2021-02-05 37:22

30. SF短編「流血鬼」「裏町裏通り名画館」 by 樋口聖典さん

第30回は樋口さんによる藤子作品のご紹介です。藤子漫画との出会いにも登場した「SF短編」。その中から樋口さんが大好きだという作品を数本、お話し下さいました(今回は作品の性質上、物語の結末に触れている部分があります)

"常識"を裏から斜めから見ると見え方が変わる=パラダイムシフト系と呼ばれる樋口傑作選。藤子先生の込めたメッセージを読み解きながら、紹介は次週へ続いていきます

【樋口聖典さんの番組はこちら】
歴史を面白く学ぶコテンラジオ https://apple.co/3clW5KE
Spotifyオリジナル配信 → https://spoti.fi/3r0HSXF
新型オトナウィルス https://apple.co/3ckqjxD

【今回登場した作品】
ミノタウロスの皿/流血鬼/裏町裏通り名画館/絶滅の島/気楽に殺ろうよ

☆番組ではお聞き頂いた皆様からの感想をお待ちしています
同じ藤子・F・不二雄先生のファンの方々、より詳しい方々など一緒に番組を盛り上げて下さる皆様からの補足情報、ご指摘、アドバイスも有難く頂戴します!
こんなテーマで話してほしい!等のテーマリクエストも頂ければ、とても嬉しいです

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00:09
はい、みなさんこんばんは、ゆうすけです。
たっぱです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今回は、前回に引き続きゲストとして、樋口さん、樋口清野さんに来ていただいております。よろしくお願いします。
はいどうも、日本一のポッドキャスト番組、コテンラジオのパーソナリティの樋口です。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
はいよ。
はいよ。
いやいやね、前回ね、樋口さんとF先生のお話っていうことで。
はい。
漫画家ってすげえぞとか、F先生ってやっぱり最高やんって話をね。
はい。
二人で、僕と樋口さんはうんうんと言いながら、さっぱさんもこう言いながらこうね、話をしてくれてましたけど。
はいはいはい。
いよいよというかね、今回が樋口さんに作品紹介の方を担当していただいて、いつもね、ゆうすけがやってるみたいな感じでね。
はい。
F先生の作品と一緒にその魅力を伝えていただく回にしようと思っておりますので。
はい。
この後、樋口さんどうぞよろしくお願いいたします。
はい、お願いします。
お願いします。
少し不思議ないと。この番組では、藤子F藤男先生の少し不思議な物語について楽しくおしゃべりします。
今回の樋口清則さんの紹介会では、作品の性質上、物語の結末部分まで触れているところがあります。
まだ内容を知りたくないなという方は、ぜひご自身の目で藤子先生の作品をお読みになって、このエピソードをお楽しみください。
はい、というわけで本編です。
今回は樋口さんに作品のご紹介をお願いしようと思ってますので、ここから樋口さんよろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
まずはですね、今回紹介したい作品はですね、SF短編集でございます。
ちょっと前回、ちらっと前回の配信の終わりに話しましたけども、このSF短編集っていうのは一番ゆうすけさんが伝えたかったことだと。
そうです。
それをなぜか、ゆうすけさんじゃなくて、僕が最初にプレゼンするっていう、非常に背負っちゃった感があるんですけど。
そんな知らなくて、普通に僕フチーナこれ聞いてて、短編集の話聞きたいなと思いながら、俺がもし喋るんやったら、どんなもんかなと思っても絶対これやなと思ってたんですよ。
03:03
だから、満を持して出させてもらって、満を持して喋らせてもらえるっていうことが結構、緊張はしてないんですけど、どうなるのかなと思ってるんですよね。
でもそんな感じで頑張って喋らせてもらおうと思うんですけども。
はい、お願いします。
まず、SF短編集、その名の通り短編集なんですね。
だから、ある特定のキャラクターが出てずっとその人が何かやるみたいなことではなくて、もちろん全部話が違うんですね。
設定もストーリーももちろん全部違うんですけども。
で、一応最初の作品っていうのが、1969年のミノタウロスのサラっていうタイトルの短編が、星山先生が書いた最初の作品なんですけども。
そこから、大体15年ぐらい書き続けてるんですね。
そんなに長く?
