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2024-10-23 38:33

#7−8 3つのCで世界に挑む!Netflixのオリジナルコンテンツ 〜新たなDX戦争の勃発〜

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ストリーミング市場での勝利を確信したNetflixはオリジナルコンテンツ制作に乗り出します。「3つのC」を駆使しながらグローバルなエンタメの未来を切り開くNetflixが次に挑むのはリアルとの融合。今回はNetflixの新たなDX時代に向けた戦略について掘り下げます。


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▼MC:

尾原和啓(IT批評家) https://twitter.com/kazobara


京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を専門とし、内閣府新AI戦略検討、産総研人工知能研究センターアドバイザー、現在13職目 、近著「アフターデジタル」は11万部、元 経産大臣 世耕氏より推挙。「プロセスエコノミー」はビジネス書グランプリ イノベーション部門受賞


▼サブMC:

けんすう(アル株式会社代表取締役) https://twitter.com/kensuu


アル株式会社代表取締役。学生時代からインターネットサービスに携わり、2006年株式会社リクルートに入社。新規事業担当を経て、2009年に株式会社nanapiを創業。2014年にKDDIグループにジョインし、2018年から現職。


▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。

https://forms.gle/bHQjcgjCCQkFEFDg9


▼音声編集:株式会社BOOK


▼アドバイザー:株式会社BOOK代表取締役 樋口聖典

サマリー

このエピソードでは、Netflixのオリジナルコンテンツがどのように世界へ挑戦しているのか、特に3つのC(コンテンツ、コンベア、コンテナ)を通じて探求しています。また、Netflixがリアルなビジネスパートナーとの関係をどのように築いているのか、次のDX戦争がどのように進展するのかについても言及しています。Netflixはデジタル配信の普及により、映画館とのビジネスモデルが大きく変わり、オリジナルコンテンツの制作に舵を切る必要性が高まっています。この変化は、映画業界がコンテナとしての役割を果たすようになることを意味し、新たな挑戦が生まれています。Netflixのオリジナルコンテンツ制作は、高予算とデータ分析に支えられた独自の戦略に基づいており、グローバル展開時の競争力を高めつつ、様々な文脈に応じたコンテンツの多様性を追求しています。

