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2024-12-05 09:50

heldio #138. an angel of a gir「天使のような少女」

#英語史 #英語学習 #英語教育 #所有格 #前置詞
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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、an angel of a girl
天使のような少女
という話題です。
このan angel of a girlですね。
これそのまま、このofを後ろから訳すとですね。
ある少女のある天使という表現に過ぎないんですが、
これがどういうわけかですね。
天使のような少女という意味になるっていうんですね。
an angel of a girlという風に、両方とも不定関詞、あ、あんがついてるという、これだけでも妙な感じはしますが、
それ以上に意味がですね。
あたかも前から訳していった方がいいような、この天使のような少女という風に、こう訳すわけですよね。
類例としては、例えばthis jewel of an island
この宝石のような島というんですね。
this jewel of an island
これで、この宝石のような島という意味になるっていうんですね。
これ一体どういうわけか。
この問題を考えるにあたって、まずこうした表現で使われている前置のofですね。
これがどういう用法、どういう意味で使われているんだろうということなんですね。
これは広い意味で、同格、oppositionの用法だと思うんですね。
同格と言いますと、だいたいですね、何々というという風に訳して、
例えばthe city of Rome
ローマの町ですね。
ローマという町ってことですね。
それからthe news of the team's victory
チーム勝利の知らせですね。
チーム勝利という知らせということですね。
それからhis habit of smoking
なんていう時には、彼の喫煙習慣、喫煙という習慣ですね。
つまり、何々というポニャララという形でですね、使うのが
だいたい同格のofの使い道だと思うんですけれども
これのアシュと言いますか、もう一つの用例と言っていいんじゃないかというのが
an angel of a girlなわけですね。
つまりこれ、ある少女というある天使というような
いわば陰雄ですかね。
少女なんだけれども、イコール天使でもあるというような言い方です。
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つまり陰雄ですが、意味としては直雄っぽくなると。
つまり天使のような少女というふうに、前から訳していたほうがいいようなですね。
そんな意味になるということです。
英語史的に見ますと、この表現はですね、実はそこそこ古いらしいんですね。
オークスフォードイングリッシュディクショナリーによりますと、
ofの用法としてですね、語義23にこの用法が載っているんですね。
それによりますと、中英語記、それも中英語記の早い時期から
1200年ぐらいからの用例があるということなんですね。
この初期の例に関しては、解釈、読み方の問題もあるかもしれませんが、
少なくとも明らかに、この古文ですね、現代のAn Angel of a Girlに
繋がる使い方だろうと言えるものは、遅く見てもですね、
15世紀半ばくらいからは確実な例が上がってきています。
いずれにせよですね、中英語記、このぐらいの時期からあるという音なんですね。
例えばですね、早い例としては、
A Fair Body of a Womanという表現があるんですね。
A Fair Body of a Womanです。
文字通りは、ある女性というある美しい体、美しい姿ということなんですが、
もちろんこの言い方で、美しい姿の女性、美しい体であるような女性という意味ですよね。
このように、もともとは陰影的な表現、終始的な効果を狙った表現としてスタートしたんだと思うんですね。
ところが、こういう表現が使われるうちにですね、
例えば、An Angel of a Girlで言えば、
Angel of a の部分が、あたかもこれが一つのセットとしてですね、
Angelic のような、あるいは Angel-like のような、一つの形容詞として機能するようになった。
つまり、An Angel of a Girlというのは、意味的にはですね、
An Angelic Girl、天使のような少女というふうに解釈される、再分析されて解釈されるようになったということらしいんですね。
この再分析の解釈に従って、改めていくつかの表現をですね、考えてみますと、
The Fool of a Policemanなんていうのもありますね。
これは、愚かな警察官っていうことですよね。
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つまり、言ってみれば、The Foolish Policemanという言い方です。
この The Fool of a Policeman ですが、
Fool of a の部分が、ある意味 Foolish とか Fool-like のような表現になるっていうことですね、相当するっていうことです。
そして、This Jewel of an Island と冒頭にも挙げたものですが、
これなどは、This Jewel-like Island に相当するっていうことですね。
つまり、Jewel of a の部分が、全体として Jewel-like という形容詞に相当すると。
そんなふうに分析することができるわけですね。
このように、この of の前に来るものですね。
その of 自身と、その次に来る監視のようなものですね。
これがセットになって、一つの形容詞のように働くというのは、実は例はたくさんあって、
最も必見なところでは、a lot of っていうのがありますね。
a lot of people っていうのは、これはもともとの意味は、人々の多分、人塊ということなんですが、
実際的には多くのっていうことです。つまり、many でズバッと言い換えられるようなものですよね。
つまり、a lot of 全体で many に相当するというようなことです。
ただ、この a lot of people の例なんかは、完全に a lot of の部分が many と言い換えて、
差し支えないという感覚に完全になっていますが、
an angel of a girl の場合は、完全にこれが an angelic girl と、
全く同じかというと、そうではなくて、やはり妙な表現、妙な古文だということで、
レトリカルな、修辞的な雰囲気が持っていますよね。
やはり普通の表現ではなくて、ちょっと凝った表現だという感覚がある。
ある意味では、もともとの古文と言いますか、もともとの同格の意味みたいなものが、
修辞的な匂いをぷんぷん発しながら、今でも生き残っているっていうことかと思うんですね。
もともとは、同格の予報だった。
つまり、ある少女というある天使という、いわば陰雄だったわけですね。
それが使われるうちに、解釈上の意味としては、直由っぽくなると。
angelic girl のような、形容詞で表現した方が良いような、あるいは angel-like girl のようなですね。
このような言い方ですと、angel-like に近いわけですから、直由ってことになります。
こう考えてみますと、改めて面白い、そして奇妙な古文ということがわかります。
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形状はあくまでも、今でも同格っぽいふりをしている。
すなわち陰雄を意味している、かのような錯覚を与えると。
でありながら、実際上の意味は直由である。
そして、形容詞修飾風でもあるという、さまざまな意味・用法・構文がミックスしたような形になって、
それがいかにも修辞的、普通の文体ではない、というような特殊な効果を生み出している。
そんな古文だと思うんですね。
なかなか自分で使う機会というのはないかもしれませんが、
このように英語詞の観点から紐解いてみると、1回か2回使ってみたくなってきませんでしょうか。
それではまた。
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