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この番組は、絆を紡ぎ、ほくとを前へを合言葉に、市民の皆さんと一緒に、イベント情報など、北都市の魅力を発信します。
今回も先週に引き続き、大和神楽保存会会長の田中隆さんにお話を伺っていきます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
神楽奉納の心構えと準備
先週、大和神楽保存会の話を色々と教えていただきましたが、またその続きとして、今日もお話を伺います。
神様へ奉納するのが神楽だということですけれども、奉納する舞を舞う時、どんなお気持ちで舞っていらっしゃるんですか?
はい。10月の霊体祭に向けて、毎年9月になると練習がほぼ1日おきに行われます。
練習を始めると、通常の生活とは違う制約を守ることに努めます。
例えば、普段から体をきれいにしておく、普段きちんとした服装をする、普段言葉遣いや動作を正しくする、汚れを避けることなどに気を配ります。
そして奉納当日は、人ではなく神様になって舞を奉納します。
例えば、直来という言葉があります。霊体祭当日は、全ての舞を奉納した後に、直来をします。
直来とは、お供えしたものを下げていただくという意味もありますが、神様から人に戻る、直るという意味もあります。
神様に見せる、神様に奉納するという意味ですが、自分自身も神になるということですね。
そうですね。
ですから、その前からきちんと自分の汚れをなくしていくということが必要になってくると。
神楽衣装と面の保存
知らなかったです。凄い準備段階から、なかなか皆さん頑張って、準備も時間をかけてやっていらっしゃるということですよね。
そして、衣装とか、面というんですか、表というんですか、顔につける面、ああいったものの保存もなかなか大変ですよね。
はい。何と言っても、衣装は特別性です。
現在使っているものは、どうやら高度経済成長期に、役員の方が多額の現金を持って京都まで買いに行ったと聞いています。
その場で衣装を見て、どれにするか判断し、選んで買ってくるわけですから、責任重大だったようです。
衣装は、金の糸や銀の糸で織り込まれた豪華絢爛なもので、手作業で作られるので同じものは一着もありません。
このため、とても貴重なので、代々大切に扱われ、今は毎年7月に虫干しと言って、湿気やカビ、虫による被害を防ぐために、
衣類を風通しの良い場所で一定時間、乾燥させる作業を行っています。
その時に京都で買い付けた衣装を、今もずっと大事に使っていらっしゃるということなんですね。
はい。やはり豪華できちんと作られているものなので、年数が経っても、買ってきた当時そのままのものと見間違えるほどです。
韓国・抱川市での神楽公演
昨年は北都市の姉妹都市である韓国のポチョン市でも、おかぐらを披露したそうですよね。
はい。大変光栄なことでした。
北野天神社で地道に取り組んできたかぐらが評価され、文化交流事業の一員としてポチョン市を訪問する機会に恵まれたことは嬉しく、またとても感謝しています。
ポチョン市は、ソウルから北に向かい高速道路で1時間ぐらいのところに位置し、人口約15万人の都市です。
昨年の10月中旬に現地でポチョン市民の日が開催され、多くの市民が集まり、1日中にぎやかに地域の文化や伝統を祝っていました。
この時、私たちは主催者発表で1万8千人の前でかぐらを披露しました。
本番前に約1時間、最終的な練習をして本番に臨みました。
笛や太鼓のお囃子の道具を持って行くことができなかったので、韓国に行く前日の夕方、仕事を終え都合がつく会員が急遽集まってお囃子を録音し、当日はその録音に合わせて舞を披露しました。
韓国の舞踊は特にリズムカルな音楽に合わせて踊る、ジャンプする、回転する、広く移動するなど動きが活発なので、これに比べると私たちが披露したかぐらは全く違うものだったので、大変好評だったと感じました。
一万八千人の前ということですけれども、普段はここまでは多くないですよね。
そうですね。北野天神社の境内、これほど広くはないんですが、そうは言ってもここ数年、徐々に霊体祭当日、足を運んでくれる方々の数が増えているのは事実です。
