多様性のある組織づくりの難しさ
株式会社株区スタイルの後藤秀典です。
この番組では、エンジニアリングチームで起きている問題について、
技術、組織、ビジネスといった複数の観点で深掘りし、問題の正体へアプローチしていきます。
今回のテーマは、多様性のある組織づくりの難しさ、です。
どうでしょう?聞いてらっしゃる皆さんの中で、
多様性みたいなところをテーマにお仕事されたことがある方、
一定数いらっしゃるかなと思います。
私自身も前職、現職で、結構このテーマと向かい合ってきておりますので、
そういった経験を織り交ぜながら、
今日は皆さんに何か持ち帰れるお話ができるといいなと思っております。
エンジニアリングマネージャーの問題集。
はい。というわけで、今日は多様性ということに関して、
いろいろお話ししてみたいなと思っています。
まず最初に、多様性。
特に会社、法人、企業の中での、
組織の中にいる人たちの多様性というか、
そういうところに一旦スコープは絞っているんですけれども、
とはいえどんな多様性があるのかとか、
少し挙げてみたいなと思っています。
聞いてらっしゃる方の多くが、
この多様性という言葉を耳にしたときにまず思いつくのって、
おそらく性別というかジェンダーというんですかね。
そういったところの多様性を高めていきましょうというような話題かなと思っています。
これはもちろん一番メジャーな切り口なんですけれど、
多様性ってそこだけじゃ当然ないんですよね。
もっといろんな観点というか、
あらゆる切り口で多様性というものがありますよというところで、
そういったジェンダーみたいなものだけではなくて、
いろいろな年齢みたいなものに関しても、
多様性というものは語れるし、
持っている専門性みたいなものもそうかもしれませんし、
職場みたいなところで言うと、
働き方の多様性というところで、
最近リモートワークみたいなものもありますが、
どういった働き方で働けるのか。
これは場所だったりもそうだし、
働く時間の長さや時間帯だとか、
そういったものもいろんな状況の人がいるよねっていうような話、
そういった切り口の多様性っていうのもあります。
で、あとは今挙げたようなところだったり、
そもそもそういった客観的に判断できるような
切り口での多様性もあれば、
もう少し人の内面というか、
考え方、価値観、主義、主張だったりだとか、
宗教みたいなものも含まれるかもしれませんし、
そういったものも含めて、
いろんな人がいるよねというようなカットでの多様性もあります。
皆さんがこれまでどれくらいの多様性に
接してこられたのかっていうのは、
いろいろな方がいらっしゃると思いますけれども、
さらに踏み込んで言うと、
国の違いっていうところまであるかなと思っております。
そんな感じで、とにかく多様性っていろんな切り口が
そもそもありますよねってところですよね。
そんな多様性が何で語られるようになってきたのかっていうのって、
いろんなコンテキストがあるし、
僕も体系的にそこに関して知識を持っているわけじゃないんですけれども、
ざっくり言うと、
ビジネスそのものやそのビジネスの行う組織に対して、
あらゆる多様性とは言わないが、
一定の多様性、それはさっきお話したような
いろんなカットがあるんですけれども、
何らかのカット、いくつかのカットでの視点、
意見っていうものが集まることによって、
ビジネスや組織というものが、
そういった複数の観点からの批判に耐えうるというか、
別の言い方で言うと、そういったいろんな観点に対して、
良さを提供できる、
一つの軸だけでしか良いと言われないものよりも、
いくつかの観点で良いと言われるものの方が、
やっぱりより強い良さを持っていると、
抽象的には言えると思うので、
そういったどう良いのかっていうような議論が起こりやすかったり、
そういった議論に耐え抜いて、
より良い状態の組織だったりビジネスを作るために、
多様性というものがあったほうがいいよね、
ということだと考えています。
こういった非常に抽象的なレベルでの
多様性があったほうがいいよねっていうことに関しては、
僕自身賛成の立場ではあります。
ただですね、一方で、
一定多様性に関する取り組みをしている組織の中で
働いてきた実体験からすると、
何でもかんでもあったほうがいいよねっていうよりは、
