風邪っぴきな2人
田村
コース管理の現場。この番組は、トーナメントコースをはじめ、数々のコースを渡り歩いた元グリーンキーパーの畑さんと、その畑さんを裏から支える私、田村が、コース管理の現場で見えることをいろいろと語る番組です。
畑
はい、よろしくお願いします。
田村
ちょっと2人とも、風邪っぴきですね。
畑
だけど全然、声大丈夫じゃん。
田村
いやー、もうなんか、咳がひどくて。
畑
もっとひどいんかと思った。
田村
あー、そうね。
久しぶりにこんな風邪ひいた。
熱が2日下がらなくて、鼻水、頭痛、頭痛はまだ残ってるんだけど、で、吐き気、お腹ピーピー、フルコンボ。
畑
自分もそうやで。もう、下腹痛いし、腰は痛いし、最悪。
田村
お腹痛くはないんだよな、私。
畑
なんか、今はなんか風邪の症状っぽいんだけど、梅雨時期だから、お皿とかコップとかさ、お箸とか、そういったもんから体に悪い菌が入ったんじゃないかなと思ったり。
田村
畑さん、そういうのはね、影響を受けやすいもんね。
畑
お腹がずーっと痛かって。
多分そういう免疫が下がる時期なんだと思うよ。
田村
いや、私、本当に久しぶりで。
家族がみんなインフルでも私はかかんなかったり。コロナかかった時も熱は上がらなかったし。
畑
強いよね。
田村
強い。
畑
だんだん免疫力が落ちてきてるってことやわ。
田村
やめて。やだ、そういうの。
畑
仕方ないよ。それを受け入れることは大事だよ。
田村
頭痛いのがほんと。
畑
まあ、しゃあない。そういうこともありますよ。これからはどんどん。
田村
そうだね。
畑
増えてきますよ。
田村
ほんとやんなっちゃう。
今日はこんな病人2人でお届けします。
畑
勢いつけていきましょう。
田村
はい。
畑さんでも悩む時期
田村
何か話したいことがあるでしょ?
畑
まあ、この梅雨の真っ只中だから、最近ゴルフ場に行って、キーパーといろいろ話したりする中でね、
ここ3日ほど前ぐらいまで、そんなに湿度も高くなくて、涼しい日が続いてたから、
なんかちょっと思い切った更新作業すっか、みたいな感じで、いろいろ考えてたんよね。
田村
なんか、私的にはさ、6月のこの時期に更新作業ってもう遅いんじゃないかって思うんだけど、どうなの?それは。
畑
常識的に言うと、5月に分げつが盛んな時に、芝生の攻めた作り方をしながらね、思い切った更新作業をしたり、いろんなことができるよね、5月って。
ある程度、痛めつけた芝生でも、自己回復っていうのか、自分で回復する力も持ってるし、
ところがイネ科って、他の植物もそうかもしれないけど、6月、梅雨時期に入って、7月にかけて、
その分げつ期が一応終了して、今度は出穂期っていう方向に入ってくる。
子孫繁栄のためのお米をつけたりね、そちらに今まで蓄えた栄養分を移行していく。
体作りから、そういった子孫繁栄のための種作りとか、そういったものに移行していくっていう時期になってくるから、
やっぱり植物だけ考えても、6月に何か思い切ったことをするっていうのは、本来、体の負担を回復させない時期になってきてるんじゃないかなっていうのが、
その出穂期なのかなと。
人間で言ったら、お腹の中に子供が膨らんできかけてきて、どうやって表現したらいいのかわからないけど、
そちらの方に母体が栄養分を持っていくような時期になってくるから、母体自体が弱っていくっていうのか、
田村
ボロボロだもんね。
畑
僕らはちょっとその辺がわからへんけど、ちょっと例えが悪かったかもしれんけど、
そういった時期に芝生も入っていくから、やっぱり6月は本来、あまり責めたことをやっちゃダメ。
本来あまりっていうか、絶対やるべきじゃない時期に入ると思うよね。
田村
ただでさえ、日光とかがないから、体力も落ちてくるし、そうだよね。
畑
悪い条件が重なっちゃうんよね。だから本来はするべきじゃない。
ところが、梅雨に入ってしばらくって、そんなにジメジメした感じもなんか不思議となくって、
朝夕も涼しい風が吹いて、雨が降っても気持ちいい雨であったりね。
ところがここ2日ほど前から、90%を超えるぐらいの湿度の感じで、
人間の体自体も不快に感じるような状況に、なんかここ2,3日置かれてるんじゃないかなと。
昨日ぐらいまでね、いろいろキーパーと、もうちょっと更新作業をね。
芝生を秋口によくするために、健全に夏を乗り切るためにね、
いろんな穴開けであったり、目綱であったり、いろんなことをしようかって計画をするんだけどね。
ところが、その涼しい時はそういう計画を試みよって、体が感じながら反応していくんだけど、
この2,3日前の高温多湿をもろに体に感じてしまうと、「おいおいちょっと待てよ」と。
「このままあの計画通りにいってしまうと、芝生が弱ってしまうんじゃないか」と。
という考えにこの2日ほどなって、仕事に対する考え方が揺れ動いてる。
ここ1週間。ものすごく頭を使うっていうのか、前年度実績とか、人の意見を聞いたり、その場での揺らぎが出る。
結局、やっぱり植物学的に考えれば、本来しちゃダメなんだと思う。
そういった思い切った更新作業とかね。
けども人間の体に感じるこの感覚っていうのは、そういった涼しい風が吹くだけで、何となくできそうに思えてしまうし。
だから計画自体が揺れ動いてしまう。
田村
そもそもなんでこんな実験にコアリングしようと思ったの?
