00:00
毎度、黙れヤドロクです。お疲れさんでございます。元気?元気やった、ええねんで。
日に日に温度が上がっているように感じますが、これまた寒くなるんやろか。これからちょっと暑くなるんやろか。
春はどこへ行ったんじゃ、というようなことを言っておりますが、
なかなか最近ね、おしゃべりすることなんでもない。おしゃべりすることというのがね、難しいなあ、言うて。
改めてね、何やろな、やる気のなくなるというんですか、5月になる前に5月病というようなことでございますね。
51のおっさんがなり、言うてね、笑われるようなことありますけど、ネットの世界を見ておりましてもね、
現実の世界を見ておりましてもですよ、縁というものですなあ、難しいですね。
近頃いろいろ考えさせられることがありますわなあ。
親の縁も子の縁も人の縁というんですか、難しいですよね。
コミュニケーション能力の低下というんですか、わかりませんよ。そんな難しいことわかりまえんね。
何にも考えたりないわ、アホらしいわと思う時が多いでしょう、皆さん思うんですけども、
いろんなお話ね、親と子のつながりというんですか、人情、情というんですかね、
前回もね、神方落語のお話、ちょっと朗読させていただいたというようなことでございます。
まあちょっと人の情が見えるというようなお話なんですけどね、なんぞないんかな、他にというようなことで、
私もね、いろいろ家族、自分と自分の親ととかいろいろありまして、
その細かい話はオールドの方でね、何回言うねん言うてね、
なんぼ言うてもあんたがサブスクに入らなあかんのか言うて言われたら、
ちょっとそこらへんはね、そりゃそうやで言うて、頑張ってやってるやで言うてね、いうことでございますけども、
本日またちょっとね、お話聞いてもらいたいなあ思って、
お前にいろいろあるやんか、独法やとか言うたりとか言い方と思う時あるけど、
でも確かに話聞いてたらそうかもしれんなあというようなお話で、
まあ昔も今もそりゃ変わらんので、どうやって呼ぶか言うだけのことやと思うんですよ。
おかん、金おくれんか、なあ、三十文おくれえなあ。
あんた三十文もどないすんねん。
芝居見に行くねん。
芝居見に行くだけやったらあんた三十文もいらへんやろ。
腹減った境になあ、寿司こうて食べんねん。
寿司こうて食べるような芝居行きやったら、
お父ちゃんに休みの日に連れて行ってもらえなあれ。
私が頼んで連れて行ってもたあげよう。
芝居見たかったらなあ、芝居入るだけのお金あげよう。
お腹すいたらなあ、家でご飯食べて行きなあれ。
ほなもうええがなあ、あんな三つのとっから食べてんねや。
03:01
そんなこと言わんとおくれえなあ、なあ。
ああ、ママ小屋坂へ来れへんねんなあ。
死んだおかつやったらお父ちゃんにないしょでくれたがなあ。
なあ、おくれえなあ、なんでそんなママ小屋がにくいねん。
おくれえなあ、えかげにしやこの子。
ママ小屋もホマの子もないの。
私が育てたら私の子にちがえない。
そんなこと言わんとご飯食べなあれ。
オマサハンと申しまして。
ママ小屋でございますが、いたって子供思いの人。
お膳を出してご飯を寄せてやりましたが、
さあ、この子せがれがなかなか食いようらん。
お膳を足で庭へパーンと蹴り落としまして、
おせんはこわれる、茶碗はわれる。
そんなに表へ出ました。
こんぐらいの水たまりがある。
そこでにさんべんトントンとしこをふむ。
それでも着物が思うようによごれませんので、
ダーンとしりもちつきおった。
腰からした泥だらけ。
そんなにポイッと表へあそびに行きおった。
うい、けさほどえらいずまんこって。
うい、あんた、お宅へあがるつもりや。
うち出ましたんだね。
途中でひっぱられて、
あんばい一日寄せへ行きましたんで、
えらいずまんこって。
明日、みょうにちは間違いの寄せでいただきます。
えらいずまんこって。
え、お酒、いやあ、もう、
いつもうちのやつに、
商売に出てるあいだだけなど、
