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あの、白ワインは白ブドウから作られる。 もしあなたが今そう信じているなら、あのワインの面白さの半分を見逃しているかもしれないんですよね。
そうですね。実はそれ、半分正解で半分間違いというか。 はい。今回のディープダイブでは、ソムリエ監修の専門記事とか、東京農業大学の色彩に関する研究データ、
さらには、クリニックの健康ブログまで、様々な資料から抽出したワインの真実を徹底的に掘り下げていきます。
多角的な視点から見ていくと、すごく面白いことがわかりますよね。 そうなんです。この分析のミッションは、なんていうか難解なワインリストをあなたが自信を持って読み解ける宝の地図に変えることです。
グラスの選び方から、2000円と5000円のワインの決定的な違いまで。
今日からレストランやワインショップでの体験が、もう劇的に変わるはずです。
早速始めていきましょう。まず、一番根本的なところからお聞きしたいんですが、赤ワインと白ワインの違いって、そもそもブドウの色の違いじゃないって、これはどういうことなんですか?
そうですよね。多くの方が、赤ワインは黒ブドウ、白ワインは白ブドウって思ってるじゃないですか。でも、一番決定的な違いは、花肥。つまり、皮と種をどう扱うかなんです。
皮と種ですか?
はい。白ワインの醸造で一番大事なのは、果汁のみを去って使うっていうことなんですよ。これをプレスって呼ぶんですけど。
なるほど。果汁だけを探る。
はい。皮や種は、流行り段階で完全に取り除いちゃうんです。だから極端な話、皮が真っ黒な黒ブドウを使っても、中の果汁だけを探れば、透き通った白ワインができるんですよ。シャンパーニュなんかがいい例ですね。
ちょっと待ってください。黒ブドウから白ワインができるって、なんか不思議な感じがしますけど、スーパーで巨峰を買ってきて皮をツルッと剥くと、中身って赤紫じゃなくて、薄い黄色っこいとしてますよね。
まさにそれです。そのイメージで間違いありません。
へー。あれと同じ原理なんだ。
そうなんです。色素を持っている皮を取り除いちゃうんで、果汁の色がそのままワインの色になるんです。皮から出る渋みも出ませんし。
なるほど。じゃあ赤ワインの方はどうなんですか?
赤ワインは、その黒ブドウを軽くつぶして、果汁だけじゃなくて、皮も種も全部一緒にタンクに入れて発酵させるんです。
全部一緒に?
はい。この漬け込みの工程をマセラシオンって呼ぶんですね。
マセラシオン。えーと、ということは白ワインは果汁100%のフレッシュジュースだとしたら、赤ワインは茶葉を丸ごとお湯に浸して成分を抽出した紅茶みたいな違いってことですか?
おお、すごくわかりやすい例えですね。まさにその通りです。紅茶の茶葉から色と渋みが溶け出すみたいに、皮からアントシアイニンっていう赤い色素が、そして種からタンニンっていう渋み成分が抽出されるんです。
なるほど。あの重厚感はそこから来てるんですね。
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そしてここで東京農業大学の研究資料がすごく面白いんですけど、この色素抽出のメカニズムってものすごく複雑な化学変化が絡んでるんですよ。
ただ色が水に溶け出してるたてじゃないんですか?
違うんですよ。ぶどうの皮に含まれるアントシアイニンには主に5つの種類があって、これらが酸素とものすごく結びつきやすい性質を持ってるんです。
ふむふむ。
発酵から熟成の過程で微量な酸素と触れるたびに重合っていう現象を起こすんですね。
重合ですか?
はい。色素の分子同士がまるで目に見えないマイクロサイズのレゴブロックみたいに不規則にガチャンガチャンと繋がりあって全く別の巨大な分子に変化し続けるんです。
えーと、5周比の色素が勝手にくっつき合って形を変えていくってことですか?
そうなんです。ぶどうの成熟度とかその年の天候、発酵温度のわずかな違いで最初のブロックの数が変わるんですよね。それがボトルの中で何年にもわたってランダムに繋がり続けるわけです。
なんか壮大な話になってきましたね。
なので、いかに優秀なスーパーコンピューターを誓っても、次にどの分子がどう繋がるかを完全に予測することは不可能なんです。
ということは?
つまり、世界に何百万本とワインがあっても、科学レベルで全く同じ赤色を持つボトルは一本たりとも存在しないっていうことなんですよ。
うわー、それはロマンがありますね。でも、ボトルの中で常に科学変化が起きてるってことは、私たちがグラスに注いで飲む瞬間もワインは変化の途中なんですよね。
その通りです。常に生きてるんです。
だとしたら、飲むときの物理的な条件、例えば温度がちょっと違うだけでも感じる味が劇的に変わっちゃいそうですね。
ええ、まさにそこが次の重要なポイントです。レストランで飲むワインが格別においしく感じるのは、雰囲気だけじゃなくて、その科学変化をコントロールする温度とグラスの法則を徹底しているからなんですよ。
温度とグラスですね。まず温度について教えてもらえますか?
