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2025-09-09 07:57

高専生が生成AIで創る未来|第1回さくらのAIハッカソン受賞作品から見る革新的アイデア

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2025年8月30日、さくらインターネット東京支社で開催された「第1回さくらのAIハッカソン with Kloud」は、高専生の創造力と生成AI技術が融合した画期的なイベントとなりました。8月19日から29日までのオンライン開発期間を経て、9チームが独創的なAIプロダクトを発表し、日常の課題を解決する実用的なアイデアが評価されました。

本イベントの最大の特徴は、さくらの生成AIプラットフォームという統一された環境下で、高専生たちが純粋にアイデアの独創性で競い合った点にあります。最優秀賞の「Okosite」をはじめ、受賞した3作品はいずれも身近な課題から出発し、生成AIを効果的に活用することで革新的なソリューションを生み出しました。これらの作品が示す技術と発想は、今後のAI開発に重要な示唆を与えています。

ハッカソン開催の背景:高専生と生成AIの出会いが生む化学反応

Kloudが主催した本ハッカソンの開催には、明確な問題意識がありました。過去のハッカソンでAIを活用したプロダクトは多く見られたものの、課金への障壁から十分にAIを活用できないチームが存在していたのです。この課題を解決するため、さくらインターネットが「さくらの生成AIプラットフォーム」を提供し、高専生が生成AIの力を存分に発揮できる環境を整えました。

さくらの生成AIプラットフォームは、フルマネージドの生成AI向け実行基盤として機能します。参加者はインフラ管理の負担なく、純粋にアイデアの実装に集中できる環境を得ました。この統一されたプラットフォームにより、モデルの個性に依存せず、アイデアそのものの独創性が際立つハッカソンとなりました。

審査は独創性・新規性(50点)、実装の完成度(40点)、AI活用力(40点)、実用性(20点)の4つの観点で行われました。審査員には、さくらインターネットのフェロー小笠原治氏、株式会社miiboのCEO功刀雅士氏、さくらインターネットAI事業推進室部長の角俊和氏が参加し、技術とビジネスの両面から作品を評価しました。

最優秀賞「Okosite」:音声対話で実現する理想の目覚まし体験

チーム「あいうえお」が開発した「Okosite」は、誰もが経験する「朝起きられない」という普遍的な課題に着目しました。無機質なアラーム音ではなく、「幼馴染が自室に来て起こしてくれる」というシチュエーションを、LLMと音声生成技術で実現した点が革新的です。

技術的な実装では、単なる音声再生にとどまらず、ユーザーとの対話を可能にしました。デモンストレーションでは、「まだ起きたくないです」というユーザーの応答に対して、「起きて!!」と返答する様子が披露され、会場に笑いを誘いました。この自然な会話のキャッチボールこそが、従来のアラームとの決定的な違いです。

チームリーダーの「愛ゆえの」さんは受賞コメントで、「多くの学びと刺激を得られた貴重な機会」と振り返りました。共通の悩みに対する的確な解決策と、技術の効果的な活用が最優秀賞につながりました。

優秀賞「佐+9」:マルチタスク時代の新たな開発支援ツール

チーム「am」の「佐+9」は、Vibe Codingにおける1〜2分の待ち時間を有効活用するデスクトップアプリケーションです。「マルチタスク量をワンランク上へ」というコンセプトのもと、わずかな時間でも効率的にアイデア出しやメモ作成を可能にしました。

Electronで開発されたアプリは、チャットと音声入力の両方に対応しています。さらに重要な機能として、RAG(Retrieval-Augmented Generation)を実装し、過去の会話内容を記憶して文脈を理解した応答を生成します。これにより、複数のプロジェクトを並行して進める開発者にとって、思考の連続性を保ちながら作業を進められる環境を提供しました。

チームリーダーのAMさんは、「初めてマルチウィンドウのデスクトップアプリ開発に取り組み、文字起こしの組み込みやRAGクエリの工夫など、多くの新たな挑戦ができた」と技術的な成長を強調しました。

AI活用賞「NeconoTe」:執筆作業を革新する自動変換技術

チーム「natsune」の「NeconoTe」は、Zenn専用のライター補助拡張機能として、IMEの煩わしさを解消しました。「猫の手も借りたい」というキャッチコピーが示すように、執筆時の細かな手間を徹底的に自動化した点が特徴です。

最も注目すべきは、その変換精度の高さです。固有の英単語を含むローマ字入力のみの文章でも、1文まるごと正確に日本語へ変換する技術力を実証しました。プロンプトエンジニアリングに苦心し、テキストエディタの動作解析に時間をかけた開発努力が、実用レベルの精度を実現させました。

チームリーダーのnatsuneさんは、「普段1人で開発していてあまりリアルで交流する機会がないため、開発していくうえでの良い刺激になった」と、ハッカソンがもたらした技術交流の価値を語りました。

会話型AI開発への応用:miiboプラットフォームで実現する可能性

ハッカソンで生まれた革新的なアイデアは、会話型AI開発プラットフォーム「miibo」でも実現可能です。「Okosite」の音声対話機能は、miiboのシナリオ対話とステート管理を組み合わせることで、パーソナライズされた対話システムとして構築できます。ユーザーの状態を記録し、段階的に応答を変化させる仕組みは、カスタマーサポートや教育分野への応用も期待できます。

