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2024-05-20 24:04

【INTERVIEW#242】ものを創るうえで一番大切なこと│鈴木健次郎さん(テーラー)

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【ものを創るうえで一番大切なこと】
フランス人の教養の深さを肌で体感した健次郎さん。
服作りをしながら、パリでビジネスを続ける上で乗り越えなければならない多くの壁に直面しました。20年にわたる闘いを経験した健次郎さんに、ものを創るうえで一番大切なことを伺いました。キーワードは、「審美眼」と「環境のクリエーション」。
(2024年4月取材)

【鈴木健次郎】すずき・けんじろう(テーラー/タイユール)
1976年東京生まれ。メンズファッション専門学校を卒業後、某デザイナーの下でモデリスト、クチュリエとして勤務。

▼▼▼
2003年:渡仏。ドイツとの国境の街、Strasbourgにてフランス語習得の後、パリのモデリスト養成学校 Académie Internationale de Coupe de Parisを首席で卒業。
2004年:フランス政府認定モデリスト技術者レベル4を取得。
2004年:パリの名店ARNYS,ブリュッセルNo.1テーラー Pierre DEGANG , LANVIN PARISでの研修を経て、 パリの老舗タイユールCAMPS De Luca にて仕立て職人として研鑽を積む。
2007年:フランスNo.1 タイユール Francesco SMALTO にて技術責任者であるカッターとして招聘。
2009年:Francesco SMALTO にてチーフカッターに就任。日本人でチーフカッターに就任したのは鈴木健次郎が初めてのこと。
2012年:フランスで自身の法人を立ち上げる。
2013年:パリ8区に自身のテーラーショップをオープン。
2019年:パリ8区、フランス大統領府から徒歩数分の場所に2店舗目をオープン。日本人がパリでタイユールとして独立するのは過去に例がない。
2023年:20年住んだパリを離れ日本に帰国。東京都内にパリの空気を感じる、プライベートサロンをスタートさせる。
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お客様と真摯に向き合い、決して手を抜く事なく、最上のスーツを仕立てることを指針にしている。
東京を拠点にしながら年数回フランスに行き、審美眼の高いパリジャンの要求に応え続けている。ミリ単位で顧客の身体に合わせていく手法は、テーラーの枠を超えオートクチュールの服作りと言える。

・関連情報
2013年NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』出演。
2013年『夢を叶えるパリのタイユール鈴木健次郎』(著:長谷川喜美、写真武田正彦/万来舎)

・Web媒体:
Instagram
KENJIRO SUZUKI’S EC SHOP
Web Site
STAND FM

第一回 欧州でトップテーラーになるということ
第二回 フランスのリアル
第三回 ものを創るうえで一番大切なこと
第四回 日本人が世界で勝負するために絶対に必要なこと
再生リスト

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▼【聞き手・早川洋平プロフィール】
はやかわ・ようへい/1980年横浜生まれ。新聞記者等を経て2008年キクタス株式会社設立。羽生結弦、コシノジュンコ、髙田賢三など世界で活躍する著名人、経営者、スポーツ選手等ジャンルを超えて対談。13年からは「世界を生きる人」に現地インタビューするオーディオマガジン『コスモポリタン』を創刊。 海外での取材を本格化するいっぽうで、戦争体験者の肉声を世界へ発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。 公共機関・企業・作家などのパーソナルメディアのプロデュースも手がけ、キクタス配信全番組のダウンロード数は毎月約200万回。累計は3億回を超える。『We are Netflix Podcast@Tokyo』『横浜美術館「ラジオ美術館」』『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』などプロデュース多数。近年はユニクロやネスレ、P&GなどのCMのインタビュアーとしても活躍。 外国人から見た日本を聞く番組『What does Japan mean to you?』で英語での発信もしている。

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▼関連キーワード
#鈴木健次郎#テーラー#タイユール

▼目次
審美眼の本質
生まれ変わっても忘れたくない〇〇
パリで闘い続けた20年と現在
健次郎さんの息抜き
もし1ヶ月の休みがあったら?
