1. 本の虫のススメ
  2. Ep.135 将来が見えずさびしい..
2025-09-26 34:18

Ep.135 将来が見えずさびしい時にオススメしたい本

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今回は、いただいたお便りに答える形で「将来が見えなくてさびしい時に読みたい本」について、それぞれ2冊ずつご紹介します。つばきはノンフィクション、さとぅは小説、と2人ならではの選書をお楽しみください。


【紹介した本】

・高野秀行(著)「語学の天才まで1億光年」集英社インターナショナル

・レーモン・クノー (著)生田耕作(訳)「地下鉄のザジ 新版」中公文庫

・アン・モロウ・リンドバーグ (著)吉田健一(訳)「海からの贈物 」新潮文庫

・吉田篤弘 (著)「それからはス-プのことばかり考えて暮らした」中公文庫



【よりぬき】

・初生雛鑑別師って??・語学はあたらしい世界を開いてくれる扉・こんな生き方もありだと思わせてくれる本・70年前に書かれたとは思えない普遍性・隣町に本当にいそうな人物を描いた小説

サマリー

本の虫のススメのエピソードでは、将来に不安を抱える大学生におすすめの本が紹介されています。特に、高野秀幸の『語学の天才まで一億光年』が取り上げられ、言語学習を通じて可能性を広げる重要性について語られています。将来に不安を抱える時におすすめの本として、レイモン・クノーの『地下鉄のザジ』が紹介され、独特なキャラクターたちとのドタバタ劇を描くことで、さまざまな生き方を考えさせる内容になっています。また、女性飛行士アンモローリンドバーグのエッセイ『海からの贈り物』が、普遍的な悩みを通じて孤独感を癒す力を持つことが語られています。吉田敦彦による作品「それからはスープのことばかり考えて暮らした」は、孤独感や将来の不安を抱える人々にぴったりな群像劇です。登場人物たちの魅力的なバックグラウンドや関係が、読者にリアルな感情を与え、心を癒します。

不安や寂しさについて
生物学者と書店員のインターネットラジオ、本の虫のススメ。
本を偏愛する生物学者の椿と書店員の佐藤が、本にまつわるアレやコレやをゆるっとお届けします。
はい、今回も始まりました、本の虫のススメ。
今回は、いただいたお便りの内容がですね、本を紹介してほしい、こういう時に読む本、どんな本がオススメですか、というような内容でしたので、そのお便りを軸に、それぞれこういう本はいかがでしょう、という形で進めていきたいと思います。
なので、あれですね、お便りむすむす拡大会みたいな感じになると言えばなるかもしれません。
というわけで、どういうお便りをいただいたか、佐藤さん読んでいただいていいでしょうか。
はい、ホームスネーム、たまちゃんさんからいただきました。ありがとうございます。
たまちゃんさん、ありがとうございます。
文系の大学生です。
お二人のお話は、ゆるく先輩の話を聞いているみたいで、暴力的でなくて大好きです。
将来博士まで進みたいと思っていますが、お金が大丈夫かなとか、就職困るよなとか、なかなか不安です。
そんな将来が見えなくて寂しいなって思う時に、オススメの本があれば教えてほしいです。
これからも末永く頑張ってください。私の癒しになっています。
その後に手でハートマークを使っている絵文字をポンって押してくれてますね。
ありがたい。嬉しいね。
嬉しいですね。
まず、大学生の方に先輩みたいって言ってもらえるのも、めっちゃ嬉しいよね。
年齢で言うとまあまあ違うけど、そうやって親しみを持って聞いてくれていて、めっちゃ嬉しいです。
結構、ホームスの聴いてくださっているリスナー層の年齢層って結構高めなんでね。
私らと同じか、
私らよりちょっと上ぐらいの世代が多いから。
やっぱり本をよく読むっていう習慣がある人が多いのかなと思いながら、あの図を眺めてるんですけど。
もちろんどの世代の方でもとてもとても本当に嬉しいんですけど、
