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令和8年度改定:特別地域訪問看護加算が「合計時間」でも算定可能に
2026-05-14 05:26

令和8年度改定:特別地域訪問看護加算が「合計時間」でも算定可能に

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過疎地域等における訪問看護では、看護師の移動と訪問にかかる総時間が極めて長くなる実態がある。現行の特別地域訪問看護加算は、訪問看護ステーションから利用者宅までの片道移動時間のみを評価軸としており、こうした長時間訪問を十分に評価できていない。本稿は、令和8年度診療報酬改定における特別地域訪問看護加算の要件見直しの内容を、現行制度との対比で解説する。

今回の改定では、移動と訪問看護提供の合計時間が長い訪問も加算対象に追加される。現行の算定要件は、片道移動時間1時間以上が共通条件であった。改定後は、特別地域内のステーションから特別地域内の利用者を訪問する場合に限り、移動時間30分以上かつ移動と訪問の合計2時間30分以上でも算定できる新区分が設けられる。この見直しは、訪問看護基本療養費のほか、在宅患者訪問看護・指導料など関連4項目にも同様に適用される。

改定の背景|長時間訪問が評価されない現行制度の課題

特別地域訪問看護加算の対象地域では、片道1時間未満の移動でも訪問全体に長時間を要する事例がある。日本訪問看護財団の調査では、片道50分の移動と2時間のケアを合わせて、利用者1人に約4時間を要する事業所の実例が報告されている。通過ルート上に他の利用者宅がないため午前中の訪問が1件のみとなる事業所もあり、非効率なサービス提供が常態化している。

なお本稿で扱う「特別地域」とは、厚生労働大臣が定める6カテゴリの地域を指す。具体的には、過疎地域、離島振興対策実施地域、奄美群島、振興山村、小笠原諸島、および沖縄の離島である。改定案の表題等で用いられる「過疎地域等」も、この6カテゴリ全体を意味する。

現行の特別地域訪問看護加算は、こうした長時間訪問を評価できない構造である。算定要件は片道移動時間1時間以上のみであり、移動と訪問の合計時間は評価軸に含まれない。その結果、特別地域に所在する訪問看護ステーションは全体の1.5%にとどまり、算定者数こそ微増傾向(令和3年426人→令和7年600人)にあるものの、利用者全体に占める算定割合は横ばいで推移している。

今回の改定は、この実態と評価のギャップを埋めることを目的とする。基本的な考え方として、住み慣れた地域での療養継続を支えるため、遠方への移動負担を考慮した要件見直しが行われる。

改定後の要件|区分イと新設区分ロの2本立て

改定後の特別地域訪問看護加算は、区分イと区分ロの2区分で構成される。いずれも、所定額の100分の50を加算する点は現行と同じである。

区分イは、現行の算定要件を整理・統合した区分である。移動時間1時間以上を共通条件とし、(1)特別地域内のステーションが訪問する場合と、(2)特別地域外のステーションが特別地域内の利用者を訪問する場合のいずれかに該当することを求める。現行制度のイ・ロ両要件が、改定後の区分イに集約された形である。

区分ロは、特別地域内のステーションから特別地域内の利用者への訪問を対象に新設される区分である。算定には、(1)移動時間30分以上と、(2)往復移動および訪問看護実施に要した時間の合計2時間30分以上の両方を満たすことが求められる。この区分により、移動時間が1時間に達しない場合でも、訪問全体の時間負担が大きい訪問を加算対象として取り込むことが可能になる。

適用範囲|訪問看護基本療養費を含む関連5項目に横断的に適用

今回の要件見直しは、訪問看護基本療養費だけでなく、関連する4項目にも同様に適用される。具体的な対象は、在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料、精神科訪問看護・指導料、および精神科訪問看護基本療養費である。

これら4項目は、訪問看護基本療養費と並んで特別地域の訪問看護を支える評価項目である。横断的に同一の要件改定を行うことにより、評価項目間の整合性が保たれ、提供主体や対象患者によって算定可否が異なる事態を防ぐ設計となっている。

まとめ|合計時間の導入で過疎地域等の訪問看護提供体制を下支え

今回の改定は、特別地域訪問看護加算に「合計時間」という新しい評価軸を導入する。現行の移動時間1時間以上の要件に加え、特別地域内訪問では移動時間30分以上かつ合計2時間30分以上の訪問も加算対象となる。この見直しと関連4項目への横断適用により、過疎地域等における訪問看護提供体制の維持と拡充が期待される。



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サマリー

2026年の診療報酬改定では、過疎地域などにおける訪問看護の長時間移動とケアの負担を適切に評価するため、「特別地域訪問看護加算」の要件が見直されます。現行の片道移動時間のみを評価する制度では、合計時間が長くても加算対象外となる不合理がありましたが、改定後は移動と訪問の「合計時間」を評価軸に加える新区分が導入されます。これにより、地域医療を支える訪問看護の提供体制維持・拡充が期待されます。