畑
いや、6月の後半に予定をしてるの。
田村
あーそうなんだ。
畑
で、自分はまず予定をしないんで。
田村
その時期にはね。
畑
その時期には。
「なぜそんな時に予定してるの?」
「いや、いつもこの時期にやってるんです」みたいなことでね。
田村
うんうんうん。
畑
で、自分はその6月の後半っていうのは、そういう出穂期に入るから、絶対ダメだっていう気持ちはあるんだけど。
田村
うん。
畑
揺れ動くつもりはないんだけど、何かこう揺れるんよね。
うん。
揺らされてしまう。
田村
うんうんうん。
畑
うん。「あ、これもやっぱりアリなのかな」と思って。自分の概念にはないから。
田村
うん。
畑
今、体感的には涼しいし。
田村
うん。
畑
あらら、できるのかなって、6月の10日前後に思ってしまうよね。
田村
なんかさ、私とかはさ、慣れてるじゃん。
畑さんがそうやって揺れ動いて、で、前日これやるって決めてたことを、当日になってやっぱりやらないとか言ったりするのって慣れてる。
畑
うんうんうん。
田村
みんなさ、それは芝生のためを考えてやってることだっていうのはわかってるから、
畑
うん。
田村
あちゃー!みたいなのは思うけど、
畑
うん。
田村
でもなんか、みんな普通になんか、はいはいっていう感じで聞いてたけどさ、
畑
うん。
田村
初めて畑さんと触れ合った人、それやられてどんな感じだったの?
畑
やっぱり、鳩に豆鉄砲じゃないけど、「えー!?」みたいな。
田村
「マジかよー!」みたいにね。
畑
そうそうそうそう。
昨日のね、帰るまでは「やる」って言ってて、準備までしてね。
朝みんなで顔合わせて朝礼あったら、「やっぱやめる」って言ってね。
まあひどい時には現場まで行って「やめる」って言って、決めたこともあったしね。
結構ね、自分はこういう時、揺れ動くのよ。
田村
ね、それでもわかってないと、みんなちょっと「なんだよ」ってなっちゃいそうな気がする。
畑
なかなか説明できないけども、自分が揺れ動いてることは伝える。
田村
ちゃんと説明してあげないと。
畑
その時だけじゃなくって、前段階も、なんで揺れ動いてたかっていうのも伝える。
田村
ああ、そうだね。うん。
畑
そりゃそうじゃないとさ、みんな準備してさ、人の段取りまでして、
で、その時にさ、「やーめた」って言われたら、
あれだけ勢いよく、「これはこうで、こうで」って前段階説明されてさ、
田村
そうだよね。
畑
で、「やーめた」って言われたら、「おいおい」みたいな感じだもんな。
悩むことの大切さ
けども、それがメンテナンスって自然を扱う人って、俺はものすごく重要だと思ってんの。
やっぱり人間だから、物言わぬ植物と対話してるんだから、
なかなか難しいよね、それって。
田村
そうだね。
畑
だから、不安になって当然だと思うのよ。
この不安要素を持たないとダメだと思う。
田村
私なんか結構、計画立てるとその通りやっちゃいたくなっちゃうタイプだからさ、
畑
あ、よくないな。
田村
キーパーには向かないと思う。
「あー」とか思っても「まあ、でも決めたし」みたいになっちゃうから。
畑
サブキーパー感覚かもしれない。
田村
ね、そのぐらいがいいかもしれない。
畑
だから、俺みたいに結構気持ちが揺れ動く人と、
いや、決めたからこうやりましょうっていう人と、
2人が揃うとうまくいくかもしれない。
だからさ、やっぱり自分もただ単に揺れ動いてるだけではなくって、
昔の経験で決めたことをやりすぎて大失敗してるケースもあるし、
田村
そうだね。
畑
そう、揺れ動いてしまって逆のマイナスの方向に行ってしまった経験もあるし、
いろいろあるから、
だからそれはまあ、経験が交差してるんやろうなと思いながら。
田村
そうだね。
ちゃんと周りの人もどうしてそういう決断をしたのかっていうのがわかってればさ、
納得してくれるのかなと思う。
暑い時期の更新作業
畑
だから自分の頭の中では、今回やったケースを一つ言えばね、
6月の一番最終週に穴あけエアレーションって言われるコアを抜く作業をすることはまずありえない。
田村
でも毎年それでやってるんでしょ?