レアリティの高い。
そうなんですよ。
そういう意味でも二重に嬉しくお便り読ませていただきました。
うたまちゃんさんありがとうございます。
ありがとうございます。
おすすめの本の紹介
それで将来が見えなくて寂しいなって思うときにおすすめな本っていうことですけど、
椿さんどうですか?なんか今回ね私たち2冊ずつ持ってきたんで、
1冊ずつ交互に紹介しようかなと思うんですけど。
そうね、そういきましょう。
なんかこの将来が見えなくて不安というよりも寂しいなっていうところが、
なんかその不安ももちろんあるんでしょうけど、
すごくわかるなと思って。
ほうほうほう。
なんか大人になればなるほどというか、
歳を重ねれば重ねるほどさ、
なんかそんなことは実際なくても、
これをこの人生をこのまま続けていけば、
こういうふうになるんやろうなみたいなのがなんとなく見えてきちゃったりするやんか。
その時って結構他の選択肢にはいけないのかなって思うと、
不安と同時にやっぱ寂しいっていう気持ちってあるよなと思って、
それはなんか私自身もすごい覚えのある感覚というか、
やっぱ私も大学院に行って博士号まで取得したんですけど、
どんどんこう狭められていくような感覚っていうのがなんかあって、
そうなると例えば、
私あんまり人と関わるのが得意じゃないから、
友達多いのにね。
多いかな?多いかも。
うん、多い。
あんまり自覚がなかった。
自覚がなかった。
なんかでもその、不覚っていうと言えば難しいけど、
なんやろ、いろんな人とお仕事とかで営業みたいな、わからんけど、
浅く広くをめっちゃやらなあかんみたいなのって、やっぱちょっとしんどいなみたいな気持ちが昔からあって、
それで、なんやろ、
諸性非な感別師っていうのに昔ちょっとなりたかったです。憧れてた時。
何それ?
ちょっと話、ちょっとそれって、たまちゃんさんごめんなさい。
何?何?
初めて生まれるに鳥の非な感別師。
あー、はいはい。オス、メスとかやってる人が感別してる。
あれになりたかったやん。
あれって今は知らんけど、当時25までやって。
え、そうなんや。
不思議やろ。
なんでなんやろ。
いや、わからんのよ。
へー、不思議。
それはわからんのやけど、25までやって。
目がいいとかかな。
でもそれでも40ぐらいまでやったらいけそうやんな。
と思うねんけど、その時にすごい迷って、この諸性非な感別師の学校に行くか、大学院に行くか。
へー、そんなぐらいに迷ったんやね。
なんかその時はやっぱり、すごい需要があるんやって、どこでも。
へー。
諸性非な感別師って、世界中で。
あ、そうなんや。
で、そんなにさ、他の仕事って全部とは言わんけど、大抵の仕事やとさ、ポーランドで働きたいんやったらポーランドゴーみたいなさ、
やっぱある程度その現地の言葉っていうのが仕事の中で要求されるけど、諸性非な感別師はなんかここ、
なんかわからんけど、2000匹、何日いくらみたいな、最初に交渉して、でなんかそこに何ヶ月とかで住んで、そこで、
黙々と感別してればいいの?
そう、で黙々と感別して一人で、そんなプロフェッショナルな感じにもすごい憧れて、世界中いろんなところで働ける需要があるっていう。
だから七面鳥ができたらもう本当により広がるらしくて。
へー。
七面鳥食べる地域も多いから。
へー。
ヒヨコ、ニワトリのヒヨコと七面鳥やとオスメスの見分けるポイントが違って、七面鳥もやるんやったら七面鳥の勉強もせなあかん勉強、っていうのすごい迷ったんだよね。
なるほどね。でも25過ぎたらもうその道は閉ざされてしまうっていう意味で、確かに寂しいっていう感情に結びつくよね、それってね。
その寂しさっていうのはずっとでもなんかやっぱ残ってて、あの時諸性非な感別心になってたらどんな人生やったんやろうっていうのは、すごい未だに思う寂しさはやっぱりなんとなくともな。
でも諸性非な感別心にちょっとなりたいかはわからないんですけど。
たまちゃんが?