そうなんですよ。1984年くらいまではずっと書き続けてて、正確に言うと1995年あたりにもう一本書いてるっぽいんですけども。
結局なんだかんだで全部で112本書いてます。
なるほど。
だから結構、先生の漫画人生を通してライフワーク的に書き続けたと言っても過言じゃないですよ。
で、本当にいろんなテーマがあるんですけども、その中で、ちょっと以降その前に僕また名言というか、藤代先生が残した言葉を紹介したいんですけども。
常識をちょっとずつ斜めに見る、裏から見る、そうするとまるで別のものが見えてきたりして、そういうことが面白いと言いますか、怖いと言いますか、SF世界の材料になりますねって言ってるんですよ。
これが本当にすごくて、だから常識の中で僕ら生きてるんですね。やっぱり日常生活を作ってると。
でもそれを斜めに見たり裏から見たりすると、やっぱ自分が見てる世界って本当に相対的なもので、全然違う人から見たりとか、違う見方をすると別の風に見えてくるっていう。
そういうところを着目して、それを多分伝えたくて、それが面白いと思って先生書いてるんですね。
っていう作になります。
僕もう一個面白いと思うのが、面白いと言いますか怖いと言いますかって言ってるんですけど、多分ですけど僕先生の中で面白いっていうことと怖いっていうことがニアリーゴールやったんじゃないかなって思ってて。
ワクワクする、いいのっていうのと、ゾクってする、怖っていうのって、両方同じように人間の心を揺さぶるというか、いわゆる動かす感動じゃないですか。感じで動かす感動。
なんかそこは結構同等と捉えてたんじゃないかっていうのが、なんかこの言葉からわかるなと思って。すごい面白い言葉だなと思ってるんですけども。
06:05
その中で特に僕好きな作品があって、まずちょっと紹介したいのが、流血鬼っていう作品ですね。
流血鬼。
これ書かれたというかリリースされたのが1978年の作品なんで、僕が生まれる3年前なんですけど、
ちなみにゆうすけさん流血鬼はご覧になったことある?
もちろん。
もちろんですね。
これもう本当に最初買った短編集の中にこれ入ってたんですね。
なるほど。
これを読んで僕はぶっ飛んだんですよ。っていう作品なんですけども、まずどういう作品かっていうのを説明しますね。
はい。
これ設定としては、現代なんですね。現代の日本が一応舞台なんですね。現代って言っても当時の日本ですね。ごめんなさい。1978年ぐらいの日本が舞台なんですけども、ルーマニアの方でウイルスが発生しましたっていう設定なんですね。
テレビでそれを見るんですよ。ウイルスに感染すると吸血鬼になってしまうっていうニュースがバーっと広がるんですね。
で、それを見てる主人公っていうのが、たぶん大体高校生ぐらいなんですね。学生服着てるんで。中学生か高校生ぐらい。たぶん高校生だと思う。
で、「なんだあのニュース?」みたいなこと言ってたら、徐々に徐々に自分の身の周りでも異変が起こってるんですよ。
例えば、友達の親戚の葬式で死体が消えたらしいぜとか。
で、「これもしかしたらあのニュースなんじゃね?」みたいな、「いや、そんなわけあるか。ははは。」みたいな日々を過ごしてたところで、ある日ですね、主人公と友達とその兄ちゃんと三人で釣りに行くんですね。
で、車で釣りに行って、釣りが終わって送ってもらって帰るんですね。で、ガチャって家を開けて、「ただいまー。」ってなったら、家の中真っ暗なんですよ。
ただ、お父さんとお母さんが、まさにテレビで見た吸血鬼になってるんですよ。
で、バーッて襲ってくるお父さんとお母さんから、主人公は逃げて、「逃げるぞー!」ってなって、バーッて家から飛び出して、バーッて逃げて帰るんですね。
たら、ふと友達の兄ちゃんが立ち止まって、「ちょっと待てと。話聞いてくれと。ここから先は俺を置いてお前たちで行け。」って言うんですね。
で、首のとこをバーッと見せたら、吸血鬼に噛まれた後なんですよ。さっきやられた。
で、俺の理性があるうちに、「お前らは俺に居場所を知らせることなく逃げていけ。」って言って。
で、友達の兄ちゃんを一人置いて、主人公と友達はバーッと山の中に逃げて行くんですね。