お酒たしなんでくれ、
たしなんでくれって言われてますけどな。
酒屋の表通りぷんと来ますと、
このへんから迎えに、
いいよって、
よけおまへん、
いっぱい、
だいじょうぶだよ、
だいじょうぶでしょ。
朝、間違いのを寄せていただきます。
えらいずまんこって。
さいなら、ごめん。
ぼうん、そんなどろのお手で
着物をもったら、
着物たまらんな。
お母さんのここときかんよりな。
こどもというもんは、
つみがないわい。
おい、そこでたってないてんの、
正義じゃないかい。
なにやおまえ。
その着物は、
おまえとやぬしのぼんぼんとは、
いっしょにならんぞ。
やぬしのぼん、着物よごしても、
うちにかいがぎおうさんがある。
おまえ、それよごしたら、
かわりどこにあるに。
おまえ、おやのこころこしらず、
なさげながきやな。
おおきなりして、
ろうじのこぐじたって、
ないてるなんてみっともない。
はやうちいね。
どないじで。
いまあそびにいってな。
もどってきて、
お母にめしくわして言うたら、
こどもはひにいっぺんくわしたら、
くわいでもええ。
お父ちゃんのもどってくんの、
まってようおもたけど、
あんまりおなかがへたさかい、
かってにおぜんだして、
たべようおもたら、
いまからおやのいうことを、
きかんこや、
ゆうて、
おもてひきずりだされて、
みずたまりでこかされた。
こんな着物がよごれた。
なに。
こどもはひにいっぺんくたら、
かにせえ。
かにせえ。
われがおるために、
06:00
おらしょうがいやままで、
くらそうおもた。
けどなあおい、
ひとさんがすすめてくれたんで、
よそんどころのもろたかか、
おらでしょうばいうちのことは、
かいもくわからん。
そんなことしようとは、
ゆめにもおもわなんだ。
かにせえ。
なくなおい。
もどってこい。
めしくわしたる。
もどってこい。
うちかえったら、
おかんにおこられる。
いわえ。
おれがついてるわい。
もどってこい。
おい。
いまもどった。
あんたおかえり。
せいきち。
うえあがれ。
えんりょすなおまえのうちであがれ。
あがってぶったんにおこあげ。
やえがみっつならんである。
あのこぐちのあたらしいやえが、
おまえのおかんじゃ。
いままで、
いきでたら、
さんどのものはさんどながら、
はらいっぱいいただきますものと。
そうゆえ。
またどっかでおさけのんできたんやわ。
ええなあ。
そのこがなんとつけくちしたかしらんけど、
さいぜんもどってきてしばいみるさかい、
さんじゅうもんくらいいいまんねん。
さんじゅうもんもどないすんねん。
いうたら、
はらへったさかい、
すしこうてたべるっていいまんさかいな。
そんなしばいいきなったら、
おとっちゃんにやすみのひんに
つるでてもらいながらんで、
わたしがたのんでつるでてもらいまひょん。
しばいみたかったら、
しばいはいるだけのおかねあげよ。
おなかすいたら、
うちでごはんたべていきながらいうたら、
ごはんたべんと思ってでていて、
どうやらきものよごしたらしいようす。
わたしがきがいもっておもてでると、
もうそこらへんいらへんので、
そのままにしたんねんわ。
いやい、
おるのまえではていさいのいこと
つべこべぬがして、
おまえがはらいためてうんだこやねん。
そらけしてかわいいと思わん。
にくいじゃろう。
にくいじゃろうがな。
こどもというものは、
かねもちびんぼうににかかわらず、
うちではらいっぱいくわしてやっても、
おもてでてひとさんのものをもってたら、
ほしがんのがこどもじゃ。
めしくわすのがぐやしかったら、
おかえにしてでもいい。
さんどのものはさんどながら、
はらいっぱいくわして、
つづけてやってくれ。
まあ、
おおきなこえでみっともない。
そらいいなあると、
わたしがあんたのうすに、
このこくちひじめて、
ごはんたべささへんようないいかたやが。
わたしがどんなおもいでそだてかたしてるか、
ごきんじょうにきいてもらいなあれ。
なに?
