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2026-10-13 05:48

テロメライシンを医薬品の例で対応する案|中医協が示した保険適用の考え方

令和8年6月24日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第651回)で、再生医療等製品「テロメライシン注」の医療保険上の取扱いが議題になりました。再生医療等製品には保険上の独自の体系がまだないため、製品ごとに「医薬品の例」と「医療機器の例」のどちらで対応するかを判断する必要があります。本号では、テロメライシンの特徴と、事務局が示した取扱い案およびその根拠となるルールを解説します。

テロメライシンについては、医薬品の例により対応し、薬価基準への収載を審議する案が示されました。第一に、テロメライシンは食道癌の腫瘍内に投与し、腫瘍内で増殖して腫瘍細胞を溶解させることが期待される遺伝子組換えウイルス製剤です。第二に、医薬品の例とする理由は、医薬品と同様の使用方法と薬理的作用による治療効果が期待されるからです。第三に、この案は平成26年に了承されたルールに沿っており、今後は薬価算定組織が償還価格を検討したうえで、中医協総会が薬価基準への収載を審議します。

テロメライシンは食道癌を対象とする遺伝子組換えウイルス製剤

テロメライシンは、放射線療法と併用して食道癌の腫瘍内に直接投与する製品です。以下では、製品の仕組み、対象患者と使い方、承認条件、有効性データの順に説明します。

テロメライシンの仕組みは、hTERT遺伝子プロモーターの制御下で増殖するように改変したアデノウイルスにあります。一般的名称はスラタデノツレブで、収載希望者はオンコリスバイオファーマ株式会社です。本品は、ヒトアデノウイルス5型の増殖に関わる遺伝子(E1A遺伝子、E1B遺伝子)を、hTERT(ヒトテロメラーゼ逆転写活性酵素)遺伝子プロモーターの制御下で同時に発現するように改変しています。腫瘍内に投与された本品がhTERTを高発現する腫瘍細胞に感染すると、腫瘍内で増殖し、腫瘍細胞を溶解させることで抗腫瘍効果を示すことが期待されています。

テロメライシンの対象患者は、根治切除と化学放射線療法のどちらも適応とならない食道癌の患者です。用法は、放射線療法との併用で、通常、成人に1回あたり1mL(1×10¹²vp)を概ね2週間間隔で計3回投与します。投与は上部消化管内視鏡を使い、腫瘍内におこないます。腫瘍の大きさや数によっては、1回あたり2mL(2×10¹²vp)まで増量できます。承認区分は、新再生医療等製品(希少疾病用再生医療等製品)です。

テロメライシンの承認には、3つの条件が付いています。1つ目は、製造販売後、一定数の症例データが集まるまで、全症例を対象に使用成績調査を実施することです。2つ目は、食道癌治療と上部消化管内視鏡診療に十分な知識と経験を持つ医師が、食道癌の治療に係る体制の整った医療機関で使用するよう、必要な措置を講ずることです。3つ目は、遺伝子組換え生物等の使用を規制する法律(いわゆるカルタヘナ法)に基づき承認された第一種使用規程を守って使用するよう、必要な措置を講ずることです。

テロメライシンの有効性は、国内第Ⅱ相試験(OBP101JP試験)で検討されました。この試験は、根治切除と化学放射線療法が適応とならない局所進行食道癌(臨床病期ⅡおよびⅢ)の患者を対象とした、非盲検非対照試験です(目標症例数37例、有効性の解析対象36例)。放射線療法は本品の初回投与3日後に開始し、1日あたり2.0グレイを週5日、約6週間続けました。主要評価項目は局所完全奏効率(L-CR:局所の治療効果が完全奏効と判定された患者の割合)です。L-CRは、投与開始後24週までで41.7%(15/36例、90%信頼区間27.7~56.7%)でした。投与開始後18か月までのL-CRは、50.0%(18/36例、90%信頼区間35.3~64.7%)でした。

医薬品と同様の使用方法と薬理的作用が期待されるため「医薬品の例」で対応する案

テロメライシンを医薬品の例で対応する理由は、医薬品と同様の使用方法と薬理的作用による治療効果が期待される製品だからです。資料では、この2点を踏まえて医薬品の例により対応する案が示されています。

テロメライシンの使用方法は、決められた用量を一定の間隔で腫瘍内に投与するものです。資料は、この使用方法を医薬品と同様のものと位置づけています。

テロメライシンの薬理的作用は、投与した本品が腫瘍内で増殖し、腫瘍細胞を溶解させて抗腫瘍効果を示すことが期待されるものです。資料は、この作用による治療効果も医薬品と同様のものと位置づけています。

