1. 岡大徳のポッドキャスト
  2. 令和8年度改定|救急患者連携..
令和8年度改定|救急患者連携搬送料の見直し3つのポイントを解説
2026-07-03 06:37

令和8年度改定|救急患者連携搬送料の見直し3つのポイントを解説

spotify apple_podcasts youtube

救急医療の現場では、高次の救急医療機関に患者が集中し、その負担が増しています。そのため、救急患者を適切な医療機関へ転院搬送し、搬送先で確実に受け入れる体制の強化が課題となっています。本稿では、この課題に対応する令和8年度診療報酬改定の「救急患者連携搬送料の見直し」を解説します。

今回の見直しは、3つの柱で構成されます。第一に、患者を転院搬送する側の評価を引き上げ、救急自動車以外による搬送も評価の対象とします。第二に、搬送先の医療機関が患者を受け入れて入院させる場合の評価を新設します。第三に、30分を超える長時間の搬送に対する加算を新設します。

救急患者連携搬送料とは何か

救急患者連携搬送料は、高次の救急医療機関が救急患者を他の医療機関へ転院搬送した場合に算定する診療報酬です。この搬送料は、救急外来での初期診療後、連携する他の医療機関で入院医療を提供することが適当と判断された患者を対象とします。対象となる患者を、搬送側の医療機関が自院の医師・看護師・救急救命士の同乗のもとで搬送したときに算定できます。

この搬送料のねらいは、高次救急医療機関の受入余力の確保です。救急外来を受診した患者のうち、より専門的でない入院医療で対応できる患者を早期に他院へ搬送すれば、高次救急医療機関は重症患者の受入に注力できます。今回の改定は、このねらいをさらに進めるために、搬送側・受入側の双方と搬送の実態に応じた評価を整えるものです。

見直し1:搬送する側の評価引き上げと対象拡大

1つ目の見直しは、救急患者を転院搬送する側の評価です。この評価は「救急患者連携搬送料1」として再編され、医師等が同乗する場合の点数引き上げと、救急自動車以外による搬送の評価対象化という2つの変更が加えられました。

医師等が同乗する場合の評価は、入院前に搬送する患者について引き上げられました。具体的には、入院中の患者以外の患者を搬送する場合の点数が、現行の1,800点から2,400点へと600点引き上げられます。この引き上げにより、入院前の早期の転院搬送がより手厚く評価されます。

医師等が同乗する場合(1のイ)の点数は、現行から改定後へ次のように変わります。

* 入院中の患者以外の場合:1,800点 → 2,400点(600点の引き上げ)

* 入院初日の患者の場合:1,200点(変更なし)

* 入院2日目の患者の場合:800点(変更なし)

* 入院3日目の患者の場合:600点(変更なし)

救急自動車以外による搬送も、新たに評価の対象となりました。この評価は「救急患者連携搬送料1のロ(その他の場合)」として新設され、医師等が同乗しない搬送を対象とします。この場合、搬送側の医療機関は患者の搬送手段について調整を行った上で搬送する必要があります。点数は、医師等が同乗する場合の半分以下の水準に設定されています。

その他の場合(1のロ)の点数は、次のとおり新設されます。

* 入院中の患者以外の場合:1,000点

* 入院初日の患者の場合:500点

* 入院2日目の患者の場合:350点

* 入院3日目の患者の場合:200点

見直し2:搬送先の受入評価の新設

2つ目の見直しは、搬送先の医療機関が患者を受け入れる場合の評価の新設です。この評価は「救急患者連携搬送料2」として設けられ、搬送側だけでなく受入側にも評価を及ぼす点が特徴です。

救急患者連携搬送料2は、受入時の対応に応じて2つの区分に分かれます。1つ目の区分(2のイ)は、搬送側で「連携搬送料1のロ」を算定した患者を、受入側が自院の医師等を同乗させて自院へ搬送し入院させた場合で、800点を算定します。2つ目の区分(2のロ)は、搬送側で「連携搬送料1のイ又はロ」を算定した患者を受入側が入院させた場合で、200点を算定します。いずれの区分も、入院初日に限り算定できます。

