00:00
毎度黙れヤドロク、ヤドロクでございます。
元気?元気だったらええねんでということでございまして、
本日のところ、しばらくの間お付き合いを願うのでございますが、
神さんというものがまあ昔から考えますと言うと、数が減ったように思うのでございます。
昔はたくさんの神さんがおられましてね、どこにでもおられたんでございますよ。
山には山の神さんがおられますし、川には川の神、海には海の神、土地には土地の神、村には村の神というふうにですね、
家には家の神、台所には台所の神、こっちのなんとかの間にはなんとかの間の神というようにですね、
どこにでも神さんがおられたんです。草木にも草木の神がおられたわけやし、
動物には動物の神がおられた。もうあの神さんだらけやったんでございますね。
それがこの頃あんまりそういうこと意識せんようになりましたが、
私の親父言うたらね、神さんにあんまり興味ない方なんですよ。
ほんまにどこの神社行っても誰が手合わせてても横で知らんふりするような男やったんでございますが、
まあそんな息子なんですけども、うちの祖母、おばあちゃんですね。
おばあちゃんなんか言うのはね、なぜかキリストの神さんというんですか、キリストさんって言うてましたけど、
そこの教会に長距離足を運ぶって。おばあちゃんなんでやって聞いたらね、
身寄りのない子供を育ててる人らがおると、このキリスト教というのには。
私それはええことやなと思うねんというようなことでね、なんでかなというように考えたら、
うちの祖母というのは子供の頃にそういう思いをしたんでしょうな、そんなのがあります。
まあ細かい話はオールドというんですか、私のダマレアドロクオールドスタンドFMの方にね、
ありますからそこでおばあさんの話も出てきましたからね、南北ハロタラ聞けますよというようなことでございます。
宣伝もええところ、まあそういう神さんのおられるというようなことでございましてね、
いろんなところに神さんおるなあ言うて、いうわけでございますよ。
ええ、そうでしょ、もうほんまに矢をよろずというんですか、そんな感じですね。
ポッドキャストにもポッドキャストの神さんがおるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
行ってるかいな。
お、準備はんですか。
こっちは入っとくなアレ。
入っとくなアレやらへんで。
家主さん。
家主さんやらへんがな。
どんならんでほんまにもう。
また嫁に逃げられたちやないかい。
どんならん。
また嫁に逃げられたって。
あなたね、言うときますけどね。
自慢やおまへんけどね。
私が嫁に逃げられたっていうのはね、
二遍や三遍やおまへんで。
おかしなこと自慢すんじゃないがな。
どんならんでほんまにもう。
今度のお前あの、お咲さん。
なかなかようできたお人やったやないかいな。
あんな人に逃げられるなんてよほどのこっちゃで。
どうしたんや。
03:00
ちょっと訳言うてみなアレ。
それでね。
これはぜひともあんさんに聞いてもらいたいと思うんです。
言うてみなアレ。
どんならんのです。
私寝てたんでさ、朝。
ほんなら私の枕もってお咲が座りよってね。
いつまで寝たんね。
早いこと起きて仕事行きなアレと。
こんな大胆なこと言うんですって。
何言うてんね。
何が大胆なことあるかいな。
嫁さんとして当たり前のことじゃないか。
当たり前のことですけどね。
私今日ちょっと頭が痛かったんでね。
ちょっと頭痛いね。
今日休みたい。
何を甘えたんね。
ぐずぐず言わんと仕事行きなアレ。
私が被ってる布団をシャーッと。
そりゃあいかん。
そりゃあいかんやないかい。
無茶したどんならん。
話両方聞かんなんていうのはこういうこっちゃで。
知らないかいな。
男っちゅうもんは年から年中働いてんね。
一生懸命働いてんね。
一日はそこらほの休みっていうこと当たり前のこっちゃ。
これはお咲さんがいかん。
あら、お咲さんがいかんぞ。
いや、あのね。
あんまり大きな声出しなあんだ。
いいえ、そこでねけどね。
それも今日一日だけのことなら、
お咲もあんなことは言わなんだらんやろうと思うんです。
ぼちぼち話がややこしなってきたやろう。
今日一日と違うんかい。
昨日はお腹が痛い言うてね。
二日もかい。
一昨日は腰が痛い言うてね。
三日もかいな。
先ほととし、え?
