令和8年度診療報酬改定では、かかりつけ医機能の評価の一環として、診療所における休日・夜間等の対応体制に関する加算が見直されます。この見直しは、「Ⅱ-3 かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価」の項目に位置づけられています。
今回の改定では、主に3つの変更が行われます。第一に、名称が「時間外対応加算」から「時間外対応体制加算」に変更されます。第二に、加算1~4の全区分で点数が引き上げられます。第三に、これらの変更により、診療所が休日・夜間の対応体制を整備する取組がさらに推進されることが期待されています。
改定の背景:なぜ時間外対応体制加算が充実されるのか
今回の見直しの背景には、休日・夜間における軽症患者の病院受診と、それに伴う病院勤務医の負担という2つの課題があります。
時間外対応加算は、平成24年度改定で新設された加算です。この加算は、地域の身近な診療所が患者からの休日・夜間等の問い合わせや受診に対応する体制を評価するものです。診療所が時間外対応を行うことで、休日・夜間に病院を受診する軽症患者が減少し、病院勤務医の負担軽減につながることを目的としています。
こうした目的をさらに推進するために、令和8年度改定では評価の引き上げが行われます。名称に「体制」の文字が加わったことで、対応できる体制の整備そのものを評価する趣旨がより明確になったと考えられます。
改定の具体的な内容:名称変更と4区分すべてで点数引き上げ
改定の具体的な内容は、名称の変更と点数の引き上げの2点です。
名称は「時間外対応加算」から「時間外対応体制加算」に変更されます。この変更は加算1~4の全区分に適用されます。
点数は全区分で引き上げられます。加算1は5点から7点(+2点)に、加算2は4点から5点(+1点)に、加算3は3点から4点(+1点)に、加算4は1点から2点(+1点)に、それぞれ増点されます。最も引き上げ幅が大きいのは加算1であり、従来の5点から7点へと2点の増加となります。
算定要件の確認:対象は診療所の再診時
算定要件は、従来の時間外対応加算と基本的に同じ構造です。
この加算の対象医療機関は、診療所に限定されています。厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た診療所が対象となります。
算定のタイミングは、再診を行った場合です。届出区分に応じた点数を所定点数に加算します。したがって、初診時には算定できません。
新旧点数の比較:全区分で1~2点の増点
改定前後の点数を以下に整理します。
| 区分 | 改定前(現行) | 改定後(新) | 増減 |
|:---|:---|:---|:---|
| 加算1 | 5点 | 7点 | +2点 |
| 加算2 | 4点 | 5点 | +1点 |
| 加算3 | 3点 | 4点 | +1点 |
| 加算4 | 1点 | 2点 | +1点 |
加算1の引き上げ幅は2点と最大です。この加算1は最も手厚い体制を整備している場合に算定される区分であり、体制整備への取組をより強く評価する意図がうかがえます。加算4は1点から2点へと倍増しており、比率でみると最も大きな引き上げとなっています。
かかりつけ医機能における時間外対応の位置づけ
時間外対応体制加算は、かかりつけ医機能の評価体系のなかで「体制整備に対する評価」に位置づけられます。
医療法に基づくかかりつけ医機能報告では、「通常の診療時間外の診療」が2号機能のひとつとして定められています。この機能に対応する診療報酬上の評価が、時間外対応体制加算です。同加算のほか、地域包括診療料・加算や小児かかりつけ診療料においても、時間外対応に関する要件が設けられています。
令和5年時点の届出医療機関数をみると、加算1を届け出ている診療所は11,354か所、加算2は15,943か所、加算3は364か所です。加算2の届出が最も多く、多くの診療所がこの区分の体制を整備していることがわかります。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、時間外対応加算の名称が「時間外対応体制加算」に変更され、加算1~4の全区分で点数が引き上げられます。この見直しにより、診療所における休日・夜間の対応体制の整備がさらに推進され、軽症患者の病院受診の減少と病院勤務医の負担軽減につながることが期待されます。届出を行っている診療所は、名称変更に伴う対応の確認をしておくとよいでしょう。
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サマリー
令和8年度診療報酬改定では、「時間外対応加算」が「時間外対応体制加算」に名称変更され、全区分で点数が引き上げられます。これは、軽症患者の大病院救急外来への集中を緩和し、地域診療所が時間外対応の「防波堤」となることで、大病院勤務医の負担軽減を図ることを目的としています。患者が支払う少額の加算は地域医療のセーフティーネット構築に貢献しますが、防波堤となる地域診療所自身の疲弊という構造的な問題も提起されています。
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