で、どうするどうするみたいになってるんですけど、もうあれはあれという間に、街の中に吸血鬼がバーッて、もうそこら中に吸血鬼がいる状態になってしまうんですよ。
09:01
で、洞窟の中にいるんですね。山の中の。で、やっぱり生きていかないといけないんで、どうするどうするみたいになって。
で、街の中に食料を調達しに行ったりして行くんですけども、なんかスーパーとかに忍び込んで、カンカンを調達したりみたいな。
この辺って結構、いわゆるゾンビ映画みたいなテイストなんだよね。
そうですね、はい。サバイバルバーみたいな。
よくあるスーパーマーケットの中にゾンビが出てきて、それと戦うみたいな。で、知り合いが噛まれて逃げろみたいな。いわゆるゾンビの設定なんですね。
で、そこをこうやって調達してる間に、友人が吸血鬼になった警官にバーッて足を打たれて、そのままかかってしまうんですよ。
で、うわーって言って、一人で洞窟に戻るんですよ。どうしようかってなったら、ふと見たら洞窟の中に誰かいるんですよ。
これが幼馴染の同級生の女の子なんですね。あれ、何やってんだ君みたいな。
でもパッと見ればわかるんですよ。目が真っ白になってるんですよ。目が真っ白になってたら吸血鬼っていうあれなんですけど、明らかに吸血鬼になってるんですね。
で、見た瞬間にパニックになって殺そうとするんですよ。うわーって言って、でもちょっと待ってみたいな。
違うんですと。私はあなたに食料を持ってきました。私はあなたの味方ですって話をするんですよ。
で、こんな状態いつまで続けるの?って説得が始まるんですね、主人公みたいにして。
でももうパニックになってるから、いや、なんだ、嘘だ嘘だ、お前は敵だ、みたいな。
でもよく聞いて、こんな暮らしいつまで続けるのよと。みんなもうなっちゃったのよと。本当にこの街であなたしか人間は残ってないんだと。
でも主人公はうるさいうるさいって言うんですよ。じゃあもう分かったと。私を縛ってくれって言って、生でぐるぐる巻きにさせるんですね、その女の子が。
で、ぐるぐるにされた女の子に主人公聞くんですよ。お前と本当の目的は何なんだと。教えてくれって聞くんですよ。
じゃあもう分かったって言って、その縄に縛られたまま、その女の子が言うんですね。本当はあなたの血が吸いたくて来た。
なんだ、やっぱ敵じゃないかって言うんですけど、でも違って待ってと。これはあなたのためなの。私たちを吸血鬼と呼ぶなら、あなたたちは眠っている私たちの仲間に悔いを差し込んだりする流血鬼よって言うんですよ。
これがタイトルなんですけど、流血鬼。ここからコンコンと説得始まるんですよ。結局、私たちは血を吸ってウイルスに感染すると、死ぬんじゃなくてゾンビになるんじゃなくて、新人類に生まれ変わるんだって説得始めるんですね、主人公に。
新人類の方が、あなたたち旧人類よりも優れてるんだと。って言っても、もちろんパニックになってますから、主人公。でも効かないですよ。
で、反抗するんですけど、女の子が、「じゃあもうわかったわ。」ってなって、縛られてた縄をブチッて切って、「こんなの簡単に私は破れるのよ。」みたいになって、つかつかつかって歩いて、主人公にガブーって食いつくところで、ギャーって言ってパッて終わるんですね、場面が。
12:18
つまり、主人公がやられて、吸血鬼になるんですよ。そこで、一旦場面がパッて終わって、パッと目を覚ますと、病院なんですね。
そしたら、主人公の親とお医者さんが、「息子さん、至って健康ですよ。明日からこれ、学校行けますの?」みたいな普通の会話してるんですよ。で、「ありがとうございます。」みたいな。で、「えっ、これ何?」みたいな感じで。
で、パッて病院に出ると、さっきまで洞窟にいた女の子が待ってるんですよ、病院から出ると。女の子が、「大丈夫?治ってよかったね。」って言って、「うん。」みたいな感じになって、最後、一コマ。
で、「本当、今考えるとバカみたいだよ。気づかなかった。夜がこんなに明るく優しい光に満ちていたなんて。」って主人公が言って、終わるんですよ。
うん。だから、さっぱさん、これ伝わりましたかね?