畑
って聞くんだけど、
だから俺はありえないと思ってるから、
けども方や「毎年やってるからそこでやります」と。
田村
夏越しちゃんとできてたの?
畑
いや、それがね、できてないね。
田村
枯れちゃったりとか?
畑
枯れちゃったり弱らしたりしてるの。
田村
じゃあやめたほうがいいね、やっぱりね。
畑
それはその時期に更新作業をやったからそうなったかどうかはわからないけど、
田村
でも弱り目にたたり目じゃん。
畑
ところがそこで私が迷ってしまった。
迷ってしまったっていうのか、
畑
逆にそれはありなのかって思ってしまった自分がいた。
田村
やったことあるの?
畑
ない。
8月1日にはやったことあるけど、
田村
なんで?
畑
なんで?みたいな感じがあるけど。
田村
冷夏だったの?
畑
うん、そんなことないよ。
暑い、暑い時にやったことがあった。
田村
なんでやろうと思った?
畑
なんかそれはね、なんかあったの。
なんかいろんな話聞いててあったの。
田村
いろいろあったの?
畑
もうそれ以外やってないけど。
田村
え、枯れたでしょ?
畑
いや、大丈夫やった。
田村
大丈夫だったの?
畑
それね、変に成功体験なの、それは。
田村
危険。
畑
いや、けどそんなもんさ、何十年も前の話で。
そういう時もあんのよ、なんか。
やれるなって感じてしまう時もあんのよ。
それやるかどうかは別として。
田村
まあ、博打だよね。
畑
自分は博打に思ってなかった。
だからまずいんだけど。
だから今回のケースなんかは、
結局ね、中止した。
今、2コースでそういう事例があって、
並行して同じような話を聞いたとしてて、
その2コースとも中止にした。
田村
2つとも中止にしたんだ。
畑
中止にした。
畑から学んでほしい事
畑
ただ、デモを昨日やった。
支配人も来てもらって、「実はこういう方向でやろうと思ってる」と。
最初は12ミリとか8ミリとかっていう、キーパーは計画をしてたけども、
私はちょっと危険が伴うっていうことで、4ミリのコアリングに変更してやろうと思いますと。
一度この仕上がり具合を見てくださいって言って、
パッティンググリーンで2、3筋だけ、隅の方を実際にやってみて、支配人にそこでプレゼンした。
やっぱり支配人あたりも半信半疑で、
昨日はやっぱり誰しもそうなんよね。
ものすごい湿度が高くて暑かったの。
私だけではなくて、みんなが「大丈夫か」っていう目線で見てた。
「この不快な感じは、芝生にとって絶対良くないから、やめませんか」と。
「そうですよね、畑さん。私もそう思います。」ということで、全員が一致してやめることにした。
やっぱりそこまでは、納得するまで会話をするべきだと思う。
自分だけの意思で考えるんではなくて、
プロなんだから考えればいいと思うんだけど、
やっぱり自分と違う考えの意見も、
こういう時期ってリスクがあるんだっていう大前提で、意見を求めることが大事。
柔軟な姿勢で意見を求めることが、失敗につながらないし、大事だと思う。
田村
去年の6月後半にやってた時っていうのは、
支配人が何か言うっていう隙間がなかったのかな。
もうやりますみたいな。
畑
問いかけもやりますも言ってないから、
問いかけもないんだろうと、やっちゃってるみたいな。
田村
なるほど。
畑
それが結果が良かったらよしだけど、
その感じなんだろうね。
田村
なるほどね。
畑
流れでやっちゃってる。
それは何でかって言ったら、
コアリングがこの時期にいいんだじゃなくて、
コアリングが本来は6月の上旬に予定してたのが、
遅れてくると雨とか色んな作業の流れで。
結局6月の後半に来ちゃったと。
ですけども、コアリングを予定してたからやるんだっていう考え方。
だからその良いも悪いもリスクも何も、そういうことはないのよ。
頭の中には。
田村
危険だな。
畑
だから怖いよね。