うまく選び抜いて、
何か必要な多様性というんですかね、
そういう取捨選択がどうなのかというご意見もあるかと思うんですけれども、
とはいえビジネスをしていく組織に対して、
意味のある程度の多様性というのは、
尺度というのはあると考えていて、
そういった尺度を見極めた上で、
その範囲の中で多様性というのを広げていく、
追求していくっていうようなものが、
そういった考え方が必要なのかなと思います。
その背景としては、
多様性あったほうがいいんですけれども、
でも簡単に言うと、
これは悪い意味で言うんではないんですが、
コストがかかるものだとも考えています。
コストがかかるというのはどういうことかというと、
多様性の切り口
単純に言うと、
いろんな視点カットでの意見が出てくる状態になるので、
議論が発生するということです。
一つ一つ議論を経て、
物事を決めていったりだとかすることになるわけですね、
簡単に言うと。
なので単純に言うと、
そういう議論すること自体だったり、
時間がかかるということになってきますので、
それはイコール、
何らかのコストが追加でかかるということになるかなと思います。
なので、
そういうコストを無視せねばならぬ状況の会社も、
当然あると思いますので、
そういった状況なのであれば、
当然その会社は多様性よりも、
ビジネスにとって大事なスピードというものを取るべきだと思うんですよね。
なので、
基本的には組織に適した多様性の度合いというか、
もしくはその多様性の種類っていうんですかね、
どのような尺度の多様性が、
ビジネスにとってちょうどいい程度、
ちょうどいい程度なのか、
もしくは必要なのか必要でないのか、
っていうところをきちんと、
特にその多様性みたいなものを導入していくような意思決定をする経営レイヤーだとか、
人事関係の方ですかね、
そういったあたりをきちんと論理立てて、
考えて準備した上で、
多様性というものに向き合っていくというのが必要なのかなというふうに思っています。
今の話まとめると、
多様性は基本的には賛成なんですけれども、
とても大変なことなので、
ちょうどいい度合いを見極めましょうというのが、
まず基本的な僕の考え方です。
僕自身、前職だったり現職で、
いくつかの軸での多様性のある組織というのを経験しておりまして、
そこを経て、
多様性のコストと意義
どんなことを観察してきたりだとか、
考えてるのかっていうところをいくつか紹介したいと思っています。
まず、結論をめいたことを言うと、
とにかく多様性は難しいし、
私、日本人であって、
日本人があんもく的に持っている価値観、
何かを良しとするみたいなものが、
世界の中で見たときには、
かなり得意な価値観になってるんじゃないかという思いが、
日々強くなっております。
これって、組織として、
特にジェンダーだとかいうカットではなく、
国、グローバルに色々な国の方を受け入れていくような組織を作るっていうような多様性に挑んでいく場合に、
日本人が中心となって、そういった組織を果たして作れるのだろうかというところには、
今、ものすごく悩みが大きくなっている状態です。
一つ例というか、あまり具体的に語れる感じではないんですが、
僕自身、このポッドキャストで何回か、
こういったエンジニアリングがいいよねっていう、
自分自身の価値観みたいなのをお話ししてきたものがあって、
若干繰り返しになるんですけれども、
例えばエンジニアリングマネージャーでも、
現場のことをしっかり理解し、
かつそれだけではなくて、ビジネスのこととか、
組織のこととか、自分が受け持っているチームの外側というんですかね。
もしくは自分の役割の少し外側というんですかね。
そういったところまで、少なくとも理解をし、
必要な時には少し、何ていうのかな、
何らかのアクションを自分の責任というよりは、
自分の責任範囲に影響するから、
リクエストしていくぐらいのニュアンスではあるんですけれども、
とにかく割と自分の受け持っているところの外側に対しても、
主体的に知識を持ち、
ある種責任を広げたような感覚で仕事をすることを、
僕は良しとしているんですよね。
聞いてくださっている方の中には、
共感いただける方も一定数いるんじゃないのかなと思って、
これまで話してきているんですけれども、
