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  2. #46【青空文庫】月謝の袋を失..

村山籌子「月謝の袋を失くしたあひるさん」

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Murayama Kazuko titile:Duck who lost his monthly fee bag

00:01
月謝の袋を失くしたあひるさん、村山和子。
あひるさんは泣きながら学校から帰ってきて、お母さんに申しました。
お母さん、先生からいただいた月謝の袋を落としたの。先生に叱られると嫌。
お母さんはおっしゃいました。
あひるさんや、鞄の中を調べてなかったら、あした先生によくお話をなさい。そして、おやつの牛乳を下さいました。
けれども、あひるさんは一口も飲みません。あひるさんや、さあ、お飲みなさい。
心配をしないで。とても温かくて、うまい牛乳ですよ。
と、お母さんはあひるさんの口に牛乳の瓶を押しつけました。
すると、あひるさんは牛乳の瓶をはねとばしましたので、せっかくの牛乳が半分こぼれました。
そして、あひるさんはベッドの中へもぐりこんで、
お母さん、今すぐ月謝の袋を見つけてください。
と、わあわあ泣きわめきました。
お母さんは家中を探しましたが、月謝の袋は出てきませんでした。
あひるさんはベッドの中で涙でぐっしょりになって、
ああ、私が月謝の袋屋さんだったら、私はどんなに幸せだったろう。
私はこんなに心配しないでも済んだのに。
そして私は月謝の袋をなくして、心配で心配で泣いている世界中の子どもに一枚ずつただであげるのに。
と思いました。
けれどもあひるさんは月謝の袋屋さんではありません。
本当にかわいそうなあひるさんです。
ところが、その晩は大変よいお月曜でした。
学校の先生のカラスさんは散歩に出かけてあひるさんの家の前を通りかかりました。
あひるさんのお母さんは先生に申しました。
先生、うちのあひるさんは月謝の袋を落としたと言って泣いてばかりいて牛乳も飲みません。
カラス先生はベッドの中へ潜ってしまったあひるさんをベッドから引き出して申しました。
月謝の袋はあしたあげますから早く牛乳をお飲みなさい。
03:00
そこであひるさんはやっと泣くのが止まって、今度はそれはそれはうれしそうににこにこと牛乳を二本半とご飯を四杯も食べてベッドの中へ入ってあしたの朝までぐっすりと眠りました。
安心してください。
03:24

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