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2026-11-03 06:03

【中医協】在宅自己注射の対象薬にアナキンラ追加へ|第654回総会を解説

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2026年(令和8年)8月5日の中医協総会(第654回)で、「在宅自己注射について」が議題になりました。この議題では、6月に薬事承認された新しい皮下注射薬2剤の、保険上の扱いが示されています。2剤の扱いは同じではないため、処方や指導を担う医療機関は違いを正確に把握する必要があります。本号では、資料「総-8」と参考資料をもとに、2剤の扱いの違いと判断の根拠を整理します。

結論として、2剤のうちアナキンラだけが在宅自己注射の対象に加わる案が示されました。アナキンラ(キネレット)は、「保険医が投与することができる注射薬」と「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤」の両方に追加される案です。イサツキシマブ(サークリサ皮下注)は、「保険医が投与することができる注射薬」にのみ追加される案です。2剤の扱いは、中医協が定めた「運用基準」と、関連学会からの要望書にもとづいて判断されています。

用語の確認

* 保険医が投与することができる注射薬:医師が患者に渡したり、処方箋を交付したりできる注射薬です。保険診療のルール(療担規則)で、厚生労働大臣が定めた注射薬に限られています。

* 在宅自己注射指導管理料:患者が自宅で自分(または家族)で注射できるよう、医師が指導・管理を行った場合に算定する診療報酬です。対象となる注射薬は告示(別表第九)で決められています。

1. アナキンラ:在宅自己注射の対象に加わる案

アナキンラは、毎日の皮下注射が必要なスチル病の治療薬であり、自宅での自己注射を前提に追加が提案されました。以下では、薬剤の概要、学会が要望した理由、追加案での位置づけの順に説明します。

薬剤の概要:アナキンラは、全身型若年性特発性関節炎と成人発症スチル病に使う皮下注射薬です。販売名は「キネレット皮下注100mgシリンジ」で、2026年6月19日に薬事承認されました。投与量は、体重50kg以上なら1回100mg、50kg未満なら体重1kgあたり2mgで、いずれも1日1回投与します。16歳未満の患者で効果が不十分な場合は、体重1kgあたり1回最大4mgまで増量できます。対象は成人と、生後8か月以上かつ体重10kg以上の小児です。作用は、炎症を引き起こす物質「インターロイキン-1(IL-1)」の働きを妨げることで炎症を抑えるものです。

学会が要望した理由:日本リウマチ学会と日本小児リウマチ学会は、早期から使える生物学的製剤が必要だとして追加を要望しました。2つの病気はいずれも指定難病で、長く治療を続ける必要があります。現在の主な治療はステロイド(グルココルチコイド)ですが、長期使用により、小児では成長障害や代謝異常などの副作用が問題になります。国内で承認済みの生物学的製剤(トシリズマブ、カナキヌマブ)は、ステロイドで効果が不十分な場合の選択肢にとどまります。海外の提言・ガイドラインでは、スチル病と診断が確定した段階で、IL-1阻害剤(を含む生物学的製剤)を第一選択薬として使うことが推奨されています。海外では30以上の国・地域で承認されており、ほとんどの患者が指導を受けたうえで自宅で自己注射をしています。国内の第3相試験(15名)でも、患者や保護者が1日1回の自己注射を行い、自己注射による不具合は報告されませんでした。

追加案での位置づけ:案が了承されれば、アナキンラは在宅自己注射指導管理料を算定して、自宅での自己注射を指導できる薬剤になります。一方、必要な在宅療養指導管理材料加算は、資料で「なし」とされています。自己注射の導入にあたっては、既存の通知(「在宅自己注射を実施するに当たっての留意事項」)が示す次の4点を守る必要があります。