「佐+9」が実装したRAG機能は、miiboのナレッジデータストアで同様の実装が可能です。過去の会話履歴や関連情報を蓄積し、検索クエリー生成プロンプトを最適化することで、文脈を理解した高度な応答を実現できます。また、WebhookのFunction Callingを活用すれば、外部ツールとの連携も容易に構築できます。

「NeconoTe」の自動変換技術のアプローチは、miiboのルールベース応答とAI応答の組み合わせで再現できます。頻出パターンはルールベースで高速処理し、複雑な文脈理解が必要な部分はAIで対応する設計により、効率と精度を両立させることが可能です。

ハッカソンが示す生成AI開発の3つの成功要因

今回のハッカソンから明らかになった成功要因の第一は、明確な課題設定です。受賞作品はすべて、日常生活の具体的な問題から出発し、生成AIを「手段」として活用しました。技術ありきではなく、課題解決を起点とした開発アプローチが、実用的なプロダクトを生み出す鍵となりました。

第二の要因は、高速プロトタイピングの実践です。10日間という短期間で成果を出せたのは、アイデアを素早く形にし、実際に動作するデモを作成したからです。完璧を求めず、核となる機能に集中して開発を進めた点が、限られた時間内での成功につながりました。

第三の要因は、ユーザー体験の重視です。技術的な新規性だけでなく、実際に使う人の立場に立った機能設計が、すべての受賞作品に共通していました。デモンストレーションで会場を沸かせた「Okosite」のように、使う楽しさや驚きを提供することが、プロダクトの価値を高めています。

まとめ:高専生の創造力が切り開く生成AIの新たな地平

第1回さくらのAIハッカソンは、高専生の創造力と生成AI技術が融合することで生まれる可能性を明確に示しました。最優秀賞の「Okosite」、優秀賞の「佐+9」、AI活用賞の「NeconoTe」という3つの受賞作品は、それぞれ異なるアプローチで日常の課題を解決し、生成AIの実用的な活用方法を提示しました。これらの作品が示す「アイデア×生成AI」の方程式は、今後のAI開発において重要な指針となるでしょう。高専生たちの挑戦は、生成AIが特別な技術者だけのものではなく、創造的なアイデアを持つすべての人に開かれた技術であることを証明しています。



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サマリー

第1回さくらのAIハッカソンでは、高専生たちが生成AIを活用して日常の課題を解決する革新的なアイデアを競っています。各チームの受賞作品を通して、身近な問題を解決するためのAI技術の活用法や開発プロセスが明らかになります。