先ほととし言うことがあるかん。
先ほとといや。
先ほとといでんね。
どのくらい?
ざっとまあ二月ほど。
お前なんかい。
二月も仕事いかなんだんかい。
よぉ、そんなえいかげんなことを。
お咲さんよぉ、
二月も辛抱したもんや。
家主さん、そなん言いますけどね。
私も偉かったんですよ。
何が偉い。
何が偉い言うたかてあんた。
毎日毎日でしょ。
言い訳しようかいなと、
考えるのが偉かったん。
あほなこと言うてないやんな。
よぉ、二月も遊んだもんやで。
その間のやりくりどうしてたんや。
それでね、
お咲が手内食ぼちぼちやり寄りましてんけど、
女子の手内食ぐらいでは、
この腐りかけた家の家賃にもんで。
お前、誰と話してるんや。
あ、家主さん。
家主さん払うんで、
わしのうちやないかいな。
笑いこっちゃ払うんで。
この腐りかけた家の家賃にもたらいで、
あとはどうしてたんや。
まぁ、あちらこちらから、
ちょっと借りましてね。
借りましてねって、
何かいな。
お前の知り合いやお友達には、
お前にお金貸してやろうという、
好奇得な方が数多くありますのか。
そんな皮肉なことよ、
言い訳あるわ。
いやね、これらちょっとコツがおまんねん。
何やコツって。
よそ言っていいなんや。
言うてあげまえんで。
あなたにだけ。
あなたにだけねんで。
言えなしでしゃべれんで。
06:01
25銭借りまんねん。
この額にちょっとコツがおまんねん。
25銭借りまんねん。
25銭。
半端な金やろ。
そこにコツがおまんねんやないかい。
25銭、これがね、
2円、3円、5円。
額がちょっとまとまってみながれ。
うーん、5円もこいつに金貸して、
返してくれなんたらどうしよう。
やめといたほうがええやろなあと思うでしょ。
5円と額がきまれん。
ごめんごめん。
5円というような金、
いま持ち合わせがないと言えますわい。
ところがあんた、
25銭ぐらいの金、
これがひょっと返してくれなんでも
仕方がないかとあきらめもつくし、
代の男が25銭ぐらいの金、
今日持ち合わせが、
持ち合わせもクソも代の男がうろうろしてんのに、
25銭ないなんてことは言いまへんわい。
倒されても仕方がないかという、
気も働きますし、
たいていのもんなら25銭貸してくれます。
貸してもろたらこっちのもんですわ。
これがいまも言いましたようにね、
2円、3円、5円と額がまとまるとですね、
おお、この間の5円どないなってね、
なんとかしてんかと言えますけどね。
代の大人があった。
25銭ぐらい。
この間の25銭どうなってます?
って。
人間やったら恥ずかしくて言えまへんでこんなもん。
こっちが借りたらまあおそらくほとんどは
催促しまへんわね。
催促されなんだら、
返されてもよろしいですね。
25銭言うたかって、
5銭や10銭やおまえんでさかい。
そこそこおかずは変えますわね。
あちらから、こちらから25銭、25銭、
なんと2月の間、
こうやって増したんです。
えらい男やなあ。
それだけのこと考えるだけでもえらいがなあ。
やのじさん、
ちょっとお頼みがありまんねんけど。
なんや、えらいあらたまって。
25銭貸してもらいまへんか。
おまえだけはどついとも音のせえ男やなあ。
わしにその話をして、
すぐ25銭貸してくれと言う、
その神経。
わたしはおまあんという人間、
うれしすっきゃねえ。
まあうちはおまあんが誰と一緒になったのか
知ったこっちゃあらへんじゃねえ。
家賃さえ入れてくれたらそれでええねんけどおまえら。
まあ家賃のほうだけは一つ、
まだ三つしか貯まってないよって、
案状入れてくれや。
頼むで。
ありがとう。
ああいい人やなやるっさ。
あの人やさかいにここに置いてくれはんやで。
わいという人間が気に入った。
すっきゃありがたいこっちゃあ。
案内して家賃もまってくれはった。
帰ってくれなはった。
大きなありがとう。
ありがとうありがとう。
大きな声出さんとこ、
腹減ってきた。
食うもんもないし、
起きてたら腹で減るだけやしな。
もう寝てこましたろ。
どのくらいうとうとしましたか。
枕元に人の気合を感じまして、
ふっと目をあけますと言うと、
きたないおじいさん。
枕元に座っております。
びっくりして起き上がりにあって、
な、なんだんであんた。
わしは貧乏神や。
は?
