タイムトラベルの壁
- こんにちは。もし過去に戻れたら?って、まあ誰でも1回は考えますよね。
- ええ、考えますね。
- 今回はですね、あるブログ記事がありまして、それをもとに、ほんの20年か30年前、1990年代にタイムスリップしたら、
一体どうなるんだろうっていうのを、ちょっと深掘りしてみたいと思います。
- ほう、1990年代ですか。身近なようで、もう結構稀ですもんね。
- そうなんです。この記事を書いた方のきっかけは、まあ昔飼ってたワンちゃんに会いたいっていう、すごく個人的な願いだったらしいんですけど。
- ああ、なるほど。
- でもいろいろ考えていくうちに、あれ?現代の我々って過去に行ったら、思った以上に何もできないんじゃないか?っていう、そういう気づきがあったそうなんです。
- それは興味深いですね。具体的にはどんな壁か?
- さっそく見ていきたいんですが、今日の探求のゴールは、我々がいかに今のこの現代の仕組みに頼りきっているかっていうのを、改めて考えるきっかけに、ということですね。
- はい。
- で、まずですね、一番身近な問題かもしれないんですけど、お金。
- お金ですか。
- ええ。今私たちが使っているお札、あのE券って言われるやつ、あれ2004年の発行なんですよ。
- ああ、そうでしたね。はいはい。
- だから90年代に持っていっても、え、これ何?って。下手したら偽札だって言われちゃうかもしれない?
- うん。確かにデザインが全然違いますもんね。
- あと500円玉。あれも2002年にあのデザインに変わってるんで、使えない?
- そうですね。あのギザギザがついてない古い方じゃないと。
- そうなると、じゃあ何が使えるんだって言ったら、100円玉とか10円玉とか、その辺の効果くらい。
- いやあ、それはかなり厳しいですね。自販機でジュース買うくらいしか。
- ですよね。ちょっとした移動とか食事とかも全然足りない。高齢は困りますね。
- ここがまさにこの20年30年で、私たちの決済手段がいかにこうガラッと変わったか、お示ししてますよね。
- 本当に。
- 例えばスイカみたいな交通系のICカードなんて、あれ2001年とかでしたよね?確か。
- そうですね。はい。
- ペイペイみたいなQRコード決済なんて、もう本当最近、2018年とかですか?
- 全然ない時代ですよね。
- クレジットカードも今当たり前のICチップ付き、あれが広まったのも90年代の半分以降くらいじゃないですかね。
- じゃあそれ以前の時期だけのやつなら?
- 可能性はありますけど、ただそのカード自体がその時代に有効なものとして発行されているかという保証はないですよね。
- ああ、そっか。発行日とかの問題も。
- もっと言えば今使っている銀行口座、これもまず90年代には存在しないでしょう。
- ああ、確かに。
- だから仮にATMがその時代にあったとしても、自分の口座がないわけですから、現金を引き出すっていうのがもうほぼ不可能に近い。
- うわあ、お金いきなり積みますね、これ。
- そうなんですよ。
- で、お金の次。これも、いやこっちのがもっと深刻かもしれない。スマートフォン。
- ああ、スマホね。はい。
- これはもう完全にただの分賃というか。
- まあそうでしょうね。
- 今使っている4Gの通信もって、だいたい2010年代に入ってからですもんね。
- ええ、そうです。
- 90年代にはもちろんそんなものはない。圏外どころの話じゃない。
- インターネット自体がまだ。
- そうそう。一般家庭に普及し始めたのが90年代の後半とかで、電話回線吹かったダイヤルアップ接続でしたよね。
- ガガガってやつですね。懐かしい。
- それです。Wi-Fiなんて当然ないし、ネットカフェみたいなものもまだほとんどなかった時代。
- これどうやって情報を得ます?地図は?誰かに連絡取りたい時は?
