もし、私が禁煙したくて、新しいテクノロジーのタバコに切り替えた人の方が、実は完全にタバコをやめられる確率が低くなるって言ったら、信じますか?
ああ、それはにわかには信じがたいですよね。
ですよね。なんか、通常テクノロジーの進化って、私たちの生活から有害なものを取り除いてくれるクリーンな魔法のように感じますから。
ええ、ガソリン車から電気自動車への移行みたいに、排気ガスが消えて空気がきれいになるような、そういうわかりやすい進歩を期待してしまいます。
そうなんですよ。でも、その煙が消えたっていう視覚的な安心感を、人間の肺の中とか、細胞といった複雑な医学的領域に持ち込んだ途端、話はそんなに単純ではなくなるんです。
はい。目に見えないリスクというのは、非常に厄介ですからね。
というわけで、今回の徹底解説へようこそ。
今日、私たちが深掘りしていくテーマは、紙巻煙草、加熱式煙草、電子煙草の本当の違いと、その裏に隠された科学的真実です。
これを聞いている皆さんが、休憩中であれ、通勤中であれ、一度立ち止まって考えてみてほしい内容になっていますね。
今回の私たちのミッションなんですけど、日本呼吸器学会や日本禁煙学会の公式見解、それから数々の最新の医学研究論文という膨大な資料から、事実だけを抽出することです。
そうですね。企業側が打ち出す洗練されたマーケティングのオノライ文句を一旦剥がして、フラットな視点でメカニズムを解き明かしていきましょう。
よし、じゃあこれについて紐解いていきましょう。まずは、健康への影響を語る前に、そもそも何を吸い込んでいるのか、という根本的な構造の違いを整理したいんですけど。
そこが一番の土台になりますからね。
加熱式煙草と電子煙草って、どちらも煙が出ない新しい煙草として一括りにされがちじゃないですか。
これで例えば、コーヒーでいうところの豆を直接お湯でドリップするのか、それともインスタントの粉を水に溶かすのか、みたいな違いなんでしょうか。
ああ、その例えはすごくわかりやすいですね。ここで非常に興味深いのは、その2つの製品が法的な扱いも含めて、全く異なる構造を持っているという点なんです。
全く異なるんですね。
はい。対比構造として、3つのカテゴリーに分けて整理してみましょう。まずは1つ目、従来の紙巻煙草です。
はい、一番お馴染みのやつですね。
ええ、これはシンプルにタバコバを燃やします。燃焼温度は750度以上の高温に達して、大量の煙と有害物質を発生させます。
つまり直火でコーヒー豆を黒焦げにしているような状態ですね。
まさにそうです。そして2つ目、加熱式タバコ、アイコスなどに代表されるものですね。
はいはい、よく見かけます。
これの最大の特徴は、本物のタバコバを使用しているという点なんです。
ただ、紙巻のように燃やすのではなくて、254度から343度という温度帯、あるいはもっと低温の30度から40度で加熱して、エアロゾルと呼ばれる蒸気を発生させます。
なるほど。豆を焦がさずに本格的なコーヒーメーカーで抽出しているような感じですか?
ええ、そんなイメージです。ただ、タバコ波を使っている以上、ニコチンやタール、そしてタバコ得意的にトロソアミン、いわゆるTSNSと呼ばれる発願性物質が間違いなく含まれています。
うーん、葉っぱを使っている以上、そこは逃れられないと。じゃあ3つ目の電子タバコはどうなんですか?
3つ目の電子タバコ、いわゆるベイプなどはタバコ波を一切使用していません。
プロピレンググリコールや植物性グリセリンに香料などを混ぜたリキッドという液体を内部のコイルで加熱して蒸気を発生させます。
おお、豆を一切使わずお湯にコーヒーの香料だけを混ぜたものみたいな構造ですね。
その通りです。日本の法律上、これは雑貨として扱われるので、個人輸入などを除けば国内の市販品にニコチンやタールは含まれていません。
なるほど、タバコ波を使っているかどうかが体内で引き起こされる化学反応の大きな分かれ道になるんですね。
はい、そこが決定的な違いになります。
その通りです。また、米国では、電子タバコによる重症肺障害、通称イバリーが大きな社会問題になりました。
軌道の上皮細胞が直接損傷を受けることも分かっています。
なんだか数十年前の状況と似ていませんか?
テータルなら安全だって信じられていたものが、数十年経ってからそうじゃなかったって証明された歴史がありますよね。
まさにその歴史の繰り返しです。
加熱式タバコや電子タバコも、長期間使い続けた時の肺へのダメージはまだ誰にも分からない、壮大な人体実験の途中とも言えるんです。
人体実験ですか?
喫煙者本人のリスクはよく分かりました。
じゃあ、ここで少し視点を変えてみたいんですけど。
はい、なんでしょう?
もし、これを聞いている皆さんが非喫煙者で、隣の席の同僚とか家族が加熱式タバコを吸っていたとします。
煙も見えにくいし、匂いも少ないんだから、室内ですと周りに迷惑はかからないよねって言われから、どう反論しますか?