* 指導管理は、対象疾患の診療を日常的に行い、十分な経験を持つ医師が行う

* 導入前に、入院または週2回若しくは3回以上の外来・往診・訪問診療で十分に教育する

* かかりつけ医と別の医師が指導する場合は、緊急時の対応を連携しておく

* 使用済みの注射器などの廃棄方法も指導する

あわせて学会要望書は、感染症の徴候など副作用が疑われる場合にすぐ医療機関へ連絡するよう、患者に指導するとしています。

2. イサツキシマブ:投与できる注射薬にのみ加わる案

イサツキシマブは、在宅で医療従事者が投与する使い方を想定した抗がん剤であり、在宅自己注射指導管理料の対象への追加は提案されていません。以下では、アナキンラと同じく、薬剤の概要、学会が要望した理由、追加案での位置づけの順に説明します。

薬剤の概要:イサツキシマブは、多発性骨髄腫に使う皮下注射薬です。販売名は「サークリサ皮下注1400mg」で、2026年6月19日に薬事承認されました。他の抗がん剤と併用し、1回1400mgを1週間間隔、2週間間隔(さらに4週間間隔)の順で皮下投与します。点滴製剤を使用中の患者は、治療の状況に応じて本剤へ切り替えられます。作用は、がん細胞の表面にある「CD38」という目印に結合し、免疫の力などでがん細胞を攻撃するものです。

学会が要望した理由:日本血液学会は、免疫機能が低下した高齢患者の通院負担と感染リスクを減らすために要望しました。多発性骨髄腫は高齢者に多く、長期の治療が必要な病気です。本剤は「オンボディインジェクター(OBI)」という体に貼り付けて使う投与器具を採用しており、医療従事者の手技に左右されずに投与できます。再発・難治性の患者を対象とした国際共同第III相試験では、医師が可能と判断した場合に、訪問看護師による在宅投与が認められていました。学会は、在宅での抗がん剤注射の指導管理(在宅腫瘍化学療法注射指導管理料)の対象にすることを求めています。

追加案での位置づけ:案では、イサツキシマブは保険医が投与することができる注射薬に追加されますが、在宅自己注射指導管理料の対象には含まれません。学会要望も、患者自身による自己注射ではなく、在宅での医療従事者による投与を想定しています。必要な在宅療養指導管理材料加算も、資料で「なし」とされています。学会要望書では、在宅で投与する場合に、本剤とOBIの管理方法、副作用発現時の連絡、使用済み器具の廃棄方法を指導することが想定されています。

3. 判断の根拠:運用基準と学会要望書

2剤の扱いを決めた物差しは、中医協が2023年(令和5年)8月に改正を承認した「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に係る運用基準」です。この基準は、対象薬剤の要件と、追加する時期を定めています。また、保険医が投与することができる注射薬の追加にも準用されます。

対象薬剤の要件:運用基準では、補充療法等の頻回投与または発作時の緊急投与が必要な注射薬で、次の3つをすべて満たすことが求められます。

* 関連学会のガイドラインなどで、在宅自己注射の診療上の必要性が確認されている

* 承認された用法・用量で、維持期の投与間隔がおおむね4週間以内である

* 学会から、必要事項を記載した要望書が提出されている

要望書には、自己注射の安全性、対象患者の要件、使用上の留意点、頻回投与や長期治療が必要な理由を記載する必要があります。在宅療養指導管理材料加算を要望する場合は、加算の名称と理由も記載します。補充療法や発作時の緊急投与以外の薬剤では、要望した学会以外の学会の意見も確認します。アナキンラについては、日本リウマチ学会と日本小児リウマチ学会の2学会から要望書が提出されています。

追加の時期:運用基準では、投与間隔に応じて追加の時期を分けています。14日未満の間隔で注射する薬は、要件を満たせば、原則として薬価収載の時期にあわせて追加を検討します。14日以上の間隔で注射する薬は、14日を超える投薬が可能になった段階で、薬価収載の時期にあわせて検討します。新医薬品は、原則として薬価収載の翌月から1年間、投薬期間が14日に制限されるためです。アナキンラは1日1回投与のため、前者に当たります。

