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2025-06-22 07:25

横須賀市が実践!miiboで創る自治体AI「ニャンぺい」開発の舞台裏

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横須賀市は2023年4月のChatGPT全庁利用開始からわずか1年で、miiboを活用した市民向けAIチャットボット「ニャンぺい」の公開実験を実現しました。この取り組みは、地方自治体におけるAI活用の新たな可能性を示すとともに、miiboのアジャイル開発手法が行政サービスの革新にいかに貢献できるかを実証しています。

本稿では、横須賀市デジタル・ガバメント推進室の村田遼馬氏が主導したmiiboを活用した会話型AI開発プロジェクトの全貌を紹介します。LGWANという制約下でのRAG環境構築、非エンジニアによる高度なAI開発、そして「失敗を前提とした」公開実験という革新的アプローチまで、自治体DXの最前線で得られた実践的知見を共有します。この事例は、miiboが可能にする「超アジャイル型」開発の威力と、行政サービスにおける会話型AIの未来を示す貴重な実例となっています。

miiboが実現した非エンジニアによる本格的AI開発

横須賀市がmiiboを選択した最大の理由は、RAG環境を簡単に構築でき、導入ハードルが低いことでした。村田氏は「当時RAGを簡単に構築できるサービスは少なく、あるとしても導入のハードルが高いものばかりでした。Web上で登録すればすぐに使えるmiiboを見て、すぐに『これだ』と感じました」と振り返ります。

miiboの直感的なUIは、技術に明るくない職員でも使いやすく設計されています。横須賀市では、ITエンジニアではない行政職員が中心となってAI開発を進めました。プロンプトの作成やナレッジデータストアへの情報登録など、専門的な知識がなくても高度な会話型AIを構築できることが実証されました。

この非エンジニアによる開発を可能にしたのは、miiboの「超アジャイル型」開発環境です。プロンプトの修正、言語モデルの変更、RAGデータの追加といった作業が、すべてブラウザ上で即座に実行でき、その結果をリアルタイムで確認できます。従来のウォーターフォール型開発では対応できない、生成AI時代特有の高速な改善サイクルを実現しています。

公開実験という革新的アプローチが生んだ成果

横須賀市は2024年5月、市民向けお悩み相談チャットボット「ニャンぺい」の公開実験を開始しました。この実験の最大の特徴は、AIの誤りを前提とし、むしろ積極的に不具合を見つけてもらうという逆転の発想にあります。

約1か月の実験期間中、ニャンぺいへの問いかけは36,042回に達しました。通報された不具合は41件で、事前の職員向け検証(4,608回の問いかけに対し101件の通報)と比較すると、大幅な改善が見られました。これは、miiboを活用した継続的な改善が効果を発揮した証拠です。

公開実験で明らかになった課題は多岐にわたります。固有名詞の誤り(市長の名前の読み方など)、存在しないサービスへの言及、不適切な情報提供などが報告されました。しかし、これらの課題はmiiboのRAG機能やプロンプト調整により、段階的に改善可能であることも同時に示されました。

自治体特有の制約を乗り越えるmiiboの柔軟性

地方自治体がAIを活用する際の最大の制約は、総合行政ネットワーク(LGWAN)の存在です。LGWANは高度なセキュリティを提供する一方で、インターネット上のAIサービスとの連携を困難にします。

横須賀市は、この課題をkintoneとmiiboの連携により解決しました。LGWANと連携可能なkintone上でデータを標準化し、CSVファイルとして出力したものをmiiboのナレッジデータストアに登録するという手法です。この工夫により、セキュリティを確保しながら、AIに必要な知識データを効率的に提供できるようになりました。

さらに、miiboのAPI機能を活用することで、様々なシステムとの連携も実現しています。「他自治体向け問い合わせ対応ボット」では、基本的なFAQ対応を自動化し、職員の負担を大幅に軽減しました。この成功体験が、より高度な「ニャンぺい」開発への道を開いたのです。