はいはいはい。
結局、今までのゾンビ映画とか、こういう吸血鬼物って、人間が正しい、吸血鬼が悪っていう二項対立みたいなもので、正義と悪で分かれて描いてたことが普通だったんですね。
で、ちなみになんですけど、これは元ネタがあるらしくて、これ、流血鬼っていうのが1978年に描いたんですけども、その元ネタっていうのが、地球最後の男っていう映画なんですね。
で、これ、現代がアイアムレジェンドっていうらしいんですけど、1954年の映画のパロディだって言われてるんですよ。
実際、設定としてはほぼ同じなんですよ。その主人公がいて、逃げ惑うんですけど、吸血鬼から。で、友達か彼女かなんかが同じように吸血鬼になって。
で、自分もそれに食われて吸血鬼になってしまうっていう。ここまでもほぼ全く一緒なんですよ。
で、その地球最後の男っていう方は、オチが実は人間から見て吸血鬼っていうのが悪の存在だと思って怖くて戦ってたけど、実は吸血鬼側から見ると人間も同じように悪の存在だと思われてて怖くて戦ってた。
つまり恐怖の対象だったんだっていうことを、主人公が理解して、最後、悩みにないで自殺するっていう。原作が。
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それが地球最後の男。
地球最後の男って原作ですね。で、それをパロディにして、最後の最後だけハッピーエンドにしてるんですよ。
先生の現代風にして。なんですよ。これが先生の心骨頂というか。
結局、今までの二項対立した正義と悪との分かりやすい対比関係っていうものが、さあ果たして正解かっていうことをおそらく疑ったと思うんですね。
だから、自分から見たら正義だっていうことは向こうから見たら正義とは限らないみたいな。これを、たぶんこの作品の中で表現したかったんだって思ってるんですね。
タイトルの流血鬼っていうのが出てきた瞬間が、僕読んだときに終わってなって。流血鬼って流れる鬼って書いて流血鬼ですけど、
その時の女の子がね、私たちが吸血鬼ならあなたは流血鬼よって言うんやけど、その時に、人間はさ、心臓に杭を打ち込んだらドラキュラに勝てるとかって言ってやるけど、吸血鬼側からすると寝てるときに何の罪もない吸血鬼が殺されていってるっていう視点になるわけですよ。
人間は人類を守るためにって言ってるけど、吸血鬼側は無抵抗なときにやられるじゃないですか。ニンニク背負ったりとか十字架を持ち歩いたりとか、一生懸命抵抗してるんだけど、それ見たときに流血鬼ってこの作品のタイトル流血鬼なんやと思った瞬間のゾワッとした感じはすごく覚えてます。
そうなんですよ。だから、そこまで流血鬼って言葉出てこないんですよね。ずっと吸血鬼吸血鬼って出てきて、そうなんですよ。だから実は流血鬼っていうのは人間だったっていうことがわかった瞬間ですよね。
と言う話です。
さっぱさん?
え?
どうでした?