価値ある財産
メンバーシップ随時募集中

00:01
──以前から健次さんが、やっぱりその美しさとか神秘感とか、そういうことをおっしゃっていたので、やっぱりそういうものを持っているか感じられるかっていうのが、すなわちその人の境遇を表すっていうのはちょっと。
鈴木健次さん──そうなんですよ。だから神秘感っていうのはすごい大事で、ほとんどそれが全部だと思いますね。それは着こなしに関しても神秘感が大事。何を美しいと思うかっていうこともものすごい大事ですよね。
パリのお客様の家に行くと、アート作品だらけなんですよ。この間もあるお客様の家で、その場でちょっとそこで布を切って、仮縫いを用意してっていうことを一日でやってたんですけど。サロンに行くと、いわゆる日本で今ですよね。行くともう全部アートなんですよ。
いろいろアートが好きな方だから紹介してくれて、これは誰々の作品だとか言ってくれるんですけど。これはルーブルにあるのと同じだ。世界に3個しかないみたいな。
そういうものがいっぱいあったりして、面白い、すごいなと思って拝見してたりするんですけど。僕が驚くのは、ルーフルにあるものが同じものがあるってことはすごいんですけど。それよりも、すごい高価な何千万もするものを、この人自分の目と経験で買ってるんですよね。そこに置いてるんですよ。
神秘感とか、これが美しいから欲しいっていうデシジョンですよね。決断っていうのができるってことが大事なんですよね。それがやっぱりフランス人の教養の深さにつながってるんじゃないかなと思う。
そういう意味ではケンジロウさんがやっぱり神秘感が全てっておっしゃいましたけど。その中で何でしょう。逆に日本に帰ってきて、日本が別にフランスに優れてる劣ってるっていう一概には言えませんけど。
やっぱり神秘感の国で20年以上やってきたケンジロウさんがすると、戻ってくると、常に神秘感に晒される国にいたっていうところから離れることによって、ご自身の今のある意味アイデンティティになるような神秘感が衰えるっていうのもあれですけど。
そういったものに対する恐れとか、もしくはもうかっこたるものが多分あって、しかも定期的にももちろんフランスに行ってらっしゃいますし、その辺の神秘感の保ち方、さらに磨き上げ方みたいな、今どんな感じで考えてらっしゃるんですかね。
結構それって、パリに留学してた日本人とかって思う人多いと思うんです。あっちで勉強してきたから、あっちで自分は名声を得てきた。だからそれが自分は失うんじゃないかみたいな、そういう恐怖を持ってる人は、クリエイターっていう人たちではいると思うんですよ。
ただ自分はそういうのは何もないかなと思いますね。神秘感ってやっぱり自分の中のものだから、それが減るとかっていうのはない。むしろもっと生きていく中でどんどんどんどん増していくと思いますね。何が自分が好きなのか、何を美しいと思うのかっていうことはやっぱりもっと敏感になる。
あとまあこっちで戻ってきて思ったのは、私東京生まれて、武蔵野市生まれなんですけど、東京も好きだし日本はすごい好きな国なんですけど、きれいじゃないんですよね。街中がね。
03:04
色の統一感はない。ビルの形は様々。看板は好きな色で、好きな電色がかかってるじゃないですか。だからきれいじゃないんですよ。まあいわゆるアジアっぽいわけですよ。この物件決めるにあたっても、そういった心の葛藤は大きかったんですよ。
だからこそ、店内をどういう風にデコレーションしていくかっていうことは、ものすごい前よりも考えるんですよ。どうやったら美しくできるのかっていうお金あんまりかけないで。この店ほとんど、自分と子供と妻でDIYして、壁のこういうデコレーションとか全部自分で作ったんですよ。
そうなんですね。だから何が美しいんですかっていうことで、あなたはどうできるんですかっていうことを、パリにいるとある意味店も1908年とかに建てられた建物で、まあ110年20年経ってる。ほっといても格好がいいわけですよ。手を大して入れなくてもそれなりに見える。だからある意味そんなに工夫しなくていいんです。