まとめ:miiboが切り拓く自治体AI活用の未来

横須賀市の事例は、miiboが地方自治体のDX推進において強力なツールとなることを実証しました。非エンジニアでも高度な会話型AIを構築でき、「超アジャイル型」開発により迅速な改善サイクルを回せること、そして自治体特有の制約も柔軟に乗り越えられることが明らかになりました。

村田氏は今後の展望として、「AIを活用したパーソナライズされた行政サービスの実現」を掲げています。市民一人ひとりのニーズに合わせて情報を最適化し、様々な形式で提供する未来像は、miiboの進化とともに現実のものとなりつつあります。横須賀市の挑戦は、全国の自治体にとって貴重な先行事例となり、miiboを活用した行政サービスの革新が今後さらに加速することを予感させます。



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サマリー

横須賀市は、市民向けのAIチャットボット「ニャンぺい」をmiiboプラットフォームを利用して迅速に開発しています。年単位の実験を経て、失敗を前提としたユニークなアプローチが成功し、他の行政サービスにも応用される可能性が示唆されています。

横須賀市のAIチャットボット開発
今日はですね、横須賀市が市民向けのAIチャットボット、ニャンぺいを驚くほどのスピードで開発した、その裏側をちょっと深掘りしたいと思います。
お預かりした資料をもとに、地方自治体におけるAI活用、そのリアルなところに迫っていきましょう。
特に注目したいのは、チャットGPTの全庁利用を始めてから、たった1年で市民向けAIの公開実験までこぎつけた、そのスピード感ですね。
あとは、それを支えたmiiboっていうプラットフォーム、それから専門家じゃない職員さんが開発を担った点、さらに失敗前提っていうちょっとユニークなアプローチ、ここがポイントかなと。
あなたにとっても、これからの行政サービスを考える上で、何かヒントが見つかるかもしれません。
まず、やっぱり驚くのはその開発スピードですよね。
AI活用を本格化させて、たった1年で公開実験まで行くっていうのは、行政のプロジェクトとしては、うーん、かなり異例の速さじゃないですか。
デジタルガバメント推進室の村田亮真さんという方が中心になったそうですが。
ええ、そうなんです。そのスピードを実現した鍵の1つが、プラットフォームmiiboの選択にあったんですね。
導入の決め手は、RAG、つまり検索拡張生成の環境を驚くほど簡単に構築できたこと。導入のハードルがすごく低かったと。
RAG環境ですか。
はい。AIが外部の知識を参照して、より正確な答えを出せるようにする技術ですね。
資料にもある村田さんの、すぐにこれだと感じましたっていうことが、これが当時のインパクトを物当たっているなと。
これって単にツールを選んだっていうだけじゃなくて、完璧を目指すよりまず速さっていう、ある種の文化転換を示唆しているのかもしれないですね。
なるほど。技術的なハードルの低さもそうですけど、もう1つ、ITの専門家、エンジニアじゃない行政の職員さんが中心で開発したっていう点。
これも結構驚きなんですが。
それを可能にしたのが、1つはMevoの直感的なインターフェースですね。誰でも使いやすいと。
それともう1つが、超アジャイル型って表現されている開発の進め方です。
超アジャイル型。
はい。まず素早く試作品を解くってみて、使ってみてフィードバックをもらってすぐ改善する。このサイクルをものすごく短い期間で繰り返していくやり方ですね。
ブラウザ上でプロンプトの修正とか、データの追加とかがもうすぐにできて、結果もすぐ確認できる。
だからあなたのように、まず試してみてそこから学びたいっていう考え方にはすごく合ってる環境だと思います。
なるほど。試行錯誤のサイクルがすごく早いってことですね。
そういうことです。
ただその専門家じゃない方が開発するとなると、品質とか、あるいはリスク管理の面で何かこう新たな課題みたいなものは出なかったんでしょうか。
あー良い視点ですね。まさにそのリスクを逆手に取ったとも言えるのが、2024年5月に行われた公開実験なんですよ。
公開実験。
