1. LISTEN to books
  2. 『街とその不確かな壁』新潮社..

LISTEN to books #9

Listen to the voice of books.

 

 

Amazon

『街とその不確かな壁』新潮社(2023)

 

reference

村上春樹:Wikipedia

 

Camp@Us presents

サマリー

村上春樹の最新作『街とその不確かな壁』は、『街とその不確かな壁』『世界の終わりとハードボイルとワンダーランド』『ノルウェーの森』などのテーマを引き継ぎながら、不完全だった部分を補完するために書かれた作品です。彼/彼女は村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』について話しています。第1部は面白いと感じつつ、第2部と第3部は予測ができてがっかりし、村上春樹作品全体に違和感を感じたと述べています。

村上春樹との出会いから最新作の背景
LISTEN to books、この番組では本を取り上げます。
これが9冊目になります。
書評するわけではありません。
本の内容を詳しく紹介するわけでもありません。
Listen to the voice of booksというコンセプトで、
その本が何を言いたかったのか、
どんなことが言いたくてこの本を書いたのか、
そういうことを伝えたくて始めた番組です。
今日はあまりうまく語れる自信はないんですが、
やっぱり今日話した方がいいと思って収録をしています。
紹介するまでもないんですが、
村上春樹さんの最新作ですね。
最新の長編小説、久しぶりに出ましたね。
2023年4月10日発行、
「街とその不確かな壁」という長編最新作書き下ろしですね。
私は村上春樹はもうずっと読んでこなかったです。
少し村上春樹との出会いから、
なんで今回この本を久しぶりに読んだのかということも含めて話したいなと思っています。
多分村上春樹というのは好きな人嫌いな人はっきり分かれるだろうと、
解釈もいろいろ分かれるだろうと思っていますし、
いろんな全体像についていろんな解釈をする人がいるんですが、
そういったことはさておき、
私の村上春樹体験を語ることになるのかなと思います。
ちょうど10月1日にある番組、ポッドキャストの収録をして、
そこでザ・ビートルズのイエローサブマリンを取り上げたんですね。
音楽も入れた番組なんですが、なぜかイエローサブマリン。
これは沈黙の艦隊の実写版が劇場公開されたインスピレーションで、
潜水艦といえばイエローサブマリンだよなと思ってそれをかけただけなんですが、
ちょうど10月9日に「街とその不確かな壁」が届きました。
その後に注文したんですね、私はね。
それが10月9日に届いて、今日は10月12日の夜、
10日、11日、12日と読み切りました。
読んだ結果は後で話すとして、
ちょっと私の村上春樹体験をね、少しお話しした方がいいかなと思ってます。
村上春樹は完全にリアルタイムで経験してきたことになります。
「風の歌を聴け」が出た時は知らなかった。
最初の長編小説ですね、1979年。
そして「1973年のピンボール」、これが2作目の長編小説、1980年。
そして1982年に「羊をめぐる冒険」、これが3部作と言われたんですね。
鼠男なり羊が出てくる。
うさぎも出てきたかな。
これが3部作と言われたんですね。
ちょうど私が大学に入学したのが1982年。
羊をめぐる冒険が出たのが、私が大学に入って半年後でした。
村上春樹が名前が知れてきた時期だったんですが、
私はちょっとなんとなくチャラい感じがして読まなかった。
そしたら後輩が、大学時代の後輩がね、
その彼はたぶん、今毎日新聞社の記者やってると思いますが、
それはさておき、村上春樹いいっすよーって言って「風の歌を聴け」、
「1973年のピンボール」、そして「羊をめぐる冒険」、この3部作はやっぱり読んだ方がいいと言われて、読んだらハマったんですね。
その頃短編小説も出てました。
中国行きのスローボート、それからパン屋襲撃、カンガルー通信、カンガル日和、
あたりが目立ってましたけどね、このあたりも全部読んだんですよね。
とにかく私はその羊にはまったわけです。羊と鼠男と。
「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」に完全にはまったんですね。
で、村上春樹ファンになって、自分の内面を考えるときに村上春樹ワードで考えるぐらいになってたし、
当時私も大学生で青春を謳歌してたので、いわゆる女性との関係も含めてね、
