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おはようございます。英語の歴史を研究しています慶応義塾大学の堀田隆一です。このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、drunken driver-en付き過去分詞形容詞、という話題です。
今回の話題は、前々回と前回、2021年12月3日と4日に放送した過去分詞ED、これをEDと発音する過去分詞の形容詞があるという話を2回にわたってしてきたんですが、これと密接に関わる問題です。
前回の内容のおさらいをしておきますと、EDというEDをEDと音節として発音する過去分詞形容詞というのがあります。例えば、aged, beloved, crooked, dogged, jagged, learned, naked, ragged, wicked, wretched などを挙げましたけれども、
これはなぜ、一音節でしっかりEDというのが発音されるのか。歴史的に見ると、もともとEDはすべてEDと発音されていたわけです。過去形や過去分詞形のEDですね。
ですが、大部分の環境では、これがEDのエ、母音部分が落ちてしまって、ドゥだけになってしまった。ところが、今挙げた語ですね。限られた語においては、EDという発音が保たれたということなんですね。
なので、ドゥにエが挿入されたというわけではなくて、もともとEDだったものが他とは違って、少数の例においては保たれたというのが歴史的な説明なわけですが、ではなぜ保たれたかということですね。なぜこれが例外的に少数の単語においては、このEDという音節がしっかりと保たれたのかということなんですが、ここにはリズムという問題が関わってくる。
英語は基本的に弱響、弱響、弱響、このようなアクセント、パターンがですね、続くというのが一番英語にとって心地よいリズムなんだということで、先に挙げたようなEDの語尾を持つ過去分詞形容詞ですね。これは普通、限定用法で使われるんですね。ということは、次に名詞が来ることが多いと。
そうすると名詞の頭っていうのは大抵強い音節ですので、例えば、aged auntですね。高齢のおばさんっていうときに、aged auntというふうに、強弱強になりますね。
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大抵、その前にですね、myみたいな弱い単語がつくんで、my aged auntみたいに、きれいに揃うことが多いってことです。必ずしもそうではありませんが、このようにきれいに弱響が連続して現れる、そういうパターンに乗ることが多いってことなんですね。
他に例を挙げてみますと、
Their beloved Ireland. A crooked nose. The jagged edges. A learned journal. A naked body. A ragged jacket. A wicked witch. The wretched animal.
のような例ですね。うまくこのパターンに乗っかるものを選んでですね、今発音したというようなこともありますが、やはり確率的にはですね、このedをこのような限定用法の形容詞ですね、過去分詞形容詞の場合に、edをちゃんと音節として読むとですね、しかも弱音節で、こう読むと弱響、弱響の流れに乗っかりやすいってことは確かなんですね。
で、このパターンに乗っかるからこそ、edは保持されたと。そうでなければ、おそらく、dだけになっていたところを母音込みでですね、edという昔ながらの形が保持されたと、そういうふうに考えるわけです。
このようなリズムに訴えかける説明なんですが、これはですね、edだけに限らないんですね。他にも、実は限定用法として使われることがほとんどである、ある語尾を持つ過去分詞形容詞というのがあります。これはedではなくenというものですね。これについても同じように説明できるのではないかということなんですね。
例えば、drink drink drunkっていうことで、普通飲むを意味するこの動詞の過去分詞はdrunkですよね。例えば、the driver is drunk。その運転手は酔っ払っているっていうことで、the driver is drunk。
ところが、酔っ払った運転手という場合には、the drunken driverのようにdrunkenというdrunkにenをついた形ですね。これが使われることが多いわけです。実はthe drunk driverと言えないこともないですし言うんですが、もっと酔っ払いの程度が激しいときはですね、普通the drunken driverというわけですね。
つまり、過去分詞形容詞として限定用語で使うときには、drunkにenをつけてdrunkenということになるわけです。ではなぜthe drunken driverのときには、このenをつけたバージョンの過去分詞形、これを形容詞として使うのかというと、もうお分かりかと思いますが、enをつけることによって一音節追加されるんですね。
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しかも弱音節です。弱い音節。そうすると、the drunken driverというふうに例の弱強弱強に乗ります。drunk driverだと強強になっちゃうんですね。drunk driver、両方とも強い音節になってしまって、バランスというかリズムが必ずしも良くない。より良いのはdrunken driverということになるわけですね。
これ限定用語のときにのみ現れる過去分詞の形容詞です。the driver is drunkという、こういう助術用語のときには、the driver is drunkenというのは言えません。the drunken driverのときにのみ言えるということなんですね。
他には、例えばprove、証明する。これ普通はprovedというに、edをつけて過去分詞を作って、例えばthe case is proved。その件は証明されているということなんですが、これが限定用語、証明された事件、ケースという場合にはapproved caseというふうにprovedという訳です。
この訳ではなく、provenというenを伴った過去分詞の形容詞が使われます。the case is provedのときはapproved、これ一音節です。ところがprovenにすると二音節になって、強弱という、二音節語になるわけですね。なのでapproved caseとこのリズムに乗っかるということですね。
他にbend、曲げる、歪めるというbendですね。これ普通はbend bent bentというふうにtで終わって一音節です。例えばhis knee is bent。彼の肘が曲がっているということでhis knee is bentということですね。
ところがone bended kneeというふうに曲がった肘と言いたい場合にはbentという過去分詞ではなく、bendを普通にedをつけて規則変化させたbendedというのが使われますね。one bended knee。edがついてedと発音されることによって、これはうまくパターンに乗るわけですねリズム。one bended kneeということです。
これはenでなくedの例ですが、やはりここでも同じ説明が通用するということですね。それから破裂する、burst、爆発する破裂するってありますね。このburstは普通活用はburst burst burstということで、過去分詞形も変わらない形なんですね。
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例えばthe main had burst。このthe mainというのは水道管とかガス管とかの管ですね。水道管が爆発したというときにburstという過去分詞を使うわけですが、破裂した爆発した管という場合にはbursted mainというふうにedの規則形がやはり使われるということですね。
bursted mainというふうにedを補った方が、そして弱音節を一つプラスした方がどんどんどんどんに乗っかるということです。さまざまな過去分詞形容詞でこのリズムという要因が働いている。この点が重要なわけです。それではまた。