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【令和8年度改定】精神病棟入院基本料18対1・20対1が1年で二分される
2026-07-25 05:27

【令和8年度改定】精神病棟入院基本料18対1・20対1が1年で二分される

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精神科医療では、長期入院患者の地域移行が長年の課題である。この課題に関し、人員配置が少なく平均在院日数の要件が設定されていない入院料を届け出る病棟では、1年以上の長期入院患者の割合が高い傾向にある。そこで本稿は、令和8年度診療報酬改定における精神病棟入院基本料の見直し内容を整理し、対象病棟が取るべき対応を解説する。

令和8年度改定は、18対1及び20対1の精神病棟入院基本料を、入院期間1年を境に2区分へ分けた。この見直しの背景には、両入院料が平成16年度改定以来の経過措置であり、そこに長期入院患者が滞留している実態がある。改定案は、1年未満の点数を現行より引き上げ、1年以上の点数を現行より引き下げる。対象病棟は、1年以上の患者が半数を超えると病棟全体で減収に転じるため、入院1年を迎える前の退院支援が急務となる。

1. 見直しの背景:経過措置病棟への長期入院患者の滞留

見直しの背景は、経過措置としての位置づけ、長期入院患者の滞留、中医協での意見対立という3点に整理できる。以下、順に説明する。

18対1及び20対1入院基本料は、平成16年度改定以降、経過措置として存続してきた。この経過措置は「当分の間、算定できるものとする」という扱いであり、20年以上にわたって継続している。届出状況は近年横ばいであり、令和6年8月1日時点で18対1が21医療機関3,538床、20対1が10医療機関1,446床である。

この経過措置病棟には、1年以上の長期入院患者が滞留している。厚生労働省は「人員配置が少なく、平均在院日数の要件設定がない入院料を届け出る病棟においては、1年以上の長期入院患者の割合が高い傾向にある」と整理している。滞留の要因として、これらの入院料に平均在院日数の要件が設定されていない点が指摘されている。

長期入院患者の滞留に対し、中医協では支払側と診療側が異なる主張を展開した。支払側は、20対1及び18対1以下について経過措置を終了するか平均在院日数の要件を設定し、15対1以上に集約すべきと主張した。診療側は、重度の精神症状を呈する患者が入院期間にかかわらず増加している実態を挙げ、精神病床の評価を正当に行うべきと主張した。

2. 改定内容:1年未満は引き上げ、1年以上は引き下げ

改定内容は、18対1と20対1のいずれについても、現行1本の点数を入院期間別の2区分に分け、1年未満を引き上げ、1年以上を引き下げるものである。

18対1入院基本料は、753点の1本の点数を2区分に分けた。

* イ 1年未満の場合 816点(現行753点から63点の引き上げ)

* ロ 1年以上の場合 703点(現行753点から50点の引き下げ)

* 区分間の差 113点

20対1入院基本料も、697点の1本の点数を2区分に分けた。

* イ 1年未満の場合 754点(現行697点から57点の引き上げ)

* ロ 1年以上の場合 649点(現行697点から48点の引き下げ)

* 区分間の差 105点

両入院料に共通するのは、1年を境としたメリハリ付けである。厚生労働省は基本的な考え方として、「長期入院患者に対する地域移行に係る取組を更に推進する必要があること等を踏まえ、人員配置基準の低い精神病棟入院基本料について、長期入院患者に対する評価を見直す」と説明している。つまり今回の見直しは、一律の引き下げではなく、早期退院を促す方向への評価の組み替えである。

なお個別改定項目⑨に示されたのは、この点数の2区分化のみである。支払側が求めた経過措置の終了や平均在院日数の要件設定は、⑨には含まれていない。

3. 対象病棟への影響と対応

対象病棟が受ける影響は、1年以上の患者割合によって決まる。したがって対応の要は、入院1年を迎える前の退院支援にある。

損益の分かれ目は、1年以上の患者が半数を超えるかどうかである。18対1では、1年以上の患者割合が約56%を超えると、引き下げ分が引き上げ分を上回り病棟全体で減収に転じる。20対1では、この分岐点が約54%となる。いずれも公表された点数から単純計算した目安であり、長期入院患者が多い病棟ほど不利になる構造を示している。

