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心理支援加算の見直し|令和8年度改定で対象疾患拡大・280点へ
2026-07-29 06:11

心理支援加算の見直し|令和8年度改定で対象疾患拡大・280点へ

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令和8年度診療報酬改定で、通院・在宅精神療法の「心理支援加算」が見直されます。現行の心理支援加算は、外傷体験を有し心的外傷に起因する症状を有する患者だけを対象とするため、心理支援を必要とする多くの患者を評価できていません。実際、算定上の課題として「対象となる患者の基準に該当しないが、支援を必要としている患者がいる」と答えた病院は63.7%にのぼります。本稿は、この心理支援加算の見直しを4つの変更点に整理し、届出までに医療機関が準備すべき事項を示します。

今回の見直しは、対象患者の間口を広げると同時に、実施体制の質を担保する改定です。第一に、対象疾患を神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に拡大します。第二に、実施者に係る要件を新設し、公認心理師に一定の勤務実績を求めます。第三に、施設基準を新設し、専任の常勤精神保健指定医の配置と地方厚生局長等への届出を求めます。第四に、評価を250点から280点に引き上げます。これら4つの変更を受けて、医療機関には対象患者の洗い出し、公認心理師の勤務実績の確認、届出の準備という3つの対応が求められます。

1. 対象疾患を神経症性障害等に拡大する

対象疾患の拡大は、今回の見直しの中心です。現行の心理支援加算は、対象患者を「外傷体験を有し、心的外傷に起因する症状を有する者」に限定しています。この限定により、対象患者はPTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準に準じた範囲にとどまっていました。改定案は、この限定を外し、対象を神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害の患者に拡大します。中医協資料は、この3疾患群をICD-10のF40からF48に対応するものとして示しており、現行の対象患者もこの範囲に含まれます。

拡大の根拠は、算定実態の調査結果と支援効果の研究結果の2つです。算定実態については、算定を行っていない理由として「外来にて心理支援は実施しているが、算定対象となる患者はいないため」という回答が47.2%で最多でした。支援効果については、精神科外来に通院中の神経症性障害等(ICD-10のF40-F48)の患者に対し、通院精神療法に加えて公認心理師による心理支援を導入した研究があります。この研究では、心理支援を導入した群で患者の状態のさらなる改善が認められ、より効果的な通院精神療法の実施に寄与しました。

対象疾患の拡大に伴い、外傷体験に関する詳細な要件は削除されます。現行の留意事項通知は、医師に対して外傷体験の有無と内容の確認、外傷体験および心的外傷に起因する症状の詳細の診療録記載を求めています。改定案は、これらの記載要件を削除します。ただし、医師が心理支援を必要とされる理由等を診療録に記載する要件は残ります。

2. 実施者に係る要件を新設する

実施者に係る要件の新設は、対象拡大と対をなす質の担保策です。現行の心理支援加算は、実施者を「精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師」とだけ定め、経験や勤務形態を問いません。改定案は、この実施者に、精神科医療における勤務実績を新たに求めます。

新設される実施者要件は、精神科を標榜する保険医療機関における勤務経験です。改定案の文言は「精神科を標榜する保険医療機関(他の精神科を標榜する保険医療機関においても勤務する場合は、それらの勤務を合算する。)において、週1日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を1年以上行った経験のある公認心理師」です。週1日以上の常態勤務と週22時間以上の所定労働時間という2つの条件を同時に満たす勤務を、1年以上行った経験が求められます。複数の精神科標榜医療機関に勤務する場合は、それらの勤務を合算して判断できます。

なお、この勤務経験を「どの医療機関で積んだものまで認めるか」は、現時点の資料からは読み取れません。自院での勤務に限るのか、他の精神科標榜医療機関での勤務も含むのかによって、対象となる公認心理師の範囲は変わります。詳細な解釈は、今後発出される通知および疑義解釈で確認してください。

実施方法そのものに変更はありません。公認心理師が対面による心理支援を30分以上実施した場合に算定できる点は、現行どおりです。精神科を担当する医師が通院・在宅精神療法を実施した月の別日に当該支援を実施した場合も、引き続き算定できます。

3. 施設基準を新設し届出を必要とする

施設基準の新設は、算定手続きそのものを変える変更点です。現行の「一の一の六」は、通院・在宅精神療法の注9に規定する「別に厚生労働大臣が定める患者」、すなわち心的外傷に起因する症状を有する患者を定めた規定でした。改定案は、この規定を施設基準に置き換えます。