ネットフリックスのオリジナルコンテンツの成り立ち
スピーカー 1
はい、というわけで今回はですね、ストリーミング編が終わりまして、いよいよNetflixのオリジナルコンテンツの話になるかなと思うんですけれども。
スピーカー 2
はい、いよいよいよいよですね。年代的に言うとですね、ここから一気に2013年ぐらいまで飛び始めます。
スピーカー 1
意外と最近なんですね、10年前ぐらい。
スピーカー 2
10年前なんですよ。だから、さっき言ったように、そもそもストリーミングの確率っていうのが2007年から2010年の後半代までで決着がついてきて。
そういう意味ではこのタイミングっていうのは、もうどっちかっていうと、オンライン配信ではNetflixだよねっていう形の定番感が固まったぐらいのタイミングですね。
スピーカー 1
なるほど。日本に入ってきたのっていつなんでしたっけ?
スピーカー 2
日本に入ったのは2011年ぐらいじゃないかな?
正確に見ると、その話はめっちゃ第一位で、時代背景の時のところでちょっと話をするので。
スピーカー 1
了解です。
スピーカー 2
その手前で、ちょっと前回の中で1個だけ、なんであれだけ前回、リアルなライバルとの戦いみたいなところにこだわったかっていう話をしておきたいんですよね。
ブロックバスターとの血みどりの戦いの中でギリギリまで追い込みながらも生き残ったっていうのが2個前で。
その次にストリーミングっていう新しいインフラの提供の中で、いかにリアルなビジネスの方との提携を尊重しながら勝ちに至ったかっていう話をしてきたわけなんですけど。
ネットのビジネスにおいて、最近僕がずっと言ってるのがDX二回戦っていう話なんですよ。
要は何かっていうと、これ入山先生、世界標準の経営理論というとんでもない分厚い本を書いた方が名付けてくださったんですけど。
結局、今までのビッグテックの戦いって、基本的にはGAFAMって呼ばれるようなGoogleにしてもFacebookにしてもAmazonにしてもAppleにしても、ネットの中で事業が完結するものが強くなって。
こういうのってネットの中で完結してるから、特にNetflixみたいなコンテンツの配信って、DVDのレンタルってリアルに依存するから、国をまたぐのって大変じゃないですか。
でも、ストリーミングになった途端にリアルの拠点がいらなくなるから。
スピーカー 1
たしかに。
スピーカー 2
だから、実はNetflixっていうのは、さっき言ったように2010年ぐらいから勝ち筋を見出し始めるんですけれども、2010年にカナダに進出してるんですね。
2011年に中南米とカリブ海に進出して、2012年にヨーロッパに進出するんですけれども、2015年ですね、日本は。
スピーカー 1
結構その後なんですね。
スピーカー 2
はい。なんですけど、2016年には何カ国に進出してるでしょうか。
スピーカー 1
30。
スピーカー 2
160カ国。
一気に。
いわゆる中国とかは、一部のコンテンツの配信がちょっとみたいなところ以外はほぼ配信できていて。
スピーカー 1
これがやっぱりネットで完結する強みですね。
スピーカー 2
そうなんですよ。結果的に2017年に、さっき言ったように2007年のタイミングで400万人だった会員が、2017年のタイミングですね。
だからわずか10年で1億人突破するんですね。
スピーカー 1
いや、すさまじいですね。DVDだと絶対にいかないですもんね。
スピーカー 2
そうなんですよ。っていうのが凄さであり、それが故にGAFAはものすごい時価総額を集めて。
実際これ面白い話で、20年くらいの時価総額ってアメリカがめっちゃ株式市場伸びて、日本はあんまり伸びなかったじゃんみたいな話があるんですけど。
スピーカー 1
そうだそうだ。
スピーカー 2
アメリカの中から、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftのこの5社を抜くと、日本の時価総額の成長と、アメリカのこの5社を除いたアメリカの成長ってあんまり変わらないんですよ。
スピーカー 1
ここだけがすさまじくスケーラビリティがあったというか。
3つのCのフレームワーク
スピーカー 2
それがDX一回戦なんですね。だから僕はDX一回戦は空中戦だという言い方をしてて。
ネットの世界って空でつながってるから、いくらでも国境またがってどんどん進出できるよと。
だから世界のオンライン広告市場って、4分の3がGoogleとFacebookで選挙されてるわけですね。
だから実は広告って世界の中のGDP、世界の経済の付加価値の中からしたら、広告って産業としては2%しかないんですよ。
スピーカー 1
2%しかない。