2つの区分の点数は、次のとおりです。

* 2のイ(受入側の医師等が同乗して自院へ搬送し入院させた場合):800点

* 2のロ(搬送された患者を入院させた場合):200点

見直し3:長時間搬送の加算新設

3つ目の見直しは、長時間の搬送に対する加算の新設です。この加算は、搬送先までの搬送時間が長くなる場合でも円滑な転院搬送を進めるために設けられました。

長時間加算は、搬送に要した時間が30分を超えた場合に700点を加算します。この加算の対象は、医師・看護師・救急救命士が同乗する搬送に限られます。具体的には、搬送側の「連携搬送料1のイ」または受入側の「連携搬送料2のイ」を算定する場合が対象です。

施設基準のポイント

これらの評価には、それぞれ施設基準が定められています。施設基準は、搬送側の連携搬送料1と受入側の連携搬送料2で内容が異なります。

搬送側(連携搬送料1)の施設基準は、救急搬送の実績と連携体制の確保を求めます。具体的には、救急搬送について相当の実績を有すること、連携先とあらかじめ転院体制を協議していること、搬送先から診療情報の提供を受けられる体制を整えていること、搬送後の病状急変に備えた緊急診療提供体制を確保していることが要件です。

受入側(連携搬送料2)の施設基準は、対象となる医療機関の範囲を絞り込んでいます。具体的には、特定機能病院、救命救急センターを有する医療機関、急性期総合体制加算を届け出た医療機関のいずれにも該当しない医療機関であることが要件です。加えて、連携先とあらかじめ転院体制を協議していることが求められます。この基準により、高次救急を担うこれらの医療機関に該当しない医療機関が、患者の受入側として評価の対象となります。

まとめ

令和8年度診療報酬改定では、救急患者連携搬送料が3つの柱で見直されました。搬送する側については評価を引き上げ、救急自動車以外による搬送も評価の対象としました。搬送先については、患者を受け入れて入院させる場合の評価を新設しました。さらに、30分を超える長時間の搬送に対する加算を新設しました。これらの見直しは、高次救急医療機関と他の医療機関との連携を強化し、救急患者の適切な転院搬送と受入を推進することをねらいとしています。



Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

令和8年度診療報酬改定では、逼迫する救急医療現場の課題解決のため、救急患者連携搬送料が見直されました。この改定は、高次救急医療機関が重症患者治療に専念できるよう、初期治療後の安定患者を地域の医療機関へスムーズに転院させる仕組みを強化するものです。搬送側への評価引き上げ、受け入れ側への新たな評価、そして長時間搬送への加算新設という3つの柱で、地域全体の医療連携を促進し、患者を最適な医療機関へ導くネットワークの構築を目指します。