きんじょうできいてもらい、
こら。
うちのはずよ。
きんじょうへもっていって、
こどもをしょうじきちゅうことあるわい。
こうなったらたまりません。
なにぶん、
おやじ、
おさけのはいっているところへ、
ただ、
こどもがかわいいというだけでございます。
かわいそうに、
まま、
はあだけにいいわけが、
くちごたえになる。
だれしもおとこというものは、
おぼえのあるもんで、
ぜんごかまわず、
ねきにあるどびんをなげる。
ちゃわんをなげる。
たちまわりのおおげんか。
ところが、
だれひとりとめにきません。
というのが、
このこにかかわって、
09:00
みっかあげずのけんか。
だれひとりとめにこ。
ちょうど、
おもて、
とおりましたのが、
おやぬし。
これこれこれこれ、
やじさん。
そんなもん、
ふりまして、
どないすんね。
おまさん、
ないでもいい、
ないでもいい、
なかいでもいい。
おま、
あのしてることはな、
わしもしてる。
せけんのひともよ、
してる。
なさん、
なかのこ。
よ、
ま、
あれだけ、
せわしてやってなさん。
やじさん、
ほっといたら、
なにするかわからん。
わたしが、
うちへつれてかえて、
よいがさめたら、
とっくりゆうて、
きかします。
まま、
わるいよ、
やじさん。
きょうのところは、
わたしにまかしなれ。
さあ、
やすべあん、
うちおいで。
ほっといてくなれ。
おおきなこえで、
なによ、
うちおいで。
する、
やすべあんは、
かたにかけて、
うちへつれてかえります。
いたのまえ、
ごろっとねかしましたが、
ひとのせわというものは、
なかなかできんもん。
かぜをひいたらいかんというので、
ふとんいちをきせてやりまして、
やすべあん、
よいがまわってますので、
えいあんばいに、
ひとねいり、
ねこんでしまいよった。
おい、
おまえさん、
みずいっぱいくれ。
おまえさん、
やすべあん、
よいがさめたかい。
おら、
おたくでございましたか。
ああ、
すごい、
かっこいいやつ、
お前がきていたのに、
ごやっかになったで、
さべたいのか、
おまえさん、
やすべあんが、
よいがまわってますので、
やすべあんは、
よいがさめたかい。
おら、
おたくでございましたか。
ああ、
すこしはいっておりましたので、
けんかでもして、
ごやっかになったので、
おまえさんか、
まごとにももじわけございません。
いずれあらためて、
おれいにあがります。
さよなら、
ごめん。
ちょっとまちながらい。
いやいや、
ながい手間とらせん。
お前さんというお方。酒さえ飲まないならええ人やがな。酒が入ると手のひら返してやるになるんじゃ。
話というのは他じゃない。お前さんも子がある私も子がある。子が可愛いと思えやこそ話するが、決して悪を思てないや。
実はな、お前んとこの正吉、うちの店出てきて店に並べてある品物を一つ持って帰り、二つ持って帰り、いやいや、子供じゃ大したことないが、物を掴んでポイッと出て行きよる。
ああ、これはいかんな。これはいっぺんお前に言うてやろうと思ったが、私が言えば人さんの大事な息子に傷をつけんだろと、再三ほったらかしにしといたが、
近頃はだんだんだんだん遊びが変わってくる。この頃がうちへ出てきたあたりの様子じーっと見る。人気がないとじゃにまこう狙ってくる。いやいや、これも子供じゃ大したことないが、金を掴んでポイッと出て行きよる。
ついこの間も向こうの路地の角へしがらき持ち屋が店を出しにくるな。しがらき持ち屋の屋台でやりこいもんや。店の端に縄くくりつけて、縄の端を横町へ引っ張って行きよる。