私個人的にはホラーのものとか得意じゃないんで、普段見ないので、若干最初の設定からホラー系なんだみたいな。
いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ。
でもこれすごいのが、やっぱりこの話ってホラーじゃないんですよ、結局。これって人類の希望の話なんですね。
なるほどなるほど。
それをホラーっていうふりにしてるんですよ。
うんうんうん。
だから最初って明らかにホラーの設定だし、いわゆるステレオタイプ的なあるあるなんですね、全部。
スーパーに食料調達しに行くとか、彼女が流血鬼になるとかって、いわゆるあるあるじゃないですか。
18:00
だから今まであるそれをふりにしてるんですよ。
このなんていうんですかね、自由自在さ。
どっちにでも持っていけるというか、こっちが面白いなと思ったらパッてこっちに持っていって、こっちで成立させてしまうっていう、その構成力とか演出のすごさだけでもまずすごいと思いますね。
アイディアもちろんすごいですけど、多分ですけど、どちらの方向に持っていっても面白く演出できるようになっている。
なるほどなるほど。
すごい短い話でまとめてたぶん30ページそこそこやと思うんですけど、これも。
なんかやっぱり短編の作家さんやなっていう感じがすごいんですよね、こういう話を見ると。
1話で物語が始まって数十ページで終わるっていうのもすごいし、
こう来るんやろうなと思ったら最後の一コマでハシゴを外されるような感覚というか。
そこなんすよ。
そのあたりが短編の魅力なんで、多分こうやってね、いろいろ今からもいくつか紹介していただくと思うんやけど、実際にやっぱりね、機会あったら読んでほしい、先生の絵で。
読んでほしい。
絵柄も優しいから、ホラーっぽくてもそんなにおどろおどろしくないからね、読みやすくはあると思うかなと僕は思いますよね。
そうなんすよね。だから、そうね、これ僕今気づきましたけど思いっきりネタバレしてますね。
だからちょっと待ってください。これ本当に新鮮に読みたい人はネタバレあるので、もしよかったらサイトで僕が言った時点で止めていただいて、それ読んでからまた聞いてください。
もしネタバレしてでもいいから話聞きたいという方だけちょっと聞いてほしいですね。すいません、僕。
いえいえいえ。
そこは全然考えないから。
でも、短編作品の性質上、4コマ漫画でいうところの4コマ目に魅力がグッと伝わってるので、紹介していただく以上、絶対そこに触れざるを得ないというところはあるので、そのあたりはちゃんと注釈も入れておきますんで。
はい、よろしくお願いします。
だからそれで言うと、さっき僕が冒頭に言った、常識をちょっとずつ斜めに見る、裏から見る、そうするとまるで別のものが見えてきたりして、そういうことが面白いと言いますか怖いと言いますかって言ってたでしょ。
これまっさにこれなんですよ。
はいはいはい。
常識を違う方向から見て面白いか怖いかみたいなことなんですね。
これをたった数十ページで表現してるっていうのがバケモノやなって思いました。
で、ついでにすいません、それ系もう一発言っちゃってもいいですか。
はい、どんどんお願いします。
これもさっきのパラダイムシフト系って僕勝手に今言ってるんだけど、逆から見ると見え方がガラリと変わるみたいな。
21:05
これ結構シンプルなんでわかりやすいんで、たぶん藤子藤代先生初心者にはいいかなと思う作品になってるの。
タイトルがですね、裏町裏通り名画館。
はいはいはい。
これわかります?
わかります。
ただ主人公が、たぶんこれ大学生かなんかなんですけど、映画館に行って2本映画見るっていうだけの作品なんですよ。
初め見た時にあれって何この話と思っちゃった第一印象それやったですね。
そうそうそう。ただ漫画の中で映画見てるだけなんですよ。
そう。
っていう話なんですけど、街を歩いてて裏通りに入るんですね。裏通りに入ると裏町名画館っていう名前の映画館があるんですね。
でそこでぱーって見ると、あれと南極物語とスターウォーズやってるじゃんって気づくんですよ。
一応ね、スターウォーズはさすがに皆さん知ってると思うんですけど、南極物語ってもしかしたらわからない方いるかと思うんですけども、