スピーカー 2
でもこの世界の広告市場の2%の今や半分ぐらいがネット広告になって、この半分の4分の3をGoogleとメタが選挙してるからむちゃくちゃ時価総額が高いんですよね。
スピーカー 1
つまり世界のGDPの0.5%ぐらいを取っちゃうぐらい支配してるってことですね。
スピーカー 2
でもこれからのネットビジネスってどうなるかっていうと、もう一回リアルをアップデートするのをネットがやるっていうビジネスに変わってくるよね。
AIがその建築業を変えてきますよね。
SARSが医療をものすごく滑らかなものにしていくよねとかっていうふうに、これからのビジネスっていうものはリアルをネットでアップデートする。
だからネットをネットでアップデートしたDX1回戦に対して、リアルをネットでアップデートする2回戦が始まるわけなんですよね。
スピーカー 1
なるほど。だから1回戦目だとアメリカがボロ勝ちしたように見えるけど、次の戦い2回戦目だとまだまだどうなるかわからないってことですね。
スピーカー 2
そう。しかもその2回目はGDP残し98%が残ってるわけですよね。
スピーカー 1
確かに。そりゃそうっすよね。日本の建築だけで40兆とか50兆ぐらいあるんでしたっけ?
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
一部が変わるだけでも凄まじいですよね。
スピーカー 2
そうすると思い出して欲しいのが、リアルとどうやって提携したり、リアルでコーナードリソースを使いながらとか、とはいえリアルのプレイヤーもカウンターポジションで、
昔のビジネスに留まらざるを得ないところを、新興のリアルのプレイヤーと組みながら伸びていくみたいな話だったりとか。
このDX2回戦の時代には、ネットフリックスがむしろストリーミングになる前のビジネスをきちんと紐解いておいた方がいいよねっていう話でこだわって喋りたかったんですよね。
スピーカー 1
なるほど。つまりネットフリックスは単にストリーミングが超すごいネット会社だと思わずに、
ちゃんとリアルとのつなぎ込みもできるようなケイパビリティを持った会社だよっていうのを理解しておかないとちょっとずれてしまうというか。
スピーカー 2
あともう一個は、ネットフリックスがブロックバスターだったり、各テレビの会社だったりとかと組みながら伸びてきたっていうところのインサイトが、
むしろ今リアルをネットの力でアップデートしていくこれからの企業にはむしろそっちの方がヒントが多いって話です。
スピーカー 1
確かにそこを先行してるって見え方ができるわけですね。それは面白い。確かに。
スピーカー 2
っていうところをまずきっちり理解していただきたいっていうのがあるんですけれども。
でも一方でこれから話すオリジナルコンテンツの話は、ケンス大好きコンテンツクリエイティブの話でしょうね。
スピーカー 1
楽しみ。
スピーカー 2
だからここからはまた変わってくるんですよ。完全に競争が。
スピーカー 1
そこで知っていただきたいのが、ケンスがよく使うフレームワークですね。3つのC。
コンテンツ、コンベア、コンテナ。
そうです。
スピーカー 2
これの三味一体系がオリジナルコンテンツに向かうネットフリックスですよっていうのが、
全く別のゲームルールになったネットフリックスオリジナルコンテンツ編という話と、
あと次の組織ですね。組織文化っていうものがネットフリックスすげえ。
普通の人の給料10倍出すよとか、経費生産とか休暇なんて申請せずに、もうそれぞれの人に任せるよみたいなネットフリックスの組織文化ができたのも、
このオリジナルコンテンツを作るっていうところのゲームチェンジにむちゃくちゃフィットしてるからっていうので、この後続く2本は別物だと思って聞いてほしいんですよ。
スピーカー 1
なるほど。今まではリアルとうまくやるみたいなところとか、イノベーションのジレンマとか、タイミング的に新しいところに参入するって話だったけど、
今回は本当にコンテンツを作るっていうところのまた、本当全然別物ですね。
リアルビジネスとの関連性
スピーカー 1
そうなんです。
スピーカー 2
じゃあ何が別物になったかとはいえ、なぜネットフリックスはオリジナルコンテンツの方に向かわないといけなかったかっていうところの総括から入っていきたいんですけれども。
まず大事なことが、ネットフリックスっていうのが先ほど言ったように、ストリーミングとして価値が決まって、
2018年でアメリカで6千万人、世界で1億4千万人のユーザーが来るし、2014年のタイミングでも5千万人とか超えるんですよね。
そうなってくると、コンテンツっていうものの中で、さっき言った3Cっていうのは何ですかっていう話で言うと、コンテンツを作る人のコンテンツっていう話と、
