こんにちは、つねぞうです。 DesignReview.fm 今回も始めていきましょう。
今日はですね、17歳の研究が機構設計の未来を変えるかもしれない、そんなお話をしていこうと思います。
17歳の高校生がですね、世界最大の科学大会で日本人初の最高賞を取った、そんなニュースがありました。
こちらの賞金がですね、なんと10万6千ドル、日本円で1600万円以上ということで、
17歳の高校生ですよね。私の高校時代ってね、何してたかなとちょっと考えてしまいましたけれども、
その金額だけじゃなくて中身がですね、またすごいというところで、これがですね、折り紙とマルコフレンサ・モンテカルロ法を掛け合わせた研究ということです。
折り紙はね、皆さんわかると思うんですけども、このマルコフレンサ・モンテカルロ法って何ぞやと思いますよね。
今日はそこらへんをね、ちょっと簡単に話していければなと思っています。 まずどんな大会だったかというと、
ディジネロン国際学生科学技術フェアと、
ISEF 2026、今年で76回目を迎える世界最大の中高生向けの科学コンテストだそうです。
世界65の国と地域から1725人のファイナリストが集まる、まさに科学のオリンピックという感じで、
この賞金総額が約900万ドル、14億円だそうですね。
この大会に、2026年の5月、アリゾナ州のフェニックスで開催されたこの大会で、
北海道のですね、札幌開成中東京を行く学校6年、中古一貫の高校3年生ですかね、
栗林さんがですね、日本代表として出場して、その1958年からその派遣をしたそうなんですけども、
派遣を始めているそうなんですけども、その史上初となるですね、最高賞であるジョージ・ヤンコ・ポーロス革新賞というものを受賞したそうです。
この最高賞をね、受賞した研究のタイトルが、マルコフレンサ・モンデカルロ法を用いたリンク機構に関する研究ということですね。
いやいや、なかなかね、タイトルを聞いただけではどんなことをやっているのかわからないですけども、このリンク機構というところに、ちょっと私、興味を惹かれまして、ちょっと調べてみました。
で、この受賞が決まった瞬間、栗林さんはですね、頭が真っ白になって、夢か現実かわからなかったんですと、まあそういうコメントをしたそうですね。
ちなみに今年はですね、日本代表として8研究がですね、優秀賞を受賞したそうで、これは各最多だそうです。
栗林さんだけでなくですね、その日本の高校生、いろんな高校生がですね、活躍した大会でもあったということですね。
ではこのメインの栗林さんの研究を、ちょっと深掘りしていきたいなと思います。
この栗林さんの研究、もう一回タイトル言いますね。マルコフレンサ・モンテカルロ法を用いたリンク機構に関する研究と、
うん、という研究なんですけども、まあ一言で言うと、折り紙や関節付きの部品がどんな動き方をするかっていうのを、
コンピューターで一気に調べるプログラムを作ったというものです。
で、ここで出てくるリンク機構というところはまあちょっとね、機械設計っぽいなと思って興味を持ったんですけども、
身の回りあふれていますよね。一番簡単なもので言うと、ハサミもある意味リンク機構かなと。
片方のハンドルを動かすと、もう片方の刃の方も連動して動くと。あと身近な例で言うと折り畳み傘、
まああの骨の部分ね、あそこもリンク機構ですよね。 持ち手をこうスライドさせると、傘の部分の骨がねバッと広がると。
あとまあ産業分野で言うとロボットアーム、これもね複数の関節が連動して動いているので、まあリンク機構ですよね。
で、ちょっと私こう意外だったんですけども、折り紙もねその一種だそうです。折り紙。
こう一箇所を引っ張ると、折り目に従って全体がねパーッと展開したり畳まれたりすると。
あれ、何でしたっけ、あのー、人工衛星の太陽パネルを閉じたり開いたりするときに
使われる折り紙の折り方。あ、そうそう、三浦折りね。三浦折りっていう折り紙の折り方もありましたよね。
まあそういった折り紙もそのリンク機構の一種だそうですね。 で、この問題っていうのがこの機構、この折り紙とかねリンクのこの機構を全部で何通りの動き方ができるの
というのが、これまでコンピューターでもそのなかなか答えにくい難問だったそうです。
で、そのリンクの数が増える、形が複雑になるにつれてそのね、動く組み合わせ、動くバリエーションというのがどんどん増えてしまうので、
爆発的に増えてしまうので、それが大変だったそうなんですよね。 しかもその動かしている途中にこう、なんかパチンと急に別の形に変わってしまうという現象もある
そうで、これがその従来のシミュレーションをぐちゃぐちゃにしていたそうです。 で、このパチンと別の形に変わるっていうのはまあロボット屋さんが気にする特異点、
ロボットアームの腕を伸ばしきって制御が効かなくなる点とはまあ別物だそうで、
あっちではその数学的な計算の破綻なんですけども、このパチンと別の形状に切り替わるのはエネルギー的に不安定な中間状態を飛ばしてしまって、
別の安定状態にジャンプすると、そういう現象だそうです。 その厄介さの種類が違うそうですね。
このリンク機構、折り紙の動き、何通りできるのかという、これを調べるのに
栗林さんが使ったのがマルコフ連鎖モンテカルロ法なんですけども、 ちょっとこれ長いので、MCMC法と略します。
では本質はシンプルで、求めたい確率分布を 均衡分布として持つマルコフ連鎖を作ることでサンプリングを行うと。
シンプルですね。 wikipedia の定義をそのまま言ったんですけども、これはこれで難しいですね。
要するにランダムに動き回りながら重要な場所を浮かび上がらせる、 まあそういう手法です。
その試す回数をね増やせば増やすほど、結果の精度が上がっていくということなんですね。
ここからがその栗林さんがすごいポイント、天才的なポイントなんですけれども、 このMCMC法というのは本来その物理学で原子だったり分子、
