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精神科リエゾンチーム加算が300点から最大1,000点へ|令和8年度改定の全容
2026-07-19 05:23

精神科リエゾンチーム加算が300点から最大1,000点へ|令和8年度改定の全容

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令和8年度診療報酬改定は、精神科リエゾンチーム加算の要件と評価を見直します。精神科リエゾンチーム加算は、一般病棟に入院する患者の精神症状を早期に把握し、精神科専門医療につなぐチーム診療を評価する加算です。この加算は、現行では対象患者の状態を問わず週1回300点の一律評価にとどまっており、多様な精神疾患に対応するチームの専門性を反映できていませんでした。本記事は、令和8年度改定で加算がどう変わるのかを、背景・改定内容・実務対応の順に整理します。

改定の要点は、認知症・せん妄以外の患者への診療を手厚く評価する点にあります。第1に、加算が「1 認知症又はせん妄の場合 300点」と「2 それ以外の場合 700点」の2区分に分かれます。第2に、区分2の患者に週2回以上診療した場合の「複数回診療加算」300点が新設されます。この2点により、区分2の患者では週あたり最大1,000点の算定が可能となります。なお、算定頻度は改定前後を通じて週1回が上限です。

1. 見直しの背景:専門性が評価に反映されていなかった

見直しの背景には、精神科リエゾンチームの専門性と現行評価とのギャップがあります。中央社会保険医療協議会(中医協)は、「様々な精神疾患に対応できる精神科リエゾンチームの専門性を評価する観点から、精神科リエゾンチーム加算の要件及び評価を見直す」との方向性を示しました。この方向性は、令和6年度入院・外来医療等における実態調査の結果に基づいています。

実態調査は、精神科リエゾンチームが多様な精神疾患に介入している実態を明らかにしました。介入した患者像は、せん妄を有する患者が97.7%、抑うつを有する患者が90.1%、その他の精神疾患を有する患者が88.5%、認知症患者が83.2%、自殺企図で入院した患者が77.9%でした。つまり、チームの介入対象は認知症やせん妄にとどまらず、抑うつ、自殺企図、その他の精神疾患まで広がっています。

対象の広がりに対し、認知症とせん妄への対応は他の加算でも担われています。実態調査によれば、認知症ケア加算やせん妄ハイリスクケア加算を届け出る医療機関の多くも、認知症やせん妄には対応できると回答しました。これに対し、統合失調症や気分障害などの多様な精神疾患に対応できると回答した医療機関は、精神科リエゾンチーム加算の届出施設に偏っていました。この差が、認知症・せん妄以外の患者への評価を引き上げる根拠となります。

2. 改定内容①:加算が300点と700点の2区分に分かれる

改定の第1の柱は、加算の2区分化です。現行の「精神科リエゾンチーム加算(週1回)300点」は、令和8年度改定後、次の2区分に再編されます。

* 区分1:認知症又はせん妄の場合 …… 300点

* 区分2:それ以外の場合 …… 700点

区分1は、認知症またはせん妄の患者を対象とし、現行と同じ300点を維持します。区分2は、それ以外の患者を対象とし、700点へと大幅に引き上げられます。ここでいう「それ以外」とは、抑うつを有する患者、精神疾患を有する患者、自殺企図により入院した患者のうち、認知症とせん妄に該当しない患者です。

区分1と区分2の具体的な線引きは、今後の通知等で示される見込みです。改定案の算定要件は、区分の判定基準までは定めていません。認知症と抑うつを併存する患者などの取扱いは、告示・通知の内容を確認してください。

算定対象となる患者の範囲そのものは、改定後も変わりません。届出を行った保険医療機関において、精神科の医師、看護師、精神保健福祉士等が共同して精神症状の評価等の必要な診療を行った場合に算定します。対象患者は、抑うつ若しくはせん妄を有する患者、精神疾患を有する患者、自殺企図により入院した患者です。認知症ケア加算1を別に算定できない点も、現行から変更ありません。