あとユーザーに届けるっていうところのコンベアっていう話と、あとコンテンツって1個だけで消費しないので、複数のコンテンツを合わせ技で見るところに価値が生まれるわけですよね。
だから、例えば分かりやすい話で言うと、呪術廻戦っていうものに対してジャンプっていうコンテナとしてのまとめるところがあって、
一方でお客さまに届けるっていうところが、今まではコンビニエンスストアで買えますみたいなものから、さっき言ったようにジャンププラスっていうものが生まれてきたり、
そもそもジャンプ自体がジャンプアプリで見るようになりますっていうふうになってくるっていうふうに。
基本的に今までコンテンツビジネスっていうものは、コンテンツを作る人と、どの複数のコンテンツとパッケージしてコンテナに詰めることによって価値を出す人と、
コンベアとしてユーザーに届ける人っていうものが3つの構造に分かれてたわけですね。
それがある種、どのコンテンツを続けてみるんだいっていうのが、NetflixがAIのリコメンドによってどんどん強くなってくるし、
何よりもコンベアっていうユーザーの最終接点っていうものは、どんどんネットフリックスがユーザーが増えることによって力が強くなってくると、
何が起こったかっていうと、2010年とか2012年ぐらいから、今度は逆にコンテンツのところからの反発が起こるんでしょう。
つまり何かっていうと、映画の配給会社がDVD化を遅らせるようになってくるんです。
さらに言えば、結局Netflix、俺たちのおかげで儲かってるんだろうって、配信代を高くしていくんですよ。
これには裏側にもう一個大事なことがあって、この3Cっていうものが歴史的にどういうふうな変化をしてるかってことをちゃんと知ることが大事で、
映画館がこのタイミングで実は大きく変化してるんです。
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 2
2つあって、1つはシネコンですね。
今でこそシネコンって当たり前になりましたけど、シネコンってどういうものですか?
スピーカー 1
なんかめっちゃ大規模な商業ビルとかに入っているあれ。
スピーカー 2
いやだからさ、戦略的な3Cの観点で今話してるわけじゃん。
3Cの観点で考えた時に、シネコンって何が革命だったのかって話ですよ。
スピーカー 1
なるほど。
お客さんがいるところに置くってことですか?
スピーカー 2
っていうのと、あともう一つがお客さんがいるところに置けるから、映画館に複数のスクリーンがあるんですよ。
スピーカー 1
なるほど。それがあれなんですね。シネコンのすごいところなんですね。
スピーカー 2
そう。だから今までは映画館って一つ一つが単館だから一つのスクリーンしか上映できないじゃないですか。
そうすると、要はいくら人気の映画中でもずっと続けることができないから、ある程度で映画の館としての配信はストップして、
次にDVDとかビデオ販売をして、そこも賞味期限切れてきたらテレビに流すっていうこういうチャンネルマネジメントっていうのが中心だったんですよね。
それが映画館が複数あると、映画のフィルムを夜の人が入るときだけは、この映画まだ人気があるから3つのスクリーンでここは上映して、
朝のうちは子どもたちがたくさん来るから子ども向けの映画を3本、それぞれ別の映画を上映しましょうっていう。
映画にコンテナの部分が生まれてたんですよ、シネコの中に。これが結局普及していたことと、
あともう一つが、とはいえ映画ってフィルムでやってたら大変じゃない?映画館ごとにフィルム用意しなきゃいけないし、
結局ここは儲かりどころだから複数の映画のスクリーンで3つのスクリーンを人気映画にしようよって言ったら、
映画館のデジタル化
スピーカー 2
フィルムをもう1個買わなきゃいけなかったりするし、それを配達してもらわなきゃいけないわけだよね。
スピーカー 1
結構これバカにならなかったんですよね、フィルムっていうのが。だから地方だと映画が遅く公開されるっていうのがフィルムがないから、
都心部のが終わったら地方に届けるとかやってたんですよね。
スピーカー 2
ってことから考えると、逆に今度何が起こるかっていうと、ユーザー側が映画をストリーミングで見れるようになるってことは、
スピーカー 1
映画館もデジタル化が進む。
スピーカー 2
そう、デジタルで配給できるようになるから。
だから実は2010年の頃合いになってくると、映画館に映画のフィルムを届けるっていうのが、そもそもフィルムがなくなってデジタル配給になってくるんでしょ。
