインストの風を吹きまくる人間ばっかり書いてきてるんで、
これはそういう意味では初めて書きましたね。
僕、さっき冒頭で、
すいません、いきなり最初読みたくなかったって失礼なこと言っちゃいましたけど、
僕、ワイルド・ソウルを昔、すごい偶然読んでて、
同じ垣根さんって最初気づかなくて、
めちゃくちゃほんと好きだったんですよ。
なので、今の話聞いてて、ワイルド・ソウルは全然真逆ですよ。
真逆?
そういう意味では共通点は、ワイルド・ソウルとっていうより、
極限状態自意識っていう意味では共通点ないなりに、
でも、垣根亮介がずっと書いてきた本の中では、
何の全てに提出するものがあるんですか?
というか、真逆ってことは軸があるってことですよ。
この中心点から考えれば、真逆だけども、
それは一緒の中に含まれることですから、
ここでこういう関係になってないんですね。
言ってる意味わかりますかね。
こういうねじれの方向性で交わらない関係ではなくて、
ちゃんと矢印みたいに力点があって、重心があって、
こっち側が反体制の話で、
こっち側に体制にごく自然なじんでもらう人の話がある。
それは実は要素としては一緒なんですよ。
なるほど。
でもあんまり書きたくなかったのは、僕の気分です。
それは好き嫌いです。
そういう意味では、大枠としては、
作家活動の秘訣
垣根亮介の作品としては外れてないってことですよね。
そう言えますけど、すごいですよね。
インタビューで書きたくなかった話を永遠とするって。
でも、書きたくないのは僕の気持ちであって、
それは出版社には関係ないんですよ。
読者にも関係ないし。
そこはだから、プロとして書かなくちゃなって。
今お話出ましたけど、ちょうど今デビューされてどのくらいですか?
24年くらいかな?
24年半世紀ですけど、
シンプルにですけど、やっぱりね、
賞を取っても消えてしまう人とか、たくさんいる中で、
ご自身でなかなか言うのは難しいかもしれないけど、
でもやっぱりなんでここまでやってこられたと思いますか?
自分がやりたいことしかやらなかったからです。
え?
シンプルにそれです。
でもそれは単にやりたいことしかやらなかったけど、
その中で書くって決めた後は、
手離れしながら苦しんでるけど。
やりたいことを決めるまでは自分の意思ですよ。
そこから自分の意思なくて、本当につらい作業になるんですよ。
基本的に最初の根本は自分がやりたいことしかやってないです。
例えばデビュー当時編集者に、
作家ってのは年2作、できれば4作書いた方がいいですよって言われたんですよ。
僕そんなことやりたくなかったんで、
1年に1作出したら十分だろう。
実際、一生懸命書くとは1年に1作しか書けなかったし、
今なんか2年に1作ぐらいになってる。
でも他作は別に僕のやりたいことではないんで、
それはもう突っ跳ねます。
やりたくないことは徹底してやらないし、
やりたいことだけをやる。
ただし、やる以上はプロとしてやります。
ってことですね。
じゃなかったら、何のためにやってるかわかんないですもん。
確かにそうですよね。
やりたいことをやらないと。
僕だっていつ消えるかわかんないんですよ、正直言って今だって。
今でも不安な時はありますか?
不安っていうか、物理的に不安ではないですけど、
そういう不安って僕あんま持ったことないんですよ。
どうなるかわからないですよ。
でも消える時は消えるだろうし、
それはそれでいいんじゃね?って言ったら、
自分が書きたいものを書かない間に消えるのは嫌ですよ。
けど書きたいものを変えたら別にいいかなっていうのは僕はあります。
人間としての自己疑問
そういうイメージは、実は商業的には僕プロでは相変わらずないんですよ。
他作した方がそれはいいんでしょうけどね。
けどそれは僕はしたくないっていうそれだけです。
あれば別に、もっと若い頃に不動産の部合の営業とかの仕事に就いてますよ。
結局それ経済倫理で動くってことですよね。
だったらそっちで僕いいですよ。
だから他の方のことを否定してるわけではない。
僕は柏根さんとしてはね、そういう気分で生きてる。
やりたいことしかやらないっていう。
でもそういう気持ちを持ってれば、
割と僕かけていくと思ってるんです、逆説的に。
みんなどっかで本当は最初やりたいことがあったはずなんですよ。
それを置き忘れて、いっぱい仕事を受けて、
疲弊していくと僕は思ってるんですよ。
僕はそっちの危険性が自分の中にかなり高いと思ってます。
頭も別に僕は大して良くない。
何のために描いてるかを忘れて描けなくなるんだと僕は思います。
いろんな生き方あるんですよ。
ただ僕は今の生き方でいいって感じです。
俺はそういう生き方が好きって感じですかね。
なんか今、自分なんか頭良くないけどって謙遜も言われましたけど、
前も何か言ったけど、自分は常に早見さんとの対談ですかね。
賢い人間でありたいみたいな。
それはあります。
ありますよね。
やっぱね、生きてる以上は今よりもマシな自分になりたいって気持ちはあって。
ある種、僕、小説のことを考えてるときって、
小説のことを考えてる以外のときって、
本当何も考えてない自分がいるんですよ。
天気いいな、車乗ってどっか行こうかなとか、
そんなことばっか考えてます。
ちょっと高渕っぽいですね。
そうです。
だから僕もね、ダメなんですよ、基本という意味ではすごく。
でも、唯一、小説のことを考えるときだけは、すごい一生懸命考えられるんですよ。
あとはね、小説のこと以外は本当に脳みそがツルツルの感じ?
