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2024-03-11 13:37

【INTERVIEW#232】ニーズに合わせて書かない│吉本ばななさん(小説家)

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【ニーズに合わせて書かない】
かつて自分が経験した苦しみに共感する人々へ向けて執筆していた吉本ばななさんは、最新作『小説家としての生き方 100箇条』で、「ニーズのないものを書かない。」「しかし決してニーズに合わせて書かない。」と語っています。
時代や環境が変わっても、彼女がどのようにニーズを捉え、創作を追求しているのか?ばななさんの真意に迫ります。
(2024年1月取材)

【吉本ばなな】よしもと・ばなな
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。
87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。
著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。
noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。
『小説家としての生き方 100箇条』(吉本ばなな/NORTH VILLAGE)
note(どくだみちゃん と ふしばな)

第一回 小説家としての生き方
第二回 ニーズに合わせて書かない
(3/18公開)第三回 私がnoteを選んだ理由
(3/25公開)第四回 なぜ一線に立ち続けられるのか
再生リスト

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▼【聞き手・早川洋平プロフィール】
はやかわ・ようへい/1980年横浜生まれ。新聞記者等を経て2008年キクタス株式会社設立。羽生結弦、コシノジュンコ、髙田賢三など世界で活躍する著名人、経営者、スポーツ選手等ジャンルを超えて対談。13年からは「世界を生きる人」に現地インタビューするオーディオマガジン『コスモポリタン』を創刊。 海外での取材を本格化するいっぽうで、戦争体験者の肉声を世界へ発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。 公共機関・企業・作家などのパーソナルメディアのプロデュースも手がけ、キクタス配信全番組のダウンロード数は毎月約200万回。累計は3億回を超える。『We are Netflix Podcast@Tokyo』『横浜美術館「ラジオ美術館」』『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』などプロデュース多数。近年はユニクロやネスレ、P&GなどのCMのインタビュアーとしても活躍。 外国人から見た日本を聞く番組『What does Japan mean to you?』で英語での発信もしている。

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#吉本ばなな#小説家としての生き方100箇条

▼目次
ふだん飲む水
執筆スタイル 見えないものを見抜く方法
「ニーズ」と「読者」の変化
メルマガの読者
小説家というよりも……?
小説の登場人物について ばななさんにとっての取材とは
メンバーシップ随時募集中