結果が良ければよし。
不思議の価値みたいなことになっちゃうよね。
例えば枯れたらさ、そりゃそうでしょと。
そんな時にやったら枯れるでしょみたいな。
周りからしたらね。
原因が分かってる。
けども本人はそういったつもりもなくて、ただコアリングをするっていうだけの。
田村
しないと芝に良くないからっていうね。
畑
だから何かこう、起こるよね。
絶対起こる。
やっぱりそういうことを、
私が携わってるとこ、こうやってアドバイスしてるとこなんかは、
こういうのを覚えてくれたらいいんじゃないかなって思うよね。
田村
そうだね。
畑
これって自分が経験しないとなかなかできないことだし、
経験してたからっていってできるものでもないとは思うよね。
田村
今まで芝生をさ、それなりにメンテナンスしてきたから、改めて学ぼうって思わないかもしれないけど、
コアリングを、6月の後半の梅雨の真ん中にやるっていうのは、自殺行為みたいな感じに思うんだけどさ、
そういう基礎的な知識を、本当はもう一回勉強するといいのかもしれないね。
畑
そやな。
ただね、その基礎的なものを持ってる。
例えば私は持ってるつもりはいるんだけど、
けどもある意味流されかける私もいるのよ。
田村
そうだね。恐ろしいね。
畑
そこが難しいとこやろ。
けども頭の中では、基礎的な出穂期に入って、
この時期ってリスクしかないよっていうのが、
なんとなくここにあるから自制心が働くのかもしれない。
そう考えると最低限の基礎的な知識を持っておくっていうことは、大事なんだと思う。
田村
そうだよね。
6月の後半にやったらダメっていうのがなければ、
もう止めるものが何もないもんね。
畑
ほんでさ、さっきの話じゃないけど、
6月の後半にやって成功体験になってしまうと、
それはよしになるからね。
田村
そうだね。
畑
そうなると私も勉強よ。
田村
そうだね。
畑
なんでそれがいいんだって、
まあ今回もそうだけど、
やっぱりありなんかなって思えてしまう。
その思ってる時期がどういう時期なのかよね。
今回は自分はそう思ったのが、
体感的にものすごく心地いい梅雨時期に感じてしまったから、
ちょっとフラッとした。
けども高温多湿のものに感じる時に感じることっていうのは、
そういうことは感じないから。
絶対自制心が働くから。
田村
そうだね。
エピソードのまとめ
田村
このエピソードをまとめると何を一番伝えたかったの?
畑
やっぱり自分みたいなそういう経験者で知識を持ってる人と、
仕事がやる機会がある人があるんであれば、
その人はそれをちゃんと吸収して、やはりそういう機会にしっかり勉強してほしい。
っていうのが一つあるね。
それとそういった機会のない人に関しては、
やっぱり最低限、その基礎的な植物学っていうことの勉強をしといてほしい。
田村
そうだね。
畑
こういう季節の狭間っていうのか、
特に夏にかけての植物の育て方。
植物の仕事をしている以上は、
こういう機会にしっかり勉強してほしいなって。
あとは経験をして、
私みたいに気持ちが揺れ動きながら、
頭の中で再確認していく作業を毎年やってほしい。
田村
計画に縛られすぎないことだね。
畑
そういうこと。
そうするといいものが作れるんじゃないかなと思う。
田村
わかりました。
終わりにします。
畑
ありがとうございました。
いつものお知らせ
田村
今日の話は、畑さんの経験をもとに話をしています。
芝生化学的に異なる解釈もあるかもしれませんが、一つの視点として楽しんでいただければ幸いです。
感想や質問は、Xかインスタグラムで、「#コース管理の現場」をつけて投稿していただくか、
田村
概要欄にあるお問い合わせフォームからもお送りいただけます。
フォローやレビューもお待ちしております。
畑
ありがとうございました。
田村
ではまた次回。
畑
また。