- いやあ、これは本当に現代がいかに常時接続が当たり前になってるかっていうのを痛感させられますね。
- ですよね。
- ちょっと道を調べるとか、誰かにメッセージ送るとか、ニュース見るとか、全部スマホでやってることじゃないですか。
- はい。もう無意識にやってます。
- それが一切使えないとなると、単に不便というだけじゃなくて、もう社会との切断が切断されるような感覚かもしれませんね。
- うーん。
- 筆者の方も言うように、本当に頼れる情報インフラがない。そこにポンと放り込まれるわけですから。
- いやあ、怖いですね。さらに問題は、そういう技術的なものだけじゃないっていう話もあって。
- と言いますと?
- この記事を書いた方の場合なんですけど、ご実家が20代の頃に建て替えられたそうなんですよ。
- ああ、なるほど。
- だから、90年代当時の家の鍵なんか持ってないと。
- ああ。
- つまり、タイムスリップして、よし、とりあえず実家に帰ろうと思っても、家に入れないかもしれない。
- それは盲点でしたね。確かに。
- 唯一の頼みの綱かもしれないのに。
- しかもそこからさらに深い問いが出てくるわけですね。
- ええ。
- 当時にですよ、仮に家が当時のまま残っていたとしても、突然現れたまあ中年の自分を見て、当時のご両親が未来から来た自分の子供だって、果たして信じてくれるだろうかと。
- うーん。いやあ、難しいでしょうね。
- 筆者の方も書いてますけど、逆の立場で考えてみたらって。今の自分のところに見知らぬ中年の男性がいきなり来て、俺は未来から来たお前の息子だって言われても。
- いやいや、絶対信じないですね。怪しすぎます。
- ですよね。身分を証明するものも何もない。当時の知り合いも今の自分を知らないわけですし。
- そうか、人間関係もゼロから構築しないといけないのか。
- 技術的な壁もさることながら、この自分とは何者かを証明して受け入れてもらうっていう、人間関係の壁、これも想像以上にもしかしたら高い壁なのかもしれないですね。
- うーん、なんかもう考えれば考えるほど発砲塞がりな感じがしてきましたね。
- そうですね。
- お金もない、スマホも通じない、GPSも使えない、頼れる場所ももしかしたら人もいないかもしれない。
- まさに。
- 筆者の方の結論通り、ほんの数十年前の世界に行っただけなのに、現代人ってこんなにも無力なのか。
- なんかアニメとか映画だと結構気軽にタイムトラベルしてますけど、現実はそう甘くないぞと。
- 全然違いますね。
- その時代ごとのインフラとか社会の仕組みとか、そういうのをちゃんと理解して、周到に準備しないとトタモじゃないけど生きていけないということなんでしょうね。
文化と常識のギャップ
- いかに今の私たちの便利な生活が、特定の時代の特定の技術の上にある意味過労死で成り立っているかっていうのがよくわかりますよね。
- 本当にそうですね。今回は1990年代へのタイムトラベルっていう試行事件を通して、お金、通信、居場所、それから人間関係っていう色々な具体的な壁を見てきました。
- はい。
- 普段当たり前のように使っているものが、いかに特定の時代背景あってのものかっていうのを痛感させられました。
- 筆者の方の考察は主にそういう技術的とか物理的な制約に焦点を当ててましたけど、最後に一つちょっと違う角度からの問いを皆さんに考えてみてほしいなと思うんです。
- なんでしょう。
- こういう物理的な混乱さももちろんですけど、じゃあこの20年30年で変わった文化とか常識のギャップ、これはどうでしょうかね。
- ああ、文化や常識ですか。確かにそれも大きいかもしれないですね。
- 当時の価値観とか社会の雰囲気とか、そういうものに現代の感覚を持った我々がすんなり馴染めるものなのかどうか。
- 言葉遣いとか服装とか人との距離感とかいろいろありそうですね。
- もしかしたら技術的な問題よりもこっちの目に見えないズレの方がより大きな阻害感とか困難さをもたらすかもしれない。これもタイムトラベルの隠れた難しさと言えるんじゃないでしょうかね。
- なるほど。それはまた深い問いですね。ありがとうございました。