算定頻度も、実質的には変わりません。現行は点数名に「(週1回)」と付されており、改定案では算定要件の注1に「週1回に限り」と規定されます。つまり、週1回が上限である点は改定前後で同じであり、規定場所が整理されただけです。

3. 改定内容②:複数回診療加算300点が新設される

改定の第2の柱は、複数回診療加算の新設です。区分2(認知症・せん妄以外)の患者に対し、週2回以上精神科リエゾンチームによる診療を行った場合、複数回診療加算として週1回に限り300点を加算できます。この加算により、区分2の患者では週あたり最大1,000点(700点+300点)の算定が可能となります。

複数回診療加算には、2つの制限があります。第1に、対象は区分2の患者に限られ、区分1(認知症・せん妄)の患者は対象外です。第2に、週2回以上診療しても、加算できるのは週1回・300点までです。

4. 実務対応:区分の判定と記録の整備がカギになる

実務では、区分の判定と記録の整備が算定の前提となります。区分1と区分2で点数が400点も開くため、患者ごとの区分判定が算定額を左右します。

区分判定では、認知症とせん妄の有無を診療録上で明確にする必要があります。抑うつと認知症を併存する患者、術後せん妄から精神症状が遷延した患者など、区分の境界に位置する症例は少なくありません。こうした症例では、チームがどの病態を主たる対象として介入したのかを、精神症状の評価結果とともに記録しておきましょう。

診療回数の管理も、複数回診療加算の算定に欠かせません。複数回診療加算は、週2回以上の診療を要件とします。したがって、各回の診療日、参加職種、評価内容をチーム記録に残す運用が求められます。なお、現行の留意事項は、1週間当たりの算定患者数を1チームにつき概ね30人以内としています。この取扱いが改定後どうなるかは個別改定項目に示されていないため、通知等での確認が必要です。

まとめ:認知症・せん妄以外への介入が評価の中心へ

令和8年度改定は、精神科リエゾンチーム加算を専門性に応じた評価へと組み替えます。加算は「認知症又はせん妄の場合 300点」と「それ以外の場合 700点」の2区分となり、後者には週2回以上の診療を評価する複数回診療加算300点が新設されます。最大1,000点となるのは区分2の患者に限られ、算定が週1回を上限とする点は改定前後で変わりません。届出医療機関は、区分判定の根拠と診療回数を記録に残す運用を、施行前に整えておきましょう。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定により、精神科リエゾンチーム加算が従来の300点一律評価から最大1,000点へと大幅に見直されます。これは、認知症やせん妄以外の、より複雑な精神疾患(うつ病、自殺企図など)への専門的な介入を高く評価するためです。しかし、患者の病態が複合的である場合の区分判定や記録の整備が現場の課題となり、医療報酬の数字が医療チームの行動やケアの質に与える影響について深く考察する必要があることが示唆されています。