でも日本だとやっぱりすごく工夫して、どう見せたらいいんだろう。何が自分が綺麗だと思うんだろうみたいなのは、もっとより考えるようになったかなと思いますね。
ケンジロウさん今、おいくつになられました? ケンジロウ 47歳くらいかなと思います。
僕も43でね、10年前のお互い30だったんですけど。まだまだね、人生折り返しちょっとぐらいかなってところだと思うんですけど。そんなケンジロウさんにですね、もし生まれ変わったとしたら。
生まれ変わっても大切にしたいものをですね、僕が6つあげますので、その中から一つ選ぶとしたら何を選びますかっていうちょっと質問なんですけど。想像していただきたいのが、本、音楽の曲、食べ物、映画、場所、記憶。この6つの中で生まれ変わってもこれだけは忘れたくないなっていうものを一つあげるとしたら何でしょう。
記憶ですね。 もう即答しましたね。どんな記憶でしょう。
ケンジロウ やっぱりそのパリで20年やってた時のフランス人の友達たちとの記憶、関係とか。そういったことが大事かなと思いますね。
今その記憶って言ったときにどんな記憶を思い浮かびますけど。
ケンジロウ 私、友達っていうのが、パリでもあんまり日本人コミュニティにいなかったんで、日本人の友達も多少いますけど、フランス人の方が多いんですよ。彼らとはね、やっぱり深い信頼関係があるっていうのが大きいかな。
いろんなお友達いらっしゃると思いますけど、仕事と直接なのか、仕事を介してですけど一緒にガッツリ仕事してたわけじゃないみたいな。
ケンジロウ 仕事と関係ない友達もいますし、仕事を介して仲良いイタリア人の友達もいますし、彼とも言葉はフランス語ですけど、彼はイタリア人で。
そういった人たちとの記憶。あの街でお世話になった、助けてくれたフランス人の年配の方だとか、師匠だったり、自分が修行したところのオーナーだったり。
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27歳で討伐して47歳で帰ってきてなると、一番自分のエネルギー全部注いで苦労したのも、戦ったのもその年齢なんですよね。だから討伐する前の自分よりも、いたその20年間の方が何倍も濃いんですよね。だからそういった記憶ですかね。
ご友人の話もありましたけど、日本に自己愛しようっていう時に、そのご友人とか、あと奥様もですけど、周りの方達はどういう反応というかされたんでしょうかね。
自分のそういう友達たちは残念だけど、絶対その方がいいよって。それはさっきにお話しさせていただいた通り、街全体がエネルギーもあんまりないし、ここにいても良くない。フランス人である人たち、彼らにとっても日本に行けるチャンスがあるなら、自分だって日本に移住するっていうぐらい、あそこで経済やってても何にもならないって思ってる。だからそういう友達たちも応援するよみたいな感じですかね。
奥様はいかがでしたか。
奥様はやっぱり子供のことを一番見ていますので、子供がちょうど小学校5年と2年で編入ができたんですけど、そのタイミングがすごい大事だったんですよね。そういった意味では、すごく妻も良かったっていう風に言ってますね。そのタイミングを逃すと、大学まで進学まで戻れないんですよ。
中学受験の前に日本の学校に編入できたのは大きいっていう風に、それもあってすごく良かったって思ってる感じですね。
そういうタイミングだったわけですね、全てがね。これでもさっきね、20年戦うっていうね、キーワードが出てきましたし、やっぱりケンジローさんって言うと、僕も良い意味でもですけど、常に戦ってるっていうイメージがあったんですけど、今も日々いろんなことがあると思うんですけど、そういう意味ではなんでしょう、やっぱり帰ってきてからキーワード、戦いっていうものからちょっと離れた感じですか?どうですか?