そうすると何が起こるかっていうと、さっき言った10個あるスクリーンのうち、もう究極で言うと10個全部、千と千尋にこの週はしましょう。
みたいな話もできるようになるし。
一方でこの映画、マニアックな人だけはすごい人気あるんだよねって言うと、水曜日だけはこの上映残すみたいなこともできるようになってくるわけ。
スピーカー 1
すごいフレキシブルに編集できるっていう、編成が汲めるみたいなことですね。
スピーカー 2
だから映画館っていうビジネスも、実はさっきの3Cで言ったときに単なる流す相手じゃなくて、コンテナ価値を持つようになってたんですよ。
それによって話戻すと、ネットフリックス影響持ちすぎだぞ、だったらネットフリックスへの配信はできるだけ遅くして、
シネコンの中の水曜日はマニアックなものをやるとか、火曜日の朝はお子さん向けのやつをやろうとかっていうポートフォリオで対抗できるぜ俺たちってなった時代でもあったんですよ。
スピーカー 1
なるほど。つまりコンテナ、要は編集権を持つのがネットフリックスだけにならないように、映画業界は映画館を編成する対象として見て、
メディア的にいろいろ組み合わせてこっちの魅力を上げようみたいにしてたってことですね。
コンテンツ制作の変化
スピーカー 2
そうなんですよ。だからちょうどさっき言ったように2015年から16年にどんどんネットフリックスがグローバル進出すると同時に、
映画の配信というものも2015年ぐらいには全館がほぼフィルム配信ではなくてデジタル配給になったし、
そうすると今度何が起こったかというと、2016年には衛星使ってグローバルに一気に配信するみたいなこともできるようになってくる。
スピーカー 1
へー、なるほど。
スピーカー 2
それで世界同時上映みたいなことがこの辺から起こったりとか。
スピーカー 1
なるほど、なるほど。
スピーカー 2
そういう形で、実はコンテンツっていうビジネスを捉えた時に、一見するとネットが強者じゃんって思うんですけど、
実はリアルもデジタルの恩恵を受けているという話をしっかり理解しなきゃいけなくて。
スピーカー 1
なるほどね。そこにすごいネットフリックスが影響を受けているわけですもんね。
スピーカー 2
そうなんです。そういうことを見た中で、どんどん人気の映画というものの調達がわざと遅らされるとか。
スピーカー 1
はいはい。
スピーカー 2
だから内緒や遅らしたくなかったらめっちゃ高い金をよこせっていうふうに言われているっていう競争環境の中でもオリジナルコンテンツに行かざるを得なかったっていう話。
スピーカー 1
確かになんか昔に比べて最近だと映画そんなにネットフリックスに来ないみたいなイメージありますね。
スピーカー 2
そうなんです。
あともう一個2010年ぐらいになってくると、もう一個の変化がやっぱりもう明らかにネットが早くなってきたし、
あともう一個がやっぱりスマホですね。っていうものがだんだん普及してきたので、もう1回ユーザーのコンテンツの消費体系が変わるんです。
それは何かっていうと、今までは映像作品というものが貴重なものだから貴重な映画を見ようっていう態度から、
ドラマを全部一気見しようぜとかっていうふうに変わってきて、コンテンツの中で魅力的なものが映画からドラマの連作っていうものに変わってくるっていうところにネットフリックスが気づくんですよね。
スピーカー 1
なるほど。確かにな。
スピーカー 2
だからこの辺とかは、もうやっぱりずっとデータを見ながらコンテンツをやってる企業じゃないと気づかないと思って。
コンテナとしての役割
スピーカー 2
その辺って多分ちょうどこの3年ぐらいで漫画で起こっていることだと思うんだよね。
スピーカー 1
そうなんですか?
スピーカー 2
例えばわかりやすい話で言うと、ルックバックってアプリだからできた作品だと俺思ってるわけよ。
スピーカー 1
そうですね。要は100ページぐらいの読み切り、そういう単行本にするにはちょっと薄いよねとか連載にするにも短すぎるよねみたいなものがアプリだとすごい読み応えがあって素晴らしい作品として出せるみたいなことですよね。
スピーカー 2
そうそう。
つまり僕たちのコンテンツビジネスっていうのは、コンテナとコンベアの制約から無理矢理作られているところがありますっていう話があって、
どうしても漫画というビジネスは当たり外れが激しいから、いったんジャンプという、別にジャンプに限らず、今日はジャンプの事例が多いのがたまたま好きなだけで、
別にジャンプから協賛を受けているわけではないんですけれども、要はジャンプというパッケージの中の一部にコンテンツとして入れておくと、人気コンテンツのそばにあるからこれからの新人漫画が読まれているっていう形で漫画が育ちますよねっていうものだったりとか、