はい。ワインの香り成分って気発性なので、空気中に蒸発して初めて鼻に届くんです。温度が高いほど気発が活発になって、香りが爆発的に広がります。
いいことばかりに聞こえますけど。
でも同時に、あのアルコールのツンとした刺激も出やすくなっちゃうんですよね。逆に低い温度だとフレッシュさが際立ちますが、冷やしすぎると香りが閉じてしまいます。
なるほど。冷やしすぎると香りが立たないし、温かいとアルコール臭くなる。資料には赤は12度から20度、白は8度から16度が適温って書いてありますけど、家で温度計なんてさしてられないじゃないですか。
ええ、そうですよね。なので、すごく実践的な簡単なルールがあります。
ぜひ教えてください。
赤ワインは飲む15分前に冷蔵庫に入れる。白ワインは飲む直前まで冷蔵庫に入れておいて、氷水を入れたクーラー、アイスバケツですね、それに10分間つける。これだけです。
へえ、それだけで理想の温度帯になるんですか。
はい。だいたいちょうど良くなります。ただし、ワインは急激な温度変化にすごく弱いので、早く冷やしたいからって冷凍庫に入れたり、温めようとして湯煎したりするのだけは絶対に避けてください。
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ああ、冷凍庫はやりがちですけどNGなんですね。15分前に冷蔵庫に入れるだけなら、今日からすぐできますね。
そうなんです。そしてもう一つの条件がグラスです。
白ワイン用は小さくて赤ワイン用は大きいっていうあれですよね。それも化学変化と関係あるんですか。
大ありです。ワインが空気に触れる呼吸空間の広さを調整してるんです。
赤ワイン用のグラスが大きいのは酸素をたっぷり取り込むためなんですよ。
さっき言った色素とか単人のレゴブロックを変化させるためですか。
まさにそれです。酸素に触れることで角が取れてしばみがまろやかになるんです。
大きなグラスで空気に触れさせて口に含んだ瞬間に絶全体にふわっと広がるように流し込むことで重厚感を心地よく感じられるように設計されてるんです。
なるほど。じゃあ逆に白ワインは果汁だけをさくってるから単人をまろやかにする必要がない。だから空間も小さくていいってことですか。
その通りです。白ワインの命はフレッシュな酸味と果実味ですからね。
酸素との接触を最小限にして冷たい液体が舌の中心をスッと一直線に走り抜けるように小さなグラスになってるんです。
ということはもし白ワインをあの大きな赤ワイン用グラスに注いじゃうと。
空間が広すぎて繊細な香りが鼻に届く前に飛んでしまってただ酸っぱいだけの液体に感じてしまう可能性がありますね。
グラスを間違えるだけで高いワインも台無しになっちゃうんです。
それはもったいない。グラスの形って飾りじゃなくてちゃんとした物理法則だったんですね。
ちなみに注ぎ方にもマナーがあるって資料にありましたよね。ボトルの持ち方とか。
ええ、スマートに注ぐための実践的なコツですね。
撫で方のボトル、つまりブルゴーニュ型は重心が低いので底の方を持つと安定します。
逆に怒り方のボルドー型は真ん中あたりを持つと重さを感じずにスムーズに注げるんですよ。
なるほど。温度とかグラスがワインのポテンシャルを引き出すツールだってことがよくわかりました。
で、ここからがすごく気になるポイントなんですけど。
はい、なんでしょう。
私たちがその複雑さをお金で買っているんだとしたら、
スーパーで2000円のワインを買うときと5000円のワインを買うときで味わいにどれくらいの差が出るんですか?
ああ、それはワインを理解するのにすごくいい質問ですね。
例えばソービニョンブランやシャルドネなんかで飲み比べるとよくわかるんですが、
まず2000円前後のワインは一つの香りの要素が突出しているっていう特徴があります。
一つだけが目立つんですか?
ええ、例えばソービニョンブランなら借りたての芝生とかパッションフルーツみたいな華やかな香りが全開になります。
初心者の方が品種の個性をつかむのには最適なんですけど、香りが単調でちょっとドギツイって感じる人もいるかもしれません。
あの音楽に例えるとわかりやすいかもしれないですね。
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2000円のワインってサビがキャッチーで誰でも乗れるポップスとかアコースティックギターの弾き語りみたいな感じですか?
メロディーがはっきりしてるっていう。
ああ素晴らしい例えです。まさにアコースティックギターの弾き語りですね。
じゃあその例えをお借りすると、5000円のワインはいろいろな楽器の音が複雑に絡み合ったオーケストラとかスタジオ録音のトラックに変わるんです。
スタジオ録音、具体的にどんな楽器が足されるんですか?
一番大きいのはタルと時間ですね。5000円大体になるとステンレスのタンクじゃなくてオークタルで発酵や熟成が行われることが多くなります。
はいはい。
タルの微細な穴から極微量の酸素が入り込んでワインを立体的に丸くするんです。
さらに木材からバニリンという成分が溶け出して果実のジューシーさの奥に香ばしいナッツやバニラ、熟成の丸みが重なり合うんですよ。
なるほど。果実のストレートな味にベースやドラムみたいにタルの香りが重なって深みとか多面性が出てくるわけですね。
ええ。2000円台のあざとさが消えて複数の香りが混然一体となります。
じゃあちょっと意地悪な質問しますけど、5000円でそこまで完璧なオーケストラになるなら1万円以上の高級ワインってもっとすごいってことですよね。
実はそこが初心者が一番陥りやすい罠なんですよ。
え、罠ですか?