戦い。フランスの戦いと日本にいる今とは全然違いすぎるぐらい違いますね。フランスでの戦いっていうのは何種類かってですね、まず外国人だから最初学生なんですよ。学生が1個目の戦いとしては、労働ビザっていうものを取らないと、いわゆる雇ってもらわないと働けない。働けないイコール日本に帰るしかない。だからそれが1個目の戦いで、まずビザをどう取るか。
そのために私なんかは、いわゆる昔あった電話帳、あれのテイラーってところの住所を全部移して、すべてのパリ中のテイラーを回って自己プレゼンをして、自分を雇ってくれ、俺はこれだけできるってことをやった。それが1つ目ですよね。
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そこからビザを取って実際に修行して技術を上げていくっていう戦い。あとはフランス人と対等にやっていかなきゃいけないっていうことで語学力を上げ続けるっていうことの、それも私結局パーソナルな語学の先生も含めるとずっと続けてましたからね。
だから18年くらいそれは常に上げていかなきゃいけないっていう意味では、語学のそういった勉強を続けなきゃいけない。すべてですね、それ以外の経営のもそうなんですけど、経営っていう戦いもあって。で、フランスでやっぱり商売していくってことは、なんか日本と全然違うのはですね、私の職業の場合はですけど、テイラーっていうのはものづくり。ものづくりっていうのはベースはテクニックなんですよね。
テクニックがないと布も着れない。だから技術を知っていることが大前提。当たり前のことなんですけど、パリでその商売をやっていく以上、それ以外のことがあまりにも多いんです。つまりコンサルタントを入れなきゃいけない。フランスの法律をもう嫌ってほど勉強しないといけない。そのフランス語の法律用語もコンサルタントと話す専門用語も知らなきゃいけない。
で、彼らと話していると、どのようにして、私のスーツって値段が高額なんですけど、パリ時代、今もですけど、1着約100万円なんですよ。で、その1着約100万円のスーツを買ってくれるお客様って、パリにもそんな多くない。その人たちに新たなお客様を発掘するためにどうしたらいいのかっていうことを、例えば毎週いろんな画廊でですね、あるアーティストの作品の展示が始まるから、よかったら来てくださいってインビデーションが届く。
そういうところに行って、シャンパンを飲んで、カクテルパーティーみたいになっているところで、自分の名刺を配るみたいなことだって必要。でも、それってものづくりの戦いとは全然違うんですよ。だから、ものづくり以外の部分での戦いが嫌ってほどあるんですよ。
それでいて、例えば、向こうで裁判とかそういったこととか、いろんな裁判とかも体験しているから、裁判所の裁判官が言っていることも経営的に理解できなきゃいけないし、即答できなきゃいけないんです。何月何日に納品したこのお客さんの金額はどういうふうな支払いタイムになっていますか?説明してください。無視続きっていきなり言われる。それを日本だったら、いや、税理士に一任してるんでわかりません。これは恥なんですよ。絶対に言えないんですよ、向こうで。
それを言うことで、弁護士から、あなた経営者として本当に抜けてるから、それは言っちゃいけないって言われる。何でかっていうと、向こうで経営をするってことは、いわゆるフランスのエリートの人たちが通うグランゼコールって言われる、いわゆる日本で言う東大とか京大とかそういったトップの学校ですね。競争率がとんでもない高いところ。
あの経営学を学んだ人たちが、自分で会社を起こすっていうのが一般的なんです。だから、お父さんが大工だとか、お父さんが肉屋さんだとか、そういったアルティザンな職業で、自分も新しいことをやりたいから、自分が会社を起こすんだ。お父さんの会社は別で、自分はゼロから起こすんだみたいな人はほとんどいないんですよ。
経営者になる人っていうのは、それなりの経営学を自分で勉強した人がわかった上でやるんです。だから、最初からバランスシートとかそういったものが読めるんですよ。だから、日本と違くて、そういった基礎的な教養がある人、教育レベルがある人たちがやるので、裁判所とかの人たちと話した時に、当然わかってて当たり前ですよねって話になってくる。
12:18