一方で単行本というビジネスは本屋さんにもきっちり儲かってもらわなきゃいけないし、本屋で存在感もないといけないから、どうしても8話から12話分ぐらいを貯めて、1冊の単行本として出しましょうっていう形になるし。
スピーカー 1
確かに1話1話売れないもんね。
スピーカー 2
それが結局アプリビジネスに変わった時に1話で30円とか50円とかで買えば、今80円ぐらいするのかなっていう形で買うっていうのもあれば、
むしろまずは一気に100ページぐらいある漫画を熱量で一気に読ませて発火を起こして、やっぱりまだ紙で読みたいとか、後から人気が出た後に読みたいっていう人には途中まで読んで残りを課金するみたいな形で、
やっぱりコンベアが変わってくるとコンテンツの作り方も変わってくるし、何よりも自分のコンテンツを見つけてくれるための手段としてどうコンテンツをまとめていくかっていうコンテナって変わってくるんですよね。
そういうものの先駆けっていうものがNetflixだったわけ。
スピーカー 1
デジタル化して、だから今まではコンテンツとコンベアとコンテナが結構分かれてたりしたものがまた大きく変わったというか、くっついたところもあるし、新しく分離したところもあるしっていうので、知覚変動がめちゃくちゃあったんですね。
スピーカー 2
そうなんです。あともう一つ、その知覚変動が起きた中で分かってきたことが、やっぱり人っていうのは研ぎ澄まされた作品の方が、やっぱり見る人は圧倒的に見るよねっていう話で。
だから今や漫画アプリも、どうしても漫画としてコンテナとしてまとめると、どうしても各漫画の画風っていうか、マガジンにはマガジン、サンデーにはサンデー、ジャンプにはジャンプ風みたいな形でまとめていかなきゃいけなくなってくるけど、
ジャンププラスとかになってくると、尖った作品も入れていこうとか、高段車で言えばDマガジンという形で集まってくると、ヤンキーと恐竜みたいな、ヤンマガからの王道から少し外した作品が入れられるようになるみたいに、むしろエッジ側の方が受け入れられるみたいなことが分かってくるわけですね。
スピーカー 1
ちなみに、多分ギャルと恐竜で、しかもヤンマガ連載です。
スピーカー 2
はい、すみません。
スピーカー 1
すみません。
スピーカー 2
大変申し訳ございません。
スピーカー 1
大変言っとんでもないです。
スピーカー 2
ヤンマガの鈴木さん、申し訳ございません。
スピーカー 1
実名が出てる。
スピーカー 2
っていう風に、コンベアが変わるとコンテンツも変わるっていうところを、最初にNetflixっていうのはやってて。
スピーカー 1
そうですよね。だから映画業界にとってみれば、コンベアとコンテンツが大きく変わったけれども、ネットっていうコンベアでコンテナをめちゃくちゃNetflixの美味しいところを取られてるなっていう感覚があって、危機感は募るというか迷われて。
映画館とかでは起こらなかった独占とか、すごい影響力を持つっていうのが一気に起こったんですよね。1億人とかユーザーがいるので。確かに1億人来る映画館はありえなかったわけですもんね。
スピーカー 2
そうなんですよ。そうするとコンテンツ美人ですから、制作元が強い、コンテンツを作れるやつが強いのか、巨大なコンテナになったやつが強いのか問題っていうのはずっと振り子のようにあるわけですよね。
ありますね。要はニュースサイトよりも今やSNSとかGoogleの方が強いから、コンテンツ業界、特に紙の本とか作っている人たちは今すごい危機感を持ってるけど、ここはもうGoogleとかSNSが取っちゃってるわけですもんね。
スピーカー 1
確かに。
スピーカー 2
だからよく言われる話としては、ディズニーってずっとコンテンツが強いからだという言い方をされてるんですけれども、実はディズニーはコンテナが強いからっていう説もあって。
ディズニーって初期の頃から映画館の配給っていうものに強い影響力を持ったりとか、あとケーブルテレビですよね。それをやっぱり自らチャンネルを持っていったりとかしていくことをやることによって、結局ディズニーはパイプラインマネジメントって昔は言い方してたんですけど、
ディズニーだけが映画館で儲かるだけじゃなくて、映画館の後でDVDとかパッケージにしてこれだけ儲かる。かつその後配信に持って行った時にこれだけ儲かる。テレビ局にこれだけやった時に儲かるっていうことのコントロールが全部できてるから、制作の予算規模がでかくできるわけですよ。
そうすると、実はコンテナの方を持ってる会社の方が後ろが読めるので、予算規模を等価できるからいい作品が生まれるっていう好循環を生まれるっていう風に、実はディズニーをコンテンツの会社として捉えるよりはコンテナとしての会社に捉えた方が良かったりするんですよね。