実は一方で、このような責任感や、
責任というか、プロフェッショナルとしての仕事の仕方の価値観というんですかね。
プロフェッショナルのあり方みたいなものが、
すごく日本人的な価値観。
日本人的というのもちょっと変ですね。
この20年ぐらいなんですかね。
ここ最近での日本人が教育されてきたというか、
良い職人の働き方というのか、
そういったものによって暗黙的に構成された価値観から出来上がっているんじゃないかと思うことが多々ありますと。
そこは僕自身もまだ結論が出せていないところではあるんですけれども、
例えば何度か現場で私が遭遇している例で言うと、
私の歌舞伎スタイルという会社では、
日本人以外にいろんな国の方のエンジニアに参加いただいて仕事をしてもらっているんですね。
アメリカ人もいれば韓国の方、フィリピンの方もいますし、インドネシアやインドの方、いろんな国の方がいると。
そういった方々に対して、僕自身が良いとするエンジニアの振る舞いですね。
言って自分のチームの受け持っている箇所以外のサービス全体に対しても少なくとも知識を持ち、
かつ何か障害が起きたような時とかに進んで、
その領域のソースコードを読んで障害解決に対して動いたりだとか、
そういったような仕事の仕方っていうのを求めているんですけれども、
なかなかそういう動き方をスッとできる日本以外の方っていうのに出会えないと言いますか、
むしろ、そういったような仕事の仕方って、
日本以外の国の方、これものすごくちゃんと統計を取ったわけじゃないので、あくまで僕の観測範囲なんですけれども、
そういった自分の領域外のところに誰から言われるともなく、
自分の領域外のところに誰から言われるともなく、
グローバルと日本人的な価値観の衝突
口出しをするとかいうことがむしろプロフェッショナルじゃないっていうように考えている方の方が、
日本以外では多いんじゃないのかなというふうに感じているんですね。
これは皆さんの意見も聞いてみたいところなんですけれども、
これって本当に価値観というか、育ってきた環境というんですかね。
本当に多様性の問題なのかなと思うところがあって、
僕が設定したような日本人的なこういう働き方を良しとしますみたいなものが、そもそも全然良くないと。
そうじゃないのがプロフェッショナルなんだというふうに考えている方がいらっしゃるのだとすれば、
そういった多様性をどう組織で受け入れていくのかって、なかなか難しいなと思っているんですよね。
いくつかの観点があって、僕が思っているものをあくまでグローバルに貫き通すんだということが、
今の私の株式会社カブクスタイルという会社で依然として理にかなっていると言い続けることができるのであれば、
その考え方に寄せてもらうということが会社としては必要だと言えますので、そっちに持っていくこともできると思います。
一方で、やはり日本人的な価値観に根差した会社のバリュー定義というか、組織の方向性みたいなものがそうなんだとすると、
グローバルな組織を作るときに、日本人的な考えを元々持っている方がごく少数であって、
そうではない、むしろ反対側ぐらいの価値観を持っている人の方が多いということであれば、
組織の作り方として日本人的なものを押し通すことは、もしかするとあまり良くない手なのではないかと、
良くない戦略なのではないかということも考えたりするんですよね。
組織の方向性と多様性の受け入れ
なので、そうだとするならば、僕自身、もしくは会社の経営者たちですね、まだまだ日本人が中心なので、
そういった側の考え方を、よりグローバルスタンダードというか、スタンダードではないかもしれないが、
グローバルにフィットしやすい価値観というものを、日本人側にきちんとインストールして、
それにフィットした、合うような価値観というものを提示していくことが、会社としては合理的と言えるかもしれないんですよね。
みたいなところがあって、この後、僕自身、今まさに悩み続けているところで、何もまだ答えが出た感じではないんですけれども、
正直、どっちに倒すべきなのか、本当に悩んでいます。
効率で言えば圧倒的に日本人側に寄せたほうが楽なんですけれども、
それではグローバルな組織っていうのが作れないかもしれないというところで、本当に今、天秤が50%50%のところで揺れているような状態なんですよね。