00:01
そして57、綺麗な水をたくさん飲む、脳が喜ぶということ。これすみません、ストレートになんですけど、どんな水飲んでるんですか?
私、普通のミネラルウォーターみたいなやつ。
ちょっと、もうちょっとしつこく聞きたいんですけど、なんかこの銘柄がいいとか、水も本当ピンキリじゃないですか?
私、割と宅配で撮ってるから、あれなんですよね。流線の水?岩手の。と、ひたてん糧水を交互に飲んでます。
10年前もやっぱり水のことはおっしゃってたので、やっぱり水っていうのはずっと大事にしてるんですか?
そうですね。やっぱりドライアイになりやすい仕事だけど、水を飲むと、本当にリアルに水入ったって感じになるんで。
今、ちょうどドライアイっていう話が出てきたんで、そのまま次のページ、58。目を休める。手のひらで温める。目が資本なのが物書きってあるんですけど。
そういう意味で、これ見てる方、聞いてる方、僕もですけど、とにかくドライアイで着せずして、目が痛くなったり。
そうですよね。
あるので、水っていうのが一つあるのかなと思うんですけど、モニター?今、お手元にノートパソコンもありますけど、意外とノートパソコンですか?普段、やっぱり、執筆はデスクトップで大きいモニターだったりとか。
いや、大きいとなんかわかんなくなっちゃうんで。最悪の場合、スマホで書いてますよね。
スマホで書いても、でもやっぱりそれはちょっと下書きみたいな感じで。
で、直しの時が多いかな。直すだけの時は、結構スマホでやったりしてますね。
僕の勝手な期待で、すごい大きなデスクトップのパソコンで、モニターもすごい高いのあるじゃないですか。目が悪くなんないみたいな。
いやー、あれだともう何かわかんなくなっちゃうんですよね。
大きすぎると。
大きすぎて。
結構、ずっとノートパソコンでみたいなスタイルなんですか?
はい。MacBook Proが多いですね。これはAirだから。
じゃあ、モニターは特にってことだったんで、逆になんでしょう。せっかく目って話出てきたんであれですけど。
見えるものに関しては目を大事にで、当然水を飲むっていうのが一つあると思うんですけど。
見えないものを見抜く目っていうところが、やっぱり僕らは養いたいんですけど。
養いたいんだ。そうなんだ。
ハウツーで聞いちゃいますけど、でも何かこれ聞いてる方、見てる方にアドバイスするとしたら。
どうなん?でも私も別に幽霊とか見えるわけでないし、あんまりUFOとかも見たことないし。
なんかいいなと思ってます。見える人のこと。
違う話になっちゃうかもしれないですけど、やっぱり出会った時にバナナさんが、
この人なんか違うとか、ちょっと自分と合わないなみたいな。
そういったものっていうのはやっぱり大事にされてると思いますし、すごく鋭敏な方なのかなと承知ながら受けたんですけど。
そういう意味で、見抜く目というか、やっぱりそれも感じるっていうことなのかな。どうなんですかね。
やっぱり異常な数の人に会ってると、だんだん傾向が見えてくる時ってありますよね。
じゃあ言語化っていうよりは、やっぱりもうなんか。
なんかやっぱシャーロックホームズみたいなものなのかなと。
03:03
なんかほら、あの靴をみんなさえ擦り減ってるからみたいな感じのことよく言ってるじゃないですか。
よく覚えてないけど。そういう感じで、たくさん見すぎてると、だんだんわかってきちゃうみたいなのもあるのかなと。
私、初めに例えばイタリアに行った時とかは、あんまり貧富の差っていうのかな。極端に言っちゃうと格差とかではなく、もともとの身分の差ってあるじゃないですか。貴族かどうかとか。
あんまりわからなかったんですけど。日本にない習慣だから。習慣?風俗?だからわからなかったんですけど。
何回か言ってるうちに、「ああ、あの人貴族だ!」っていうのが、だんだんわかるようになってきて。
特定の宗教とかね、「ああ、あの人絶対これだ!」って、どんどんわかるようになってきて。
だから、たくさん見るとわかるのかなとか。それだけのことかなとも思います。
まあ当然、それがね、鋭敏な方とか優れてる方もいらっしゃると思いますけど、今の話聞いてると、それはやっぱりある意味誰しもがそこをわかずっていうのもあるんですけど。
だと思います。それで、やっぱり若い時に、「この人変わってる?」と思った人でも、よく考えてみたら変わってないとか。
これも結構聞きたかったんですけど、150ページと151ページなんですけども、これシンプルに。
ニーズのないものを書かないと。そして次の行が、しかし決してニーズに合わせて書かないと。
これは痺れたんですけど。
ニーズっていうところでまずいくと、バナナさんの場合は基本はその読者の方だと思うんですけど、とはいえその大衆全員ではないと思うので。