さあどっから連れてくんのんか、女一年後の子十人ほどで、その縄を力まかせにぐーっと引っ張る。店がひっくり返ってしがらき持ち屋がおのれと追いかけてる間に、正吉な反対側の路地からぬーっと出て行きよって、売り上げから里からしがらき持ち、すっくり懐を入れてそんなにポイッと出て行きよる。
12:18
かわいいかわいいと思ってやば遊ばしとくとろくなもんにならん。なあ、子供がかわいいと思えば他人のめし食わしなされ。いや悪いこと言わん。今のうちに少し難しいとこへ方向にやっておけばまあ人間になるかわからんが、あのままかわいいかわいいで遊ばしといたんではろくなもんならん。
なんなら私にさん心当たりがあるで、せわしてあげてもええ。ちょっと存じませんなんだ。まことに申し訳ございません。いやいや、うちに断らいでもええ。おまえさんさえがてんがいたらそれでええのじゃ。
で、おまえさんうちでけんかしなさんなや。けどええよめさんもろたなおまえさん。あんなええよめさんそまつにしたらかかばちがあたるで。あいては女じゃ。たまにやさしい言葉のひとつもかけてやんなされや。
ありがとうございます。さいならごめん。いえぬしをでましてわがうちへかえってまいります。
おまさ、おらきょうまでなにもしらんとおまえにしんぱいばっかりかけたがすまなんだ。かんにんしてくれ。
なにをゆうたんねこのひと。
せいきちどうした。
おくでねてますわ。
ねてるか。
おもてしめてかぎかけてこい。
なにおもいましたかだいどころにあったでばばうちょをもっておくへいきます。
あんた、あんた。
ええ話せ。話せ。
おらなきょうまでなにもしらんなんだがうちのせいきちはどろぼうぬすっとするそうなん。
あんなやついかしといたらどうせおれのくびになわかけるやつええ話せ。
めっそのことあんた、あんたとわたしのふたりのなかのこどもならあんたがどないしょうとかまわん。
わたしはなさんなか。もしあんたがおかしなことしてくれたらわたしがせけんのひとになんといわれるかわからん。
どうぞそればかりは。
ふりきっておくへへはいってころそうといたしましたがどうしてころすことができましょう。
そこがわがこでございます。じょうにひかされてころすことができん。
ああどうしたらよかろう。こうしたらよかろうとふうふうがなきのなみだでよわかしをいたします。
がなりよがあけますとしあんがつきませんのでえいぬしにたのんでせいきちをほうこうにだします。
せいきちがほうこうにでましてからはおまさはんことによくできたひと。
やすべえもさんべんのさけはにへんにへんのさけはいっぺんとさけをたしなんではいっしょうけんめんはたらきます。
こうなるとみょうとなかというものはいたってえんまんになかむずまじくくらしておりますがつきひはせきもりなくこういんのやのごとし。
15:05
ここでぼーんとじかんがたちます。
せいきちがほうこうにでましてからはじゅうねんのちとおうけとりねがいたいと思います。
まあなにがへえといいましてもこういうらくごのせかいというのはパーンとひだうちはだいたいじかんたつんですよね。
まあべつにアニメみようがマンガみようがそんなもんでございましたね。
ほんまになかなかそんなふうにじかんがすぐたってくれたちすぎてもそれはなんやらと思いますけどね。
ころしもろくがつのなかばただいまとちがいます。
きゅうれきのろくがつあついさなかいやぬしのおもてへたちましたのはりっぱななりをしました。
おわかいしゅう。
ごめんください。
さんさんでございますか。
ごきげんよろしゅうございます。
ああはいはい。ちょっとまったくなんや。
ええいまだんなとおっしゃったか。
あんたのようなりっぱなおかたにだんなとよばれるようなわたしはみぶんと、みぶんとちがいますがうちがまちごたんのやないかな。