スピーカー 1
それはディズニーはコンテンツが強いからコンテナに大きく影響を与えることができたっていう。これ昔はそういう状況だったんですよね。
スピーカー 2
さらに言うと、自らケーブルテレビ会社を配信ネットワークを買収したりだとか。今でもディズニープラスってやってるじゃないですか。
スピーカー 1
なるほど。コンテナ側もちゃんと抑えに行っているっていう。
スピーカー 2
さらに言うと、最強のコンテナパッケージって実はディズニーランドなわけですよね。
スピーカー 1
そうですよね。ディズニーランドではディズニー作品以外のグッズとか売られないわけですしね。
スピーカー 2
かつディズニーランドに行けば、他の作品のことも好きになって。
スピーカー 1
確かに確かに。
スピーカー 2
っていう領順感が生まれるっていう。
そういうことか。
最近の歴史で言えば、結局そのコンテナを持っているディズニーが強いから、じゃあそこでスターウォーズを買収します。
マーベルを買収しますっていうことで、むしろコンテナの方を買収して買ってきて、またそれをコンテナの中に流し込んで。
っていう相互ネットワークエフェクトを回してるわけですね。
スピーカー 1
そうかそうか。だからコンテナの強化に使える超強いコンテンツを買ってきちゃうってことですね。
そう。
確かに。
スピーカー 2
っていうような循環に入っていってるっていうことを最初にやったのがネットフリックス。
スピーカー 1
なるほど。じゃあネットフリックスのコンテンツも基本的にはコンテナを強くする。
わかりやすく言うと、ネットフリックスってサイトに行けばいいコンテンツがあって、ここでしか見れないよねっていう状態にするために作ってたっていうことですね。
スピーカー 2
じゃあその時になぜその両循環を回せたかっていうと、前に1回話したんですけど、スティッキネスっていうAIから見たデータなわけですよね。
やはりもともとネットフリックスっていうのは、DVDレンタルの月学生の頃から次借りる映画を見るっていうところのリコメンドシステムを育てるから、
結局この監督ってめっちゃ連作全部見るっていうユーザーがいるんだよねとか、この俳優出てるっていうだけで100万人の方が見てくれるっていうものがわかるよねとか、
さらに言えばこういう密約とかなんかの裏切り合いみたいなプロットってめちゃめちゃファンがいて、これだったら100万人見てくれるよねっていうようなデータが集まってきたので、
ネットフリックスの戦略
スピーカー 2
そうするとネットフリックスって最初に作ったオリジナルコンテンツが1話にかける予算が5億円っていう規模感で作ったわけなんですけれども、それができたのは裏側に今までのこれを見る人はこれを見るよねっていうスティッキネスっていうデータがあったから
少なくともこれを見ればもうこれだけの人たちがユーザーとして帰ってくるから、事業としては損は出さないよねっていう計算の中で出せたって話なんですよね。
スピーカー 1
じゃあデータを見てめっちゃいいコンテンツを作れたっていうのが一つと、あともうすでに強いコンテナがあったので見せることができるっていう、この2つの掛け算でも予算をこんだけかけても大丈夫っていう状態にして、予算をかけるとコンテンツが面白くなるからよりコンテナが強くなるっていう好循環なわけですね。
スピーカー 2
好循環になるという話なんですよね。しかも困ったことに、さっき最初に話したようにもうNetflixはDX1回戦の空中戦のトップオブトップみたいなところもあるので、もうこのタイミング2013年のオリジナルコンテンツを出す頃には海外展開がどんどん決まってたタイミングだから、
1カ国だけで見られるユーザーは1000万人かもしれないけれども、海外を重ね掛けすれば5000万人の人、2016年には1億人の人が見てくれるから、そうすると1は5億円っていう予算は、日本の人口だけで見ちゃうと1億人の人口の中で考えなきゃいけないし、視聴率が10%取れるって言っても、たかだか1000万人じゃないですか。
でもNetflixには1億人のユーザーがいるってことは、10倍予算をかけても1人当たりのコストは一緒っていう話になっている。
そういうコンテナ価値、そしてデータを使って外さないAI経営、そして規模の経済ですよね。そこがものすごくかみ合ってるっていうところがものすごいところなんですよね。
スピーカー 1
絶対に日本のテレビ局だと、もう勝てない予算規模になっちゃいますよね。
スピーカー 2
そうなんです。だから、プロセスエコノミーの中でも書かせていただいたんですけれども、ちょうどこのタイミングですよね。