バナナさんのその読者っていうのは、10年前お話しかかった時は、かつての自分のように辛かった人?
そうですね。初めの頃はそうでしたけど。
けどっていうことは、今はちょっと違う?
なんかやっぱり実績が積み重なってくると、どういう人がどういう時に役立てたっていう風に教えてくれるから、みんなが。
そうすると。
そうか、こういうのは本当に役立つんだなと思って。そのことを頭に入れておくんだけど、それに合わせたりはやっぱりしないです。
頭に入れておくけど、ニーズに合わせて書かないっていうところ。それはその真理というか、ニーズのないものは書かない、しかし決してニーズに合わせて書かない。それはニーズを超えるものを書くっていうのともちょっと違う?
ただ、そうですね。ニーズを超えるものを書くのとちょっと違うけれども、新しいものを。だから本を一冊出して、前の本と違うところ。なんか新しいっていうところがなかったら出さない方がいいと思うんで。
はい。
そこだけはいつも、ちょっとどっか新しいな。これ、前になかったら考えたなっていうところを、必ず、例え誰にも理解できなくても入れるようにしてます。
それは小説だけじゃなくて、例えばエッセイとかも?
それはエッセイは全然副業だから。
じゃあ、小説においては必ず?
エッセイこそがニーズがって書くものだから、ほっといても自分でエッセイを書くってことはあんまりある意味ない。
メルマガはメルマガ用の文体で書いてるから、エッセイと違うし。
06:01
メルマガも私も背読させていただいてますけど、そのメルマガの読者は、バナナさんが想定している本の小説の読者と同じなんですか?
やっぱりちょっと違う気がしますね。
ちょっと違う?
ちょっと違うと思います。メルマガの読者は本当に役立つことが知りたい人です。
より実務的というか。
で、文体もなるべく友達がメール書くような文体に、わざと精度を落としてるっていうか、そういうのがちょっとあります。
エッセイだったらもう少し精度を上げないといけないから、そこのラフな感じをスタイルにしないと。
また、完成されたエッセイを毎週届けないと重いじゃないですか。
特にメルマガとかだとそうだよね。
そう、すごく重いし、また来ちゃったらまた怒られちゃうみたいになっちゃうから、そうじゃないようにするのはすごい工夫してます。
このニーズっていうところで、ここにも小説家としての仕事、職業、小説家っていうところで、ちょうど去年の文学界のインタビューで、厳密に言うと自分は小説家というよりも、小説からこぼれ落ちるものをすくい上げる小説っていうふうにお話されてたんですけど、
そのあたりってもう少し詳しくお話ししたらどういうことだったんですか?
それは私が言ったんじゃないかな。だから、こう、「ですよね?」とかなっただけかも。
記事の時にそうなっちゃった。
こぼれ落ちるものっていうことですよね。そうですね、っていう感じだったかも。
じゃあ、ちょうどよかったですっていうのもあれですけどね。音声、映像、その辺はいい意味でそのままになるので。
でも、何らかのニュアンスが含まれてたのかなと思うんですけど。
それはそうだと思います。たぶん、小説っていうのは、本当は、人間の喜怒哀楽とか、人生の加幅というか、そういうのを描いて、その中で何かを感じるっていうのが小説っていうものだと思うんですけど。
別に、私の小説、あらすじとか特にないので、どこを切り取ってもいいし。小説というより、やっぱり、考え方みたいなものをただ書いてるだけで、偶和っていうんですか。よく私が例えると偶和って言うんですけど、偶和なのかなと思ってます。
テーマを書いてて、ストーリープロットとかっていうのともちょっと違うっていう。
そうなんです。だから、映画とかにするとちょっといい話になっちゃう。ただのちょっといい話になっちゃうんだけど、それ仕方ないよなと思う。だって、言葉を絵にするってできないから、あらすじだけを追っていくと、ちょっといい話だったなみたいな感じになる。
これ見てる方、聞いてる方、やっぱり小説家を目指している方もいるので、もうちょっとだけ今のところで伺いたいんですけど。
本当にいろんな書き手の方がいて、まず誰かキャラクターが出てきてとか、それこそハルキさんのねじ巻き鳥じゃないけど、最初スパゲッティ茹でてとか。
そうですね。
いろんなものがあると思うんですけど、バナナさんの場合、そのプロットとかストーリーは、今の話じゃなくて、まずテーマ。
人っていうのはどこで出てくるというか。
人はテーマに合わせて。でも、インタビューと本当に似てると思います。
そうですか。
こういう体験をした人を知りたいっていうか、話したいんだけどって言うと、それならあの人がとか言って会って、お話を聞くみたいな、すごい似てます。