たまちゃんさんが。
なんかそんなことを個人的に思い出したりしつつ、おすすめしたい本、寂しい時、将来がわからなくて寂しい時におすすめしたい本として、私が一冊目としてあげたいのが、
この番組でも何回かご紹介している私の好きなノンフィクションライターさんなんですけど、たかのひでゆきさんの書かれた、語学の天才まで一億光年。
まずタイトルがなんか気になるタイトルの表紙も。
なんかすごい想定がめちゃくちゃ綺麗やな。なんかなんとなく宮沢賢治さんの銀河鉄道の夜みたいな雰囲気がする。
あ、そうそう。
宇宙みたいな。
たぶんもう語学の天才なんて、絶対たどり着けないっていう意味で一億光年って書いてて、その一億光年に寄せて、宇宙のイメージで想定してて。
で、一億光年もあるのに、たぶんこれたかのさんやと思うんですけど、手漕ぎ舟で漕ぎ出してるっていう。
無理やん。無理やん。
でもなんかそういう、そういう旅自体はなっていうのをなんかこの絵を読んでやっぱ思わせる本で。
で、これどういう本かっていうと、このたかのひでゆきさんって本人は辺境ノンフィクションライターとか名乗ってらっしゃって、
辺境、いわゆるほんとに、西欧の文明化がそれほど深く浸透していない、なかなか観光なんかで人が入ったりしないような、そこの土着の風土が残ってるような地域に行って、
誰も見たことのないような、そういうそこでの生活とかを体験を通して描くっていうようなスタイルで描かれているんだけど、そうなると、なんか英語がしゃべれればOKみたいな状態じゃ全然ないよね。
だから現地のそれぞれ地域、ここのこのテーマで描きたいってなったら、その場所でしゃべられている土着の言語をそれぞれ拙くも覚えていかないと受け入れてもらえないっていうか、話も聞いてもらえないし、何言ってるかわかんないっていう状態になっちゃうから、
それで通訳さんとかを連れて行くっていうこと、たまにはされてるけど、基本的にはあんまりされない方で、なので毎回毎回ここで何を調査したいっていうのを決めたら、言語を学ぶっていうのを繰り返してこられた方で、これまでに25以上勉強されてきたっていうので、
だから、たかのさんの本って基本的にテーマがあって、例えば、ミャンマーでアヘン作りを一緒にやってみるとか、
ぐっ飛んでるなぁ。そうそうそうそう、本当に誰も行かないようなところで、誰も行かないことをやるっていうのを体現されてる方なんやけど、今回はそういうのではなくて、そのための、
何やろう、道具って言ったらいいのかな、そのための必要なものとして、言語語学っていうのを学んでこられた経験っていうのを、言語っていうのを軸に自分のこれまでの、ある意味人生を振り返ってらっしゃるようなもんで、
で、なんかやっぱりその、何だろうな、その語学っていうのは、そのさっきの諸性非な勘別詩じゃないけど、どんどん自分の可能性が狭まっていってしまうなみたいな、自分の見えてる世界がクーッと狭くなっていってしまう感覚に対して、
すごいこう、新しい窓が、窓を開いてくれるものだなっていうのを、すごく感じていて、うまく言えないんだけど。
著者の経験
なんかその、言語を学ぶっていうと、やっぱりその私たち、中高大で英語教育を受けてきて、なんかすごいガリガリ受験勉強みたいな感じで、ちょっとやっぱつらいみたいな気持ちに、ちょっとなる方も少なくないのかなと思うんだけれど、
けっこうこの本でも印象的だったのが、この著者の高野さんは、早稲田大学の普通文化出身らしいんですよ。まあインテリです。
まあそうやね。なんだけど、これ全然今の状況と、また全然高野さん多分私らよりも10個以上上の方やから、全然状況違うと思うんだけれど、高野さん曰く当時は普通文化って人気なくって、