これは全体像と結びつけて考えてみると、見えないリスクの恐ろしさが浮き彫りになりますよ。
と言いますと?
加熱式タバコから発生するのは、目に見える煙ではなく、微小なエアロゾルです。
研究によると、この微小粒子状物質、いわゆるPM2.5は、何と2メートル以上の距離まで届くことが確認されています。
2メートル?大人の手を伸ばしても届かない距離。
あのソーシャルディスタンスくらいまで、有害な粒子がしっかり飛んできているんですね?
そうなんです。
実際に、加熱式などの電子タバコのミストにさらされた、非喫煙者の49.2%、つまりほぼ半数が、
目の痛みや喉の痛み、気分不良といった粘膜刺激症状や体調不良を訴えているというデータがあります。
半数もですか?
匂いがしないから気づかないだけで、実はしっかりと受動喫煙させられているということですよね?
ええ。さらに、パッシブサンプリングという特殊な調査が行われまして、
はい。
これは、家庭内の空気を長期間にわたって特殊なフィルターで吸着して分析する調査なんですが、
喫煙者のいる家庭の空気から、イソシアネートなどの有害物質がはっきりと検出された事実もあるんです。
透明な毒を浴びているようなものですね、それは。
だからこそ、日本呼吸器学会などの医療機関は非常に強い警告を出しています。
どんな警告ですか?
学会が推奨しない医学的根拠として、
加熱式も電子タバコも有害成分を含んだエアロゾルを発生させている以上、
紙巻タバコと全く同じレベルでの二次曝露対策、つまり受動喫煙対策が必須であると明言しているんです。
紙巻と全く同じ対策が必要なんですね。
はい。また、一般的な家電製品のように、
人体への安全性が長期的に未減少のまま市場に出回っていること自体に強い懸念を示しています。
自分の健康もそうですけど、大切な人の健康を守るためにも、
見えないから安全っていう思い込みは捨てないといけないですね。
まったくその通りです。
さて、ここまでの話を聞いて、よし、それなら健康のためとか増税対策の節約のために、
まずは紙巻から加熱式に切り替えて、ゆくゆくは完全に禁煙しようって考える人も多いと思うんですよ。
そういう動機で切り替える方は非常に多いですね。
つまり、これってどういうことなんでしょうか?
新型タバコは禁煙への足掛かりにはならないんですか?冒頭でも少し触れましたけど。
それは非常に重要なポイントですが、データはかなり残酷な現実を示しています。
ソーラクスという権威ある医学誌に掲載された論文のデータを見てみましょう。
はい、教えてください。
専門医の指導科で行われた禁煙治療において、
従来の紙巻タバコ使用者の禁煙成功率が30.9%だったのに対し、
加熱式タバコ使用者の成功率はなんと25.0%と明確に低かったんです。
えーっと、加熱式タバコに切り替えた人の方が禁煙に失敗しやすいんですか?
はい。成功リスク比で言うと0.77。つまり成功する確率が明らかに下がってしまいます。
普通は段階を踏んでるんだから成功しやすくなるはずだと思っちゃうじゃないですか。
どうしてそんなことが起こるんでしょうか?
加熱式だから害が少ないはずだという思い込みが、
皮肉なことに完全にタバコをたとうという強い動機を奪ってしまうんです。
あーなるほど。それってダイエット中にこれはカロリーハーフのクッキーだから大丈夫って言い訳して、
結果的に普通のクッキー以上にバクバク食べてしまうような。
結局いつまで経っても糖質依存から抜け出せないのと同じですね。
まさにその例えの通りです。ニコチン依存という根っこの部分が全く解決していないため、
結果として何が起きているかというと、日本では加熱式タバコ使用者の実に72%が、
飲み会の席やストレスが溜まった時などに紙巻タバコを吸ってしまう。
デュアルユーザー、つまり二重使用に陥っていると報告されています。
うわー、72%も。それは本末転倒ですね。結局ズルズルと両方吸い続けてしまうわけですか?
そういうことになります。
しかも節約の面でも良いことなんてないんじゃないですか。
ええ。タバコ派を使用しているかという構造の違いがダイレクトにコストに跳ね返ります。
加熱式タバコはタバコ派を使っているので、日本の法律上タバコ製品として扱われ、当然タバコ税の対象になります。
やっぱり税金がかかるんですね。
はい。今後も1本当たり3円程度の増税が予定されるなど、ランニングコストの増加は避けられません。
一方の電子タバコはどうですか?
電子タバコはタバコ派を含まないため、雑貨扱いとなり、タバコ税はかかりません。ランニングコストだけ見れば確かに安いです。
なるほど。
しかし先ほど申し上げた通り、重金属や発元性物質の吸引リスク、そして未知の排出管という別の形の重い代償を払うことになります。
どちらを選んでも、企業側のクリーンでスマートな選択というマーケティングとは裏腹に、お財布か健康、あるいはその両方に確実なダメージを与え続ける構造になっているんですね。
ええ。ニコチンという脳のハイジャック犯を追い出さない限り、真の解決には至らないんです。
医学的な事実としてはそういう結論になるわけですね。
はい。