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天ぷらの茶漬け 北大路三陣
天ぷらの茶漬けは脂っこいもので、脂っこいものの好きな方に好かれるのは無論である。
揚げたての天ぷらを茶漬けにするのは元より差し支えないが、本来、天ぷらの茶漬けは古い天ぷらの利用にある。
昨日の残りの天ぷらだとか、一旦冷え切ったものを生かして食う食い方である。
それには、まず火鉢に網をのせ、一旦天ぷらを火にかける。
幾分焦げができるくらいに火をあてる。
それを、熱い飯の上にのせ、塩を適宜かけるのである。
前にマグロの茶漬けで話したように、
濃いめの熱いお茶を、
ご飯の量は、自らの腹具合に相談して盛ったらよい。
ただ、ここに注意すべきは、
天ぷらの茶漬けは甘いものを嫌うがゆえに、天ぷらのつゆをかけてはならぬ。
必ず、黄醤油か塩をかけるべきである。
大根おろしは、自然なものほどよく、
辛い大根があれば、なおさら具合がいい。
要するに、
天ぷらの茶漬けは、残った天ぷらを生かして食べる方法である。
炙るため、油がこなれ、香ばしくて意外においしいものである。
材料になる天ぷらが良質なものでなければ、
おいしくならないことは、言うまでもない。