あ、そうなんよ。 成績の悪い奴がより集まる場所だったらしい。で、高野さんはもういろんなとこに旅行とか行ったりとかで、あんまり出席もしないし、まあ成績は良くないから、ほぼ自動的に普通文化だったと。
というわけで、で、なんかそれで普通文学って、でもなかなかやっぱり興味が持てないっていうような状況の中で、でも今後、アフリカの今後共和国に、そこにの湖で見られたっていう怪物が本当にいるのかっていう調査がしたいっていうので、
行かれたんだよね。その調査の過程で、今後フランス語を使う旧植民地で、フランスの地域なわけよね。それで、フランス語をフランスに行くためにじゃなくて、今後で自分のやりたいことを完遂するために、すごいもうがむしゃらに学ばれた過程とかが書いてて、
で、それで今後に実際に調査に行って、で、帰ってきて、で、そしたら、もうフランス語自体の見え方が変わったっていうふうにおっしゃってて、だからフランス文学で書かれてるフランス語はやっぱりわからんと。
というのも、それは現地の生活、現地の匂い、現地のフードが染み付いた言葉というか、表現にどうしてもなってるから、パッといい例が出ないけど、「カフェのテラスでどこ?」みたいなんと、やっぱりちょっとその、高野さんがアフリカで帰れた経験っていうのは全く違う。
パリの社交会とかじゃないやんか。でも、なんか今後で、現地の協力者の方のご親戚かな、なんか忘れたけど、フランス語で今後文学を書いてる方がいらしたらしくて、だから今後人の方がフランス語で小説を書かれてたらしくて、で、それをもらったんやって。
で、それを読んだら、でももう舞台が今後で、自分が見てきた、何ヶ月も滞在した場所やったから、全然もう、スラスラ読めて。あんなに苦しんでたフランス語が。
で、本当にそれがまた彼にとっても、やっぱり面白い本だったっていうので、それを翻訳勝手に誰にも頼まえをしてないのに。
で、確か日本の出版社から出版までされる。
すごいね。
で、それで、そういうような自分の興味をひたむきに追いかけるっていう方やから、やっぱり卒業が危ない。普通文化で卒論書いてないってなったんやけど。
その時に、あれあるやんと思って出したんだって、その本。自分が今後文学を翻訳したもの。
そしたら、これだけだと翻訳になるから、注釈とかつけてくれとかいうことは言われたらしいんやけど、それに対応して出したら、その年の最優秀賞だったんだって。
すごいね。すごいな。
だから、もともと本当に突破力のあるすごい方なんだけれど、その等身大のやっぱり、学校教育の中での普通文化っていう枠にはめられた時は、落台生だったっていうような生々しさとか、それですごい悩んでいた話とかもあって、
でもそれが言語っていう、語学っていうものの軸にある意味展開していく、考えもしなかった方向っていうのが、なんかこう一緒に体験してるような感覚になれたりして、
だから私も諸性非な勘別師にはなれなかったけど、だからこそある今の姿みたいのに勝手に思いをはぜたりして、した本ですかね。
サトゥーさんはどうですか?
そうですね。椿さんがね、小説じゃないものを持ってくるだろうと思って。
鋭い。
私は小説を紹介しようかなと思って。
2冊持ってきたうちの1冊が、あまりドストライクに、ドストレートにかな、ドストレートに将来がわからなくて不安だったり寂しいっていうことに対しての回答になってはないと思うんですけど、こんな本を持ってきました。
地下鉄の座示。レイモン・クノーさんが書かれていて、生田光作さんが訳されている小説ですね。
座示っていうのは何?
座示っていう女の子の名前ですね。カタカナで座示ちゃん。
名前ね。なるほど、なるほど。
っていうことですね。
どういうお話ですか?
