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2026-01-20 05:10

患者申出療養の令和7年度実績|技術数5種類・総額1.7億円に縮小

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中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第641回)において、患者申出療養の令和7年度実績報告が公表されました。本報告は、患者が自ら治療を希望し申し出ることで保険外の先進的医療を受けられる「患者申出療養制度」の運用状況を示すものです。令和7年度の実績を分析することで、同制度の現状と課題が明らかになります。

令和7年度(令和6年7月1日〜令和7年6月30日)の患者申出療養は、技術数5種類、実施医療機関数13施設、全患者数182人、総金額約1.7億円でした。前年度と比較すると、技術数は7種類から5種類に減少し、全患者数も287人から182人へと大幅に減少しています。この結果から、同制度の規模が縮小傾向にあることがわかります。

令和7年度の実績概要

令和7年度の患者申出療養は、5種類の技術が13施設で実施され、総金額は約1.7億円でした。このうち保険診療分(保険外併用療養費)が約1.0億円、患者が負担する患者申出療養費用が約0.7億円を占めています。患者申出療養費用の割合は40.7%であり、患者の自己負担が全体の約4割に達しています。

実施件数の内訳を見ると、マルチプレックス遺伝子パネル検査による分子標的治療が151件と全体の83%を占めています。この技術は国立がん研究センター中央病院を中心に12の医療機関で実施されており、患者申出療養の中核を担っています。1件あたりの患者申出療養費用は約27.5万円です。

その他の4技術は、タゼメトスタット経口投与療法が1件、経皮的胸部悪性腫瘍凍結融解壊死療法が8件、ペミガチニブ経口投与療法が1件、遺伝子パネル検査結果等に基づく分子標的治療が21件でした。これら5技術はすべてがん領域の治療法であり、患者申出療養はがん治療に特化した制度運用となっています。

技術数の変動状況

令和7年度は、技術数が7種類から5種類に減少しました。この減少は、2種類の技術が実施取り下げとなったことによるものです。新規承認技術、保険収載技術、削除技術はいずれもありませんでした。

実施取り下げとは、医療機関側の判断により患者申出療養としての実施を中止することを指します。取り下げの理由としては、症例登録の完了や、他の治療法の普及などが考えられます。一方で、新規承認がなかったことは、患者からの新たな申出が実を結ばなかったことを示しています。

保険収載技術がなかったことも注目すべき点です。患者申出療養制度の目的のひとつは、将来の保険適用に向けたエビデンスの蓄積です。保険収載に至る技術がなかったことは、制度の出口戦略に課題があることを示唆しています。

過去5年間の推移分析

過去5年間の実績を見ると、患者申出療養は縮小傾向にあります。技術数は令和3年度の8種類から令和5年度に10種類まで増加した後、令和6年度に7種類、令和7年度に5種類と減少しました。

実施医療機関数も同様の傾向を示しています。令和3年度から令和5年度までは23〜24施設で推移していましたが、令和6年度以降は13施設に半減しています。この急激な減少は、特定の技術が終了したことや、協力医療機関の撤退などが影響していると考えられます。

全患者数と総金額も減少傾向にあります。全患者数は令和5年度の312人をピークに、令和7年度は182人まで減少しました。総金額も令和4年度の約2.6億円から令和7年度は約1.7億円に減少しています。患者申出療養費用の割合は40.7%〜52.5%で推移しており、患者負担の割合に大きな変化はありません。

実施中の5技術の詳細

現在実施中の5技術は、いずれも悪性腫瘍(がん)を対象としています。最も実施件数が多いマルチプレックス遺伝子パネル検査による分子標的治療は、根治切除が不可能な進行固形がんを対象とし、令和元年10月から実施されています。終了予定日は令和12年8月31日であり、長期にわたる臨床研究が計画されています。

タゼメトスタット経口投与療法は悪性固形腫瘍を対象とし、令和5年2月から国立がん研究センター中央病院で実施されています。経皮的胸部悪性腫瘍凍結融解壊死療法は肺や縦隔、胸膜の悪性腫瘍を対象とし、慶應義塾大学病院が臨床研究中核病院として実施しています。

ペミガチニブ経口投与療法は進行固形がんを対象に名古屋大学医学部附属病院で実施されています。遺伝子パネル検査結果等に基づく分子標的治療は悪性腫瘍全般を対象とし、国立がん研究センター中央病院を中心に4機関で21件実施されました。これら5技術の終了予定日は令和10年〜12年に設定されています。

まとめ

令和7年度の患者申出療養は、技術数5種類、全患者数182人、総金額約1.7億円と、前年度から縮小しました。実施取り下げにより2技術が減少し、新規承認や保険収載はありませんでした。実施中の5技術はすべてがん領域であり、特にマルチプレックス遺伝子パネル検査による分子標的治療が全体の8割以上を占めています。過去5年間の推移を見ると、技術数・施設数・患者数のいずれも減少傾向にあり、制度の活性化に向けた取り組みが求められています。