だから、そのことも勉強しなきゃいけない。だから、ものづくり以外の部分での人とのコミュニケーションだとか、アッパーの人が使うフランス語と、職人と使うフランス語だと全然違うんですよ。職人用語でお客さんと話したら、話にならないわけですよね。そんなところに誰も頼まないんですよ。100万円のスーツをね。だから、そういったことも全て日々戦いなんですよ。それって、ものすごいストレスなんですよ。
- 一つでも大変ですからね。- すごい大変なんですよ。日本人の人を雇うとしても、あっちで働くためにはビザが必要だから、そのビザの申請。それ、妻が主にやってくれましたけど。それをやるために、いろんなことの書類を用意して、弁護士とやってとか、いろんなことですよ。
だから、日本でビジネスをするので、必要ないというか、やらないようなことを嫌ってことをやってきた。20年。そういったことが戦いっていうことであれば、今やる必要ないんですよね。ものづくりにもっと集中できるんですよね。結局、精神状態が安定してると、やっぱりさらに良いものが作れる。そういった意味では、すごくシンプルだし、良い環境だなと思う感じですかね。
そういう意味では、今おっしゃったように、ものづくり以外、以前のところでの戦いから、ある意味、ゼロじゃないにしてもほぼ解放されて、ものづくりに純粋に、あえて戦うという言葉を使うのであれば、そこで戦えてるってことですよね。
で、それってすごい大事で、早川さんがインタビューされてるロンドンでね、やられてるジュエリーの直さん。
うつみさんも、私、友人で、彼とも何度も話してますけど、彼も前に言ってたのは、やっぱり経営者である以上、いろんな今言ったようなですね、やらなきゃいけないことが山のようにある。プラス、外国でやってると、さらにそれが多くなる。
そうなると、彼もクリエイターだから、何かものをクリエイションするわけですよね。ものづくりするわけですよね。クリエイトする時間を、自分でクリエイトしないと作れないんですよ。日本にいる経営者もそうなんですけど、さらにそれが、もっと細かくなるっていうことなんですよね。
もう本当、まさにですよね。僕もまさにね、けんじろうさん、なおさん、それぞれお付き合いさせていただきますけど、本当に最初にロンドンに行った時に、彼が言った名言が本当に僕の財の目でもあり、そのクリエイターにとって、クリエイティブな環境をクリエイトすることが最も大事って、今まさにそのことなんですよね。
そうなんですよ。それが30代とかだと、なんとかがむしゃらにやってるから、やり続けるんですけど、そのうち果たしてこれやる必要あんのかっていう話になってくる。疲れるし、意味がない部分も多い。
なんかいろいろ考えさせられますね。
そうなんですよ。国に払うお金が多いって言ったのも、例えば税理士さん一つとっても、日本だったら月に小さい会社であれば3万円払えばいいところを、向こうだったら16万なんですね。税理士一つですよ。
プラスコンサルタントに払うのが同額ですよね。それで言って弁護士が同額ですよね。金額的費用が全然違う。日本が3万円だったら向こうは36万ですよ、月に。
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そういった形で頼むものも多い、払うものも多い。でもこれ、じゃあ全部一人にして投げれば、あと全部やってくれて楽なのかっていうことじゃなくて、頼んでも関わってることが多いから、話し合いも多いし、解決しなきゃいけない問題も多いから、すごい時間を取られるんですよ。お金も時間もものすごい取られるっていう。
そうですよね。
大変なんですよね。
一概に比較できるかわかりませんけど、やっぱり今の話し合いを語ってると思うのは、それこそパリで亡くなってしまいましたけど、高田健三さんにちょうど6年間にインタビューさせていただいた時に、やっぱり最後、少し寂しげに健三のブランドをルイ・ビトンのブランドに売った時に、
やっぱり自分は経営があんまり得意じゃなかったから、いろんなナンバー2の人を入れたんだけど、その辺がうまくいかずにっていうところもあったと思う。
その点、彼の親友である腰野純子さん、純子先生もいろいろお話を伺いましたけども、純子先生の場合はご主人が社長をやられて、今も息子さんがかなりやってらっしゃると思うんですけど。
ものづくりというか、クリエイターにとってやっぱり経営っていうのはね、僕も端くれですけど、二律背反というかね、本当に両立っていうのは、ましてやそれがおっしゃる通り、海外だと本当に難しいですよね。
難しいですね。