判断の枠組みは平成26年のルールにさかのぼる

テロメライシンの取扱い案は、平成26年11月5日の中医協総会で了承されたルールに沿っています。参考資料では、令和8年1月14日に了承された、条件及び期限付き承認を受けた製品に関するルールも併せて示されています。

平成26年のルールでは、再生医療等製品の保険適用を3つの段階で進めます。第1段階では、薬事承認の結果を踏まえ、製品ごとに医薬品の例か医療機器の例かを判断します。第2段階では、薬価算定組織または保険医療材料専門組織が、償還価格(保険で支払われる製品の価格)を検討します。第3段階では、その検討結果を踏まえ、中医協総会が薬価基準または材料価格基準に収載するかを審議します。なお、再生医療等製品の保険上の取扱いに関し独自の体系を作るかどうかは、知見が蓄積した後に引き続き中医協総会で検討するとされています。

令和8年1月のルールでは、条件及び期限付き承認を受けた製品も、通常の承認を受けた製品と同様に扱います。つまり、医薬品の例と医療機器の例のどちらで算定するかは、薬事承認の結果を踏まえて判断します。さらに、条件及び期限付き承認を受けた製品の事例が集まるなど状況が変わった場合は中医協総会に報告し、必要に応じて取扱いの見直しを審議するとしています。なお、テロメライシンの承認区分は資料上「新再生医療等製品(希少疾病用再生医療等製品)」と記載されています。

テロメライシンの取扱い案は、この枠組みの第1段階として「医薬品の例」で対応するものです。案のとおり進めば、第2段階として薬価算定組織が償還価格を検討します。その後、第3段階として中医協総会が薬価基準への収載を審議します。

まとめ:テロメライシンは医薬品の例で薬価基準への収載を審議する案

テロメライシンについては、医薬品の例により対応し、薬価基準への収載を審議する案が示されました。テロメライシンは、食道癌の腫瘍内で増殖して腫瘍細胞を溶解させることが期待される遺伝子組換えウイルス製剤です。医薬品の例とする理由は、医薬品と同様の使用方法と薬理的作用による治療効果が期待されるからです。この案は平成26年のルールに沿っており、今後は薬価算定組織での検討を経て、中医協総会で薬価基準への収載が審議されます。

【参考資料】

* 中医協 総-4「再生医療等製品の取扱いについて(テロメライシン)」(令和8年6月24日)

* 中医協 総-4参考「再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて」(令和8年6月24日)



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サマリー

テロメライシンは、がん細胞で活性化しているhTERTを手がかりに増殖し、細胞を内側から溶解させるよう改変された遺伝子組換えウイルスです。食道がんの腫瘍内に内視鏡で投与し、放射線療法と併用する治療で、投与後18か月時点に半数で完全消滅したという臨床試験データが紹介されます。再生医療等製品に独自の保険ルールがないため、中医協では医薬品か医療機器かの分類が問題となり、今回は医薬品の例として扱う案が示されました。自己増殖する遺伝子組換え生物を用いるため、カルタヘナ法に基づく管理も必要とされ、先端技術に制度が追いつく難しさが語られます。