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サマリー

令和7年度の患者申出療養の実績が縮小しており、特にがん治療に偏りが生じていることが明らかになっています。この制度の本来の目的が達成されていない現状について議論が行われています。

患者申出療養の現状
さて今回は、患者申出療養に関する令和7年度の実績報告書を一緒に深く見ていきたいと思います。
はい。
この制度、名前だけ聞くとちょっと難しそうに聞こえますけど。
ええ、そうですよね。
でもこれ、例えば自分とか家族がですね、まだ保険が効かない最新の治療を受けたいって思った時の、いわば最後の頼みの綱になるかもしれない、すごく大事な仕組みなんですよね。
そのとおりです。
この報告書、ぱっと見は数字の羅列なんですけど、読み解いていくと、あるべき姿を見失った制度の物語みたいなものが見えてくる。
今日はそのあたりの謎に迫っていきましょう。
はい。
それで早速なんですけど、まず驚いたのが、制度の規模自体が小さくなってる点です。
え、ちょっと待ってください、これ。前の年から患者さんの数が100人以上も減ってますよね。
そうなんです。
287人が182人に。
これってもう、縮小傾向とかじゃなくて、制度として何か根本的な問題が起きてる際なんじゃないかなって。
一体何が起きてるんでしょう。
ええ。まさにその数字が全てを物語っています。
実施された技術もですね、前の年度の7種類から5種類に減っていますし。
ああ、技術も減ってる。
はい。で、更にここからが興味深いんですが、その5種類の技術のうち、たった一つの技術がですね、全体の患者さんの83%を占めているんですよ。
83%ですか。
ええ。
たった一つの技術に。それはすごい偏りですね。
そうなんです。その技術っていうのが、マルチプレックス遺伝子パネル検査による分子標的治療というもので。
なるほど。
簡単に言うと、患者さんのがんの遺伝子を丸ごと調べて、その人に一番効きそうな薬、いわゆる分子標的薬を見つけ出すという最先端の治療法ですね。
ということは、この制度を使っているほとんどの人が特定のがん治療を受けているってことですね。
そういうことになります。
でもなんでこんなに極端な偏りが生まれてしまったんですかね。他の分野の画期的な治療法は、この制度から見向きもされてないみたいなことなんでしょうか。
制度の課題と未来
まさにそこが一つ目の大きなポイントです。今動いている5つの技術は、全部がん領域のものなんですね。
ああ、全部。
はい。もちろん見方を変えれば、最先端のがん治療にリソースを集中できているっていうポジティブな捉え方もできなくはないですけど。
確かに。無理に手を広げるよりは得意分野に特化した方が効率的だみたいな考え方もありますもんね。
ええ、それも一つの考え方です。ただ、報告書の別のデータを見ると、もっと根深い問題が見えてくるんですよ。
ほう。
実は、令和7年度、この制度から卒業して、正式に保険適用になった技術が一つもなかったんです。
え?
それどころか、新しく入ってきた技術もゼロ。
え?ってことは、入口からも誰も入ってこなくて、出口から誰も出ていかない?
と、その通りです。この制度の本来の目的って、新しい治療法のお試し機関としてデータを集めて、将来、保険適用になるための道筋をつけることなんですね。
はいはい。
いわば革新的な医療の不可期、インキュベートみたいな役割です。でも現状は、新しい卵も入ってこなければ、育ったヒナも育っていかない。
なるほど。
高速道路の入り口も出口も閉鎖されている、みたいな状態なんです。
わあ、高速道路の閉鎖。それは衝撃的な例えですね。その出口が機能してないっていう問題の他に、例えば、そもそもこの入り口側、つまり制度を使うための手続きが複雑すぎるとか。
ああ、それも大きいですね。
あとは、患者さんの自己負担額とか。報告書だと自己負担が4割ってありますけど、これかなり大きいですよね。
はい、非常に重要なご指摘です。報告書の数字はあくまで結果ですけど、その背景には間違いなく入り口の高さがあります。
やっぱり。
総費用の約1.7億円のうち、4割が自己負担っていうのは、誰でも簡単に出せる金額ではないですし、それに加えて申請プロセスの複雑さも以前から言われてます。
うーん。
つまり、入り口は狭くて高くて、やっと入っても出口が詰まっている。これが制度全体が縮小している根本的な原因だと考えられますね。
なるほど。じゃあ、この報告書が突きつけてるのって、未来の医療への架け橋になるはずだった制度が、今や特定のがん治療専門の細い道になってて、しかもその先が行き止まりかもしれないっていうそういう厳しい現実なんですね。
そういうことになります。この状況を踏まえて、最後にあなたにも考えてみてほしい問いがあるんです。
この制度がもう一度革新的な医療の深きとしての役割を果たすには、何が必要なのか。
入り口を広げて、もっと多くの治療法とか患者さんが参加しやすくするべきなのか。
それともまず出口、つまり保険適用へのルートをしっかり整備して流れを作ることが先なのか。
これって、僕らの未来の医療の形を考える上でめちゃくちゃ大事な問いかけだと思うんですよね。
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