精神科リエゾンチーム加算の改定概要
想像してみてください。あの、車のバンパーのちょっとした擦り傷を直すのも、エンジンを完全に分解して修理するのも、もし修理工場が同じ料金しか受け取れないとしたら、どうでしょう?
まあ、普通に考えておかしいですよね。割に合わないというか。
ですよね。でも実は、つい最近まで日本の医療現場では、これに近いことが起きていたんです。
今回の深掘りでは、厚生労働省の資料や実体調査のデータを基に、令和8年度診療報酬改定のリアルを読み解いていきます。
えー、テーマは精神科リエゾンチームですね。
これは、身体の病気で入院している患者さんの心のケアを専門に行う医療チームのことです。
はい。これは、聞いているあなたやあなたのご家族が入院した際に、どんなケアを受けられるかを直接左右する非常に重要なトピックなんです。
これまで、どんな症状でも一律週1回300点だった評価が、なんと最大1000点へと大幅に引き上げられることになりました。
一体なぜなのか。それでは、紐解いていきましょう。
専門性評価の必要性と改定の背景
ここで非常に興味深いのは、データがこれまでの評価精度の限界をはっきりと示している点なんですよね。
現場の実体調査を見ると、認知症や専門への対応というのはですね。
ええ、よく聞く症状ですよね。
はい。実はこれらは、他の病棟の加算を算定している医療機関でも、ある程度対応できるという結果が出ているんです。
なるほど。他のチームでもカバーできる部分があるということですね。
そうなんです。
一方で、重度な鬱病や実に77.9%ものケースで該当する自殺機とで入院した、そういった複雑な患者さんへの対応は、精神科リエゾンチームがある施設に極端に偏っていたんですよ。
ああ、それがさっきの車の例えでいうエンジンの分解修理にあたるわけですね。
認知症のサポートと自殺機とのような、命に関わる複雑な危機介入を同じ300点の枠組みで囲っていたわけですから、
でも、なぜそこまで専門性の偏りが生まれるんでしょうか?
それはもう、メカニズムの違いが大きいです。
認知症ケアの多くが、患者さんの生活環境や日々のルーティンを整える標準的なアプローチで対応できるのに対してですね。
環境調整がメインになると。
はい。でも、例えば自殺機とへの介入となると、救急科など複数の診療科との面係はもちろん、即座の心理的危機管理、さらには複雑な家族関係へのアプローチまで求められるんです。
圧倒的な時間と、高度な専門的スキルが必要になるわけですね。
だからこそ、今回の改定で点数が2つの区分に明確に分かれたと。つまり、難易度に応じた評価になったわけですね。
精神科リエゾンチーム加算の具体的な変更点
その通りです。区分1、つまり認知症や専門の場合は、これまで通り300点を維持します。しかし区分2、それ以外のうつ病や統合視聴症などの場合は、一気に倍以上の700点に引き上げられました。
700点ですか。それは思い切った変更ですね。
さらにですね、この区分2の患者さんに週2回以上介入した場合は、新設された複数回心病加算として300点がプラスされるんです。これで最大1000点になるという仕組みですね。
現場での課題と実務対応の重要性
いやー、ここからが本当に面白いところなんですが、人間の心ってそんなにきれいにフォルダー分けできるものでしょうか?
と言いますと?
例えば、もし患者さんが認知症であり、同時に深いうつも抱えていたらどうなるんですか?
この1000匹が曖昧なグレーゾーンに直面した時、現場の医師たちには相当なプレッシャーがかかりそうだなと思いまして。
ああ、そこがまさに現場が今一番頭を抱えている壁ですね。点数が400点も開くわけですから、当然監査の目も厳しくなります。
確かに、高い点数を取るための厳密な理由が求められますよね。
はい。なので、境界線上にいる複雑な症例に対して、チームがどの病態を主たる対象として介入したのかを、精神症状の評価結果とともに明確に軽手に記録することが実務対応の絶対的な鍵になります。
単なる治療だけでなく、その証明の精度が問われるわけです。
診療報酬改定がもたらす医療への影響と問い
なるほど。令和8年度改定は、ただ数字が変わっただけでなく、専門性に応じたメリハリのある評価への大きな転換なんですね。
今後は、認知症や専門以外への介入が、リエーゾンチームの中心になっていく。
つまり、これらが意味することとは何か?
え?どういうことでしょう?
あなたもお気づきかもしれませんが、医療報酬の数字というものが、現場の医療チームの動き方や焦点の当て方を直接的にデザインしているということです。
これは非常に重要な問題を提起していますね。
新しい制度は専門性を正しく評価する素晴らしい一歩ですが、同時に立ち止まって考える必要もあります。
もし今後、点数の高い区分Ⅱの治療が経済的に優遇されることで、区分の境界線上にいる複雑な患者さんへのアプローチや、点数がそのまま維持された区分Ⅰのケアに対するモチベーションに無意識のバイアスがかかることはないのだろうか?
システムが人の判断に影響を与えるかもしれないと。
ええ、医療費の数字というものは、果たして人間のケアの在り方をどこまで支配すべきなのでしょうか?
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