1. 岡大徳のポッドキャスト
  2. QOLの「Life」は命か生活か?..
2026-02-12 05:05

QOLの「Life」は命か生活か?病院から「健院」への転換が求められる理由

spotify apple_podcasts youtube

QOL(Quality of Life)は、医療や介護の現場で広く使われる言葉です。しかし、この「Life」の解釈が、医療現場と介護現場で大きく異なっていることをご存じでしょうか。全日本病院協会の神野正博会長は、YouTube「医療のトリセツ」第8回で、この認識の違いが医療と介護の間に深い溝を生んでいると指摘しています。

神野会長は、この溝を埋める鍵として「人生」という視点を提案しました。そのうえで、病気だけを扱う「病院」から、健康や生活支援にも関わる「健院」への転換が必要だと提唱しています。本稿では、神野会長の講演をもとに、QOLの「Life」が持つ3つの意味、医療と介護の溝を埋める「人生」の視点、そして超高齢社会における病院の未来像を紹介します。

QOLの「Life」が持つ3つの意味──命・生活・人生

QOLの「Life」には、立場によって異なる3つの解釈があります。医療現場では「命」、介護現場では「生活」、そして両者をつなぐ概念として「人生」があります。この3つの違いを理解することが、医療と介護の連携を考える出発点になります。

医療現場で働く人々は、「Life」を「命」として捉えています。BLS(Basic Life Support)、ライフサイエンス、ライフセーバーといった用語はいずれも、命を救うことを意味します。救急期の病院に勤務する医師や看護師にとって、「Life」はまさに「命」そのものです。

一方、介護現場の人々は「Life」を「生活」として解釈します。リビングルームが「生活する部屋」を指すように、日常の文脈で「Life」は生活を意味します。介護の定義も「生活を支援すること」であり、介護職にとっての「Life」は「生活」にほかなりません。

神野会長は、この2つの解釈をつなぐ概念として「人生」を提案しています。人は生まれてから死ぬまでの大部分を生活の場で過ごし、病気や怪我で一時的に命に関わる局面を迎えても、急場が過ぎればまた生活に戻ります。QOLの本質は、この「人生の質」にあるのではないかと神野会長は考えを示しています。

医療と介護の間にある「大きな谷」

「Life」の解釈の違いは、医療と介護の間に大きな谷を生んでいます。神野会長は、この谷を認識し、埋めていくことが、これからの医療提供体制の構築に不可欠だと強調しています。

医療の立場からは、「命を助ければよい」という考え方が生まれがちです。神野会長は、医療の現場にいる人々がそのように考える傾向があることを指摘しています。

介護の立場からは、「命があるのは当然で、いかに生活を守り支援するかが重要だ」という発想になります。介護職は日々の生活の質に焦点を当てており、医療が担う「命を救う」という行為とは異なる次元で支援を行っています。

この2つの立場の間に存在する谷が、医療と介護の連携を困難にしている要因のひとつです。神野会長は、「人生」という視点を共有することで、この谷を埋めることができると提案しています。命を救う医療も、生活を支える介護も、どちらも「人生の質」を高めるための営みであるという共通認識が、連携の土台になるのです。

「病院」から「健院」へ──超高齢社会における病院の未来像

神野会長は、「病院をぶっ壊せ」という刺激的な言葉で、病院の役割の転換を訴えています。「病院」という名称が示すとおり、現在の病院は病気や怪我、つまり「命」のみを扱う施設です。しかし、超高齢社会においては、それだけでは十分ではありません。

これからの病院には、医療だけでなく、健康と生活支援にも関わることが求められます。神野会長はこの考え方を「健院」という言葉で表現しています。病気を治すだけでなく、健康の維持・増進や、退院後の生活支援まで視野に入れた医療機関のあり方です。

もちろん、医療に特化して運営する病院は今後も存在します。しかし、多くの病院にとっては、健康と生活支援の視点を持つことが、これからの生き残りの条件になると神野会長は予測しています。地域での支え合いを見据え、「病」の場から「健」の場へと進化できる病院こそが、超高齢社会で求められる医療機関の姿なのです。

まとめ

QOLの「Life」には、医療現場が重視する「命」、介護現場が重視する「生活」、そして両者をつなぐ「人生」という3つの解釈があります。この解釈の違いが医療と介護の間に大きな谷を生んでいますが、「人生の質」という共通認識がその谷を埋める鍵になります。超高齢社会を迎える日本において、病院は病気だけを扱う「病院」から、健康や生活支援にも関わる「健院」へと転換していくことが求められています。神野会長の提言は、医療機関の経営者や現場の医療従事者だけでなく、地域医療の未来を考えるすべての人にとって示唆に富む内容です。

「医療のトリセツ」第8回の動画はYouTubeで公開されています。QOLと病院の未来について、より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。



Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

サマリー

QOLの「Life」という言葉は、医療現場では「命」、介護現場では「生活」と解釈が異なり、この違いが両者の間に大きな溝を生んでいます。全日本病院協会の神野会長は、この溝を埋める鍵として「人生」という共通の視点を提示しました。超高齢社会において、病院は病気だけでなく健康や生活支援も担う「健院」へと転換し、地域社会のニーズに応えるべきだと提言されています。

