日本刀とAIの研究
こんにちは、ツネゾウです。
デザイン・リビューFM第62回目、始めていきましょう。
このデザイン・リビューFMは、世の中の様々なもの、
主に工業製品について、私の主観で、勝手にデザイン・リビューをしていこうという番組です。
今日はですね、一見何の関係もなさそうな、
AIと日本刀、その2つのコラボレーションというか、
そういった話をしてみようと思います。
Xの方で、とあるAIと日本刀の研究についての展示について紹介したんですけれども、
これは結構反応をいただけて、
今日、9月28日土曜日なんですけど、
インプレッションが19万、
いいねが1995、リポスト826ぐらいの反応をいただけました。
これがどんな展示だったかというと、
東京都の東京テレポート駅近くにある、
日本科学未来館という科学館があるんですけれども、
そこで開催されていた、今も開催されているのかな、
10月の10何日かまでやっているはずなんですけれども、
開催されている特別展ですね。
刀剣乱舞で学ぶ日本刀と未来展、
刀剣男子の秘密というのに行ってきました。
この刀剣乱舞というのは、
スマホとかパソコンでもできるのかな、
ゲームなんですけれども、
日本刀を男性に擬人化して、
それを刀剣男子というんですけれども、
刀剣男子を集めて、
歴史上の合戦に出没する敵を討伐していくと、
そういうものです。
この刀剣乱舞、刀羅舞はですね、
妻が大好きでして、
私は全然やってないので、あまり分からないんですけれども、
実際にその刀剣乱舞に登場する日本刀を、
日本刀の実物を見に三島のほうまで行ったりとか、
いろんなところに行ったりというのの一環で、
この展示会、展覧会にも行ってきました。
その展覧会特別展の中の展示の一つとして、
このAIを使った日本刀の研究というものが紹介されていたので、
それをXのほうでポストしたというわけです。
押し型とその限界
具体的にどんな研究かというと、
これはですね、金沢工業大学の宇根田教授が行っていたもので、
AIによってその日本刀の美しさというものを解析しようというものですね。
まずその日本刀というのは、
現在でもその新しいものというのが作られているんですけれども、
その押し形というものはあっても、
その書く部分の寸法を書いた図面というものはないそうです。
この押し形というのは刀の形を残すために、
魚卓のようにね、
その墨を刀にこすって、塗って、
それを和紙に映すと、和紙に押し当てて形を映すと。
細かい文字なんかは筆を使って書き写す。
そういうことでその日本刀の姿というものを記録する方法ですね。
現在は写真というものが普及していますので、
それでその代替できる部分もあるんですけれども、
やっぱりその金属加工に関わっている方はよくわかると思うんですけれども、
その金属の表面というのは写真に撮るのって結構難しいんですよね。
私もよくその工作機械で加工した加工面の写真というのを、
記録するために撮るんですけれども、
その撮る角度とかによって光の当たり方が変わってしまって、
全然その同じ面を撮っているんだけど見え方が全然違うとか、
あとはその実際自分の目で見たときと写真の見た目が全然違うとか、
というのがよくあります。
光の当たり方が変わっても大丈夫なようにビデオ、
動画で撮ってみたりもするんですけれども、
やっぱりそれも難しくてですね、
やっぱり実物が一番、実物を見るのが確実なので、
実際加工したものをお客様のところに加工した枠を持って行ってみてもらったり、
あとやっぱりジムドフとかでもね、
その工作機械の展示会なんですけれども、
ジムドフとか他のMECTとかありますけれども、
そういう展示会でもやっぱり加工した部品というのを展示してますよね。
やっぱり写真とかだとどうしても伝わらない部分があるので、
実際加工したものを見てもらうと、
それが一番確実ですということです。
日本刀も金属ですからね、もちろん金属なので、
同じようにやっぱり写真だとどうしても表現できない波紋とかですね、
二重というような部分があって、
それやっぱり押し型の方が伝えられるということですね。
しかしこの押し型というのはやっぱり和紙に絵のように描き写す方法なので、
二次元での表現なんですね。
なのでその刃の厚さとか、
そういう三次元的な情報がそこにはないということです。
そこで宇根田教授はこの日本刀の形状について、
押し型という伝統的な手法ではなくて、
精密工学だったり、統計分析学、
新しい評価方法の提案
それと巧みの技の融合に基づく新しいアプローチによって、
日本刀の評価、そしてその設計法の可視化を試みようとしています。
この研究はですね、
日本刀の新作、新しい日本刀を研究で得たデータを使って、
実際にその展示会に出品して、
その展示会でどんな評価を受けるかというところで、
その研究の評価をしています。
この研究ではまず2段階のアプローチをしていて、
まず初めはその押し型と同じ二次元形状を分析しています。
過去3年間にその展覧会に出品された合計11振り、
刀って1振り2振りで数えるんですね。
11振りの日本刀の全体の形状を画像処理によって輪郭を抽出したと。
画像処理で刀の輪郭を抽出して、
その日本刀の二次元形状を定量化しました。
そしてその出品された11振りの日本刀の受章順位に基づいて、
その日本刀の各部分の形状に重みをつけます。
その重みづけに基づいて新しく作る日本刀の形状を決定して、
刀掌、刀鍛冶さんですね。刀鍛冶に作刀を依頼したと。
刀を作ってもらったと。
そして完成した日本刀を展覧会に特別出品したそうですね。
まあ多分普通他の刀鍛冶が作ったものと別枠でって感じですかね。
特別出品したそうです。
その結果は入賞相当というあまり良い評価ではなかったそうです。
次に第2弾目としてその結果を踏まえまして、
今度はニューラルネットワークを利用した
AIによる新作日本刀の特徴分析を実施したそうです。
その分析する対象も前回は過去3年間だったんですけれども、
今度は過去10年間までの展覧会で入賞した
合計72振とデータを増やしました。
さらにそのレーザー変異形を用いて
その刀の各断面、各部分の断面形状というものを計測して
そのデータもパラメータとして使用しました。
そしてそれらの結果から導き出した数値というものを使って
3D CADを用いてその日本刀の形をモデリングします。
そしてその日本刀の3Dモデルから2次元図面というのを作成して
再び刀鍛冶さんの方に作刀を依頼したということですね。
第1弾と違うのは形状を導き出した方法も違うんですけれども、
その刀鍛冶に依頼する図面ですね。
その図面に第1弾では2次元的な形状しか書いてなかったんですけれども、
第2弾目では各部分の断面形状も図面で指示して
それをもとに刀を作ってもらったということです。
こちらの日本刀も展覧会に特別出品しました。
これは令和3年ですね。
令和3年の展覧会に出品して、その結果はというと
金賞総統、金賞ですね。金賞総統という名誉ある成果を得られたそうです。
ということで簡単ですけれども、金沢工業大学宇根田教授による
日本刀の美の科学的解明とそれに基づく新しい作刀評価設計法の提案の実証という研究について紹介しました。
今回の話の元となっている報告書のリンクを概要欄に貼っておきますので、
興味がある方はぜひそちらも読んでみてください。
ということで今週はここまでです。
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ではお疲れ様でした。
ご案内いただきありがとうございました。