地下鉄に乗るのを楽しみに、田舎からパリに座示っていう女の子が出てくるんですけど、でもフランスでストーが起こってしまってて、地下鉄が止まっちゃってるっていうので、地下鉄に乗れず、そのまま街でドタバタな2日間を過ごすっていう。
簡単に言っちゃえばそんなストーリーなんですけど、この小説のすごい得意なところは、すっごいオゲレツなんですよ。
タイトルがちょっと悩んだら、繊細な雰囲気すら感じるけど、そうなんや。
全然そんなことなくて。結構、いわゆる社会的に見れば、下って言われてしまうような、下層に属してるって言われてしまうような人たちがゴロゴロ出てくるんよね。
なんかこう、詐欺師みたいなことしてる人とか、あとその座示のおじさん、たしかおじさんだったと思うんですけど、おじさんがクラブっていうほど、たぶん整った場所じゃないと思うよね。
ゴチャゴチャのバーみたいなところで、女装をして、コミカルなショーをしてるみたいな。ような感じで、なんかとにかく設定が汽車列なんですよ、みんな。
キャラ濃いわけね。
キャラ濃い、キャラ濃い。しかも、アウトサイダーな人たちがゴロゴロ出てくるっていうか。
だからね、座示もその、いわゆるその、育ちが悪いって言われてしまうような家庭環境にいる子どもで、だからあの、ケツ喰らえっていう言葉が1ページに1枚ぐらい、1語ぐらい出てくる。その座示がケツ喰らえ、ケツ喰らえでずっと口癖として言ってる。
そういう本当に、その1ページの中に半分ぐらい放送禁止用語が入ってるような、相当オゲレツな小説なんですけど。で、なんかこう、なんていうのかな、語弊を恐れずに言うんだったら三問芝居みたいな、どんどんどんどんとんちきな芝居が繰り広げられていくような話で、
ドタバタドタバタ常になんかあっち行ったり、あっち行ってなんかもうなんか揉め事起こしてみたり、こっち行ってなんかトラブル巻き起こしてみたりみたいな感じで。
ドタバタ劇なんや。
ドタバタなんよね。で、ああそういう風になるんか、みたいなオチがあるんですけど。
なので、まあ、なんて言うんですかね、これをその将来がわからなくて寂しい時っていうので選んだのは、本の紅葉だと思うんですけど、どういう風に、自分で生きてるだけだと、そのだんだん思考回路がこうパターン化しちゃって。
で、こういうのもあるんや、ああいうのもあるんや、こういう生き方もあるんや、こういうめちゃくちゃな人もいるんや、みたいなことになかなか辿り着けなかったりするんですけど。
地下鉄のザジみたいな作品を見ると、あっこんな人も世の中におるんかもしれんなとか、こんな世界ももしかしたらあるのかもしれないなって思わせられると、なんか安心できる感じがする気がしていて、もうなんかザジがこんなこと言ってるんやったら、もう将来とかもうどうでもいいかなみたいな気持ちになれるというか。
なるほどなるほど。
そういう意味でお勧めしたかったですね。
確かにね、なんかその、この自分の生活の中だけですべて物事見ちゃうと、どうしてもこうこれしかないとか、こう生きないといけないみたいに、なんか無意識のうちに擦り込まれがちやけど、そんなしっちゃかめっちゃかパッパラッパーなんか、パッパラッパーっていうかわからんけど、なんかいいんやってなるのって結構ほっと息をつける時間になったりするよね。
そうなんですよね。なんかリクルートスーツを着て、面接を受けて、会社に就職する新卒で、みたいな、そんな枠なんてもう全くないような世界にザジの同情人物たちは生きてるので、
なんかそういう、なんか人間っていうのもあっていいんやって当たり前ですけど、そういうこともありやなっていうふうに思わせられて、そのちょっとこう、孤独感をちょっと癒してくれるんじゃないかなってことで選びました。