言ってる意味わかりますかね。
わかりますけど、怒られそうですけど。
基本的にそのときの気分でしか僕は生きてないんで。
その中で、何も考えてないっておっしゃいましたけど、
さっきの賢いのと関係なくもしれないですけど、
なんか基本的に人間自分を疑わなくなったらダメでしょ?みたいなこともおっしゃう。
僕はいつもそれは思ってる。
そういう意味では、最近最も疑っている自分はどんな面でしょうね。
最近っていうか、昔から疑ってますから。
どの辺も何もないんですかね。
今、俺がこうやって喋ってることは、
なんか言ってるけど、本当にお前そう思ってんの?みたいな感じ。
言語って、口に出して初めて形作られるものじゃないですか。
人の気持ちって実情と言語にならないと、はっきり分からないんですよね。
確かに。
曖昧もごとして。
でも、その話の流れとかで出てくる言語もあるんで、
本当にそれが俺の気持ちかって言われると、
それも分からないという。
結局何も分からないっていう。
そうですね。
っていうことは常に意識しながら僕は喋ってますよね。
昔、僕、生理学・理心理学っていう授業を大学の時に受けてたんですが、
その時に、ある先生が講義の時に言ってたのが、
人は悲しいから泣くんじゃない。
泣いた時、初めて悲しいと思うんだ。
ああ、その通りだ。逆だ逆。
言葉に出してないうちは、その感情は確定してない。
でも、言葉に出すことによって確定していく。
ただ、その出し方。
たまには強気で言う時もあるだろうし、
はったりで言う時もあるだろうし、
じゃあ、それがお前の本心かって聞かれたら、
その言葉はお前を形作ってないよね、正確にはね。
最近の読書体験
っていう言い方もできるわけじゃないですか。
例えば、こういう。
今、YouTubeで撮影されてて、こんなことを僕喋ってますよね。
じゃあ、これを普段の友達とやるかさ、絶対やんないですよね。
これはあくまでも、そういう役割として喋ってるだけで、
その役割においては、おそらくそれなりのことを言ってるでしょう。
けども、それも一部の本音ではあるけども、
また別の本音もあるよね、というようなこと。
どんどんわけわからない話になってますよね。
深い講義みたいになってますね。
ここで柿根さんに無理を言って、
今まで、過去も私の人生の10冊とか、
いろいろ紹介していただきましたけど、
そこに出てないものをということで、
直前にちょっと最近読んだ本がオススメかわかりませんけど、
お願いしましたけど、どんな本を紹介していただけるんでしょうか?
結構困ったんですよね。
今まで紹介したことがない本って言われたんで、
こういう白い牙っていう、ジャック・ロンドンっていう人がいて、
これ結構名作って言われてて。
これをなんで選んだかっていうと、
10年に1冊ぐらい読み返す本って僕にもあるんですよ。
そこの中の1つだったからです。
それがたまたま、前に出した本の中に入ってなかった?
この白い牙は。
ちょうどなんですけど、別に合わせたわけじゃなくて、
僕、ジャック・ロンドンそんな読めてないんですけど、
マーティン・イデンと、
どん底の人々を今ちょっと読んでる途中で。
割と僕、ノンフィクションが好きなんで、
こっちは読んでたんですけど、
意外とというか普通に、
こっちのがね、ど真ん中なのかもしれないんですけど。
ロンドン、読んだことない方もたくさんいると思うんで、
ネタをっていうわけじゃないんですけど、
すいません、あえてまた理屈になっちゃいますけど、
どういうとこが10年に1冊読み返すっていうと、なかなか。
ジャック・ロンドンって、もう一つ野生の呼び声かな?