貧乏神。
09:01
え?貧乏神。
お?貧乏、なんべんも言わらすなや。
あんた貧乏神。
この家へとりついた貧乏神。
そう?
あんたうちの家におってくれたん?
へえ?
25銭貸してくれんか?
ようそんなこと言うな。
あじゃ言うぞ。
お前な。
もうちょっとせいだしてはたらけ。
せいだしてはたらけ。
悪いこと言わん。
せいだしてはたらけ。
ちょちょちょちょっと待っていな。
話どっかおかしいのとちがうか。
貧乏神がせいだしてはたらけて、
人が貧乏になるのをみて、
にたーっと笑って、
うれしい、うれしい、それが貧乏神ちがうのか。
せいだしてはたらけ。
貧乏にもほどがあるやないかい。
お前、
貧乏神というものを
ちょっととらえちごってるぞ。
貧乏神というものは、
なにも貧乏がすきやないりん。
いっしょうけんめい
あたらいてる人間にとりついて、
その人間がもうけた
そのなにをようぶんとして
こっちへすいとって、
それで貧乏神が生きてるので、
むこうが貧乏するねん。
せやさかい、
はたらいてもはたらいても
かねがたまらん。
貧乏しているというのが
貧乏神がとりついた
人間のすがたであるわけや。
そのためには、
人間というものははたらかないかん。
そのようぶんをこっちへすいとんねん。
お前みたいにたまからはたらかへんで、
すいとるようぶんも
お前らみたいなとこがな。
はたらけ。
はたらけ。
貧乏神にすすめられてはたらく
ちゅうのも
もうひとつぞっとせんな。
ほっといてえな。
わい貧乏でええねん。
そんなこといわんと、
やっぱり貧乏いかんぞ。
貧乏いかんぞって。
けどいまいうてよんやで。
わてがいっしょうけんめいはたらいてもやで。
あんたがここにおるあいだは、
はたらいても貧乏やろ。
はたらかいでも貧乏やろ。
貧乏にかわりないのやったら、
はたらかいで貧乏のほうが、
はたらいて貧乏よりずっとらくとちがうんかい。
かんじょうとして。
にんげんなればそうとるほうが
けんぜんなにんげんとちがうかい。
もうわいはたらかん。
いやその、
にんげんやけをおこしたらあかんで。
もうちょっとあんじょう。
よめはににぎられもしてるし、
さぶなってくるし、
おままやったら、
かとうちめとうになってしまうぞ。
ほっといて。
おまえがかってにかとうちめとうになるのはほっといて。
あんたにかもてもらわんでもええやろ。
ほちちです。
それがそういうわけにはいかんね。
ちょっとじじょうはなしするけどね。
そのあいになってしても、
おまえがかとうちめとうになってしもたら、
かかりがしにがみのほうへうつってしまうでしょ。
で、
わたりのしごとなくなる。
ほらまたよそどっかいってとりついたらええがな。
げんきなやつに。
げんきなやつにっていうけどね。
12:01
わたしももうちょっとはきはきしたびんぼうがみなら、
どこへでもとりつきますけどね。
どっちかゆうとったようないびんぼうがみやさかいね。
あんたとこぐらいがほんとはいちばんおりやすいんです。
あんたがはたらいてくれさえすれば。
ですから、
おねがいです。
はたらいてください。
なんぞおまえめになみだいっぱいためてけったようなやつやな。
そうか。
ほんならまあはたらきにいってもええけど、
まあいきどうでもいきようがないがな。
どうしたんや。
どうぐばこがあらええんがな。
どうぐばこ、どうしたんや。
どうしたんやっておまえびんぼうがみやろう。
ちょっとかんがえてわからんか。
七に入れたんやないかい。
おまえね、
しょくにんがどうぐばこ、
七にいれるちな、
おのれのくびをおのれでしめてるようなもんやげ。