その中でですね、かなり柔らかい話をちょっと伺いたいんですけど、ケンジロウさんといえばね、今戦いっていう言葉もありましたけど、常に本当にプロフェッショナルとしてストイックにね、追い込んで追い込んでっていうイメージがあると思いますけど。
そうは言っても、ケンジロウさんも人間ですので。特に今、日本帰ってきてからは、また少しね、そういう意味では少し降りたかもしれませんけど、どんな時間習慣がケンジロウさんにとって単純に言って息抜きというか、リラックスとか、どうやって保ってるのかなっていう。
そうですね。年齢的にも10年前のね、とんでもない働き方っていうのはできないんで、リズムよくボロボロにしないくらいでやっぱりものづくりしていかないと、精神的には強くても、肉体的にやっぱり疲れが溜まっていくっていうのもあるんで、そういうのを大事にしたりしてるとか、あとは趣味とかがカメラだったり。
そうですよね。インスタグラムにかなりアップされてますよね。
そうですね。そういうのだったり、そういうものに時間を使ったりとかして、なんか長いマラソンみたいな感じっていうのがあるかなと思いますね。
長いマラソン。
短距離を今までは全力で走り抜けてたんですけど、ボロボロになってくるんですよ。それはもうやっぱりやりたくないなっていうのはありますね。
それはやっぱり、でも日本に帰ってきたからある程度そういうふうにシフトしつつある。
そうですね。そうならないともう無理ってとこまでやり続けたっていう感じですかね。
この服作りは当然続けてらっしゃいますし、このお店もね、営業時間とかもあると思うんで、ある程度規則的だと思うんですけど、お仕事離れる時間というか。
どうなんでしょう?フランスの時はもうその境目すら多分なかったのかなと思うんですけど、今は割と離れると心に余白というか、仕事以外というか、なんかそういう、ちょっと抽象的ですけど、精神的なものってあるんですか?
それから常に、まあいい意味でもですけど、やっぱり仕事のことは考えてる?
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そうですね。仕事のことはもちろん考えてますけど、まあもっと楽しくやっぱり服作りができるように、追い込まないようにしてるって感じはありますかね。
僕のイメージだといい意味ですけど、常にね、服、そしてお客様。どこまでやっぱりね、さっきもおっしゃってたように、技術もそうですし、ソースピタリティもっていうところで追求してるイメージがあるんですけど、
その中でも今、楽しむって言葉が出てきましたけど、日々、人生、日常があるわけで、例えばご家族との時間だったり、カメラの時間だったり、服作り以外の時間を、物理的にか精神的にかわかんないですけど、なんか意図的に増やしてる、増やそうとしてるみたいなのっていうのはあるんですか?
そうですね。多少あったり。あと子供がやっぱり日常的に、学校がどうだったとか、そういうことを話したりだとか、そういう時間が取れるようになったっていうのは大きいかなと思いますね。
ここでちょっとまた、一問一答的な感じで脈絡のない質問をいくつかしていきますけど、ケンジロウさんが、もし1ヶ月休みが取れたら何したいですか?
1ヶ月休みですか?
もう何の制約もなく、ご家族とかも関係なく。
1ヶ月休みが取れたら、そうですね。ものづくりのワークショップに行きたいですね。
やっぱりものづくりは切れないわけですね。
そうですね。例えば、革小物とかカバンとかを作ったりとか、靴の革ですよね。ああいうものを作るワークショップってあるじゃないですか。
あれに行きたいんですけど、行けないんですよね。時間がないから。そういうことをやりたい。
でもそうすると、やっぱりどこまでもね、ものを作りたい方なんだなって思うので、もし人生がね、今もう18歳とか戻ったら、
そして、服づくり以外だったら、やっぱりまたものを作りたいとか、なるのかな。
そうですね。ものを作るか、もっとアートを勉強したいですよね。
自分が作り手でいるってことは、まあそれはいいんですけど、別に作り手じゃなくても、アートっていうものをもっと知りたいっていうか、
勉強できる環境が、若い時そんなになかったんで、それも楽しそうだなと思いますね。
あとはですね、自分でやりたいことの一つあるとしたらね、ピアノですね。ピアノを習いたい。
それが一番やりたいことかもしれない。
そうですか。そうですね。なんか幼い頃ちょっとやってたとかあるんですか?
