1. 岡大徳のポッドキャスト
  2. 医療DXと働き方改革の本質|労..
2025-11-17 04:30

医療DXと働き方改革の本質|労働時間削減と生産性向上を両立する5つの方法

spotify apple_podcasts youtube

労働基準法の厳格化とワークライフバランスの推進により、医療現場では労働時間の削減が求められています。労働時間を減らしながら業績を維持するには、仕事のやり方を変える必要があります。全日本病院協会の神野正博会長が解説する動画「医療のトリセツ 第6回『医療DXと働き方改革』」では、この課題に対する具体的な解決策が示されています。

神野会長は、働き方改革を生産性向上改革と定義し、5つの具体的方法を提示しています。ミッションの明確化により本来業務を特定します。タスクシフティングとタスクシェアリングにより業務を適切に分配します。効率化活動により無駄を排除します。最善の標準治療工程表により最短時間で最高の質を実現します。DXによりICT、AI、ロボットを活用します。

労働時間と生産性の関係が医療機関の業績を決定する

労働時間と生産性の関係は、医療機関の業績に直結します。神野会長は「労働時間×労働生産性=業績」という関係式を提示し、この方程式が働き方改革の本質を表していると説明しています。

労働時間を減らすだけでは業績は低下します。労働基準法が厳格化され、ワークライフバランスの推進により労働時間の削減が求められている現状では、従来と同じ仕事のやり方を続けていては医療機関の業績は必ず下がります。

労働時間の削減を補うには、生産性の向上が不可欠です。労働時間を少なくする代わりに、仕事のやり方を変えることで、業績を維持または向上させることが可能になります。この認識が、働き方改革を成功させる出発点となります。

生産性を向上させる5つの具体的方法が医療現場を変革する

生産性向上には、体系的なアプローチが必要です。神野会長は、医療現場で実践可能な5つの方法を提示し、働き方改革を生産性向上改革として位置づけています。

第一の方法はミッションの明確化です。本来業務が何であるかを明確に定義し、本当に自分がやらなければならない仕事を特定します。

第二の方法はタスクシフティングとタスクシェアリングです。本来業務でない仕事を他者に移管し、複数の担当者で業務を分担します。

第三の方法は効率化活動です。TQC(トータルクオリティコントロール)、TQM(トータルクオリティマネジメント)、改善活動により、業務プロセスの無駄を排除します。

第四の方法は最善の標準治療工程表の作成です。クリティカルパスと呼ばれるこの手法により、最短時間、最小資源で最高の質を目指します。

第五の方法はDXの活用です。ICT、AI、ロボットといった技術を導入し、業務の自動化と効率化を推進します。

タスクシフティングをカスケード構造で理解すると業務分担の本質が見える

タスクシフティングの成功には、業務の適切な流れが重要です。神野会長は、この概念を「カスケード(小さな滝)」という比喩で説明し、業務分担の理想的な形を示しています。

医師の仕事を看護師に移管します。看護師の仕事を次の担当者に移管します。この流れを継続的に下位に展開することで、小さな滝のように業務が段階的に流れていきます。

一か所に仕事が集中すると危険です。誰かが業務を抱え込んで次に渡さない状態は、ダムのように業務を堰き止めることになります。このダムが決壊すると、下流に大洪水が発生し、医療現場に深刻な影響を及ぼします。

DXが最終的な受け皿となります。業務を下位に流し続けた結果、最終的に人間が受け取れなくなった段階で、デジタル技術が業務を引き受けます。この構造により、働き方改革とDXの関係が明確になります。

まとめ|働き方改革の成功は生産性向上にかかっている

働き方改革を成功させるには、労働時間削減と生産性向上を同時に実現する必要があります。神野会長が提示した5つの方法を体系的に実践することで、医療機関は業績を維持しながら労働環境を改善できます。タスクシフティングをカスケード構造で理解し、DXを最終的な受け皿として活用することが、持続可能な医療提供体制の構築につながります。



Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

サマリー

上野雅宏会長の見解によれば、医療DXと働き方改革において、労働時間の削減と生産性の向上を両立させるための5つのアプローチが提案されています。このアプローチの中心には業務の流れの最適化があり、それによってDXの活用が効果的に行われることが強調されています。