はい。1万円を超えるような高級ワインって逆にお店で買ってすぐ開けても美味しく飲めないことが多いんです。
どういうことですか?
何十年という長期熟成に耐えられるように作られているので、開けたては香りが完全に閉じてしまっている。還元的っていう状態になっていることが多いんです。
還元的。酸素が借りてない状態ですね。
ええ。それを開かせるにはプロの技術でデキャンタージュしたり、飲み頃まで何年も寝かせたりしないといけないので、初心者には扱いが難しいケースもあるんです。
ああ、高いから今の自分にとって美味しいとは限らないんですね。
そうなんです。だからまずは品種の個性が分かる2,000円下、複雑さが楽しめる5,000円へのステップアップを楽しむのが一番おすすめですね。
すごく風に落ちました。じゃああなたが実際にショップに行って失敗せずに美味しいワインを選ぶための基準についても教えてください。種類が多すぎて迷っちゃうと思うんですが。
まず大前提として赤ワインを選ぶとき、初心者は渋み、つまりタンニンが強すぎるものを避けるのが鉄則です。
タンニンが強いって言うと例えば?
代表的なのはカベルネソービニョンですね。素晴らしい品種ですが舌がキュッとしぼむほど渋いので最初は要注意です。
おすすめはピノノワールやガメ、あとは酸とタンニンが滑らかのメルボーあたりですね。
それを見分けるための簡単な香りのヒントってありますか?
あります。赤い果実の香りを探すのがポイントです。ピノノワールなどはイチゴやラズベリーのような明るい香り。
逆にカベルネなどの重いワインはカシスとか黒い果実の香りがします。
なるほど。赤い果実の言葉があれば軽めで飲みやすい、黒い果実なら重めってことですね。
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白ワインはどうですか?
白ワインは柔らかい果実味のシャルドネかスッキリ系のソービニョンブランを選べばまず王道で間違いありません。
料理との合わせ方、いわゆるマリアージはどうすればいいですか?よく肉には赤、魚には白って言いますけど。
それは単純なルールに過ぎなくて、基本は重さを合わせることなんです。
ずっしりした脂肪分の多いお肉やクリームソースには渋みの強い赤ワインを合わせます。
タンニンが脂肪を和らげてくれるんです。
じゃああっさりした白身魚とか鶏肉には?
軽めの灰色ワインですね。ここで資料にあった素晴らしいアプローチなんですが、酸味の強い灰色ワインは料理にレモンを絞る感覚で合わせるんです。
ああ、それすごく実用的だなって思いました。カルパッチョに白ワインが合うのはレモン汁をかけるのと同じ役割を果たしているからなんですね。
その通りです。そして最後に、クリニックの情報を元にした健康への意外なボーナスについてもお晴らししておきましょう。
ワインの健康効果ですね。
はい。赤ワインのポリフェノールやレスベラトロールによるアンチエイジングや安眠効果は有名ですが、これは皮や種を漬け込んだからこそ抽出されるものです。
ということは果汁だけの白ワインには健康効果はないんですか?
いえいえ、白ワインには果肉由来の有機酸やカリウムが豊富に含まれていて、便秘解消やむくみ解消といったデトックス効果が期待できるんです。
へえ、作り方の違いが味だけじゃなくて健康へのアプローチまで変えるんですね。目的によって飲み分けるのも楽しそうです。
本当にワインって奥深いですよね。
はい。今日は赤と白の作り方の違いから始まって温度とグラスの魔法、そして価格による複雑さの変化から選び方まで、ワインの解像度が劇的に上がる情報をあなたに共有できたと思います。
きっと次にお店に行った時にはワインの見方が全く変わっているはずです。
ええ。それでは最後にあなたに一つ面白い試行実験を提案したいと思います。
何でしょうか?
赤ワインは果汁だけ、赤ワインは皮や種も一緒に発酵させるというお話をしましたよね?
はい、しましたね。
でも少しだけ触れておきたいオレンジワインというものがあるんです。
これなんと白ブドウを使って赤ワインと同じように皮や種ごと発酵させたものなんですよ。
白ブドウなのにマセラションをするんですね。
そうなんです。
では色だけ見れば白ワインに近いこのオレンジワインを高級な赤ワインのように20年間じっくり熟成させたら、果たしてそれは白ワインの極みに近づくのでしょうか?
それとも赤ワインのような複雑さを見せるのでしょうか?
それはものすごく興味深いテーマですね。作り方が色という概念をどう超えていくのか。
次にあなたがワインショップでオレンジワインのボトルを見かけたら、ぜひそのボトルの中でどんな微小な化学変化が起きているのか想像してみてください。
それでは今回のディープダイブはこの辺で。