私、今目の前にポチョン市の時のお写真を見せていただいていますけれども、随分都会で雰囲気が近代的な町なんですね。
そうですね。
ここでかぐらを披露したということで、たぶん現地の方たちもすごく新鮮な思いで見られたんじゃないのかなと思います。
地域との交流と神楽の役割
では、今日ここでまた一曲おかけしたいんですけれども、今日はどんな曲になりますか。
舞の陰陽の時に使う曲です。
お聴きください。そしてこのかぐらの上演を通じて地域の方々との交流も行われているわけですよね。
かぐら奉納は、地域のうじこの皆様を代表して神様に感謝するということを表しています。
ここ数年、地域の方々から励ましの言葉をいただくたびに、地域の方々の楽しみの一つになっていることを感じます。
昨年は霊体祭当日に保存会を引退した大先輩が急遽駆けつけ、舞に合わせて太鼓を力強く打ち続けてくださいました。
かぐらは地域の方の生きがいにもなっているんだなということを感じました。
この地域においてかぐらが持つ役割、それから意味、どんなふうに感じていらっしゃいますか。
かぐらは神様への感謝の気持ちを表すもので、これまでの農業を中心とした社会においては、このことが非常に重要な役割だったと思います。
しかし農業主体の社会から工業社会、情報社会へ変化し、今後ますます急速に社会が変化すると言われています。
このような状況を踏まえると、かぐらには本来の役割とともに、時代に応じた新たな役割も求められてくるのではないかなと思っています。
未来への展望と課題
時代に応じた新たな役割ということで、未来への展望を聞かせてください。
一つは、世代への技術継承において取り組んでいることがあります。
現在、子どもかぐらを発足させて、子どもたちが練習に励んでいます。
町内の小学生7人がメンバーになり、3年目を迎えています。
上手に舞う子どももいれば、太鼓の叩き方が大人顔負けの技術を身につけている子どももいます。
今でも何か課題はありますか?
3つほどあります。
一つ目は、正当派の舞、言い換えると正しい舞を継承していくということです。
かぐらの継承は、口伝え、見よう見まねです。
受け継いで練習していくにつれて、動作が微妙に変化したり、舞手が自分流にアレンジしてしまったりします。
このため、保存会を引退した先輩方から直接指導していただくような機会を作っています。
また、技術継承のために取り組んでいることは、笛や太鼓、舞を上手になりたいという希望者が集まって練習に励んでいることです。
これは毎月第一土曜日の夕方に2時間程度の時間をかけて行っています。
続いて課題の2つ目は、保存会の存続です。
会を存続させるには、人に加入してもらわなければなりません。
このため、人と人とのちょっとした出会いとかきっかけを大事にしています。
これまで加入した人のきっかけは、移住してきたときに保存会の人から声をかけられた。
また、霊体裁のときに奉納を見て関心を持ったので、保存会の会員に話を聞いてみた。
あるいは、もともと吹奏楽器を持っていたので、神楽のしの笛に興味を持ち、知り合いの保存会の人に声をかけてみた、などです。
このようなちょっとした出会いが糸口となり、新規加入者の獲得につながっていると思います。
3つ目の課題は、活動予算の確保です。
現在は、霊体裁当日の玉串寮、そして小別波町地域委員会の補助金、
さらに北都市教育委員会学術課の補助金で活動費を賄っています。
しかし年々処刑費が上がり続けているので、やりくりがとても大変な状況です。
ですから、適正な支出に努めています。
さまざまな課題はあるとは思いますが、10年後、20年後、さらにもっと先まで、この神楽をどのような形で残していきたいと思っていらっしゃいますか。
10年後、20年後という先の見通しというと、非常に難しいと考えますが、
今の保存界を残していくということが必要です。
しかも、しっかりしたものにして残しておくことが必要だと思います。
なぜなら、今の保存界が将来の保存界を作ることになると考えているからです。
200年以上続く伝統ですから、この先もずっと続いていってほしいと思います。
頑張りたいと思います。
番組の締めくくり
田中さん、2週にわたってありがとうございました。
ありがとうございました。
北都を前へ。
この番組は、北都市の提供でお送りしました。