がん細胞を狙うテロメライシンの仕組み
あの、普通、ウイルスって聞くと、なんかこう、熱を出して寝込むような、病気をもたらす悪者っていうイメージがありますよね。
でも、今日、あなたと一緒に深掘りしていくのは、その全く逆なんです。 えー、そうですね。
はい。ガン細胞だけを狙い撃ちにする、いわば、あの、暗殺者として働くようにプログラミングされたウイルスの話なんですよ。
すごくSFチックに聞こえますが、現実の話なんですよね。 そうなんです。
さらに面白いのが、このまるでSFみたいな生きた最新治療法に、日本の行政がどうやって、その値段のラベルを張ろうと悪戦苦闘しているかというドラマなんです。
まさに最先端の科学と、何十年も前に作られた岡大精度がぶつかり合う、すごくスリリングな現場ですよね。
ええ。で、まずはこの暗殺者の正体なんですけど、テロメライシンという名前の遺伝子組み替えウイルスなんですね。
資料を見てて思ったんですが、これってあの細胞の寿命を決めるテロメアと何か関係があるんですか?
素晴らしい着眼点ですね。
がん細胞って、自らテロメアを修復して不老不死になるから、立ちが悪いってよく聞くじゃないですか。
まさにそこがこの技術の核なんですよ。がん細胞って、その不老不死になるために、Hタートという酵素のスイッチを常にオンにしている状態なんです。
Hタートですか?
はい。で、テロメライシンは、そのHタートのスイッチがオンになっている環境でだけ増殖するように遺伝子がハッキングされているんです。
ということは、もし正常な細胞の中に入ってしまっても、その不老不死のスイッチはオフのままだから。
何も起きないんです。正常な細胞では、ただ通り過ぎていくだけなんですよ。
わあ、賢いですね。
ええ。でも、そのHタートが大量にあるがん細胞の中に入り込むと、それを合図にして、もう爆発的に増殖を始めるんです。
爆発的に?
そうです。ウイルスがどんどん増えていって、最終的にはがん細胞を内側からパンと破裂させて、溶かしてしまうという、そういうメカニズムなんです。
食道がん治療での臨床試験と保険分類
それすごいですね。
実際に臨床試験でも、他の治療法、例えば、根治切除とか化学放射線療法が適用とならない食道がんの患者さんに内視鏡で直接注射したところ、素晴らしいデータが出ています。
はい。
だいたい2週間間隔で、計3回投与するんですが、投与後18ヶ月の段階で、半数の人でがんが極致的に完全に消滅したというデータが出ているんです。
ええ、半分もですか。単なる次元爆弾じゃなくて、がん細胞特有の空気を検知した時にだけ扉を開けて、中で暴れ出す、なんかトロイの木馬みたいですね。
まさにそんな感じです。
正常な細胞を傷つけないから、放射線治療とも併用できるってすごく納得しました。
ええ、画期的ですよね。
でもここからが最大の謎なんですが、この自ら増殖して敵を溶かす生きたトロイの木馬って、明らかに私たちが普段飲んでいる風邪薬とか胃薬とは全く別物じゃないですか。
全く違いますね。
政府はこれをどうやって分類しようとしてるんですか?医療機器ですか?それとも薬なんですか?
そこが今の制度の大きなジレンマなんですよ。令和8年6月24日の中医協総会で議論されたんですが、現在こういった再生医療等製品と呼ばれる新しい枠組みに対しては、まだ独自の保険のルールが存在しないんです。だから既存のルールに無理やり当てはめるしかなくて。
なるほど。新しすぎて枠がないんですね。
そうなんです。それで結果的に今回は医薬品の例として扱うという案が示されました。
医薬品ですか。でもそれって単なるお薬処の分類上のラベルの話ですよね。薬として扱われるか、機器として扱われるかで、聞いている私たちにとって何か大きな違いがあるんでしょうか?
これが全く違うんですよ。どちらに分類されるかで、召喚価格、つまり保険でいくら支払われるかという価格を決める審査のプロセスが根本から変わってしまうんです。
ああ、値段の付き方が変わるんですね。
カルタヘナ法と未来の薬の概念
はい。今回は決められた要領を一定間隔で投与する点とか、体内で効果を発揮するプロセスが医薬品の薬理作用に近いと判断されたわけです。
なるほど。未来の技術を何とか過去の引き出しに押し込んだって感じですね。
あと、証人の3つの厳しい条件の中にカルタヘナ法を遵守することってあって驚いたんですけど。
よくお気づきですね。
これって自然環境とか生物多様性を守るための法律ですよね。病院のベッドの上の治療なのに、なんで環境保護法が出てくるんですか?
そこがこの治療のすごく特殊なところなんです。ただの化学物質じゃなくて、自ら増殖する遺伝子組み換え生物を扱うことになるので。
ああ、そっか。ウイルスだから。
そうです。意図せずに環境中に広まったりしないように厳しい基準をクリアして管理しないといけないんですよ。
病院で治療を受けるのに外の生態系への影響まで考えなきゃいけない時代になったんですね。
なんか最先端の化学のスピードに法律とか制度が必死に追いつこうと息を切らしている様子が目に浮かびます。
本当に。生きた細胞を機械みたいにプログラミングする技術はこれからもっと加速しますからね。
私たちが当たり前だと思っている薬の概念は今まさにアップデートを迫られているんだと思います。
そうですね。聞いているあなたも次に何気なく頭痛薬とかビタミン剤の小さな錠剤を飲む時ちょっと想像してみてください。
はい。
もしこの錠剤が自ら考えて体の中を動き回る生きたロボットだったとしたら、それは果たして薬って呼べるんでしょうか。
難しい問いですよね。
私たちの薬か危機かという単純な二言論のルールは次にやってくる未来の波をいつまで受け止め切れるのかぜひ考えてみてください。
はい。
05:48

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