孤独を癒すエッセイ
なるほど。ありがとうございます。
椿さんでは2冊目はどんな本を選びましたか。
えっとね、これは実は100回記念の放送で、ライブ配信をやったんですけど、そこでもちょっと紹介した本でもあるんですけど、海からの贈り物、アンモローリンドバーグさんという方が書かれたエッセイなんですけど、吉田健一さんということが翻訳された新潮文庫版で私は読みました。
これがもう1950年代に書かれた本なので、70年以上前に書かれた本なんですけれど、この著者のアンモローリンドバーグさんが女性飛行士、女性パイロットの草分けで、だからまあいわゆる働く女性ですよね。
で、お子さんも何人かな、4人かな、なんか結構いらして。
だからその生活の中で、オットモリンドバーグさんって有名な、初めて確か大西洋単独飛行を達成したとかで、多分教科書とかにも載ってるような方なんですけど、飛行士パイロット夫婦で子育てというか、生活と仕事っていうのを両立させながら生きていくっていうような人生を送られた方で、
その方がちょっと孤独の、孤独というか一人で過ごす時間を必要だということで、どこでだったかな、ちょっと忘れちゃったんですけど、どこかの海辺のちょっと小屋みたいなのを借りて、そこで買い拾いをしながら、そんなに長い期間じゃなかったと思うんだけど1週間とか、
一人で過ごされた時に、つらつらといろんなことを、貝殻を拾ったりして、その貝殻の形とか、その貝殻の生き様っていうのを起点に、随筆というか随走を進めていくっていうような内容で、だからその、なんだろうな、すごい、それぞれのその章のタイトルが貝の名前になってるっていうところもあって、
ちょっとなくその全体に磯の香りが、海の音が聞こえるような、その海の雰囲気っていうのもあって、それも私、この本の好きなところなんですけど、その内容が本当に、あれなんですよ、すごく薄い本なんですけど、70年も前に書かれたと思えないぐらい、やっぱりその、普遍的な悩みを、
語ってるんですよ、女として、子供を育てるながらの、やっぱり飛行士っていうのは、今とはまた一段二段違う苦労が、当時はあったんだと思うけど、それでもやっぱり同じようなことに、
女性としてのそういう難しさのある中での生き方が、すごい優しい文章で綴られていて、で、あの、印象的な自分が、なんか私たちの生活っていうのは、すごい煩雑で気が散るものであると、そんな中でどうやったら自分が自分であり続けることができるのかっていうのが、まあだから大きなテーマになってて、
それについて、こういろいろとつらつらと思いをめぐらされてるんだけれど、そのもの静かに、海辺で一人波の音を聞いて貝を拾いながら、自分自身と対峙してる感じっていうのがすごい、なんやろうな、今の私たちにも通ずることを、
80年前からまあ変わってないんだじゃないけど、なんかその本当に時代を越えて、その、アンモローさん、アンさんと一緒に静かに語り合ってるような気持ちになれて、なんかそういう意味でもなんか、時代を越えて同じこと同じような、普遍的な問題について、つらつらと静かに考える時間を持った、
女性と並んで海の音を聞きながら静かに話をしてるような、そういう意味でのなんか寂しさが紛れるっていうか、癒されるような本かなと思いました。
直接的な孤独への対処
なるほど、なるほど。
なので多分、いろんな本当に彼女の随走が、多分読むタイミングとかにもよってずっと変わるようなものかなと思うので、手元に置いてまた私も10年後とか読み返してみたいなと思うような本ですね。
なるほど、なるほど。
さちゅうさんはどうですか?
