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辞める理由も、残る理由もあった /先生の人生ノート
2026-10-25 14:48

辞める理由も、残る理由もあった /先生の人生ノート

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辞める理由も、残る理由もあった /先生の人生ノート。
先生が今の保育園で働き始めて、もうすぐ10年になります。
10年勤続すると、少しだけ報奨金が出るそうです。
それから、やたら豪華な賞状も届きます。
噂によると額縁まで付いてくるらしい。
でも、家に飾っても別に何の名誉でもないし。
それに部屋の雰囲気にも合わない。
以前、これ保育園に飾ってくれます?と聞いたこともありました。
笑ってあしらわれました。
ちなみに、5年勤続でもらった賞状は、もう捨ててしまったそうです。
では、10年目の賞状はどうするのか。
うーん、わからない。
折ってクリアファイルに入れるくらいかな。
額縁は多分捨てる。
10年。数字だけを見れば、一つの職場で長く働き続けてきた一つの節目です。
でも、あさみさんは最初から、この縁で10年働こうと決めていたわけではありません。
むしろ、その途中では何度も辞めることを考えてきました。
辞める理由もあった。残る理由もあった。
どちらか一つを選べないまま、その時その時で考えてきました。
気付けば10年、今日は辞めるなら今か。
そう考えながらも、その度に何かを選び、今の場所に残ってきたあさみさんのいくつかの分岐点をたどります。
その始まりは、今とは全く違う理由で、ここではもう働けない、そう思った時でした。
今の縁に来る前、あさみさんは別の縁で働いていました。
その頃、しんどかったのは仕事の量だけではありませんでした。
現場では人が足りないと感じていました。
助けてほしい、このままでは難しい、そう伝えても帰ってくるのは人員を満たしている、という答え。
それでも求められる保育の質は下がりません。
困った時には頼られる、でも何かあれば責任を負うのは自分。
あさみさんの中に少しずつ不満が積もっていきました。
伝えても伝わらない、頼られているようで都合よく任されているだけなのではないか。
最後はもう嫌になりました。
次の職場を探す時、あさみさんが優先したのは給料ではありませんでした。人間関係です。
多少給料が下がっても、ちゃんと周りと話せる場所で働きたい、そう思って今の縁を選びました。
そして最初の給料日、明細を受け取り、その場で金額を確認します。
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はあ、もう一度見る、これだけ?
前の職場より明らかに少ない、全職の収入を元にした税金の影響もあり、
手元に残る金額は想像していた上に少なくなっていました。
趣味のお金、少ししかないじゃん。
人間関係を優先して選んだ職場で、今度はお金が気になり始めました。
転職したら全部が良くなるわけではない。
一つを優先して選べば、別の何かが気になることもある。
朝見さんの今の縁での時間はそんな始まりでした。
今の縁に入った時、朝見さんはまず3年は働こうと思っていました。
その3年を超えた頃から、転職は何度も頭に浮かぶようになります。
一番気になっていたのは給料でした。
最初の給料日に、はあ、これだけ?と思ったくらいです。
次に職場を変えるなら、同じ失敗はしたくない。
求人を見る時も、今度は給料をかなり細かく見るようになりました。
月給だけではありません。年収を見て電卓を出します。
ここから税金や保険料が引かれたら、実際に残るのはいくらなのか、計算してみる。
あれ?もう一度計算する。そんな変わらないな。
求人票では今より良さそうに見えたはずなのに、手取りまで考えると思ったほど変わらない。
そこで手が止まります。
当時の朝見さんは、保育士として収入を上げるなら、
役職を上げるしかないと考えていました。
今の縁で上を目指す。
それが難しいなら、もっと早く役職に就ける縁へ行く。
実際、4年目には異動と同時に、今より一つ上の役割になる予定もありました。
けれど、その年、朝見さんは体調を崩して休職します。
異動はなくなり、役割が上がる話も一旦なくなりました。
復帰した時、すぐに転職はしませんでした。
休職中も気にかけてくれた園長がいたからです。
この園長がいる間は、ここにいようかな。
そんなふうに思いました。
やがて、その園長は退職します。
じゃあ、朝見さんも辞めたのか。
辞めませんでした。
それはなぜか、朝見さん自身も分かりません。
また一つ、自分の中で決めていた区切りを超えていました。
給料だけを見るなら、転職した方がいいのかもしれない。
そう思う時は、その後もありました。
求人を開く、条件を見る、電卓を叩く。
でも、オーバーするところまでいかない。
06:02
朝見さんが最後に気になってしまうことがありました。
新しい職場に行ったら、全部一からになる。
今の園なら、朝出勤した時に、まず何をすればいいか分かります。
行事の進め方も、書類の出し方も、園独自の決まりも、いちいち確認しなくていい。
何かあった時、誰に聞けばいいかも分かります。
そして何より、一緒に働く人を知っています。
最初の職場を辞めた理由は、人間関係でした。
だから、ここだけは朝見さんにとって小さなことではありません。
新しい園の給与は、求人表を見れば分かります。
手取りもある程度なら計算できます。
でも、そこで一緒に働く人がどんな人なのか、
困った時にちゃんと話を聞いてもらえるのか、
それは入ってみないと分かりません。
次の園が今よりいい保証もないしな。
画面の中には条件が並んでいます。
でも、朝見さんが本当に知りたいことは、そこには書かれていませんでした。