なにすんねん。
だしてこい、だしてこい。
え、だしてこい。
何とかして、何してこい。
え?何とかして何してこいって。
何とかしてってどうすんねん。
今のお話、お前聞いてたんちゃうか。
天井裏かどっかにおるんやろ。
あちこちから25銭、25銭借りて、
何とかやってるん人間が。
あとどうすんねん。
大抵のもんにはもう言うてもうたんねやで。
今日もお祭りに25銭貸してんかって言うたら、
知らん顔してきよって。
当たり前や。
その前の日に借りてんねんさかい。
それをどないぞして。
どないぞして。
どっからどうすんねん。
履き履きせえ。
どっからどうすんねんちゅうねん。
履き履きせえよ。
それ何とかならんのか。
何ともならんねん。
今も言うたとおり25銭の口切れたんねん。
どうしても働きにいかんなんちゅうねんやったら、
お前何とかしたらどうやん。
私がどうするんですか?
どうするんですかやらんやがな。
前にズタ袋みたいなもん裂けてるやないか。
そん中になんぼか入ってへんのかい。
もんなしか?
なんぼ貧乏神でも多少あるじゃろん。
いい、そりゃあ多少あるけど。
あるねやないかい。
ださんかい。
ださんかいな。
せやけどどこぞの世界に貧乏神から金借りてるってあるか?
あかんの?
お前ええがな。
わいかって別にどうしても借りたいことはあらへんにゃ。
このまま家当ちめとなったらそんでええやないかい。
お前な貧乏神をどうすんねん。
どうすんねん。
貸すんか。
貸さんのか。
家当ちめとなろか。
もうちょっと温かいままでおろか?
どっかよそ行くか?
行くとこあるか?
うーん。
なんぼではいたねん。
貸してくれんの?
なんぼ?
わずかの銭で入れやがってほんまにもう。
これで出しこえん。
ほんまに貸してくれんの?
うらいなあ。
そりゃあどうでもよそいっていいなや。
このままではいかねんのでもうちょっとなんとかしてもらえんか?
このままって。
見てみぃ。
ういやお前。
じばん一枚や。
したパチだけや。
ふんどしも七入れたんねん。
ちょいちょいやぶれてから中身でてんねん。
あほなこというな。
なんぼやねん。
ほなこれで着物も出して。
ああ。
とうとう貧乏神泣き出しおったんで。
おもろい男があったもんで。
15:01
貧乏神に金借りて道具箱を出しまして。
仕事に行きまして。
さて一月もしました。
ある日のことでございます。
おい出るか。
おおたつあんおこし。
おこしやないやないかい。
しんぱいしてんやないかい。
嫁犯人に言えられたちゅうやしやで。
なんじゃちょっと仕事に来たと思ったらまた休んでんなやないかい。
それこそだんだん寒なるし。
ひょっとしたらもうかどうちめとんな取るんちゃうか言うて。
仕事場で見なよって言うて。
あんまり手でけえので来てみたら。
なんや前よりお前元気そうな顔してるやないかい。
たしやな。
なんじゃ家の中もきれいにきちんと片付いてあるやないかい。
なにかいまた新しい嫁はもろさんかい。
あほなこと言いないな。
お前こんなに人間ちゅうこと知ってもう誰も来てくれるかいな。
世話してくれるもんはないんがな。
きれいに片付いてるやないかい。
元気そうやないかい。
誰と一緒にいてんねん。
お前ここへ入ってくるとき誰ととすれちがうなんだか。
そう言うたらなんや汚いおじんがたらえもってうろうろう。
あれと今一緒にいてんねん。
あれなんや。
貧乏神や。
え。
貧乏神。
貧乏神。
貧乏神ってあの貧乏神。
貧乏神にあれもこれもないねん。
あのおじん。
あのおじん言うてやりな。
あれでも業界ではわかってんなそうな。