そうですね、あともう一冊持ってきたのは、これはもう本当に直接的に寂しさを感じた時に読んだらいいっていうふうにお勧めしているもので、それからはスープのことばかり考えて暮らした。
スープ。
はい、吉田敦彦さんの小説ですね、こちらも。
吉田敦彦さん、さちゅうさん何回か、きっと。
確か何か紹介したような気がする。吉田敦彦さんはクラフトウェビング紹介っていうご夫婦でやられているユニットで本も出されてて、それは想定家、ブックデザイナーとしての魅力を生かしたような面白い本を何冊か出されてたり、写真集みたいな何とも言えない本を出されてたりとか、
あとチクマプリマー新書っていう、チクマ新書の10代版、10代向けに書かれている新書があるんですけど、その新書って基本的に値段を抑えていろんなシリーズを出すっていうのが新書なので、
ブックデザインで同じなんですよね、レーベルみたいな感じで合わせてるんだけど、
でもチクマプリマー新書は一冊一冊想定が違っていて、
そっか。
そうなんですよ。その想定を吉田津寛さんは全部担当されているっていうブックデザイナーさん。
チクマプリマーもいい本多いですよね。
多いですよね。だからそのブックデザイナーでもあるし、こういうふうに小説を書かれてもいるっていうことで、確かクラフトエビング紹介を何回か紹介した覚えがあります。
で、このそれからはスープのことばかり考えて暮らしたっていう本は、えっとね、月読み帳やったかな、月船帳かな、月船帳シリーズ3部作みたいなことを言われてて、
何冊か出てる。つむじ風食堂の夜。それからはスープのことばかり考えて暮らした。レインコートを着た犬。つむじ風食堂と僕。
これ4部作になっちゃうけど、つむじ風食堂と僕はプラスアルファーのおまけみたいな感じで。で、同じ、月船帳っていう同じ舞台の中で全然違う人が出てきたりとかする話だし、結構そういうのが好きでさ。
軍蔵みたいな。
軍蔵だし、その世界線がこう、違う話でこうミックスされてるとか、同じ世界線の同じ街の中で違う話が展開してるみたいな構成が好きで。
なんかリアリティがあるよね。隣にその月船帳があるみたいな。
そうそうそう、そうなんですよ。そう、だからこの月船帳が本当に隣の隣の隣の区とかに。
ね、なんかバスで行けるみたいな。
バスで行けるとこにありそうな、なんかそういうリアリティがある、あの、登場人物を作るのがすごく吉田さんはうまくて。
なので、そのなんとなくこの本って、なんか夜一人で読むのが似合うような感じがしていて。
夜に一人でこの本を読みながら、ああ、もしかして本当に隣町にこの月船帳があるかもなって。
この登場人物が本当に実在しているのかもなって思わせてもらえて、ホッとするというか、ちょっと孤独が癒えるみたいなところがあるんですよね。
で、それからスープのことばかり考えて暮らしたは、男性が主人、青年が主人公で、まあそれが主軸にはなってはいるけど、いろんな登場人物が出てきて。
その登場人物との関わりも面白いし、群像劇ってまでは言わないのかもしれないけど、いろんな人が出てくる、そのそれぞれの人が魅力的なので。
なので、なんかこんな人たちが本間におったらいいし、本間におるんちゃうかなって思わせてもらえる意味で。
で、まあその登場人物たちがいろんな生き方をしてたりとか、いろんなバックグラウンドがあったりするので、将来が不安だったり寂しいなって思っているときに読むのすごくいいかなと思って、この本を紹介しました。
読書のすすめ
たまちゃん なるほど、なかなかあれですよね、滝に渡る、本当に4冊になったんじゃないかなと思います。
たまちゃん そうですね、はい。
たまちゃん もちろん寂しさとか不安とかを感じるタイミングでもですけど、きっと2人それぞれ、これはいつ読んでも面白いっていう気持ちもあると思うので、ぜひぜひ、たまちゃんさんはもちろんですけど、他の方も読書の参考にしていただけると嬉しいなと思います。
たまちゃん はい、それでは来週も楽しみにしていただければ幸いです。
たまちゃん 良い読書体験を。
たまちゃん 良い読書体験を。
本の虫のすすめでは皆様のご質問ご感想をお待ちしています。取り上げてほしいトピックも随時募集中です。
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