AIは間違うものだっていうのを前提にしてしまって、市民の方にむしろ積極的にどんどん不具合を見つけてくださいと呼びかけたんです。
へー、普通は隠したい失敗とか間違いをむしろ前面に出したと。
そうなんです。かなりユニークな発想ですよね。
それでその結果ってどうだったんですか。
それがですね、約1ヶ月の実験期間で3万6千回以上の問いかけがあったそうです。
3万6千回。すごい数ですね。
ええ。で、その中で報告された不具合は41件だったと。
41件。思ったより少ないですかね。
そうですね。事前に職員さんだけで検証した時があったんですが、その時は約4600回の問いかけで101件の不具合が見つかったそうなんです。
あ、じゃあかなり改善されたんですね。
そういうことです。もちろん、市長のお名前の読み間違いとか、存在しないサービスについて言及しちゃうとか、具体的な課題は見つかったんですが、
でも重要なのはそういった問題の多くが、ミーボの機能を使えば比較的すぐ修正可能だったという点なんです。
なるほど。
つまり、問題が見つかってもすぐに直せるというその技術的な裏付けがあったからこそ、あの失敗前提という大胆なアプローチが取れたわけですね。
確かにその直せるという安心感は大きいですね。41件の不具合も、市民から見れば気になるところかもしれませんけど、ちゃんと改善していきますよという姿勢を示すことが大事だったのかもしれませんね。
おっしゃる通りだと思います。
ところで、自治体ならではの特有の壁もあったという話ですが、LG1というネットワーク環境ですよね。
はい、LG1ですね。これは地方公共団体が使う非常にセキュリティが高い、インターネットとは基本的に隔離されたネットワークです。
そうですよね。そこに外部のクラウドサービスであるAIを連携させるのは普通は難しそうですが。
一般的にはかなりハードルが高いです。そこで横須賀市さんは、まずLG1と連携できるKintonという業務改善プラットフォームがあるんですが、そこにデータを集約したそうです。
そのデータをCSVファイルという形式で出力して、それをmiiboに読み込ませる。
と、ひと手間かけて。
そうです。そういう工夫でセキュリティを保ちつつ、AIに必要な知識を与えるという方法を見出したわけです。
こういう柔軟な対応ができるのもmiiboの利点と言えるかもしれません。
なるほど。そうやって一つ一つの課題をクリアして成功体験を積み重ねていったことが、Mianpeiの成長につながったんですね。
まさに。で、その経験を生かして、miiboのAPI、つまり他のシステムと連携するための仕組みですね。
これを活用して別の問い合わせ対応ボットなんかも作っているそうです。
へー。
それで実際に職員さんの業務負担の軽減にもつながっていると実績も出ているわけです。
それは素晴らしいですね。
ええ。ですからこの横須賀市の事例が示しているのは、技術の専門家じゃなくてもAI開発はできるんだということ。
それからアジャイルな、つまり素早い改善で質を高めていけるということ。
そして自治体特有の制約、これも工夫次第で乗り越えられるんだということですね。
今後の展望と応用可能性
将来的にはAIを使って市民一人一人に合わせた情報提供を目指していくということなので、これはかなり期待が持てますね。
いやー、横須賀市の挑戦、非常に視差に富んでいましたね。
開発のスピード感、それから非エンジニア主導っていう点、ユニークな公開実験のやり方、そしてLG-1っていう制約の克服。
何というか、自治体DXの一つの未来像を見たような気がします。
本当にそうですね。今回の深掘りから見えてきたのは、技術そのものももちろん大事なんですけど、それ以上にそれをどう使いこなしてどう改善していくか。
その進め方とか考え方、アプローチの重要性ですよね。
そこで最後にですね、あなたにもちょっと考えてみてほしい問いがあるんです。
この横須賀市のような失敗を恐れずに、まず素早く試してみてそこから改善していくっていうやり方。
これはチャットボット以外、例えば他にどんな行政サービスに応用できる可能性があるでしょうか。
ちょっと考えてみていただけると嬉しいです。
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