これ本当にあった映画ですね。日本で公開された映画なんですけど、南極にある昭和基地に行った観測隊っていうのがいて、
それが悪天候のために犬を連れて行くんですけど、その犬たちを泣く泣く置き去りにしてしまうんですよ。
15匹ぐらいカラフト犬を連れて行くんですけども、それを置き去りにして帰ってしまうんですけども、その犬たちが現地でなんとか生き延びるっていう。
そういう様を描いて、最終的には犬たちが現地でアザラシとかを食って生き延びるんですよ。
で、迎えに行った時に帰ってきたーっていう感動の犬と人間との再会みたいな感動のストーリーなんですね。
で、高倉健が主演してる映画なんですけども、これ南極物語ですね。
で、この南極物語とスターウォーズが、これ日本立てで見れるやんってなって。
これめっちゃお得やから見ようって思って入るんですね。で、映画始まるんですよ。
まず1本目がバーって始まるんですけど、これよくよく見たら、南極物語じゃなくて北極物語になってるんですね。
ん?あれ?ちょっと違うかなみたいな。まあでも見ようみたいになって。
で、バッテつけたら、北極舞台なんですね。
ああ、でもまあ一緒かーとかみんなが見てるんだけど、全然高倉健出てこねえぞみたいな。
あれ、なんとか高倉健出てこないぞとか思って見てたら、なんかずっとアザラシ映してるんですよ。
ずーっとアザラシ映してて、なんじゃこの映画みたいな。
で、ずっと見てると、親アザラシと子アザラシが難しく餌を取ってきて食べさせてやったりみたいな感じで。
で、遊びながら成長していく様みたいなものをずっと映してるんですよね。
24:01
あれ、なんかちょっとアザラシいいなみたいになって。アザラシちょっと可愛いやんみたいになるんですよ、なんか主人公も。
で、その時に、ワンワンワンワンって声がして、バッて振り向いたら、飢えた2匹の狂犬が氷の向こうに立ってるんですよ。
で、それがブワーって走ってきて、めっちゃ怖いんですよ。
で、そしたらアザラシたちを殺戮しまくるんですね。ガブッガブッ食いまくって、食い散らかしていくんですよ。
で、その氷の表現が赤く血に染まっていくんですね。
タッタさん顔。
で、最終的にその主人公アザラシが犬に殺されかけたその瞬間に、ブワーって空にヘリコプターが来て。
で、バッて見たら人間なんですね。
で、そのヘリコプターがブワーって降りてきて、そこから降りてきた人間の所にワンワンワンって言ってその2匹の、タロとジローって言うんですけど、犬がブワーって人間の所に行って抱きしめてるっていう犬が。
で、アザラシは、わー、寸伝の所で命を救われました。生き延びることができました。めでたしめでたし。って言って一本目があるんですね。
めでたし?え?
生き延びることができましたっていうことで。
殺されずに済みましたっていうことがあるんですよ。
これは一本目なんですね。
で、なんじゃこりゃと思いながら、パッてもうすぐ二本目始まるんですよ。
それが、スターウォーズかなと思ったら、よく見たらぬたーウォーズってなってるんですね。
ぬたーウォーズ?
あの、巣のあそこが突き抜けてぬんなって。
なるほど。
なんじゃこれスターウォーズじゃないなと思って見てたら、パッて田舎の山で穏やかな生活してる2人の男女が、パッと殺されるんですよ。
で、木こりかなんかやってるんですね。カーンカンみたいな。
で、オラもうすぐ結婚するだーみたいな感じになってるんですよ。
あの、嫁っ子と結婚するだーみたいな、オレはすげー愛し合っててーみたいな感じになってるんですよ。
したら、ピラピラピラピラって、空に宇宙船が飛んでるんですね。これ宇宙の話なんですね。
宇宙船がパーって飛んだら、そこからピラピラピラって紙が落ちてくるんですよ。
それをパッて見たら、赤紙なんですね。レッドペーパーだーって。
いわゆる、赤紙なんですね。つまり、戦争に行けっていう召集礼状を受け取ってしまうんですよ。
それを受け取ったら、家族もお国のために立派に死んでこーいみたいな。
我が帝国のために、バンザーイ!バンザーイ!みたいな感じで、家族から送り出されて、戦場に向かうんですよ。
で、宇宙戦争に、パーって向かっていくんですけど。
今のでなんとなくわかったと思うんですけど、いわゆるスターウォーズで行われている宇宙戦争みたいなものを、
これね、ストーム・トルーパーって白い兵隊みたいなのがいるじゃないですか。