新設される施設基準は、精神保健指定医の配置1点です。具体的には、当該保険医療機関内に専任の常勤の精神保健指定医が1名以上配置されていることを求めます。この施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関でなければ、心理支援加算を算定できません。

届出が必要になる点は、実務上もっとも注意すべき変更です。現行の心理支援加算は、患者要件と実施要件を満たせば届出なしで算定できます。改定後は、届出を済ませるまで算定できません。届出の様式、提出時期および経過措置の有無は、今後発出される告示および通知で確認してください。

4. 評価を250点から280点に引き上げる

評価の引き上げは、要件の厳格化に見合う手当てです。現行の心理支援加算は250点です。改定案は、これを280点に引き上げます。引き上げ幅は30点で、率にすると12%の増となります。

算定回数の上限と期間に変更はありません。心理支援加算は、初回算定日の属する月から起算して2年を限度として、月2回に限り算定できます。この上限は改定後も維持されます。

5. 届出までに医療機関が準備すべき3つの対応

医療機関に求められる対応は、対象患者の洗い出し、公認心理師の勤務実績の確認、届出の準備の3つです。いずれも、改定内容の4つの変更点に対応します。

第一の対応は、対象患者の洗い出しです。現在は算定していないものの心理支援を実施している患者について、神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に該当するかを確認します。該当する患者が多いほど、今回の対象拡大の効果は大きくなります。

第二の対応は、公認心理師の勤務実績の確認です。心理支援を担当する公認心理師について、週1日以上の常態勤務と週22時間以上の所定労働時間を満たす勤務を1年以上行った経験があるかを確認します。複数の精神科標榜医療機関に勤務する公認心理師については、勤務時間の合算の記録をあらかじめ整理しておきます。

第三の対応は、届出の準備です。専任の常勤精神保健指定医が1名以上配置されているかを確認し、配置がなければ体制の見直しを検討します。配置が確認できたら、告示および通知の発出を待って速やかに届け出ます。

まとめ

令和8年度診療報酬改定は、心理支援加算を4点にわたって見直します。対象疾患は神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に拡大されます。実施者には、精神科標榜医療機関において週1日以上常態として勤務し、かつ所定労働時間が週22時間以上である勤務を、1年以上行った経験が求められます。施設基準には、専任の常勤精神保健指定医1名以上の配置が新設され、届出が必要になります。評価は250点から280点に引き上げられます。心理支援を実施している医療機関は、対象患者の洗い出し、公認心理師の勤務実績の確認、届出の準備という3つの対応を早期に進めてください。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定により、心理支援加算の対象疾患が心的外傷に起因する症状から神経症性障害やストレス関連障害へと大幅に拡大されます。これにより、より多くの患者が心理支援を受けられるようになる一方で、公認心理師の勤務実績や常勤精神保健指定医の配置、事前の届け出など、医療機関にはより厳格な提供体制が求められます。評価点も250点から280点に引き上げられ、質の高いチーム医療を提供できる医療機関が選別される、抜本的な制度再構築となります。