どっちでもいいんですよ。
基本一緒なんで、話が逆順になってるだけ。
この人の本って、実を言うと、
動きと感情しか書いてないんですよ。
観念がほぼないんですよ。
なのに、読み終わってみると、
すごい精神性、強い精神性を感じるんですよ。
そういう小説って意外とないんですよ。
しかもそれが面白い。
本の中に価値観のずれとか、心の葛藤ってないんですよ。
ほぼほぼ。
全て主人公が行動して、感じて怒ったり争ったりするっていう、
すごい属性レベルの話で徹底してるんですね。
けども、読み終わった後とか、全編を通して感じる印象っていうのは、
このジャック・ロンドンっていう作者の精神性です。
そういう本ってなかなかないので。
最初読んだ時は、ヘミグレーの老人海みたいな印象を受けたんですけど、
やっぱりちょっとまた違う。
ジャック・ロンドンの行動による物語の関連性
違うと思いますね。
この人の人生自体が、理屈で動いてなくて、行動と欲で動いてたんですね、一生。
ジャック・ロンドンって、結構苦労していろんな悪さをして、
カリフォルニアでゴールドラッシュになったら、
金を掘りに行ったり、
ナイシーは捕鯨船に乗って日本に来たりしてるんですよ。
行動で全ての彼の人生、その行動を見ることによって、
ジャック・ロンドンはどういう人だったかってわかるんですね。
そのジャック・ロンドンの個人的な話って、僕、読んだことはないです。
ジャック・ロンドンが何を考えたかも知りません。
ただ、行動を通してみると、まぎれもなくジャック・ロンドンの生き方を知ってる。
それが小説に落ちてくると、
関連なんか1個も書いてないのに、
すごい関連的な小説になってるっていう、
すごいっていうか、変?
そこが、ジャック・ロンドンっていう人の得意さだと思います。
精神的なことの描写って1回もないのに、
なぜか読んでみると、この書き手の精神性をすごい感じる。
大神と犬、犬を描いてるだけですよね。
犬の視点でしか物語が進んでいかないんで、
理屈もヘッタクレもないんですよ。
頭に来たとか、飢えたとか、
そういう話がずっと延々と続くわけじゃないですか。
なのに、読み終わってみると、
すごい精神世界の話なんですね、ある種の。
ある種の精神世界を、ある面から切り取った話になってるんですね。
感じられる精神世界の描写
そういう小説はなかなかないので、
そういう小説っていいよなって、僕もたまに思う時があるんですね。
理屈を書いてても結局、精神性の欠片も感じられない話とか物語っていっぱいあるんですよ。
そうじゃなくて、理屈を一切書かずに、
何でか終わってみると、すごいその人の精神性を感じる本って、なかなかない。
いつもインタビューをご視聴いただいてありがとうございます。
この度スタートしたメンバーシップでは、
各界のトップランナーから戦争体験者に至るまで、
2000人以上にインタビューしてきた僕が、
国内外の取材、そして旅の中で見つけた人生をアップデートするコンテンツをお届けしていきたいと思います。
ここでしか聞けない特別インタビューや、基礎トークにもアクセスしていただけます。
随時、これは面白い、これはいいんじゃないかというコンテンツもアップデートしていきますので、
そちらも含めてどうか、今後の展開を楽しみにしていただけたらと思います。
なお、いただいた皆様からのメンバーシップの会費は、
インタビューシリーズの制作費だったり、国内外のインタビューに伴う交通費、宿泊費、
その他取材の諸々の活動経費に使わせていただきたいと思っています。
最後に、なぜ僕が無料でインタビューを配信し続けるのか、少しだけお話しさせてください。
この一番の理由は、僕自身が人の話によって、うつや幾度の困難から救われてきたからです。
そして何より、国内外のたくさんの視聴者の方から、これまで人生が変わりました、
毎日進む勇気をもらいました、救われましたという声をいただき続けてきたからに他になりません。
この声は、世界がコロナ禍に見舞われた2020年頃から一層増えたように思います。
これは本当にありがたいことです。
ただ、同時にそれだけ心身ともに疲弊したり、不安を抱えたりしている方が増えていることに関わらない、
その裏返しであると僕は強く感じています。
正直に言えば、過去僕自身も15年以上前に起業して以来、
最大のピンチといっても過言ではない劇をこの数年送り続けてきました。
でも、こんな時だからこそ森に入ることなく、インスピレーションと学びにあふれる、
まだ見ぬインタビューを送り続けることが、インタビュアーとしての自分の使命なのではないかと強く感じています。
世界がますます混迷を極め、先の見えない時代だからこそ、僕はインタビューの力を信じています。
これまでのようにトップランナーや戦争体験者の方への取材はもちろん、
今後は僕たちと同じ姿勢の人、普通の人の声に耳を傾けたり、
試合もすると打ち抜きになってしまう今こそ、海外でのインタビューに力を入れていきたいと思っています。
そして彼らの一つ一つの声を音声や映像だけでなく、本としてもしっかりと残していきたい、そう考えています。
そんな思いを共感してくださる方が、このメンバーシップの一員になってくださったら、
これほど心強く、そして嬉しいことはありません。
ぜひメンバーシップの方でも皆様とお耳にかかるのを楽しみにしています。
以上、早貝大平でした。
20:30

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