どうしたやん。
実はな。
あいつに。
あ、ほうほうほう。
銭借りてえ道具箱せやねん。
一応仕事に出たことは出たんやけど。
三日ほどしたらえらい雨降ったやないかい。
あれが十日ほど通り続いたやろ。
秋の長雨じゃ。
また仕事に行くのいやんなってしもてん。
もうぶらぶら仕事休んでしもてんねん。
どうしたやんその貧乏神。
さあはじめのうちは仕事に行け仕事に行け言うとったけど。
だんだんこっちの人間身抜きよったやねん。
とてもこれは言うてもいかんっていうこっちゃや。
あきらめよったやん。
と言うてやで。
そんなもんじっとしてたら俺がこの家放り出されてしもたら
貧乏神も同じように出ていかんなんやろ。
これはいかん。
なんとか家賃だけでもせにゃいかん言うてね。
内職はじめよったやで。
貧乏神が内職やってんの。
はあ何しようてん。
はじめやね。
爪楊枝削りの内職引き受けってきよってんけどね。
両方とも削って貧乏削りにしてしまえよって
えらい卸元から怒られよって。
それがあかんようなんて
このごろ近所の洗濯物きいて回って
洗濯やりながらわずかずつもろてるちなこっち。
うわあゆめえっちゃな。
じつお前ちょっと相談したいことがあるんや。
そうか。
ほなちょっと出ようか。
家におってもちゃんのいっぱいもあらへんがな。
片づいてるだけでないもんはないよって。
ちょっとこんなことしように出ようって。
銭だいじょうぶか。
だいじょうぶわてかてないけど
そのふくろ、そのきたないふくろとって。
なにやこれ。
貧乏神のずた袋や。
そん中になんぞ入ってる。
小銭入れ入ってんねん。
18:01
ちょちょちょそっからおかずかいようのみてんねん。
ばち当てよるで。
当てん当てん。
あいつお前の仲や。
そんなことしようらへん。
よしんば当てよったかって
ばちが当たったってこれよりしたないんよって。
なんとかもうちょっとようなるてらもんや。
みなとってやったらかわいそうなん。
これぐらいにしとこ。
ほなぼちぼちでようか。
おい、いてくるで。
おはようおかえり。
これ、いつもゆうてるたつやねん。
うちのほんからおふわさうかごをとります。
ほらいてくるよって。
なんやったらめしさきにくうといてくれてもいいよってなん。
どうぞはようおかえり。
なかなかかわいそうなやっちゃなん。
あーなんでわいがこんなことせんならんねん。
いつのまにこんなことになってしまって。
どうもならんでほんまにもう。
さっきめしくうといてもいいでってまるでよめはんみたいに思って。
どうならん。
おちつかんこれ。
おまっちゃんとこのきんぼうやしょうゆおとしたら
ちょっとみずぞうきんでもなんでもしといてくれな。
あかいしょうゆはどうならんで。
おちいんがな。
どうならんな。
ほんまにもう。
よっとしょ。
よれよれ朝から晩までせんたくばっかりしてすわってるもんやから。
こしがいとおってせんきりでもであえがいい。
ゆうやけやな。
あしたもおてんきえやろうな。
せんたくもんがようかわくわ。
よっ。
どっかいしょ。
やったどっかいしょ。
とうあいたる。
どうならん。
あいつああいうとこきらいやねん。
しまりがないよってな。
おのりはとられるもんないけど。
わしはずたぶくろだけども。
ずたぶくろ。
しもた。やられた。
こんげつのこめだいやねん。
もうわずかしかのこったらえんがな。
どうならんな。
あかん。
こんなせいかついつまでもつづけてたんではあかん。
どっちかびんぼうがみはわからえんやん。
このいえもうでよ。
びんちゃん。
いまもどった。
おっけいありがと。