ミクロな粒子の世界を扱う統計力学の道具らしいんですよね。 タンパク質の折り畳みシミュレーションとか、材料の熱的な振る舞いを計算するときに使う手法だそうです。
栗林さんは何をしたかというと、まずリンク気候の各辺の長さのズレみたいなものをエネルギーと定義しました。
合体として正しい状態ほどエネルギーが低くて安定していると。 これはその分子間の結合エネルギーと全く同じ考え方だそうです。
そこからその合体の状態ほど高い確率で現れるというボルツマン分布。 この統計学の基本式ですね。
このボルツマン分布を気候に対して構築していって、これをMCMC法でサンプリングしたと。
これだけ聞いてもね私もあまり理解できないんですけども。 要するに原子分子のミクロな世界の道具を折り紙だったりロボットアームのマクロな世界に持ち込んだと。
物理の因子性がですね物理学を学んでいるような因子性が使いこなして当たり前 だった道具をですね全然違うスケールの問題に適応するという発想の秘薬。
ここが専門家が驚いたポイントらしいです。 このMCMC法のよく使われる例というのは真っ暗な山を歩くことです。
想像してみてください。あなた今真っ暗な山の中にいます。 スマホも電源が切れてしまって地図が見えません。でも足元の間隔だけがわかると。
そこであちこちね周りをランダムに歩き回って何度も辿り着く場所だったり 歩きやすい場所っていうのを記録していくと。そうするとこの山全体の地形、その谷がどこか、山はどこか、
尾根はどこかというのがだんだん浮かび上がってくるわけですね。 これもねこれをコンピューターがやろうとするとまあなんていうかな
コンピューターが正確な正解だけを追いかけるのではなくて、たまにわざと変な方向にも進んでみると。
ということで見落としていたルートを発見できるというわけです。 これがその従来との大きな違いとなっていて、さっきのそのポンと状態を飛び越えてしまうという問題も
このMCMC法で解決できると。その気候が持つ状態、例えばABCというね3つのパターンがあったとした時にその3つをね見つけることができるということらしいですね。
でこのMCMC法を用いた方法を使って何をやってみたかというと、テントウムシの羽の動きを解析したそうです。
テントウムシの羽ってこの全開の状態と全閉の状態、2つの状態があるんですけども、どちらも筋肉を使わずに安定してその形状を維持できているんですね。
とても省エネな設計になっています。 この生物の進化の謎、テントウムシの羽のリンク気候、折り紙気候の謎をこの研究で解き明かしたそうです。
これをどういうところに応用できるかというと、宇宙開発ではさっき話したようにその身裏折りで折ったような巨大なソーラーセールというのを手のひらサイズに畳んで宇宙空間で確実に展開させる折り方というものを見つけるのに使えるとか。
あとは医療分野ですね。この血管の中に体内で広がるこのステンとカテーテルの精密設計ができると。
私の父親も先日カテーテルを入れる手術をしましたけれども、そういう分野にも使えると。
防災分野でも普段は小さく収納できているんだけども、災害時に一気に展開できる大型シェルターとか、折り紙のようなもの、リンク気候というものをシミュレーションによっていろんな分野に応用すると。
そういう分野に使える研究ということですね。ここから私たちが関わっている製造業FAの分野の話もしたいんですけども、かなり直結していますよね。
まずはその気候設計なんですけども、先ほど最初話したように産業用のロボットのアームというのもリンク気候ですよね。
関節が何個あって、それぞれがどのくらいの角度を動けて、エンドエフェクターが反動部分がどういう軌跡を描くか、この動きから構造を逆算する設計。
逆運動学みたいな話ですかね。この逆運動学、こういう軌跡を描いてほしいというところから逆算して、このリンクの長さを求めたりするんですけども、
回数が複数出てきたり、ポンと状態が変わってしまうようなことが起きたりで、全パターンの範囲が難しかった。
ここでクレバイさんの手法を用いることで効いてくると。
こういう動きをさせたいと入力するだけで、考えられるリンク構成のすべてを一気に羅列できるということです。
あとはこのロボットハンドグリッパー。ロボットハンドの中には折り紙をモチーフにしたようなグリッパーがあるんですよね。
空気圧で動くような。空気を入れるとグッと掴んで、空気を抜くと放す。そういうグリッパーもあって、これもなかなか最近研究が進んでいるようです。
折り紙を使うとモーターの数を減らしながら、形状に適応する能力を高くすることができる。
卵も掴めるし、ボルトも掴めるみたいな。そういうことができるようになるそうです。
この設計って、今まで職人芸的な部分が大きかったそうなんですね。
どういう折り方パターンが最適かと、どこにどういう関節を入れるのがいいのかというのが、結構経験的なものがあったそうなんですけれども、
この栗林さんの逆計算ツールを使うことで、この形状をこういう力加減で掴みたいというところを入れてあげることで、最適な折り紙グリッパーを計算できるようになるんじゃないかと期待できるわけです。
もう一個考えられるのが、展開構造、コンパクト収納への応用です。
例えば工作機械の工具マガジンとか、AGVの昇降機構みたいなところで、使うときだけ展開して、普段は畳んでおくような機構の設計にも、もしかすると使えるかなと思います。
どう畳んで、どう開くかと、そういう全パターンと安全ポイントが事前にわかるということですね。
要するに、今まで熟練エンジニアの経験とかが必要だった機構の全パターン把握、変な動きの予測というものが計算で、コンピューターによる計算で体系的に知ることができるようになるかもしれない、そんなポテンシャルのある研究だということです。