うちへまちごたるとあんたもてれくさいしわたしもきまりがわるいで。
おみわすれになりましたか。
ちょうどいまからじゅうねんまえ、あなたのおせわになりましてほうこうにやっていただきました。
おやどもあなたのながやにすんでおります。
やすべえのせがれのせいきちでございます。
ええ、ああ。
そんないうとおさながおがのこってる。
せいきちか。
りっぱになったな。
もうじゅうねんもたつ。
あやいもんじゃな。ついこのあいだやったで。
あの、ろじゅうらのしがらき。
ああ、いやあついな。
りっぱになっておとつさんもよろこんでたじゃろう。
ええ、まだうちかえってない。
わしとかかまんわ。はよかえって。
かおをみせてやんなされ。
はよかえってというのがな。
おまえがほうこうにでてちょうどみつきょうどたってからじゃ。
やすべえはうちへきてな。
せいきちはごしゅじんさんのうちでおとなしいほうこうしてるもんでございましょうか。
きになってやりませんと。
ああ、いっぺんいてまいります。
いやいや、そうじゃない。せっかくおとなしいほうこくしてるもんほうこうしてるもんおやで。
おやのかおをみせてさとごころだしてはならん。
いかんほうがよかろうとさいさんとめといたが、
いまおまえさんがゆうたとおりもうじゅうねんたつでな。
けどおまえさん、おやぶこうじゃで。
それだけりっぱになってんのなら、なんでてがみのいっぽんもだしてやらん。
おまえがでてからきょうまでおんしんふつう。
なんのたえりもせんそうな。
そういやついにさんにちまえもやすべえさんがでてきて。
せいきちはいきてるもんでございましょうか。
しんでしもたんでございましょうかいって、
なみだながしておまえのはなしをしてたんじゃ。
そのりっぱなすがたみたら、どんなによろこぶかわからん。
わしのとこはかまわん。
はよかえってかおをみせてやりなされ。
ありがとうございます。
なにからなにまでおせわになりまして申し訳ございません。
なにかおてみやげと思いましたが、
べつざんこれというようなもんをもってまいりません。
18:01
これほんのおしるしだけで。
いやいや、そのあいだしんぱいはしてもらうんでもええが、
はいはいせっかくのごしんぱいじゃこら。
ありがとういただきます。
あついじぶんじゃてな。
ひやそうめんぐらいこしないときますで、
うちへかえってかおをみせたらすぐあそびにきてくれや。
ありがとうございます。
さいならごめん。
いえぬしをでまして、わがうちへかえってまいります。
やすべや、ちょうどそのひはしょうばいがやすみとみえまして、
これはもうしょくにんさんのことで、
ふぎょうぎ、はなはだし、すっぱだかで、
えっちゅうふんどしひとつというかっこう。
ちいさなあんらいえ、
にしいん、さんぴん、ならべて、いっぱいやってます。
おもてから、
ごめんください、
おとっちゃんでございますか。
ごきげんよろしくございます。
へへへ、きものどこへいきやがったや。
ええええ、さいてやすかいな。
どうぞおてあげられまして、
そうあいさつされますとあいさつのしようがわかりません。
あせかきまさので、
おい、おまさん、
どうぞおてあげられましていい。
さいてやすかいな、おまさん。
おい、おまさん。
うるさいなあんたは。
したくしたあるさかい、
かってんのんでたらええやないかい。
おい、どっからだんない、
しらんひときやって、
あの、ちょっとおまえ、きてくれ。
おこしやす、
おかあさんでございますか。
ごきげんよろしくございます。
ちょっとあんた、
ちょっと、
うちのせいきちやがな。
せいきち、
せいきちか、
そんなのそういわんかい、
おとつはんところでやんなきゃったやん。
おてあせからいたやん。