09:06
今回のテーマに合った人、どんな人?みたいな感じで、集めてくる感じ。
なんか今、インタビューって言っていただいたので、ちょうど伺いたかったんですけど、バナナさんの中でこの本にもあったと思いますけど、
取材っていう二文字が結構いろいろ出てきて、私はそれが本業なんで当然なんですけど、結構いろんな小説家の方に、例えば何かの作品を書くときに、
それが時代小説だったら歴史的背景とか色調べたりとかありますけど、何か事前に取材するんですかっていう話を伺うと、
私の経験上はなんですけど、ほぼ9割ぐらいの方が、歴史的なものは置いといて、取材はしないっていうふうにおっしゃるんですね。
ただ、バナナさん、この中で書いてることは、何か本を書くときに取材する、取材しないっていうことではないとは思ってて、
どちらかというと、日常のある意味、語弊があったら言っていただきたいんですけど、全てがネタとかいう。
そういう意識での取材っていうものは大事にされてるのかなと思うんですけど、いかがですか?
バナナさん「真っ向から取材させてくださいって言うと、大体の人がやっぱりベストのパフォーマンスを見せてくれるから、全然わかんないんですよね、本当のところが。
どういうところが辛いんですか?とか言うと、こういうときは辛いとか教えてくれるけど、やっぱりその後飲みに行って聞いた話とかの方が同じ人物。
全然リアルだったり、気づかない。自分ではこんなこと思いつかなかったなっていうようなことが多いから、名乗って取材ですって言って行くのはなるべくしないようにしてます。」
本当であれば、こうじゃなくて、バナナさんが前回見てた王将とかで話したりした方が面白い話が出てくるかも。
そうなんですよね。でもそれは当然だと思いますけどね。言えること言えないことあるでしょうし。
だからそのオフレコンの話の方がやっぱり取材になったなっていうことが結構多くて。だからよほどのことがないと、ザ取材っていうのは。
いつもインタビューをご視聴いただいてありがとうございます。この度スタートしたメンバーシップでは各界のトップランナーから戦争体験者に至るまで2000人以上にインタビューしてきた僕が、国内外の取材、そして旅の中で見つけた人生をアップデートするコンテンツをお届けしていきたいと思います。
ここでしか聞けない特別インタビューや非蔵トークにもアクセスしていただけます。随時これ面白い、これはいいんじゃないかっていうコンテンツもアップデートしていきますので、そちらも含めてどうか今後の展開を楽しみにしていただけたらと思います。
なおいただいた皆様からのメンバーシップの会費は、インタビューシリーズの制作費だったり、国内外のインタビューに伴う交通費、宿泊費、その他取材の諸々の活動経費に使わせていただきたいと思っています。
最後になぜ僕が無料でインタビューを配信し続けるのか、少しだけお話しさせてください。この一番の理由はですね、僕自身が人の話によって、うつや幾度の困難から救われてきたからです。
そして何より国内外のたくさんの視聴者の方から、これまで人生が変わりました。毎日その勇気をもらいました。救われましたという声をいただき続けてきたからには他になりません。
この声は、世界がコロナ禍に見舞われた2020年頃から一層増えたように思います。これは本当にありがたいことです。
12:07
ただ、同時にそれだけ心身共に疲弊したり、不安を抱いたりしている方が増えていることに関わらない、その裏返しであると僕は強く感じています。
正直に言えば、各僕自身も15年以上前に起業して以来、最大のピンチといっても過言ではない時期をこの数年送り続けてきました。
でもこんな時だからこそ、森に入ることなく、インスピレーションと学びにあふれる、まだ見ぬインタビューを送り続けることがインタビュアーとしての自分の使命なのではないかと強く感じています。
世界がますます混迷を極め、先の見えない時代だからこそ、僕はインタビューの力を信じています。
これまでのようにトップランナーや戦争体験者の方への取材はもちろん、今後は僕たちと同じ姿勢の人、普通の人の声に耳を傾けたり、
ややもすると打ち抜きになってしまう、今こそ海外でのインタビューに力を入れていきたいと思っています。
そして彼らの一つ一つの声を音声や映像だけでなく、本としてもしっかりと残していきたい、そう考えています。
そんな思い共感してくださる方がメンバーシップの一員になってくださったら、これほど心強く、そして嬉しいことはありません。
ぜひメンバーシップの方でも皆様とお耳にかかれるのを楽しみにしています。
以上、早貝大平でした。
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