はははは。
ひさしぶりにちょっとこんなことしてゆかいでございます。
びんちゃん。
なんだかこわいかおをしてますね。
びんちゃんこわいかおをしてますね。
どうしたんですか。
いつもとようすがちがいますよ。
え。
なんですか。
このいえでていく。
きょうかぎり。
あそう。
すみませんで。
すみませんでしたね。
あったにおせわになりやして。
めんぼくないこっちゃで言うて。
はははは。
わるいとはおもてたんやけどね。
われもなんとかせんならん。
はたらきにいかんならん。
おもてたんやけど。
ついついおまえにあまってしまって。
すまらんだ。
われもあるいおもてんね。
そらすや。
おまえわるいことない。
そらすや。
このままやったら。
われもこんなにんげんや。
ずるずるとしまえに。
ほんまにあかんようになってしまう。
そらでてってくれたほうがわれのためや。
すまらんだな。
われもなんとかやっていきます。
ひとつきほどのあいだやったけど。
なんやったけど。
おっけいありがと。
すまんね。
よし。
「いや、取っといて。」
「そんなしいな。お前からは千別もるで。」
「思ってない。そんなしいない。」
「いやいや、最善のズタ袋の巾着の中から取った奴のお釣りや。お前の税にや。」
まあ、そんなことやろう思ったけど。
そうか、大きくありがとう気持ちだけもろとくわ。
なんやろ得したようには思わんけども、ありがとう気持ちはもろとく。
21:04
もっと追ってやってもええねんけど、お前のためにならんと思うし、出て行くことにする。
そう言うてな。ほんまはな。
お前も嬉しかったやん。なんやかんや言うたがって貧乏神言うたらどこ行ったって嫌われるもんや。
そんなお前とひと月も嫌がりもせんとしのおってくれたやん。
ほんまはお前かて嬉しいと思ってねん。
けど、このままではお前のためならん。
心を鬼にしてお前は出て行く。
身体だけは気ぃつけや。
もう世話するもんないねんよってな。
お前がおったらお前が世話したるけどな。
世話するもんもないねん。
これからいよいよ寒なってくるしな。
お前も手は回しとく。
薬病神のほうへ言うとく。
なるだけ取りつかんように言うて。
言うといてあるけど。
ほな行くよってな。
心入れ替えて働けっちな。
そんなやぶなこと言わへん。
まぁ、あちこちから二十五千上手に借りてこい。
こうして別れるとなったら別れにくいけど、そんなこと言うてられへん。
元気でやってくれ。
オッケーありがとう。
また変があったらいつでも戻っといてや。
ウチならいつでも歓迎や。
おい、どこ行くねん。
どこ行くて仕方ないやないかい。
どこなとお前は探して行くわい。
おい、せめてのことや。
お前の行き先俺にちょっと世話させてくれへんか。
アホなこと言いな。
世の中に貧乏神に来てくれる家がどこにある。
いや、あるある。
最前ウチ来よった場合の友達立つ。
あいつどこ行ったってくれ。
あいつもお前と同じような貴重な男や。
せやからお前を嫌がったりせえへん。
せえへんて。
心配せえでもええ。
それにあの男もな。
昨日嫁さんに逃げられよったんや。
そんなわけでございまして。
本日は貧乏神。
あの、長いこと聞いてると身につまされると言うんですか。
ええ、あの、やどろくと言うてますからね。
似たような立場と言うんですかね。
ええ、なかなか嫌いになられへんもんですね。
私も家の貧乏神になってるんやないやろかと思ったり。
貧乏神働いてるというね。
いうようなこともありますけども。
ちょっと憎めんというようなことのお話でございました。
お疲れさんでございました。