せいきち、
うちもとってくるまえに、
そんだけりっぱになってやったら、
おやしさんのおかげや、
おやしさんの
トコイテこんかい。
いいてきた、
いいてきた。
かんにしてやえ。
おまさん、きいたか。
みcmさんとこいきおったやや。
こうこたださん、
なんだもいやな。
だんなに、
おめんにかかってりっぱにじゃった。
どうしたって。
お、立派になった。手土産も持って行った。
よお、持って行ってくれた。
それでこそ、お父さんの肩身広がんねえ。
なんぼでこうたんやん。
いや、もうそんなことあんた、たずねえなあ、アホやなあ。
こっちあがれ、こっち。
うわあ、肩幅もこなやるわ。
切りともうて割と、りょうの手あげてみぃ。
って、何言ってんの、この人は。
待て待て、そんなとこ座ったあかん。汚れたある。
お父さんが片付けたる。
あんた、お物は乗せてどうしまうの、お室。
お前みたいに落ち着いてんと、汗かいとねえ。
湯沸かせ、行水させ。
この暑い地面に、うちくすめたら、よけ暑いで。
それよりこの横町に、風呂屋ができたんねえ。
風呂屋行ったらどうや。
せや、風呂屋行ってこい。
これだ、きれいに片付いとったの。
待て待て、風呂屋行くのに、そんな下駄履いていって、どないすねえ。
そこら、お父さんの下駄ないかい。
なかったら、わらじ履いていけ。
そんなん、もう履いていけるかい。
行ってこい、行ってこい。
おい、その、その溝板、箸がポーンとあがんねえ。
気ぃつけよ。
お前さ、家主に言うとけよ。
溝板ぐらい直しとけ、言うて。
いつ、せがれが帰ってきおるか、わからないさかい。
おい、やおや、車どけたれ、車。
21:01
うちのせがれが通るさかいな。
もっと箸やれ、箸。
お前さ、見てみ。
うまいこと歩きおるなあ。
互い違いに足出して。
私な、あの子帰ってきてうれしい中、
ちょっと悲しい思てんねえ。
なんでよ、お前。
そんな妙なこと。
いいえな。
あの子の着てる着物な。
上下すっくりそろえたら、相当のお金かかるもんやで。
方向人にあれだけえなりさしてるうちは、ないと思うねえ。
そうか。
そりゃ、おれではわからん。
そこら、なんぞあいつ、持ちもんないか。
ここに財布があるわ。
貸してみ。
開けてみると、小判が咲くというほど入ってる。
二人はただぼーっとしてる。
ちょっと、セイキチ帰ってきたで。
これ、そっちやっておけ。
セイキチ、えぇ、風呂ができとったやろ。
もっとこっち来い。
遠慮せんと。
こっち来い。
こっち来い。
おお、どっちだ。
何を。
いいよな、セイキチ。
おのれはな。
三つの癖は百までと。
まだ悪い少年が、なおらんのじゃな。
このてて小屋、みんに暮らせども、
人さんのもんには、
散れ術一本かすめたことはない。
おやが、ここに手を合わして拝めば、
世間の人は、なんと笑うか知らんが、
この通りや。
手を合わして拝む。
どうぞ快心して、真人間になってくれ。
な、セイキチ。
自出せ。
この通り。
この通りや。
そうおっしゃりゃ仕方ござんせん。
何もかも申し上げましょう。
なるほど。
親主のお世話で、
ご奉公に参りましたが、
反旗はおろか。
見つきも続かず。
主人の家を飛び出して、
どこへ行くともなくさまよううち、
悪いことは数重ね。
いまじゃ、
あずまの土地で、
鬼あざみの頭とか、
いやさ、
兄分とか、
仲間のやつが、
立てられる身の上。
圧死が快心するといっても、
到底仲間のやつが快心させてくれません。
今日帰りましたのは、
お暇こい方々。
感動してもらいに帰りましたんでございます。
その代わりお父さん、
この金はわずかですが、
あんたに差し上げましょう。
言うなセイキチ。
人さんのものを、
かすめて取ったものを、