減収額は、1年以上の患者1人あたりで見ると小さくない。18対1で1年以上の患者を1人受け入れ続けた場合、1日あたり50点、すなわち500円の減収となる。この減収は、1床を1年間埋め続ければ約18万円に達する。

減収を避けるには、入院1年を迎える前の退院支援が要となる。中医協の資料は、多職種による包括的ケアを実践した病棟で平均在院日数が減少し、地域平均生活日数が増加した事例を紹介している。また精神科入退院支援加算を算定する医療機関は、在宅復帰率が高く平均在院日数が短い傾向にある。

退院支援と並ぶ選択肢が、入院料そのものの転換である。ただし転換先の要件は軽くない。精神科地域包括ケア病棟入院料は、精神科入退院支援加算の届出、精神保健指定医の公務員としての業務実績、精神科救急医療への参画など、届出病棟に限らず院内全体で満たすべき施設基準が設定されている。その結果、令和7年10月時点の届出は31施設にとどまる。転換を検討する場合は、これらの要件を満たせるかどうかの確認が前提となる。

まとめ:1年の壁を意識した病棟運営へ

令和8年度改定は、18対1及び20対1の精神病棟入院基本料を、入院期間1年で2区分に分けた。この見直しの背景には、経過措置として存続してきた両入院料に長期入院患者が滞留している実態がある。改定案は、1年未満を引き上げ、1年以上を引き下げる。対象病棟は、1年の壁を意識した退院支援体制の構築が求められる。

なお本稿は答申時点の個別改定項目に基づく。特に「1年」の起算方法、すなわち通算の可否や再入院の取扱いは、個別改定項目には示されていない。算定要件、施設基準及び経過措置の詳細とあわせて、今後発出される告示及び通知で確認してほしい。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定により、精神病棟入院基本料18対1および20対1の評価が大きく見直されます。これは、長年の経過措置病棟に長期入院患者が滞留している現状を是正するため、入院期間1年を境に点数を二分し、1年未満は引き上げ、1年以上は引き下げるというものです。この改定は、長期入院患者の割合が高い病棟に大きな減収をもたらすため、病院は1年未満での退院支援体制の強化が急務となります。

