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2023-07-21 16:38

take4. あなたの知らない世界・・・『ファンタジーの扉』天使と妖精とデヴィッド・リンチ

あなたは、天使を見たことがありますか?

『ファンタジーの扉』から、不思議なジャズの世界へ…

異世界に導く映画監督の話まで!?

天使の歌声/明宝ジャズ/ジミー・スコット/デヴィッド・リンチ/TWIN PIEKS/情熱的な妖精/骨が折れても弾き続ける/ミシェル・ペトルチアーニ/女好きの妖精

病床のジミー・スコットとジョー・ペシ。必見!

https://youtu.be/VwyTikxUW0Y 


Spotify限定:一番最後に簡単なアンケートがあります。今後の番組作りの参考にしますので、回答よろしくお願いします。


番組で紹介した曲は、『ジャズの入り口案内所』プレイリストにまとめていきますので、一度聴いてみてください。

AmazonMusic: ⁠https://music.amazon.co.jp/user-playlists/fe0006b2ee5742f6b7207a3d191efcabjajp?ref=dm_sh_3R5Bn5fwAzWZbGOWXcz8hBn0n⁠

Spotify: ⁠https://open.spotify.com/playlist/2q7JQgxIXlBF5AuqQhtvJG?si=YxhSdUE0TEOaz0HWzpxRBw⁠

隔週金曜日、大人の時間20:00に更新予定です。

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Cover Art : でぐちしお https://instagram.com/uzushio888?igshid=Y2IzZGU1MTFhOQ==

music : RYU ITO  ⁠⁠https://ryu110.com/ 『surface』『wherever』『Nighit Walking』『Subway』『Favorite Piano』『Trrafic jam』『Good Day』『OK』『Cyan』『Lamp』 