まとめ:アナキンラは自己注射可、イサツキシマブは投与可のみ

第654回中医協総会では、6月に承認された皮下注射薬2剤の保険上の扱いが案として示されました。アナキンラは、保険医が投与することができる注射薬と在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の両方に追加される案です。イサツキシマブは、保険医が投与することができる注射薬にのみ追加される案です。2剤の扱いは、中医協の運用基準と関連学会の要望書にもとづいて判断されています。アナキンラの自己注射を導入する医療機関は、十分な教育期間の確保と廃棄方法の指導を含む安全管理を準備しておきましょう。

参考資料:中央社会保険医療協議会 総会(第654回)資料「総-8」「総-8参考1-1」「総-8参考1-2」「総-8参考2」「総-8参考3」(令和8年8月5日)



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サマリー

同じ時期に承認された皮下注射薬、アナキンラとイサツキシマブで、保険上の扱いが分かれる理由を解説する。アナキンラはスチル病に毎日使い、海外や国内試験で自己注射の安全性が確認されているため、十分な指導を前提に患者自身の投与が認められた。一方、イサツキシマブはオンボディインジェクターを使うものの、重篤なインフュージョンリアクションへの対応が必要で、医療従事者による投与に限られた。さらに、日本血液学会の要望書自体が医療従事者の管理下での投与を前提としていたことも、判断の根拠になった。最後に、異常を検知して自動停止できるデバイスが実現すれば、自己注射と医療従事者管理の境界が変わる可能性について語る。