美大地もいらん。
これをもって、
とっとと出てけ。
そうおっしゃりゃ仕方がない。
じゃあ、
随分豆にお暮らしを。
セイキチが出て行きます。
出ましたあと、
これを食にいたしまして、
お正は拍子をいたします。
ちょうど三年のち、
ヤスベンがエビスバシから身を投げようとするところを、
通りかかりまして、
助けましたのがこの、
24:00
鬼あざみのセイキチ。
どうした縁ですが、
親の命を救うた。
武蔵野に、
はじかるほどの鬼あざみ。
今日の暑さに、
枝橋をるると、
時勢を残しまして、
三十二歳を一気に、
慶上の梅雨と消えます。
盗みはすれど、
非道はせず、
あるところのものを持ち出しては、
貧しい人を助けてやったという、
義賊鬼あざみセイキチ、
鬼たちのお話でございます。
そんなわけでございましてね、
なんやろね、
あんまり神方落語っていうのは、
人情話と言うんですかね。
そういうお話、
少ない感じがしますね。
聞いてると、
これも他のお話を題材に、
というようなことやったりとかね。
この鬼あざみのセイキチという方は、
鬼坊主セイキチというね、
1805年に亡くなった、
江戸小田原で、
魚売りを所業としていた、
小田原の刑場で処刑になった人のね、
実在の人物がモデルみたいですね。
ものの表現と言うんですかね。
あとはまあ、
ママ、母とか、
いろんなこう、
今も同じように含む問題やったりとか、
羊とかね、
もともと持ってる性質であったりとかね。
なんかその辺のことでしょうね。
なんかちょっといろいろ、
今とちらし合わせて、
考えさせられると言うんですか。
まあ人の縁もそうですけどね。
で、悪いことはしてるんやけど、
偽族であったと。
まあまあ結局は、
罪を犯してるわけでございますけども、
その中にまた別の光があると言うんですかね。
いろんなこと考えてまいりますね。
まああの、
ぱっと気持ちよーというような、
ことではないわけでございますね。
最後のところなんてほんまに、
最終的にはお母さん病気で、
それを苦に亡くなってたりしますし、
お父さんも身を投げようと思ったところへ、
またそれがまたなんと、
親子の縁と言うんですかね。
命を救ったのは息子やったと。
その息子ももうえらい若さで、
結局刑状の強いと消えるというね、
死刑になるわけでございますけども。
考えますね、いろいろね。
複雑やなと。
昔やから単純やなとか、
そんなことはないなと思う。
ちょっとお聞きづらかったと思うんですけどね。
なかなかこの話を普通に説明してもね、
というようなことでちょっと読ましていただいたんですけど、
難しいんですよ。
こういうのね、あんま向いてまえに。
そんなわけでね、お聞きづらい方もおられると思いますが、
まあ内容の部分ですね。
考えさせられるというのは、
今はね、昔と違って離婚される方も多いし、
27:04
あのママ母というものがあんまりあるんでしょうけどね。
そこの中でいじめられるいじめられへんというのも、
ドラマになったりでいいやよう聞きますけど、
現実にはどないやというようなこととかもあるし、
そないにないんちゃうかなと思うような時もありゃね、
やっぱりあるんやなと思います。
そんなもん、それぞれなんですよね。
出てきてこう、根性の悪い息子やなと思うんですけど、
まあ最終的には偽族やったとかね。
わからんね、人間ってね。
複雑やれんなというふうに思わしてもろたというか、
別に江戸時代であろうがね、
変わらへんやなというふうに思うんですよ。
ぱっと見、ええも悪いもわからへんなと思って、
まあ今の時代も同じようなことですけどね。
ただただ、ちょっと考えさせられるというお話でございましたな。