この辺、多様性のある組織で、考え方や仕事の仕方みたいなところを、
多様性というものを本当に信ずるのだとすれば、やっぱり一定、みんなが違う考え方や、
与えられた責任に対しての実行方法っていうんですかね。
いうところも、その人たちに任されていてもOKと言えるのが、多様性を許容している組織だと思うので、
考え方や振る舞い方まで合わせていくのって、
多様性を許容しているとは言いづらいなというところがあるんですよね。
でも一方で、そういうところを何らかの方向性の統一みたいなのはしないと、
少なくとも営利を目的としている企業、組織としてはうまくいかない。
みんながてんてんバラバラなことをやってたら、当然うまくいかないし、
お金儲けできるものも儲けられなくなっちゃうので、
多様性のコストとビジネス戦略の結びつき
そういうのは良くないと思うんですよね。
この辺が本当に、すみません、今日はいろいろグダグダと話しちゃってますが、
なかなかデザインが難しいところなんですよ。
組織として一つのことを一つの方向性に力強く進めていくときには、
すごく意思統一された動きみたいなのが必要なので、
ある種の軍隊のようにどんな動きをするのかまで統率する必要があると思うんですよね。
だからそういうフェーズなんだったら、
多様性というのは極力ある種捨てるような意思決定をし進めるべきなのかもしれませんし、
一方でやっぱり多様性自体がビジネスに必要ということであれば、
多様性にコストをかけながら前に進む、その代わりスピードが落ちますよということを受け入れながら
やっていくっていうのも必要なのかなというところなんですよね。
というところでちょっと話がぐるぐるしちゃってますけれども、
実体験からしても相当この多様性というものは難しいと思っているし、
本当にいろんな本を読んだり、いろんな人と会話をしたりしてきて、
僕自身その多様なものを比較的受け入れてきている方だなと自分自身思っているんですけれども、
それでもやっぱり何て言うんですかね、
より多様あるべき多様性というのはわからんというか、
もしくはその多様性の各軸カットでの他の人の考え方、
自分とは違う立場、考え方の人の考えることみたいなのって、
受け入れることはできるけれども、その人自身にはなれない極論、
そういったどこまで行ってもわからないものがあるっていうような、
何て言うんですかね、わからなさですよね。
みたいなものをきちんと真摯に持っておくっていうことが、
この多様性の議論に関しては絶対的に必要だなと思っていて、
わかった気になっちゃいけないんだなっていうのが僕自身の結論だと思います。
なので本当に多様性って言って、少なくともトレンドに乗ったような感じで導入するのは全くお勧めしませんし、
やるならやるで、結構コストをかけて、かつビジネスだとか、
そういった戦略とどう結びつくのかっていうところをきちんと経営陣なりと議論し、
一定の答えというんですかね、筋道が持てた上で取り組んでいくっていうことが、
この多様性というものに関しては必要だろうと思っています。
というところで、今日はいろいろ僕自身の考えというのを、
多様性についての考えと実体験、主に悩みみたいになっちゃいましたけれども、
というところを話していました。
はい、というわけで今日多様性っていうちょっと大きめのテーマに関して、
僕自身が考えていることや、体験したことを含めお話ししてみました。
こんな感じで、いろいろちょっとぼやっとしたテーマに関しても、
私の経験だったり考えを話すことで、
少し皆さんの考えるヒントみたいになるんではないのかなと思っておりますので、
そういった話してほしいみたいなテーマがあれば、
ぜひ相談フォームから送っていただけると助かります。
さて、この番組では感想や質問、お悩み相談をお待ちしております。
エンジニアリングの現場で遭遇するあらゆるトピックについて、
番組詳細欄にあるお便りフォームよりお気軽にご投稿ください。
TwitterではハッシュタグEM問題集をつけてツイートしてください。
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こちらにも感想を書いてもらえると嬉しいです。
お相手は株式会社株区スタイルCOO兼CTOの後藤秀典でした。