給料を上げたい。でも、また人間関係でしんどくなるのはいや。
今の園に残れば、そこは分かっている。
その代わり、給料への不満は残る。
どちらを選んでも、全部は取れませんでした。
では、人間関係が良かったから朝見さんは残り続けたのでしょうか。
それだけでもありません。
本人に聞くと、かなりあっさりした答えが返ってきます。
だんだん転職するのがめんどくさくなった。
求人を探して、条件を比べて応募する。
職場が変われば、また仕事を覚えるところから始まる。
場合によっては、生活する場所まで考え直さなければならない。
そこまで想像すると、もういいかとなる。
そんな日もありました。
朝見さんは自分のことを、やめ時を逃したと言います。
でも、その言葉を後悔しているようには話しません。
かといって、9年続けたことを誇らしそうに語るわけでもありません。
本当にそのままです。
やめようと思った、でもやめなかった。
またしばらく働いた。
給料が気になって求人を見た。
結局応募しなかった。
そうしているうちに、9年目になりました。
キャリアの話をすると、
なぜその道を選んだんですか?と聞かれることがあります。
そこに立派な理由がある人もいます。
でも朝見さんの場合は、立派な理由があったわけではありません。
本音は面倒だった。
今の人間関係を手放すほど、次の職場に魅力を感じなかった。
09:04
その時はそれで残った。
9年続けようと決めた日は、一度もありませんでした。
それでも給料への不満が決めたわけではありません。
福利厚生を見ても、朝見さんの感想は、
しょぼい。
だから、これからの働き方を考えること自体をやめたわけでもありません。
ただ、以前と今では少し変わったところがあります。
前は、保育士として収入を増やしたいと思ったら、
役職を上げることを考えていました。
就任になる。その先を目指す。
今の縁で難しいなら、もっと早く上へ行ける場所を探す。
でも今、朝見さんに、これから役職を上げていきたいと聞くと、
そこまで強くは思っていません。
保育は続けたい。子供と関わる仕事も好きです。
できれば、体力が続く間は保育士でいたい。
ただ、そのためにずっと同じ働き方を続ける必要があるのか、
そこはわからなくなってきました。
正規職員でなくなる時が来るかもしれない。
生活が変われば、仕事に使える時間も変わる。
以前は、保育士を続けるなら、どの縁で働くかを考えていました。
今は、保育を続けながらどう働くかを考えるようになっています。
似ているようで少し違います。
縁の中で上を目指すことだけが次ではない。
今まで保育士としてやってきたことを、別の形で生かす道もある。
そう知ってから、朝見さんの中にある選択肢は以前より増えました。
だからといって、これからの働き方が全て決まったわけではありません。
でも、給料を上げたいなら、もっと上の役職を目指すしかない。
そう思っていた頃とは、少しだけ見えている景色が変わりました。
そして今、朝見さんは9年目にいます。
来年度は10年目。
ここまで聞くと、じゃあこの縁が好きなんですね、と思うかもしれません。
でも、そう聞かれると多分少し困ります。
給料は今も気になります。
福利厚生も正直、しょぼいと思っています。
求人を見ることもあります。
もっといいところあるんじゃないかな、そう思うこともあります。
でも、明日からもう行きたくないほど、今の縁が嫌いなわけでもない。
一緒に働く人たちには恵まれています。
保育も嫌いになったわけではありません。
むしろ保育士は、できるだけ続けたいと思っています。
12:01
だから難しい。
ものすごく嫌なら、辞める理由になる。
ここしかないと思えるくらい好きなら、残る理由になる。
朝見さんは、そのどちらでもありません。
辞めようかな、と思いながら、次の日になれば、いつも通り出勤する。
子どもたちと過ごして、先生たちと話して、1日が終わる。
そうすると、まあ今日はいいか、となる。
でも、給料日が来たり、ふと将来のことを考えたりすると、また思います。
このままでいいのかな。
以前は、収入を増やしたいなら、役職を上げる。
それが難しいなら、もっと条件のいい縁へ行く。
そんな風に考えていました。
でも今は、少しだけ考える範囲が広がっています。
保育士は続けたい。
今の縁も、杉野辞めると決めたわけではない。
その一方で、今の働き方だけに頼らないために、新しいことにも少しずつ取り組み始めています。
辞めるか、残るか。
前はその2つの間で考えていたけれど、今はその間にもできることがあると、少しずつわかってきました。
だから朝見さんは今、答えを待っているわけではありません。
まだ迷いながら、自分にできることに一つずつ挑戦している途中です。
来年度朝見さんは10年目を迎えます。
では、その先はどうするのか。
11年目は?
そう聞くと答えは、わからない。
今の縁を辞めると決めたわけではありません。
ずっとここで働くと決めたわけでもありません。
でも、以前のように今の縁に残るか、別の縁へ行くか、その2つだけを見ているわけでもありません。
保育士は続けたい。その気持ちは持ったまま、これからの自分にできることを少しずつ増やしている。
それが今の朝見さんです。
辞めたいほどではない。でも、このままで大丈夫とも言い切れない。
もしあなたにもそんな瞬間があるとしたら、今の場所を離れるかどうかを決める前に、あなたにはどんな道があるのでしょうか。
先生の人生ノート。今回は保育士朝見さんの辞める理由も残る理由もあった。
正解がわからないままでも朝見さんは一つずつ挑戦しています。
あなたのノートには今どんな道が見えていますか?
教えてくださいね。
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