ではここからは私がこの映画で印象に残ったところを4つ取り上げたいと思います。
まず最初はこの映画のタイトルにもなっている秘密の花園について。
実はこのガーデンという言葉には特別な意味があるんです。
イギリスの大邸宅にはパークとガーデンという2つの空間があるんですね。
パークは広大な芝生に大きな木が点在する開放的な場所です。
一方ガーデンはパークの一角を塀や池がきで囲んで、その中に花壇、池や散歩道が作られる特別な空間です。
その中には世界中から集められた珍しい植物を寒さや動物から守りながら育てる場所なんですね。
つまり秘密の花園はただの庭ではなくて、囲まれた守られた特別な空間だからこそ鍵をかけて封印できたし、そこが開かれることに意味がありました。
お屋敷の外に広がる広大な荒野とこの閉ざされたガーデン、その対比が物語の核心でもあります。
2つ目はあの不思議な屋敷についてです。
メアリーが馬車で近づいていくと遠くに巨大で複雑な形をした屋敷が見えてきます。
ちょっと怖いくらいなんですよね。
部屋に入ると重厚な木彫りの子供が何人も寝られるような大きなベッドにメアリーは寝ています。
壁には大きなタペストリーがかかっていて、窓は高くて重そうで子供では開けられない感じです。
メドロック夫人に部屋を出てはダメと言われるんですが、メアリーは出てみる。
すると長い廊下に部屋がいくつも並んでいて、階段をあちこち降りると仕様人のエリアがあったり、コリーの部屋があったり、亡くなったおばの部屋、おじの部屋、
でもどこがどうつながっているのか全然わからないんですね。
この迷路のような作りが物語の不思議な雰囲気を作っているんです。
屋敷全体が秘密を抱えているようなメアリーが迷い込んでいく感覚が見ている私たちにも伝わってきます。
この屋敷についてメアリーは呪いにかかって死んだような家って語っているんですが、まさにそうなんです。
うちは妻を亡くした悲しみで心が死んでいて、屋敷に帰ってきてはすぐまたどこかへ出かけてしまいます。
コリーは部屋に閉じこもっていて自分は死ぬと思い込んでいる。
メドロック夫人もコリーの秘密を守ることに縛られて心を閉ざしています。
その閉ざされた心、死んだような心があの迷路のような暗い屋敷そのものなんですよね。
だからメアリーとディコンによって庭が開かれてそこに命が戻ってくることで人々の心もそして家全体の雰囲気も変わっていく。
家と人が一体になっているんです。
3つ目はディコンについてです。
メアリーと一緒に庭を蘇らせるディコン、彼は本当に良い子なんですよね。本当に優しくて。
物語の最後にコリーと父親が抱き合う場面でディコンも涙していますし、
そのコリーと父親を見てメアリーが私には誰もいないと泣き出した時に優しく支えているのもディコンでした。
白いポニーに乗った彼はまさに自然の精霊のような存在として描かれています。
メアリーやコリーがどんどん変わっていくのと対照に彼は変わらない完璧な存在とか神聖な自然の代表者なんですね。
最初、私は最後の場面でコリーとメアリーとおじさんと3人が抱き合って喜んでいるのをディコンが遠くから見ているのがなんとなくちょっと切なくて、
階級社会のリアルな残酷さをそこに見たんですが、でも何回か見ていてそうではないんじゃないのかなと思ったんですね。
彼は変わらない存在として他の人たちの成長を見守って支える存在。
だからあの位置にいるのはある意味正しいのかもしれないとちょっとそう思いました。
この映画を見ていてある物語を思い出したんですね。
アルプスの少女ハイジと何かとっても重なってきたんです。
まずメトロック夫人がロッテマイアさんにかぶる、冷たくて厳格だけど真面目で責任感が強くて主人や子供のことを心から心配している人。
そして病弱な子供、コリンとクララ。
みんなが腫れ者に触るように扱っていて本人も自分は病気で弱いと思い込んでいるところは全く一緒ですね。
でも自然の中で純粋な子供たちと過ごすことで回復していく。
ハイジやペーターと山で過ごしたクララが歩けるようになるようにメアリーやリコンと庭で過ごしたコリンも歩けるようになります。
実はどちらも1880年代から1900年代初頭に書かれた児童文学で原作小説でもこの設定なんです。
時代が近いから似たテーマを扱っているのかもしれませんが、これには理由があって、実はこの時期病気の子供が自然の中で元気になっていくというテーマの物語が生まれました。
年化が進んで人々が強く自然に憧れるようになった時代でもあり、子供は大人と違う特別な存在なのだという考え方が広まっていた時期でもあります。
ハイジや秘密の花園もまさにそうした時代の中で生まれた物語でした。
そこで描かれる自然の中で元気になるという回復のイメージは単なるファンタジーではなくて、当時の医療とか教育、そして子供感が反映された極めて現実的なモチーフだったんですね。
さて今日は1993年の映画秘密の花園をご紹介しました。
いかがだったでしょうか。
さて最後に2月のオンラインお茶会のお知らせです。
2月のテーマはティー文化です。
英国ドラマでおなじみの優雅なアフタヌンティー。
実は夕食までお腹が空いて待てないという切実な悩みから生まれたって知っていましたが、
今回はこの優雅な習慣を広めた女性と彼女が過ごした地俗の定額についてお話しします。
そしてダウントアビに登場する様々なティータイムを実際の場面を見ながら比べてみたいと思います。
前半30分は私が写真などをご紹介してお話しします。
後半はお好きな飲み物を片手に皆さんとおしゃべりする時間です。
ティータイムに関連することをお気軽にお話ししたいと思います。
開催日は2月21日土曜日の夜8時から9時です。
詳細と申し込みは概要欄のリンクからどうぞ。
お会いできるのを楽しみにしています。
では次回は秘密の花園のロケ地巡りです。
どうぞお楽しみに。