はいはいはい。
そうそう。で、あれ、1個人。
27:00
あれって、ルーク・スカイウォーカーから見たら、ただの敵、いっぱいいる敵の1人じゃないですか。
でも、いっぱいいる敵その1人にフォーカスを当てて描いてるんですね。
しかもそれを、戦時中の大日本帝国とちょっとなぞってというか、重ね合わせて描いてるんですよ。
で、最終的には、その主人公は敵の戦艦に向かって、
お母さん、オラは行くだ!お国のために!って言って、バーン!突っ込んで粉砕していくんですね。
で、最後、この日、数千の若者が、帝国の不滅を信じて宇宙に散った。
って言って、終わるんですよ。
で、トトンとした主人公は、何じゃこれ?って言って、終わるっていう。
って話なんですけど、これ分かりますかね、意味。
要は最初の南極じゃなくて北極物語っていうのは、
感動のストーリーとして描かれてた犬側じゃなくて、今度は犬から食われるアザラシ側で見てるんですね。
そうするとただの殺戮者なんですよ、犬って。
だから感動のストーリーでもなんでもないわけです。
身内が食われて。
で、スターウォーズもそうで、ルーツックスカイウォーカー側に僕ら映画を見てるとどうしても感情移入しますし、そっちを頑張れって応援しますし、
その敵となるダンスベイダー側ですよね、帝国側っていうのが悪者として見てるじゃないですか。
でもその中で戦ってる兵士ってそれぞれ一人一人にストーリーがあって、
で、自分の正義のために死んでいってるんですよ。
だからこれも最初に言った視点を変えると、すごく別のものが見えてくるし、怖いみたいな話。
で、これは藤本先生が言った言葉じゃないんですけども、正義の反対は悪じゃないと。別の正義だっていう言葉があって。
いやもうほんとにね。
なんかこれっていうのが、なんかですね、ただの面白いで終わらせられるもんじゃねえぞって思うんですよ、これ。
現実の戦争ってこれによって起きてるし、
例えば現実世界で人間同士の膝こざってちっちゃいレベルからでかいレベルまであるじゃないですか。
例えば会社の上司と揉めたとか、会社間で揉めたとか、家同士が揉めたとかいろいろあるじゃないですか。
そんなんって本来多分自分が正義って思ってるだけで、相手の完全に文脈に立って立つと多分向こうが正義なんですね。
30:03
違うだけだっていうのが、エンタメを通して僕らに伝えてくれてるっていう、ここなんですよ。
はい。
これね、この作品読んだ時のこと思い出したんですけど、割と僕キョトンとしたって初め言ったんやけど、
結構さっぱさんもこんなの好きで、わーっていう今顔になってるんやけど、
あくまでなんか、作品のテイストとしてはすごい軽い感じで終わるのがすごい印象的で、
主人公もなんだこの映画みたいな感じで、キョトンとして映画館を立ち去るで終わるから、そこで正義とはみたいなことを別に作品の中で説教はしない。
そうそうそう、そうなんですよ。まさにそう。
藤子先生自体は問題提起してるだけなんですよね。
別に、ほら、こうだぞって言ってるわけじゃなくて、こんなのあるよって答えを言わないんですよ、なんか。
そうですよね。
そうそうそうそう。こんな見方もある系統?ぐらいの感じなんですよね。
それがなんていうんですかね、オシャレっすよね。
ね、いや分かります、すごく。
オシャレーって思うんですよ。
なるほど。
きっとこういうことが言いたかったんだろうなっていうのはすぐ伝わってくるけど、それをそうなんですよとは言わないっていう。
言わないですよね。
結構その短い話の中で、読んでる時間ってそんなね、5分とか10分とかですもんね、その作品自体を読んでる自分の時間って。
すごい短いですもんね。
そう、この世界が流れ込んでくるわけですよ、短編作品を読んでると。そこがすごいエネルギーの入ってくる量がすげえ。
すごいですね。
で、まあちょっと今日はちょっと紹介しないんですけど、これ的なやつで言うと僕が好きなのは、絶望の島っていう。
これは、ある無人島で人間が生活してると宇宙人がバーってきて、もう虐待をするわ、殺して火で炙るわみたいなことをするんですよ。
これちょっと、あえてちょっとオチ言わないんで。
そうですね。
ちゃんと説明しないんで、あえて。これ見てください。絶望の島っていうのも結構このパラダイムシフト系ですね、僕が勝手に分類するところで言う。