QOLの「Life」に潜む解釈の違い
医療や介護の現場でよく聞くQOL、えーと、Quality of Life、つまり生活の質という言葉がありますよね。
今回、あなたと深掘りしたいのは、この中のLifeというたった一語なんです。 実は、この言葉の捉え方が医療と介護の現場で全く違うという話、お存知でしたか?
今回はですね、全日本病院協会の加野政宏会長の講演をまとめた記事がありまして、それをもとに、なぜこの違いが両者の間に大きな谷を生んでいるのか、そして、超高齢社会で病院が目指すべき未来像まで一緒に探っていきましょう。
「Life」の3つの意味:命、生活、人生
いやー、この記事を読んでまずハッとしたのが、まさにそのLifeの解釈なんです。 私たちも普段何か何気なく使ってますけど、記事によればここには3つの異なる意味が隠れているそうですね。
そこがすべての出発点なんですよ。まず、医療現場でLifeといえば、それはもう命を指します。
Life ScienceとかLife Saverとか、そういう言葉からもわかります通り、医師や看護師にとって最優先されるのは、目の前の命を救うこと。
これは救急医療なんかを考えれば当然の視点ですよね。 なるほど。一方で、介護の現場ではどうなんでしょうか?
介護の現場で重視されるLifeは生活になるんです。 例えば、リビングルームが生活する部屋を意味するように、日々の暮らしとかその営みそのものを指すんですね。
命があるのは前提で、その上でその人らしい生活をいかに支えるかっていうのが焦点になります。
命と生活か。同じ言葉なのに向いている方向が全然違うんですね。
まさにその通りです。そこでカニの会長は、この2つをつなぐ概念として3つ目の意味、人生を提示しているんです。
人は生まれてから死ぬまでほとんどの時間を生活の場で過ごしますよね。 病気や怪我っていうのは、その長い人生っていう線の上で起こる、まあ一時的な出来事に過ぎないと。
QOLの本質は、この人生全体の質をどう高めるかにあるっていうわけなんですね。
医療と介護の溝を埋める「人生」の視点
ああ、その人生という共通の視点すごくしっくりきますね。 でも実際の現場では、なぜそれがなかなか共有されずに大きな谷が埋めれてしまうんでしょうか。
それはやはり、それぞれの専門性がもたらす視点の違いが大きいからでしょうね。 医療側は、命を助けたんだから役割は果たしたと考えがちになってしまって。
ああ、そこで終わってしまうと。
ええ、退院後の生活まではなかなか目が向きにくい。 一方で介護側は、退院してきた方の生活を見て、いやいやこれでは家で暮らせないじゃないかと頭を抱えるわけです。
患者さん本人にとっては、一本の線であるはずの時間が組織の都合で分断されてしまってるんですね。
なるほど、その分断された状態こそがまさに谷の正体だと。
はい。だからこそ、医療も介護もどちらも一人の人間の人生に貢献するための営みなんだっていう、そういう共通認識を持つこと、それこそがこの谷を埋める唯一の架け橋になるというのがこの記事の主張です。
超高齢社会における「病院」から「健院」への転換
その哲学的な解決策もさることながら、記事はさらに踏み込んで病院の形そのものを変えるべきだと提言していますよね。
それこそ病院をぶっ壊せなんてかなり過激な言葉で、これにはちょっと驚きました。
ふふふ、刺激的な言葉ですよね。もちろん物理的に壊すわけではなくて、その役割の抜本的な転換を促すためのメッセージなんです。
今の病院は、文字通り病を扱う場所ですけど、これからの超高齢社会では、病気を治すだけではもう地域社会のニーズにお答えきれないと。
そこで提唱されているのが県院、健康の県という字を当てた新しいコンセプトですね。
これは病院が地域の、なんていうか、健康のハブみたいな役割を担うイメージでしょうか。
まさにその通りです。病気の治療はもちろんのこと、地域の人の健康維持とか増進、さらには退院した後の生活支援までを包括的に担う拠点、それが県院の姿なんです。
すべての病院がこうなる必要はないのかもしれませんが、多くの病院にとっては単なる病気を治す場から、地域住民の健やかさを支える場へと進化することが生き残りの鍵になるだろうと、そう予測されていますね。
まとめと未来の病院への期待
QOLのライフという一つの言葉の解釈から始まって、日本の病院が目指すべき未来像、県院まで、非常に視差に富んだ話でした。
ええ。普段何気なく使っている言葉の裏に、これだけ深い現場の視点の違いとか哲学が隠されている。それを知るだけでも物事の見え方が少し変わってきますよね。
本当にそうですね。では最後にあなたに一つ問いを投げかけたいと思います。もしあなたの身近な病院が病だけを見る場所から健康や生活までを丸ごとサポートする県院に変わるとしたら、あなたはそこに何を期待しますか?
はい。
05:05

コメント

スクロール