2023-09-21 09:18

6.釣り針の日本史

もっとも魚の口に近い釣具、釣り針の歴史について話してみました。 【参考書籍等】 ・播州釣針協同組合 釣針辞典 ・釣り人社 釣りバリのひみつ 【Instagram】 https://instagram.com/fishpod_roku?igshid=MjEwN2IyYWYwYw== 【Googleフォーム:ご意見・ご感想・次回配信して欲しい内容などはコチラへお願いします】 https://forms.gle/b6NmWPnHCjRTYFLq7 【コーヒーの差し入れ(100円のご支援)はコチラ】

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サマリー

「釣り針の歴史とその進化、形状による性能の違いについてお話しします」

釣り針の起源と進化
みなさんこんにちは、ロクです。
さて、魚の口に一番近いこともあり、一番大事な道具だという意見も珍しくない釣り針。
たまにはそんな道具の歴史に思いを馳せるのも良いかと思いまして、少しお話しできればと思います。
参考文献としては、晩秋釣り針協同組合の釣り針辞典、これはネットにも公開されています。
それから、釣り針の秘密という書籍ですね。
釣り人社さんから出版されているものですが、こちらを参照しています。
釣り針の秘密については、がまかつさん全面バックアップのもとを制作された書籍とのことで、かなり詳細に釣り針の歴史や素材、種類などが書かれていました。
では早速、釣り針の起源ですけれども、意外に思われるかもしれませんが、世界最古とみられる釣り針は沖縄県の洞窟から発見されています。
約2万3000年前のものとされていまして、貝を削って作られています。
世界の他の地域でも、動物の骨を加工した釣り針などが発見されています。
このあたりはちょうど石器が高度化した時代にあたりまして、このくらいからネアンデルタール人などに代表されるホモサピエンス以外の人類が姿を消して、人類としてはホモサピエンスの時代というのが到来することになります。
旧石器時代が終わると、北ヨーロッパなどで釣り針の形状的な進化が見られるようになります。
具体的には糸を結ぶための穴がついたものや、すっぽ抜けを防止するために今でいう耳や叩きと呼ばれる針の上の方の部分ですね。
このあたりの工夫というのが見られるようになっていきます。
またさらに時代が進んで、青銅器の時代に入ると、銅に鈴を混ぜて硬さを持たせた青銅などが用いられるようになりまして、
またまた時代が進むと、鉄製の釣り針というのも登場してきます。
このあたりで、紀元前5000年から3000年くらいです。
ここからは世界各地でそれぞれの環境に合わせた釣り針の進化というのが加速していくことになります。
日本の釣り針の多様性
日本に目を向けてみますと、かなり多様性に富んだ釣り針の形状をしています。
これは内陸に3万5000本以上の河川があり、周囲を海に囲まれている水に恵まれたこの国では4000種を超える魚が住んでいるとされていまして、
全国で昔から様々な調法や仕掛けが考え出されてきたことによるものと言われています。
つまり釣り針は魚ごとに違う大きさや口の構造などはもちろん、
地域や季節ごとの食べている餌の違いなどによって最適化するために、それだけたくさんの種類が作り出されてきたということです。
日本においては縄文時代の遺跡や貝塚から釣り針とマグロやカツオの骨が一緒に出土していまして、
当時から一本釣りで捕獲していたことが伺えるそうですが、
今の日本における遊び道具としての釣り針と直接的につながるのは江戸時代からで、
比較的平和なこの時代が到来したことが釣り具の進化を加速させたと言われています。
江戸時代に入って遊びとしての釣りが発展した要因というのはいくつか考えられるそうなんですが、
例えば天下統一を成し遂げて幕府の力が強まったので、結果として寺院、お寺ですね、この力が弱くなって、
仏教だと本来は良くないものとされている摂政への抵抗感が薄れたのではないかということや、
江戸安の西部に伴って沿岸部に人工の水路網が発達をして、釣りがしやすい環境が整ってきたこと、
あるいは日本へ輸出する薬の梱包に当時使われていた半透明な糸、手ぐすに大阪の漁師が目をつけて、
これが江戸に伝わって釣りに使われたことで釣り文化が急速に発展したのではないか、などが言われています。
こうした釣り文化の発展とともに変化を遂げてきた釣り針ですが、
書籍には図解付きで江戸時代当時の釣り針が資料として収められています。
現代の釣り針は大まかに3種類、伊勢山型、袖型、きつね型というのがベースの形のようなんですけれども、
こういった基本形というのはすでに江戸時代に確立されていたということです。
そう考えると先陣の知恵や研究の努力というのには頭が下がります。
次に生産されている場所ですが、兵庫県の万州という地域に日本国内の釣り割りメーカーのほとんどが集中している構造になっています。
これは歴史的な経緯があるんですけれども、
古くは奈良時代に始まる庄園制、つまり当時の貴族や豪族が商売のために保有する私有地、庄園ですね、がこのあたりにありまして、
彼らが着たり、あるいは商売に使う衣服などを縫うための縫い針の産地がこの地にあったことに由来するという説が有力なようです。
当時の日本の中心は京都なので、元は京都の技術を取り入れてこういった縫い針を作っていたようなんですが、
江戸時代に入ってその金属加工の技術を釣り針に転用していったのではないかということですね。
現在万州針は日本の釣り針製造において90%のシェアを誇るそうです。
明治末期から昭和初期にかけ、釣り針製造は手工業から機械性に変貌を遂げまして、
最近では一段と進歩した成型機械の開発や熱処理技術の向上により価価値の高い釣り針というのが作られています。
伝統の技と最新技術、この組み合わせによって我々が普段使っている釣り針というのが生み出されているということですね。
さてここまで日本の釣り針の歴史を中心にお話ししてきました。
その他にもこちらの釣り針の秘密という書籍には形状による針の性能の違いについても書かれています。
例えば釣り針の軸、ルアフックでいうところのチャンクについてみると、
軸が長くなるほど貫通性能がアップする代わりに合わせの空振りというのも多くなりがちで、
反対に軸が短いと貫通性能が損なわれる代わりにすっぽ抜けが少なくなることだったり、
その他フックのベンド、いわゆる曲げですね。
この形状による特性の違いや表面処理の種類、さらにはフッキングパワーの伝達のメカニズムまで、
釣り人であれば気になる情報というのが非常に多く書かれていました。
この書籍はガマカツ全面バックアップということで、ガマカツ製品の解説というのが下へのコーナーがあったりと、
ご愛嬌なところはあるんですけれども、それを加味してもよくまとまった書籍ではないかなと個人的には思います。
また歴史についても、これは書籍も他の資料も含めて、
バンシュ釣り針共同組合の資料が中心なので、一定の偏りはあるかもしれませんし、
きっと日本各所にはそれぞれの釣り針の歴史というのがあると思いますが、
少なくともトップシェアであるバンシュ針から見た釣り針の歴史という意味では意義深い資料なのかなと思います。
いずれにしても魚に最も近い釣り具である釣り針。
今回の話を聞いて、その奥深さについて皆さんが少しでも興味を持つきっかけになれば非常に嬉しく思います。
このポッドキャストへのご意見ご感想がありましたら、概要欄のフォームまたはインスタグラムのメッセージなどでぜひぜひお聞かせください。
ではお聞き下さりありがとうございました。
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