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  2. #119【青空文庫】民芸品の部屋..

芥川沙織「民芸品の部屋で・我々はメキシコ美術をこうみる」

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Akutagawa Saori title:In the Room of Folk Art: Our View of Mexican Art

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民芸品の部屋で、我々はメキシコ美術をこうみる。
芥川沙織。前に珠代の絵を美術雑誌の原色版で見て、そのまか不思議な色彩に酷く惹かれました。
それ以来、私は何が何でも珠代のファンになってしまいました。珠代のよく使う発光したような異様な黄色や紫や桃色に
惹きつけられたのです。今度のメキシコ展で、民芸品の部屋に足を踏み入れると、私は
これだ珠代の色は、と思いました。
民芸品の切り紙も人形も、みな珠代のあの魅力的な紫色や桃色なのでした。
これはメキシコの現代絵画のすべてに言えることなのですが、何千年も昔の土偶の形態も、
民芸品の粘土の人形の色も、みな現代絵画の中にそのまま生きていて、彼らの激しい力と情熱を語る強力な言葉になっているのです。
全くメキシコの絵画は、彼らの言葉で、彼らの問題を精一杯に叫んでいます。
それ故に、メキシコの絵画はメキシコの国の誇りとなり、メキシコ人すべての誇りとなっているのだと思いました。
私はメキシコの作家たちが、大きなビルの外側の巨大な壁面に思い切り腕を振って壁画を描いていることを、心から羨ましく思います。
国と国民の生活と作家が、こんなに密接につながっている国を素晴らしいと思いました。
日本の現代絵画は、日本の国や日本の多くの人々とは何の関係もないところで描かれているということが、私には間違ったことに思えるのです。
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