訪問看護における長時間移動の課題提起
ちょっと想像してみて欲しいんですけど、片道50分かけて車で通勤して、現場で2時間働いて、また50分かけて帰る。
それだけで半日潰れちゃうのに、お給料が出るのは、その実際に働いた2時間の部分だけで、移動に使った膨大な時間は一切考慮されませんって言われたらどう思います?
いやー、それだと普通ならそんなのやってられないってすぐやめちゃいますよね。
ですよね。でも実は日本の地域医療を最前線で支える現場で、これと似たようなことがずっと起きていたんです。
そうなんですよね。まさに限界ギリギリの状態というか。
はい。ということで今回の深掘りでは、2026年の診療報酬改定の資料をベースに、過疎地域などにおける特別地域訪問看護科さんの要件見直しについて解き明かしていきます。
はい。よろしくお願いします。
この時間の測り方を変えるっていう一見地味な制度変更が、いかにして限界に達した地域医療インフラを救う鍵になるのか。さあ、あなたと一緒に紐解いていきましょう。
現行制度の評価ギャップと不合理性
ええ。ここで興味向かいのは、というか、まずこの新制度の画期的なところを理解するためにですね、全国のわずか1.5%のステーションが直面していた評価のギャップという問題から見ていきたいと思います。
はい。そもそも、そうした厳しい地域で訪問看護を行う施設を支援するために、国もなんというか特別手当てみたいな制度を用意してはいたんですよね。
そうなんです。ただ、その手当てをもらうための条件が非常に厳格でして。
あ、なるほど。
片道1時間以上の移動時間、これが必須だったんですよ。
ちょっと待ってください。それってさっきの例えで言うと、片道50分の運転だと1時間に満たないから手当ての対象外ってことですか。
その通りです。もし小笠原諸島とか奄美郡島で働く看護師さんが患者さんの家まで50分かけて向かったとしても、
としても?
残念ながら特別手当ては1円も出ません。
うわー、それは厳しいですね。
実際に日本訪問看護財団の調査データがあるんですが、片道50分かけて移動して、現場で2時間みっちりケアをする。そしてまた50分かけて帰る。
はい。
これ1人の患者さんのためにトータルで約4時間も使っているのに、片道が60分に満たないというだけで特別な評価はゼロだったんです。
いやいや、それはあまりにも理不尽じゃないですか。過疎地で家同士が離れていれば午前中にその1軒しか回れないなんてザラですよね。
えー、本当にそうなんです。
つまり、移動に60分かかれば評価されるのに、50分で到着してしまったばかりに残りの膨大な拘束時間が実質的なペナルティみたいに無視されていたってことですよね?
おっしゃる通りです。訪問全体にかかる合計時間が無視されるという構造的な欠陥があったんですよ。
なるほど。
そのせいで、過疎地域でニーズが高まっているのに、この加算を受け取れるステーションの割合がずっと横ばいのままだったんです。
いやー、いくら現場が頑張ってもルールのせいでどうにもならなかったんですね。そこで今回、国が根本的な見直しに踏み切ったと?
令和8年度改定:合計時間による新評価軸の導入
はい。単なる片道時間では本当の負担を測れないという現実に対して、全く新しいセーフティネットを作りました。
従来の片道1時間という基準は区分位として残した上で、特別地域向けに区分路というものを新設したんです。
これは移動時間が30分以上、かつ往復とケアを含めた合計時間が2時間半以上であれば算定可能になるというルールです。
ここからが本当に面白いところなんですが、これってつまり運送業のドライバーさんへの支払いを単に何キロ走ったかだけじゃなくて、
荷卸しとか待機時間も含めた全工程に対する評価に変えたような、そんな画期的な視点の転換ですよね?
素晴らしい例えですね。まさに天から明への転換です。
関連サービスへの横断適用と社会インフラ維持の重要性
さらにこれを全体像と結べつけると、この合計時間という新しい考え方が精神科訪問看護など他の4つの関連サービスにも横断的に適用されたんです。
つまり患者さんの病状とか提供する事業所が違うからといって、こっちは手当てが出るのにあっちは出ないみたいな制度の不整合を防いだわけですね。
一部だけをバータリ的に助けるんじゃなくて、地域医療を下支えする設計として、仕組み全体を矛盾なくやり直したということです。
納得です。でもこれを聞いているあなたは、離島や山奥の話なんて自分には関係ないと思うかもしれません。
そうですね。遠い世界の話に聞こえがちですよね。
でもこの住み慣れた地域での療養継続という改定の目的は、将来あなたやご家族がどこに住んでいようと直面し得る社会インフラ維持のための共通課題なんですよね。
はい。インフラを維持するためには、見えない負担をどう正当に図るかが本当に重要になってきますから。
そうなんです。今回は合計時間という新しい評価軸が崩壊しかけていた訪問看護を救う糸口になりました。
でもちょっと考えてみてほしいんです。私たちの生活を当たり前のように支えている他の不可欠なサービスの中でも、
単に負担の測り方を間違えているというだけの理由で、今まさに崩壊の危機に瀕しているものが他にもあるんじゃないでしょうか。
ぜひご自身の身の回りでも想像してみてください。
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