アナキンラが自己注射の対象になった理由
あの同じ時期に承認された最新の皮下注射薬の話なんです
けど6月に承認された2つの薬ですね
そうですこれ一方は
自宅で患者自身が毎日打てるのにもう一方は
医療従事者しか投与できないんです
よねはい同じように皮膚の下に薬を入れるだけなのに
扱いが全然違うんです
なんかまるで自分で運転するマイカーとプロに任せる
タクシーみたいにルールが2つに分かれていてこれ実は
薬の成分じゃなくて意外なところで決まっているんです
よねそうなんですよ
最新の注意競争会の資料を読み解くとその境界線が
非常にクリアに浮かび上がってきます
なるほどじゃあ今回は
このアナキンラとイサツキシマブという2つの薬の
保健所の扱いの違いから
複雑な医療行政の裏側を紐解いていきましょうリスナーの
あなたもぜひ一緒に深掘りしていきましょうはい。
まずはマイカー側、
つまり自己注射が
認められたスチルビオ治療薬のアナキンラですね。あ、
そうですね。
これ毎日打つ必要があるんですよね。え、
そうなんです。
スチルビオは長期の治療を要する難病でして、
これまで主流だったステロイド治療だと副作用が
大きかったんです。
副作用というと具体的にはどういったものですか?
特に小児の成長障害とか代謝異常といった深刻な副作用が
課題だったんですよ。
それは確かに避けたいですね。
だからこそ関連学会から
ステロイドを減らすために早期から
この薬を使いたいそのためにも在宅での自己注射を認めて
ほしいという強い予防が出されていたんです
なるほどまあ毎日病院に通うわけにもいかないですしね
つまりこれって火事が起きてから
巨大な消防車を呼ぶのを待つんじゃなくて家に消火器を
常備して毎日初期消火するような感覚です
よねステロイドっていう強力な放水による水浸しの被害
つまり副作用も最小限に抑えられるというわけだ。
まさにその通りです。
海外ではすでに多くの国で自己注射が標準になっています
し。あ、
もう海外では当たり前なんですね。はい。
国内の試験
でも安全性が確認されていますから、
イサツキシマブとオンボディインジェクターの課題
十分な指導というハードルさえ超えれば、
患者自身で安全に運転できると判断されたわけです。
アナキンラが毎日打つ必要があるから
自己注射になったっていうのはすごく腑に落ちますね。
でもそれが理由なら。
はいもう一つの薬ですね
そうなんです
もう一つの多発性骨髄種の抗がん剤イサツキシマブの
決定がちょっとどうも納得いかないんですよねと
言います
とどのあたりが
ですかだ
ってこれ体に貼り付ける
オンボディインジェクターでした
っけそういう器具を使うんです
よね略してOBIと呼ばれるものですねそう
それですスイッチを入れたら
あとは機械が
自動でゆっくり薬を入れてくれる
わけじゃないですかはい。
自動的に投与されます。主義に依存しないなら、
それこそ患者自身でペタッと貼って、
マイカーとして使えそうだなと思うんです。
高齢のがん患者の通院負担とか感染リスクを
減らしたいなら、
なおさら自分で打てた方がいいはずなのに。
確かにそう思われますよね。
なぜわざわざ訪問看護師なども医療従事者による
投与のみに限定したんですか?
実はそこが一番のパラドクスというか、
ルール作りの裏側なんですよ。
理由は大きく2つありまして。
ほう、2つ。まず1つ目は抗がん剤特有のリスクです。
イサツキシマブは
投与するときに重篤なインフュージョンリアクションが
起きるリスクがあるんです。
インフュージョンリアクションっていうのは
アレルギーみたいなものですか?
はい、
そうです。
過敏症ですね。
これが比較的高い確率で起きるので、
機械が自動で薬を入れてくれても、
万が一の急変時にすぐ対応できるプロの目が
どうしても必要なんです。ああ、
なるほど。
つまり、
自動運転の車
でも緊急時にはプロのドライバーがいつ
でもハンドルを握れる状態に
しておかなきゃいけないということですね。ええ、
まさにそういうことです。
学会要望書が決める保険上の扱い
そして2つ目。
これが行政側の最大の理由なんですが。はい、
何でしょう。中医協がルールを決める際、
関連学会からの要望書が
絶対的な基準になるという点です。あ、
日本血液学会からの要望のことですね。はい。
血液学会の要望書自体が、
そもそも患者による自己注射ではなくて、
医療従事者の管理課での投与を大前提として
書かれていたんです。え、
そうだったんですか。
初めから自己注射の要望じゃなかったんですね。
そうなんですよ。
注意教は基本的に現場の専門医たちが
求めている安全基準以上のリスクを取ることは
ありません。
なるほど。
だからこそ、
自動で注入できる便利な器具を使っても、
自己注射の対象にはならず、
医療従事者が
投与できる注射薬にのみ追加されるという
着地になったわけです。
いやー、
点と点がつながりましたね。
同じ在宅医療という枠組みで、
しかも同じ新しい非過注射薬であっても
全然違うんですね。ええ。
疾患ごとのリスクやデバイスの特性に合わせてルールが
作られています。
そして現場の学会が
描く安全管理のラインに合わせて全く異なるルールが
設計されていると。
リスナーのあなたも、
医療制度って
ただお役所仕事で一律に決まっているわけじゃないと
気づいたんじゃないでしょうか。
そうですね。
病気と戦う手段が多様化する中で、
それをどう安全に患者の日常に届けるか。
そのシステム自体も非常に繊細に
チューニングされているんです。
いや本当に面白いですね
医療デバイスの進化と自己注射の未来
そこで最後に少し先の未来を想像せずにいられないんです
がど
んな未来ですか
今回は
万が一の副作用に対応するプロの目が
必要ということでタクシー型になりましたよね
そうでした
ね
でももしオンボディインジェクターが
さらに進化して患者の血圧とかアレルギー反応を
リアルタイムで検知して異常が
あれば自動で投与をストップするようなセンサーが
搭載されたらどうなるでしょう
ああそれは技術的には
十分あり得る話ですねです
よねそうやってテクノロジーが
ションカすれば将来抗がん剤のような複雑な治療において
すら医療従事者による管理と患者自身の自己注射の
境界線が完全に消滅する日が来るのかもしれません
ねリスナーのあなたはどう思います
かぜひ考えてみてください
06:03

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