働き方改革の本質
さて、今回あなたが共有してくれた資料、全日本病院協会の上野雅宏会長による、医療DXと働き方改革の本質ですね。
はい。
これテーマが、労働時間を減らし、でも業績は維持する。一見すると矛盾しているようなこの課題に、上野会長がどう答えているのか、その確信の部分をちょっと深掘りしていきましょうか。
いきましょう。この資料でまず面白いのが、上野会長が提示している方程式なんです。
方程式?
うん。労働時間×労働生産性イコール業績。
あー、なるほど。
ものすごくシンプルですよね。働き方改革って言うと、ついその労働時間を減らすことばっかり考えがちじゃないですか。
なりますね、はい。
でも本質はこの掛け算にあるんだと。時間を減らすなら当然生産性を上げないと業績は下がっちゃうよっていう。
非常にクリアですね。つまり、働き方改革って言葉の裏にあるこの生産性っていう変数こそが一番大事なんだと。
そういうことなんです。
じゃあその生産性を上げるために具体的にはどうすればいいんでしょう。
そこで挙げられているのが5つのアプローチなんですね。
5つも?
まず1、ミッションの明確化。2がタスクシフティングとシェアリング。3が効率化活動。4がいわゆるクリティカルパス。最善の標準治療工程表の策定。で最後に5、DXの活用。この5つZです。
あー、なるほど。かなり多岐に渡りますね。個人の意識から組織のシステムまで。
ええ、全部含まれてます。
あのクリティカルパスっていうのは、要するに患者さんが入院してから退院するまでの一番効率的な標準ルートみたいなものを決めておくっていうそういうイメージですかね。
まさにその通りです。最短時間、最小資源で最高の質を目指す地図のようなものですね。でこの中でも僕が特に秀逸だなと思ったのが、2つ目のタスクシフティングを説明するための比喩なんです。
比喩ですか?
カスケード。つまり小さな滝っていう言葉を使ってるんですよ。
カスケード?
はい。医師の仕事がこう看護師へ。で看護師の仕事が次の担当者へと、まるで滝の水が流れるように業務がスムーズに下に下に移っていく状態。
あー、なるほど。わかりやすい。その逆がダムっていうのもまた面白い。
そうなんですよ。誰かがこれは自分の仕事だって抱え込んじゃうと、流れがせき止められちゃう。
うーん、これは耳が痛いですね。あなたのチームのダムは誰だろうって今一瞬考えちゃいませんでしたか?
そしてこの流れを作る大前提が1つ目のミッションの明確化に繋がるわけです。
5つのアプローチ
あ、そこで繋がるんですね。
そもそも医師がこの業務って本当に医師免許がないとできないんだっけ?って自問するところから始めないとこのカスケードは始まらない。
なるほど。いや、よくわかります。ただそのカスケードの最終的な受け皿がこのDXになるっていう点。
はい。
現場からすると結局新しいシステムを覚える仕事が増えるだけじゃないの?みたいなそういう抵抗感もありそうだなと。
いい指摘ですね。資料でもDXはあくまで人間ではもう受け切れなくなった業務の最終的な受け皿って位置づけられてるんです。
あ、DXありきではないんですね。
そうなんです。まず人の手で業務の流れを最適化するつまりカスケードを作ることが先。その上であふれた部分をテクノロジーで補う。この順序がすごく重要で。
なるほど。
だからこそ働き方改革とDXがここで初めてちゃんと結びつくんですね。
ということは働き方改革っていうのはもう単なる時短じゃなくて生産性向上改革そのものなんだと。
おっしゃる通りです。
5つのアプローチを体系的に進めて特にその業務の流れを意識することが鍵になるわけですね。
その通りです。そして最後にあなたにも考えてみてほしい問いがあるんです。
はい。
このカスケードとダムの考え方、これって医療現場だけの話じゃないと思うんですよ。あなたの仕事やチームにもきっと応用できるはずです。
と言いますと。
あなたの業務プロセスにおけるダムってどこにあるんでしょうか。そしてその流れを改善するために最終的な受け皿としてどんなテクノロジーが考えられるか。
ああ。
一度見直してみると思わぬ発見があるかもしれませんよ。
04:30

コメント

スクロール