この視点から見たらこうなんだっていう感じの話だったりとか。
あとは、気楽にやろうよ。やろうよっていうのは殺すの。殺すっていう感じのやろうよなんですね。
ゆうすけさんさすが全部知ってますね。
はい、恐縮です。
33:00
気楽に殺そうよ、つまりやろうよっていう作品も結構これパラダイムシフト系なんですね。
これは、これもあえてちょっとあんまり細かく説明しないですけども、まず性欲と食欲っていうのが逆転した世界を描いてるんですよ。
つまり性欲って、いわゆる現代の日本で言うと、ちょっと秘めるべきものというか、隠すものというか恥ずかしいもの。やっぱり性行為とかって堂々とするべきじゃないし、堂々と子供とかに見せられないし。
下ネだってあんまり言っちゃいけないじゃないですか、社会の中で。
それに比べて食欲って別に、食べることはいいことだみたいな感じだし、外に出ればいっぱい飲食店あるじゃないですか。
それが逆の世界の中に一人だけ、今の僕らの、現代の感覚を持った主人公がポーンって舞い込むみたいな話なんですよ。
主人公普通に、腹減ったのは飯食いたいなーっていうのは、向こうからすると、やりてえなーって言ってるのと同じ感覚なんですね。
恥ずかしい恥ずかしいってなるんですよ。
なんてこと言うのあなたって言ってね。
そう。逆に子供に絵本読ませよーってパーって絵本読ませたら、お姫様と王子様が性行為をしましたみたいなことを書いてるんですよ、絵本に。
おおー。
うわーなんだかーんってパニックになるんですね。
で、医者のカウンセリング受けるんですけど、医者からすると、ちょっと待ってくれと。君は何を言ってるんだと。
じゃあ一回、宇宙人になったつもりで考えてみるんですね。
食欲っていうのはどういうことかっていうと、すごく個人的、つまり自分が生きるためのものだから個人的、そして独善的。
俺も一人がね、幸せになるもんじゃないですか。食欲って。
うんうんうん。
例差的。自分しか幸せにならない。なものに対して、性欲っていうのは、それによって子孫ができていくから社会的であり、人類が発展するために公共的であり、発展的であると。
ほー。
どっちが恥ずかしいか、もうわかっただろって話をされる。
確かに。
ところから、いろいろと価値観がぐちゃぐちゃになっていって、最終的にとんでもないことになるっていうのがこの話なんですね。
これはちょっとね、ぜひ読んでほしい。
あえてオチ言わないんで。
そうですね。
サファさん、宿題ですこれは。
あー。名前をもう一回教えてもらっていいですか?
それはポッドキャスト聞いてくださいよ。
そうだった。
普通に喋ってるテンションになってるやん、なんか。
はい。完全に聞いてる感じになりました、はい。
なにちょっと飲み会のテンションになってる。
絶望の島っていうのと、気楽にやろうよって。
はい。
これあの、たぶん電子書籍とかで出てるんで、たぶんこれ聞いていただいて読みたいと思ったらパッと読めると思うんで。
ぜひね、やっぱり、いかにプレゼンしていただいて、これ言うのもあれやけど、普段の僕にも言えることやけど、いかに魅力を伝えても先生の書いた作品を目で見るっていう1回の体験にはかなわないと思ってる。
36:13
あー、ほんとそうっす、ほんとそうっす。
だからなんすかね、あのー、だから聖書です。SF短編集は。
聖書です。もうほんとに聖なる本能ですよ。
笑ってますけど。
で、僕はその聖書を伝える伝道師ですよ、僕は。
いやー、でもほんとにですよね。
いやほんとに、こういう作品があるんやでっていうのを、もっとみんなにこう知ってほしい。
知ってほしいっすねー。
いやー、やばいな、これほんとあと2つ用意してたんだけど、もう時間っすかね。
いやもう全然どうぞ、いけますよ。
マジっすか、いいっすか。
いけます、いけます、はい。
ちょっと、もしかしたらじゃあ、あのー、2回に分かれるかもしれない。
いいですか、はい。
はい。
もう、いっちゃいましょう。
え、じゃあいこうかな、えーとですね。
はい。
えー、ちなみにあとじゃあもう2つ用意したやつ、じゃあ2つもいきますね。
はい。
あのー、じゃあまずその2タイトル言いますか、先に。
はい。
1個目が。
37:22

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