ハッカソンの概要と背景
今回はですね、高先生たちが、生成AI、これをどう使って、どんな未来を描こうとしているのか、その最前線を探っていきたいと思います。
元ネタはですね、先月8月30日に行われた第1回さくらのAIハッカソンwithクラウド、これのレポート記事です。
この記事から、若い才能が日常の課題にAIをどう応用しているのか、その革新みたいなところに迫っていこうかなと。
さあ、早速ですが中身を見ていきましょうか。
お願いします。このハッカソンなんですけど、背景として、過去のイベントだとAI使うのに課金が必要だったりとか、そういうハードルがあったみたいなんですね。
ああ、なるほど。使うためのお金が壁になってたと。
そうなんです。で、今回はさくらの生成AIプラットフォームっていうのが無償で提供されたんですよ。
だから参加者としては、もうインフラの心配とか一切なしで、純粋にその発想と、あと実装力だけで勝負できたっていう、そういう環境が整ったわけです。
へー、それは大きいですね。純粋なアイデア勝負ができると。
審査基準も独創性とか実装の完成度、AIをどれだけうまく使ってるか、そして実用性、この4点だったそうです。
だから基盤が統一されている分、本当にアイデア自体が際立ったんじゃないかなと。
なるほど。土台がしっかりしてたからこそアイデアが光ると。面白いですね。
受賞作品の詳細
では早速最優秀賞から見ていきましょうか。
チームアイウエオの起こしたい。これコンセプトが幼馴染が部屋に来て起こしてくれる体験っていう、単なるアラームオンじゃなくて、LLM大規模言語モデルと音声生成でこれを実現したっていうのがすごくユニークですよね。
いや本当面白い着眼点ですよね。ただ起こすんじゃなくて、LLMによる自然な対話を取り入れてるんですよね。
でもだとユーザーがまだ起きたくないって言ったら、「起きて!」って力強く返したりとか。
ああ、感情がありますね。
そうなんです。まさに技術を誰もが経験する朝起きられないっていう普遍的な悩みに感情的なつながりとか人間味を加えて解決しようとした。そこが高く評価されたポイントだと思いますね。
確かに。ただ機能的なだけじゃなく、その対話っていう体験そのものが価値になってるわけですね。音声生成の声も自然だとより没入感も増しそうですし、チームリーダーの方もすごく刺激的な機会だったってコメントされてるみたいですね。
ええ。
では次に優秀賞。チームAM9.21のサプラスQタスク。これはどんなプロダクトなんでしょう?
これはですね、開発者向け、エンジニア向けのツールですね。
あの、Viveコーディング中、コーディングにすごく集中している間のビルドの待ち時間とか、そういうちょっとした1分とか2分とかの短い隙間時間。
ああ、ありますね。そういう時間。
ええ、その時間を有効活用しようっていうデスクトップアプリです。
へえ、隙間時間の活用ですか。具体的にはどんな機能が?
はい。チャットとか音声入力はもちろんできるんですけど、特徴的なのはRAGです。検索拡張生成。
あ、RAG。最近よく聞きますね。
ええ。外部の知識を参照して回答の精度を上げる技術ですけど、これを実装して、さらに過去の会話履歴を記憶させることで、ちゃんと文脈を踏まえた応答ができるように工夫されてるんです。
おお、RAGで文脈維持ですか。それは便利そう。複数のプロジェクトとか抱えてると、ちょっとした中断で、「あれ、何考えてたっけ?」ってなりますもんね。
まさにマルチタスク量をワンランク上っていうコンセプト通りですね。チームリーダーの方も、RAGのクエリーの工夫とかいろいろ挑戦できたっておっしゃってますね。
そうなんです。開発中の思考の断絶を防いで、短い時間でも知識検索とかアイディア出しにつなげるっていう、この実用性がやっぱり評価された大きなポイントでしょうね。現場のリアルな課題解決に直結してる感じがします。
なるほどな。そしてもう一つ、AI活用省。チーム猫の手。これは技術情報共有サービスのXEN、あそこの執筆を助けるブラウザーの拡張機能ということですね。
猫の手も借りたいよ、AIで、と。
まさにその通りです。これ特に注目されたのが、その変換の精度らしいんですよ。
精度ですか?
記事によると、固有名詞とかも含むローマ字入力だけの日本語の文章をですね、かなり正確な自然な日本語の文章に文単位で変換できたそうなんです。
ローマ字入力からそこまで高精度に、それはすごいですね。
ですよね。これは相当、プロンプトエンジニアリング、AIへの指示の出し方を工夫した結果だと思います。かなり苦心されたみたいですね。動作解析とかも含めて。
いやー、緻密なチューニングが実を結んだ感じですね。リーダーの方も普段は個人開発が多い中で、こういうリアルな場での交流が刺激になったともコメントされてました。
猫の手はそういう緻密な開発努力、特にプロンプトと動作解析が高精度な実用機能に結びついたすごく良い例だと思います。
ちょっと面倒な作業をAIで効率化するっていう直接的な価値提供が評価された形ですね。
成功の秘訣と今後の展望
こうやって受賞作を見てくると、なんか共通する成功の秘訣みたいなものがありそうな気がしますね。記事でも3つの共通要因があるって書かれてました。
明確な課題設定、高速プロトタイピング、そしてユーザー体験の重視。
その3点はまさに確信をついていると思いますね。
特に私がこう注目したいのは、どれもすごく身近な課題からスタートしているってことなんですよ。
ああ、確かに。
技術が先にあるんじゃなくて、まず解決したい痛み、ペインポイントがあって、そこにAIっていう手段をうまく当てはめている。
最初から完璧を目指すんじゃなくて、まず動くものを素早く作ってみる。
そして使う人の視点を絶対に忘れない。
これって、生成AI開発に限らず、良いプロダクトを作る上での普遍的な原則とも言えますよね。
確かにそうですね。
起こしての朝起きられないとか、サープラスQの開発中の隙間時間、猫の手の執筆補助ってどれもすごく具体的な課題が起点になってますもんね。
そうなんです。
記事では、Mevoみたいな既存の会話AIプラットフォームとかを使っても、これらのアイディア、例えば起こしての対話部分とか、サープラスQのRAGの仕組み、猫の手の変換技術なんかは応用できるんじゃないかっていうふうにも触れられてるんですね。
なるほど。
つまり、何かものすごく高度な独自技術だけが重要なんじゃなくて、何に着目してどうやってAIを生かすかって、その着眼点自体がすごく価値があるんだっていうことだと思います。
いやー、なるほどですね。今回のこの情報から見えてきたのは、甲先生っていう若い世代が、生成AIを何か特別な魔法みたいに捉えるんじゃなくて、本当に身近な課題を解決するための、何というか賢い文房具みたいな感じで捉えて使いこなしてる姿ですよね。
アイディアと生成AIの掛け算で、これからますます新しいものが生まれてきそうなそんな予感がすごくします。
本当に刺激的な事例ばかりでした。最後にですね、これを聞いているあなた自身にもちょっと問いかけてみてほしいことがあるんです。
あなたの日常にあるちょっとした不便さとか手間とか、あるいはこうなったらもっといいのになって思うこと。
今日の話にあったような、生成AIの力を借りたら、そこにどんな新しい解決策とか、あるいは面白い視点が見出せるでしょうか。少し考えてみるヒントになれば嬉しいなと思います。
ご視聴ありがとうございました。
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