00:03
ジャズの入り口案内所。本番は、案内役のフランク・ナッパです。
この番組は、皆さんの身近にある扉を開いて、私独自の視点から、ジャズの入り口をご案内するラジオです。
さてさて、take4。今日開ける扉は、ファンタジーです。
ファンタジー。その世界は、映画やアニメ、小説と多岐にわたります。
しゃべるネズミや、とぼけた黄色のクマさんがいるアミューズメントパークなんかもありますよね。
また、天使や悪魔が出てくる、そんなファンタジー作品もよく見かけます。
突然ですが、皆さんは天使を見たことがありますか?
実は私、人生で一度だけ天使を見たことがあります。
今日はまずその話からしていきましょう。
その天使に出会ったのは、今からちょうど20年前の2003年7月26日、岐阜県の山の中。
その天使は足元がおぼつかない様子で、隣の男性の手を借りながら、ゆっくり歩いて光の射すステージの中央へと進み、
そこにあったハイチェアに浅く腰を下ろしました。
もうだいぶ年をとっており、白髪の頭には背の低いハットをかぶり、黒のロングスーツというみなり、
体の線は細く、肌は褐色という小柄な紳士。
それが私の見た天使でした。
彼の名前はジミー・スコット。
アメリカ出身のジャズシンガーで、天使の歌声と称された歌声の持ち主です。
当時開催されていた名宝高原音楽祭、通称名宝ジャズという野外ジャズフェスティバルに、御年78歳で出演。
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彼の驚くべきは、88歳で亡くなるまで、歌うことをやめなかったということ。
私が出会った当時で、かなりヨボヨボで、大丈夫かと思わずにはいられなかったわけですが、
その後10年も現役で歌われていたということに、改めて驚きと感動を覚えました。
さて、では実際の歌声は天使のそれだったのかどうか。
それにはまず、彼の体の秘密について触れなければなりません。
ジミー・スコットはホルモンの病気のせいで、身長が150センチくらいしかなく、声代わりもしませんでした。
そのため、彼はその天使の歌声をその身に宿すことになります。
しかしその体の小ささとは裏腹に、声量はとても豊かで、観客や周りのミュージシャンをどんどん魅了していきます。
その中には、ビリー・ホリデーやレイ・チャールズといった超有名な歌手の名前もありました。
さて、成功を収めたかに思われたジミー・スコットでしたが、
当時契約していたレコード会社との不当な契約により、アルバムのリリースをすることができず、その後20年間にわたり表舞台から姿を消します。
そして20年のブランクを経て、66歳でアルバムをリリースすると、再びブレイク。
その天使の歌声で人々を魅了していきます。
これは有名なこぼれ話ですが、ジミー・スコット、90年代に大ヒットしたアメリカのテレビドラマ、スインピークスに出演しています。
皆さんご存知ですか?スインピークス。
私スインピークス大好きでして、この話するとジャズ横に置いておいて止まらなくなるのであれなんですけれども、
この監督をしていたデビット・リンチからオファーを受けたジミー・スコット。
実は最終回の重要な場面でその歌声を披露しています。
赤いカーテンの部屋で怪しい雰囲気の中、このデビット・リンチが描き出す独特の世界観を見事に色付けして歌い上げております。
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もし興味のある方が見えましたら、ぜひスインピークスを見てください。おすすめです。
さて話をジャズに戻しましょう。
20年前、78歳の彼の歌を聴いた私の率直な感想はというと、
おばあちゃんでした。
おじいちゃんなのにですね、歌うとおばあちゃんに聞こえるんですね。
つまり彼の歌声はとても中性的であって、なんか女性の歌声とも少し違う、そんな特別なものがありました。
ヨボヨボなのにちょこんと座ったジミー・スコットの歌声は、野外ステージを飲み込むほど大きく豊かで、ちょうど野外で星が綺麗だったんですけれども、夜空に届くほどのびやかでした。
とにかくこの人、マイクと口の距離が遠い。
もうすごく遠いです。
78歳のおじいちゃんの声量ではありません。
若いミュージシャンたちがマイクのそばに口をつけて歌うのに対して、ジミー・スコットのそれは全く違っていました。
それだけ声が出ているということになります。
私の人生の中で、このジミー・スコットの歌を目の前で聞けたというのは、本当に貴重な財産です。
さて今日は、そんな彼の若い時の歌声と、亡くなる間際の歌声を聞いていただいて、
その違いや中性的な天使の歌声の不思議さ、アンビエントな部分に触れていただきたいと思います。
1曲目は、If I Ever Lost You。
表舞台から消える前の若々しいジミー・スコットの歌声です。
そして2曲目は、亡くなる直前。
俳優のジョー・ペシと共に病床で録音したThe Nearness of You。
こちらは病床で歌う実際の映像がYouTubeにアップされています。
また概要欄にリンクを貼っておきますので、興味のある方ぜひご覧ください。
ジミー・スコットの病床で歌うその清涼、その姿に、あなたもきっと胸を打たれるはずです。
天使の次は、妖精のお話をしましょう。
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私、妖精には会ったことはないのですけれども、
高校の時にテレビで妖精がピアノを弾いているところを見てしまいました。
椅子に座った妖精の体はとても小さくて、本来足で踏むはずのピアノのペダル。
これには何にも乗っておらず、椅子からタランと足が垂れ下がった状態で演奏していました。
彼の名前はミシェル・ペトルチアーニ、フランス人のピアニスト。
先天性の病気のために、体中の骨を骨折した状態で生まれたというペトルチアーニ。
体中の骨は変形し、成長してもすぐに骨折してしまう。
身長はわずか100センチ。そんな体のハンディキャップを彼は負っています。
演奏の最中に指の骨を折ったり、お尻の骨、雑骨を折ったり。
若い頃はよく折れたね、というのは彼の言葉。
その演奏スタイルは、小さな体全身を使って鍵盤を奏で、叩き、跳ね回る。
健常者よりも早く指を動かし、聴く人たちを弾きつける。
たとえ指が折れても、その演奏をやめることはありませんでした。
彼のドキュメンタリー映画、「情熱のピアニズム」という作品名にもある通り、
情熱的な演奏、そして情熱的な人生を送った人でもありました。
なぜなら、彼はその先天的な障害のため、通常で言えば20歳ぐらいまでしか生きられない、
そう医者から宣告されていたのです。
短い命を燃やし尽くすような情熱は、音楽だけに限らず、多くの女性にも向けられます。
彼は3度結婚をしているのですね。
もちろん恋の数はそれ以上。なかなかやり手の妖精さんです。
とにかく色々なことに手を出してですね、その短い36年の人生を駆け抜けていきます。
私もまだ見れていないのですが、興味のある方は先ほど触れた映画、「情熱のピアニズム」をご覧になってみてはいかがでしょうか。
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そんな彼の曲を一曲。
このアルバムはミシェル・ペトルチアーニ単独名義のデビュー作で、
ペトルチアーニの顔写真の周りに赤の縁取りがあることから、ファンの間では赤ペトなんて呼ばれたりするそうです。
アルバムはオリジナル4曲とスタンダードナンバーで構成されていますが、
こちらはペトルチアーニのオリジナル。
曲の入りからとてもヨーロッパ的なメロディー、音色が特徴です。
彼の持つ情熱的な部分と繊細さの両方が楽しめる一曲になっています。
小気味の良い疾走感とヨーロッパテイストの美しい旋律が個人的に大好きです。
バンドの構成は、ドラム、ベースとピアノのシンプルなトリオ構成。
当時アメリカでフュージョンブームが起きる中、ペトルチアーニはクラシックなスタイルのジャズで勝負しています。
ベースソロの後ろで軽やかにステップを踏む彼のピアノは、ささやくように、そして時にお茶目でポップ。
その時々で変わる彼のピアノの表情をお楽しみください。
さて今日はファンタジーの扉から天使と妖精の奏でるジャズについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
身体的なハンディキャップばかりに目を奪われがちなんですけれども、彼らの歌や演奏が魅力的であるということに全く疑いの余地はありません。
ただそんな波乱の人生もまた二人のジャズマンの音楽を形成する大切な要素であると思っています。
色眼鏡を通さず彼らの音に耳を傾けた時、そこに天使と妖精が見えたら、それはとても素敵なことだと思いませんか。
ということでお送りしましたジャズの入り口案内所は、各週金曜日大人の時間午後8時頃に配信予定です。
番組への感想お便りは概要欄のメールフォームからまたはハッシュタグ
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またこの番組で紹介した楽曲はスポーティファイ、アマゾンミュージック内にあるジャズの入り口案内所プレイリストにまとめていきますので、そちらも併せて聴いていただけると嬉しいです。
あとスポーティファイでお聞きの方は配信から2週間ほどエピソードの紹介文の下にちょっとしたアンケートを載せさせていただいておりますので、お時間取らせませんのでね、今後の番組作りの参考にさせていただきたいと思っています。
ぜひポチポチっとご協力お願いします。
なお当案内所では、ジャズを聴くとき周りの人の迷惑にならない程度にできるだけ大音量で聴くことをお勧めしています。
ここまでお付き合いありがとうございました。
それではまたのお越しをお待ちしています。
案内役はフランクナッパでした。
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