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2023-05-01 02:11

#88【青空文庫】椎茸の話

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北尾氏魯山人「椎茸の話」

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Kitaouji Rosanjin titile:about shiitake

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椎茸の話
北大路三陣
どこの国、いずこの地方に行っても、お国自慢というものがある。
歴史、人物、料理、産物など、時に応じ、人によってお国自慢の仕方も違う。
生椎茸を例にとるなら、やはり例外でなく京都の人は、
京都の生椎茸はどんな問題、と誇りがましく言うし、地方の人も、
お国の山の椎茸は必ずしも京都に劣らぬ、と負けてはいない。
生椎茸に限らず、他のどんな産物でも、時間を少しでも経過したものは、それだけまずくてだめだ。
お国自慢をする人は、それぞれみな取り立てを食べているから、古いのと比べてみて、そういうのだろう。
どんな椎茸でも、古くなってはだめで、新しいものでなければいけない。
しかしそうは言っても、大分県あたりで採れる椎茸は実に見事で、日本一と叫んでもいいだろう。
大分の椎茸は本当のシイの木にできた椎茸なので、
かさが黒く、なめらかで、香りや味がすばらしい。
関東で賞味している椎茸は、実はシイの木にできたものではなく、くぬぎの木にできたものだから、本当にうまいとは言えない。
椎茸のかさは、そのできる木の皮に似る性質があるので、
くぬぎの木にできた椎茸のかさは、くぬぎの皮と同じようになっており、
シイの木にできた椎茸は、シイの皮に似ている。
さてくぬぎ椎茸だが、これは噛みごたえがあるという特徴はあるけれども、
シイの木にできた椎茸のように香りがない。
所詮、シイの木にできた椎茸に勝るものなしと言えよう。
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