導入と問題提起:精神科医療に突きつけられた「1年の壁」
医療の信用報酬改定って聞くと、細かな数字のパズルみたいに思うかもしれないですよね。
確かにそういうイメージを持たれがちですね。
でも今回、精神改良の世界にいきなり突きつけられた1年の壁っていうのはちょっと違うんです。
はい、全く違います。
リスナーのあなたも、これを単なる業界のルール変更だとは思わないでください。
これはもう病院のサバイバルをかけた組織の行動を強制的に変える劇的なショック療法なんですよね。
まさにその通りです。
というわけで、今回のディープダイブでは、令和8年度における精神病棟入院基本療の劇編を徹底解剖していきましょう。
18対1・20対1病棟の背景と長期入院患者の滞留
まずこのターゲットになった病棟って、そもそもどんなものなんですか?
今回対象になったのは、18対1とか20対1と呼ばれる病棟ですね。
これは看護師1人に対して患者さんが18人から20人という、比較的少ないスタッフ配置で回せる病棟のことなんです。
なるほど、スタッフが少なめで済むわけですね。
そうなんです。実はこれ、平成16年から当分の間という名目で設けられたんですが。
当分の間ですか?
ええ、それがなんと実に20年以上も存続してきたんですよ。
えっと、20年ですか。当分の間って言いながら20年も使われ続けたって。
それも一時的な迂回路が完全に固定化しちゃったわけですよね。
本当にそうなんですよ。問題はこの病棟には平均在院日数という要件がなかったことなんです。
平均在院日数っていうのは、患者さんをどれくらいの期間で退院させるべきかっていうルールのことですよね。
ええ、それがない結果的に、1年以上の長期入院患者が滞留しやすい構造になってしまいました。
ああ、なるほど。
だから、医療を抑えたい支払い側と、重症患者の受け皿として評価を求める診療側とで、
中医協という国の議論の場でもずっと激しい対立が続いていたんです。
令和8年度改定の具体的内容:入院期間1年での点数二分化
そこで国が今回取った手段が単なる一律の予算カットじゃなくて、
ワンというか、1年という強烈な積層を設けることだったということですね。
ここで興味深いのは、早期退院を促すために評価の構造を根底から変えたことなんです。
根底からですか?
そうです。入院から1年未満の患者への点数は、現行より引き上げて、
1年を超えたらガクッと引き下げるというメリハリをつけました。
具体的にはどれくらい変わるんですか?
例えば18対1の病棟なら、1年未満でプラス63点、
逆に1年以上になるとマイナス50点という具合ですね。
改定が病院経営に与える影響と損益分岐点
マイナス50点、そのペナルティーって経営を直撃しますよね?
ええ、かなりいたてになります。
だって、患者1人につき1日500円の減収ってことですから、
もし1つのベッドを1年以上埋め続けると、
年間で約18万円ものマイナスになるわけじゃないですか?
はい、まさにそういう計算になりますね。
これって要するに、車を長く停めさせるな、回転率を上げろっていう、
コインパーキングの露骨な料金システムみたいなものですよね。
24時間過ぎたら突然料金が跳ね上がるみたいな。
ああ、それすごくわかりやすい例えですね。まさにその感覚です。
しかも、個別のベッドだけの話にとどまらないんですよ。
と言いますと?
これを全体像に結びつけると、
1年以上入院している患者の割合が約56%を超えた瞬間、
あ、20対1病棟なら約54%ですが、
そのラインを超えると引き上げ分を引き下げ分が上回ってしまって、
病棟全体の収益が赤字に転落する創益分岐点が設定されているんです。
えっと、じゃあ長期入院患者が半数を超えると、
もう病棟全体が沈む仕組みなんですね?
そういうことです。
病院に残された現実的な対応策:退院支援の強化
だったらいっそのこと、そのペナルティがない別の病棟、
例えば、精神科地域包括ケア病棟の枠組みに看板を掛け替えて逃げることってできないんですか?
当然そう考えますよね。
でも、実情その逃げ道は国から塞がれているんです。
塞がれている?どうしてですか?
地域包括ケア病棟へ転換するには、
戦中のリハビリスタッフの配置要件とか、
極めて厳しい在宅復帰率をクリアしなければならないなど、
ハードルが異常に高いんですよ。
なるほど。
実際、令和7年10月時点での届けでは、
全国でわずか31施設にとどまっています。
全国でたった31施設ですか?
それじゃあ、要件が厳しすぎて移行したくてもできないわけですね?
ええ、現実的にはほぼ不可能です。
となると、病院に残された現実的な生き残り策って、
もう一つしかないですよね?
はい。入院から1年を迎える前に、
医師や看護師だけでなく、
多職種が連携して、何が何でも退院支援に全力を注ぐ。
もうこれに尽きますね。
まとめと今後の課題:地域社会の受け皿は準備できているか
これは本当に強烈ですね。
冒頭でも言いましたけど、
ルールの変更というシステムが、
組織の行動をいかに強制的に変えるかという、
マネジメントの究極の事例として非常に面白いです。
ええ、本当にダイナミックな変化だと思います。
ちなみに、再入院をどう扱うかとか、
この1年をどう通算するかといって、
細かいルールはまだ今後の通知待ちなんですよね?
そうですね。
細部の抜け道も今後塞がれていく可能性が高いでしょう。
方向性はすでに明確ですからね。
結局、病院側は全力で患者を地域に送り出すしかなくなるわけです。
そこで最後に、リスナーのあなたに考えてみてほしいんです。
財務的なペナルティによって、
長期入院患者の地域社会への移行が強制的に進められたとして、
そもそも受け皿となる地域のインフラは、
果たして彼らを迎える準備ができているのでしょうか?
05:27

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