2010年ぐらいにチームラボの稲子さんが予言的なブログをあげていて、結局コンテンツっていうものがハイクオリティのローコンテクストなものか、ロークオリティなんだけれどもコミュニティをもったハイコンテクストなものしか2極化しか起こらんっていう話を言ってたのは、まさにこの構造が見えてたって話なんですよね。
スピーカー 1
中途半端なドラマ作ってももう立ち打ちできなくなるし、中途半端にやるぐらいだったらもう完全に日本人しかわかんないけどめっちゃ面白いみたいな、ローコンストだけどハイコンテキストなものしかダメだろうということですね。
スピーカー 2
そうですね。だから結局今2020年時点でいうと、もうネットフリックスの会員って160カ国2.8億人いるわけですから。だから日本のテレビ視聴率10%っていうところの1000万人に対して30倍になっちゃうわけですよね。
そうすると1万円の価値っていうのが30分の1になるともう300円になるわけですよ。そうするともうそれってほとんどゼロ円に近い感覚になってくるわけですよね。こういうのを限界費用ゼロ社会っていうふうに言うんですけれども。
コンテンツの恐ろしさっていうのはユーザーが100万人だろうが、100人だろうが配信コストってどんどん安くなってってるから変わらなくて、そうするとものすごい規模を集めたところが勝つっていうふうになりやすい。
ただ一個欠点としては、2.8億人を相手にしたコンテンツっていうふうになると、文脈みたいなものを国に依存させると見られなくなるので、従って文脈っていうものを下げていくローコンテクストみたいなことが大事になってくる。
だからディズニーって、例えばアナと雪の女王って、世界中の姉妹が仲直りするエピソードみたいなものをむちゃくちゃ集めて入れることによって、どの国の人でも姉妹の関係とか兄弟の関係みたいなのはうるっときますから。そういうので勝つっていうハイクオリティバットローコンテクストっていうふうに向かうけれども。
逆に日本が対抗しようと思ったら、日本の中ではめっちゃ受けるっていう文脈が共有されてるハイコンテクスト。だからロークオリティのローコストでも選ばれるっていうところに影響を出していくっていう話だったりするんですよね。
スピーカー 1
なるほど。面白いですね。オリジナルって一言で言っても、こういう意図があってコンテナとかに効くとか、それによってグローバルで見られるからコンテンツ評価かけられるとか、いろんな要素が組み合わさっているので、自社オリジナルもやるかみたいな感じでは全然なくて、すごい戦略的ってことですよね。
組織文化の重要性
スピーカー 2
でも、これなんでこんなにここの3Cの変革っていうことを強調しようとしてるかっていうと、生成によって言語の壁がなくなっていくので、日本が世界に発信するコンテンツっていうものがどんどんできる時代になってるから、むしろクールジャパンみたいな話でコンテンツのところにフォーカスが行きがちなんだけれども、
しっかりとしたコンテナが作れれば、漫画におけるネットフリックスはこれから生まれるかもしれないし、いろんな形の可能性っていうのがあるから、この事例ですね。
AIとかを使ってスティッキネスを上げていくことによってリスクをコントロールしつつも、いかに規模を世界でもう配信をどんどんできるから規模の経済が効かせられるし、規模の経済どころかユーザーを30倍集めれば30分の1だから、もうほぼただ同然になっていくじゃんっていう限界費用ゼロ経営っていうところに向かっていくっていうところの戦い方ってところもしっかり理解しつつ、
じゃあその時代に自分はハイクオリティ、ローコンテクストで勝つのか、ロークオリティ、バッドハイコンテクストで勝つのかっていうところの住み分けみたいなところをきっちり考えましょうってことなんですよね。
スピーカー 1
なるほど、ありがとうございます。
というわけで、次はもう今回の話とちょっとまた別の話になりますよね。
スピーカー 2
途中で話をしていた3分の1レイオフしたネットフリックスが、実はそれでも圧倒的なイノベーションを埋めるということに気づいたこの組織文化っていうものが、このコンテンツをクリエイトしていくっていうところとむちゃくちゃ相性がいいことで、ネットフリックスが超絶、経費も休暇もお前に任せるよ経営っていうノールールに至ったのはなぜなのかって。
という組織文化の話をして、その後総括っていうふうな形で締めていきたいと思います。
スピーカー 1
はい、ありがとうございます。楽しみです。
というわけで次回は組織の話です。ありがとうございました。
スピーカー 2
はい、よろしくお願いします。
38:33

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