心理支援加算見直しの背景と重要性
もし、今あなたが仕事のストレスで限界を迎えて、あのクリニックに駆け込んだとしますよね。はい。でも、医師から専門の心理カウンセリングを受けさせたいけれど、国の制度上ここでは提供できないんですって言われたらどう感じますか。いやー、それはかなりショックというか本当にもどかしいですよね。そうなんですよ。でも実はこれ決して珍しい話じゃなくて、日本全国の病院の約64%が支援が必要な患者がいるのに
制度の壁にそばまれているっていうデータがあるくらいなんです。 えー、本当に深刻な現状です。
そこで本日の深掘りでは、この壁をついに打ち破るかもしれない、令和8年度診療報酬改定における心理支援加算の見直しについて読み取りできます。
これ、私たち患者側にとっても、あの今後のメンタルヘルスケアの選択肢を根本から変える非常に重要な変化なんですよね。
対象疾患の拡大と科学的根拠
そうなんです。これまでの心理支援の制度って、極端に言えば緊急手術のような扱いだったと言えます。
つまり、PTSDとか目に見える深刻なトラウマがある人にしか適用されてこなかったってことですよね。
はい。それが今回、神経性障害やストレス関連障害にまで大きく枠が広がるんです。
ということは、パニック障害とか日々の強い不安感といった現代人にすごく多い症状も対象になるんですね。
なんというか、これまではVIP専用クラブみたいに限定されていたのが、日常的な予防的リハビリとしても認められたような印象です。
その例え、まさにメカニズムの本質をついていますね。
医学的な分類で言うと、ICD-10のF40からF48という日常的なストレス疾患の多くが対象に加わるんです。
そして、これまで医師に課されていたトラウマの記録要件もなくなります。
なるほど。でも、なぜ国はここへ来て一気にそこまで踏み切ったんでしょうか?
それはですね、通常の精神療法に加えて、公認心理師が介入することで、こうしたストレス関連の症状でも明確な改善が見られるというデータがしっかりと実証されたからなんです。
ああ、科学的な根拠があるからこその門後開放っていうのはすごく納得できます。
公認心理師に求められる新たな要件
ただ、対象者が一気に増えるとなると、今度は誰がその膨大なケアを担うのかっていう、その質の問題が出てきませんか?
まさにそこが今回の見直しの最も興味深いポイントなんです。対象を大きく広げる代わりに、国は提供する側のハードルを容赦なく引き上げました。
容赦なくですか。具体的にはどう変わるんですか?
例えば、公認心理師には、週1日以上かつ週22時間以上の精神科での勤務実績を1年以上積んでいることが新たに求められます。
ちょっと待ってください。週22時間以上ってかなり具体的な数字ですね。なぜそんな半端な指定があるんでしょうか?
ええ、これは国からの明確なメッセージなんですよ。月に数時間だけヘルプで来るような単発の外部スタッフじゃなくてですね。
はい。
クリニックの医療チームにしっかりと組み込まれて、継続的に患者と向き合える専任のスタッフを求めているということなんです。
施設基準の新設と届け出義務
なるほど。スタッフの室の担保ですね。でも個人の経歴にそれだけ厳しい条件を課すなら、クリニックという施設自体にも相当な受け入れ体制が求められそうですが。
おっしゃる通りです。施設には専任の常勤精神保険指定医の配置が必須になります。
え、常勤の指定医ですか?
ええ。さらにこれまで不要だった地方保険局長等への事前の届けでも義務化されるんですよ。事前の書類審査をクリアしないと、そもそもこの加算を請求できなくなります。
いやいや、ちょっと待ってください。指定医を常勤させて、心理師の過去の労働時間を証明して、さらに親職所への事前の書類手続きまでやるんですよね?
はい、そうです。
これ、クリニックからしたらとんでもない事務的経営的負担じゃないですか?面倒だからこの制度を使うのはやめようって考える病院が出ても全然おかしくないと思うんですが。
評価点引き上げと制度の意図
もちろんそういう疑問は出ますよね。だからこそ国は、この厳しいハードルを超えた医療機関に対して、金銭的なインセンティブを用意しているんです。
と言いますと?
これまでの250点から280点へ評価が引き上げられます。ちなみに月2回、2年間という算定回数の上限はそのまま維持されますね。
280点っていうことは、1回に月30点、つまり約300円のアップですよね。正直、たった12%の引き上げで、そこまで重い書類業務とか人材確保のコストに見合うんでしょうか?
確かに一見すると、すごく小幅な改定に見えますよね。でも、対象となる患者層が日常的なストレス疾患にまで爆発的に広がることを考えてみてください。
あ、そうか。対象者が増えれば、当然クリニック全体での算定件数も増えるわけですね。
そうなんです。国としては、単に薬畳を許すのではなくて、体制の整った本気の医療機関だけに、この増えたパイを任せたいという意図が透けて見えますね。
なるほど、よくわかりました。つまり、クリニック側は、来年の4月にただスイッチを切り替えればいいわけじゃないんですね。
医療機関が今すべき準備と今後の展望
まったくその通りです。
今すぐ既存の患者さんを洗い出して、心理スタッフの雇用条件を監査して、薬所への膨大な書類手続きを乗り越えなければ、この新しい制度のスタートラインにすら立てないということですね。
はい。今回の改定は、支援を必要とする多くの人にアクセスを開く一方で、質の高いチーム医療を提供できる施設だけを選別するという非常にドラスティックなシステム再構築だと言えます。
間口は広がるけれど、提供する側の基準はより厳格になる。
支援を必要とするあなたのような人々にとって、このアクセスの拡大とハードルの上昇というトレートオフは、すごく重要な意味を持ちますよね。
本当にそうですね。
今後私たちがメンタルヘルスの不調を感じたとき、目の前のクリニックが頼れる場所として生き残っているのかどうか、制度が変わったその先で地域の医療格差がどう変化していくのか、
ぜひあなたも次にクリニックの看板を見たときに少し騒動してみてください。本日の深掘りはここまでとなります。
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