救急医療の現状と課題
えっと、救急救命室、いわゆるERと聞くと、あなたはどういう光景を思い浮かべますか?
なんかこう、次々と運ばれてくる患者を。 えー、どんな時でも絶対に断らずに受け入れるみたいな。そうそう、ドラマなんかでよく見る
一種の魔法の空間みたいなイメージですよね。 確かに。最後の取り出としての絶対的な安心感はありますよね。
ただ、現実の工事救急医療機関というのは、そういう無限の魔法の空間なんかではなくてですね、 実際はベッド数とかスタッフに物理的な限界がある
有限の箱なんですよ。 なるほど、有限の箱ですか。まさにそこが今回私たちが深掘りしていくポイントなんです。
今その箱が、いのつに関わる重症患者と、あとはすでに状態が落ち着いた患者さんであふれかえていて、現場はもうパンク寸前なんですよね。
そうなんです。非常に深刻な状況でして。 そこで今回は提供された資料をもとに、この崩壊の危機をどう乗り越えろうとしているのかをひも解いていきます。
令和8年度診療報酬改定っていう、一見ちょっと退屈そうなルールの変更なんですけど。 いやいや、実はこれが日本の救急医療を救うためのすごく緻密で、しかも大胆なサバイバル戦略になっているんですよ。
改定の狙いと目的
ということで早速中身を見ていきましょう。 今回の改定の最大の狙いっていうのは結局のところは何なんでしょうか。
一番の目的は、公治救急医療機関が本来の役割である重症患者の治療に100%専念できるようにすることなんです。
なるほど。重症な人にかかりきりになれるようにと。
そのために初期治療を終えて状態がもう落ち着いている患者さんを専門性の少し低い地域の隊員へいかに早く転院させるかっていう仕組みを強化しました。
それって例えるなら、超満席の三ッ星レストランから系列のカジュアルなカフェにお客様をスムーズに案内して、常に休館用のVIP席を空けておくみたいなものですよね。
まさにその通りです。すごくわかりやすい例えですね。
搬送側への評価引き上げと対象拡大
でも、ただカフェに移動してくださいってお願いするだけじゃ、いすもしい現場は誰も動かないんじゃないですか?
おっしゃる通りです。だからこそ今回は送り出す側の病院にかなり強力な経済的インセンティブを用意したんですよ。
経済的インセンティブ、つまりお金ですね。具体的にはどう変わったんですか?
入院前の患者を医師同場で搬送する場合の評価が、現行の1800点から2400点へと大幅に引き割れられたんです。
待ってください。日本の医療制度での1点って確か10円ですよね?
はい、そうです。
ってことは2400点っていうのは、患者さんを一人搬送するごとに病院に24,000円が入るってことですか?
そういうことになります。
これはかなり明確な後押しになりますね。
ですよね。病院の経営人にとっても現場にとってもやっぱり無視できない額なんですよ。
しかも今回は救急車を使わなかったり、医師が同乗しないような搬送であっても、しっかり移動手段の調整を行えば、新たに1000点、つまり1万円がつくように対象が拡大されたんです。
なるほど。送るハードルを金銭面で一気に下げたんですね。送る側が必死になる理由はよくわかりました。
受け入れ側への新たな評価
でも、もし私がさっきのカジュアルなカフェのオーナーだったら、三ッ星レストランから急に患者さんを50人送るからよろしくって言われても、絶対ドアのかきしめているしつ使いますよ。
これ、受け入れ側にはいったいどんなメリットがあるんですか?
そこがですね、今回の制度設計のすごく面白いところでして、送る側だけじゃなくて、今回から受け入れ側の病院にも全く新しいボーナスが新設されたんです。
へー、どんなボーナスですか?
搬送された患者を受け入れるだけで、まずは200点。さらに、受け入れ側の医師が自ら救急車などに乗って迎えに行く場合は、
迎えに行く!え、なんと800点が算定されるんですよ。
長時間搬送への加算新設
迎えに行くパターンもあるなんて面白いですね。それは積極的だ。でも、あの、地方なんかだと隣の病院まで来るまで1時間とか、ザラにありますよね。
確かにありますね。
迎えに行く時間も一手も取られて、8000円じゃ割に合わないよって病院も出てきませんか?
鋭いですね。実はそこも今回の改定でしっかりカバーされていて。
おっ、そうなんですか?
はい。医師らが同乗して搬送に30分を超える長距離になった場合は、新たに700点が上乗せされるっていう仕組みができたんです。
なるほど。距離の壁もちゃんとお金で解決しているわけだ。
そういうことです。
不正防止と施設基準
でも、ここで一つ疑問なんですけど、これ、もし大きな工事救急病院同士でお互いに患者を送り合おうぜって決卓したらどうなるんですか?
あー、なるほど。
点数だけ稼げて結局重症用のベッドは一向に浮かないってことになりませんか?
そこなんですよ。まさにそのシステムのバグを防ぐための強力なロックがかけられているんです。
ロック?
はい。ここで一番興味深いのは、この新しい点数をもらえる受け入れ側の施設基準が工事救急機関ではないことに厳密に限定されている点なんです。
あー、なるほど。あえて下りのルートにしかお金が発生しないようにしているんだ。
そういうことです。
これなら単なる患者のたらえ回しは起きないし、高度な医療から一般的な入院医療へ確実に段階的な役割分担が進むように設計されているんですね。
地域全体を支えるシステム再構築
ええ、巧妙ですよね。つまり今回の改定って単なる医療報酬の値上げではないんです。
はい。
それぞれの病院という独立した点をお金という血液を流すことでつなぎ合わせて、地域全体を一つの巨大なチームとして機能させるためのシステム再構築なんですよ。
すごいですね。限界のある一つの箱をどうにかするんじゃなくて、地域全体を一つのネットワークに変えて患者さんを支える仕組みに進化しているんですね。
ええ、まさにその通りです。
いやー、すごく深い仕組みを知ることができました。あなたが次に街角で救急車のサイレンを聞いた時、ただ急いでる車だなって思うだけじゃなくて、少し想像してみてはいかがでしょうか。
はい。
そのサイレンの背景では、今この人をどこへ運ぶのが地域医療にとって最適かという計算が見えない医療ネットワークと経済学によって瞬時に行われているんだってことを。
そうですね。
もしかしたら、その音は私たちの住む街全体を一つの魔法の空間に近づけるための緻密な連携の音なのかもしれませんね。
06:37

コメント

スクロール