やったことないですね。ただクラシックの音楽は好きなんで、バッハが好きなんですけど、それを弾けるようになりたい。
それが純粋な夢かもしれないですね。
じゃあこれちょっとゴルドベルク編奏曲とか。
まあそういうのもそうだし、別にそんな難しくないと思うんですけど、楽器ってほとんど興味ないんですけど、
ピアノだけは好きなんですよ、音が。だからそれを演奏できたら、どんなに豊かだろうと思いますね。
なるほどね。あえて抽象的に伺いますけど、ケンジロウさんにとって最も価値ある財産って言うと何でしょう?
家族って言うとなんか一般的すぎるかもしれないですけど、当たり前の話であって、まあ親があって自分がいるんですが、
で、自分があって子供がいるんですよね。それがやっぱりすごく大事なことなんじゃないかなって思いますね。
21:03
だからまあ、今は私父親は他界してて、まあ母親は生きてるんですけど、まあ両親への感謝とか、
まあ自分の子供に彼らが生まれたのがフランスって場所なんで、そのアイデンティティがこういうことで大事だよっていうことを伝えていったりだとか、
まあそういう部分での大事にしているっていうのはそこかなと思いますね。
いつもインタビューをご視聴いただいてありがとうございます。
この度スタートしたメンバーシップでは各界のトップランナーから戦争体験者に至るまで2000人以上にインタビューしてきた僕が、
国内外の取材、そして旅の中で見つけた人生をアップデートするコンテンツをお届けしていきたいと思います。
ここでしか聞けない特別インタビューや基礎トークにもアクセスしていただけます。
随時、これは面白い、これはいいんじゃないかっていうコンテンツもアップデートしていきますので、
そちらも含めてどうか今後の展開を楽しみにしていただけたらと思います。
なおいただいた皆様からのメンバーシップの会費はインタビューシリーズの制作費だったり、
国内外のインタビューに伴う交通費、宿泊費、その他取材の諸々の活動経費に使わせていただきたいと思います。
最後になぜ僕が無料でインタビューを配信し続けるのか少しだけお話しさせてください。
この一番の理由は僕自身が人の話によってうつや幾度の困難から救われてきたからです。
そして何より国内外のたくさんの視聴者の方からこれまで人生が変わりました。
毎日進む勇気をもらいました、救われましたという声をいただき続けてきたからには他になりません。
この声は世界がコロナ禍に見舞われた2020年頃から一層増えたように思います。
これは本当にありがたいことです。
ただ同時にそれだけ心身共に疲弊したり不安を抱えたりしている方が増えていることに関わらない、その裏返しであると僕は強く感じています。
正直に言えば過去に僕自身も15年以上前に起業して以来最大のピンチといっても過言ではない劇をこの数年送り続けてきました。
でもこんな時だからこそ守りに入ることなくインスピレーションと学びにあふれるまだ見ぬインタビューを送り続けることがインタビュアーとしての自分の使命なのではないかと強く感じています。
世界がますます混迷を極め先の見えない時代だからこそ僕はインタビューの力を信じています。
これまでのようにトップランナーや戦争体験者の方への取材はもちろん今後は僕たちと同じ姿勢の人普通の人の声に耳を傾けたりややもすると打ち抜きになってしまう今こそ海外でのインタビューに力を入れていきたいと思っています。
そして彼らの一つ一つの声を音声や映像だけでなく本としてもしっかりと残していきたいそう考えています。
そんな思い共感してくださる方がメンバーシップの一員になってくださったらこれほど心強くそして嬉しいことはありません。
ぜひメンバーシップの方でも皆様とお目にお耳にかかるのを楽しみにしています。
以上早貝大平でした。
24:04

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