結構春樹ワードで村上春樹が小説の中でいろいろぐちゃぐちゃ考えることと、
自分を重ねながら考えるところもいっぱいあったんですよね、女性に対する態度、関係含めてね。
そんな中で次に出た長編が、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」。
これがもう私にとっては傑作中の傑作でした。
もうことあるごとに「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を人に勧め、それについて語り、
なぜ僕は街に残ったかなんてことをね、なぜ影だけを行かせたかとかね、
これネタバレですけども今さらいいですよね、なんてことを語ってた。
僕の決断について熱く語ってたわけですよね。
この「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」ってのは実は、
その前に出された「街と、その不確かな壁」という中編小説ですね、
これは雑誌に発表されてその後出版されていないもので、
実はこの「街と、その不確かな壁」が焼き直されてというか、
それを完成させるために「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」が書かれ、
さらに今回出された「街とその不確かな壁」は、
それでもやっぱり不完全だったということで書きたかったといって、
ずっと村上春樹が抱えてた問題を今回書いたと。
村上春樹との過去作品の体験
村上春樹も70歳を超えましたので、人生最後の長編になるかもしれないと言いながら書いて、
今年刊行された。まさにコロナ禍で書かれたものですが、
テーマとしては中編小説、初期に出された「街と、その不確かな壁」のテーマを引き継いで、
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」では書ききれなかったことを、
今回「街とその不確かな壁」で書いたということなので、
これは読むしかないなということで読んだわけです。
結論はもうちょっと後に言うとして、
まあ、結論から言うと、やっぱりちょっと終わり方含めて、やっぱり違和感ですね。
これは実はその「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」、1985年に出てのめり込んで、
2回も3回も4回も読んだ。
それについての解釈もいろいろ考えた。
その後に出たのが1987年の「ノルウェーの森」でした。
緑色と赤い2冊本ですよね。
上下2冊。もうクリスマスカラーですよね。
クリスマスプレゼントとしてよく贈られたというものですが、
「ノルウェーの森」は良かったんだけど、ちょっと違和感が広がった最初が「ノルウェーの森」でしたね。
村上春樹と自分の間に距離が、ちょっと感じ始めた。
ただそれはまだ許容できる違和感だったんですけどね。
その後「ダンス・ダンス・ダンス」。これが1988年。
この「ダンス・ダンス・ダンス」は実は先ほどの「羊をめぐる冒険」までの3部作の続編という、
簡単に言えばもうダンスダンスダンス踊り続けるしかない。
時はバブルでしたのでね。そういう時代背景もありました。
バブルはじけた後に出たのが「国境の南、太陽の西」。
「国境の南、太陽の西」はもうのめり込んで読みました。
主人公の名前がはじめくんですね。私と全く同じ名前。
出てくるエピソードも心当たりのあることばかりということで勝手に自分を重ねて読んだのが、
この「国境の南、太陽の西」でしたが、最後の最後に裏切られたという感触を持って、
もう村上春樹は読めないなと思ったのがこの「国境の南、太陽の西」だったんですよね。
最新作『街とその不確かな壁』への感想
もう読めないと村上春樹は思ったんです。とにかく思った。中身には一切触れませんが、思ったんです。
その後出たのが「ねじ巻き鳥クロニクル」。ちょっと2年ぐらい後ですけどね。
読めないと思いつつも3部作だし、しかも「国境の南、太陽の西」は実は「ねじ巻き鳥」を書き始めて、
そこからはじけたものが国境の南太陽の西になったという話もあったので、
一応、ねじ巻き鳥は読み始めたんですね。第1部読みました。第2部の途中でやめました。
第3部は買いませんでした。その後のスプートニクの恋人、海辺のカフカ、アフターダーク、1Q84、
騎士団長殺しは読んでいません。読んでいない。これからも読むことはないだろうと思うんですけどね。
その他村上春樹のエッセイとかは読んで、それは結構好きなのもあるんですけども、
やっぱり私の中では「国境の南、太陽の西」でやっぱり完全に終わったし、
その終わりの始まりは「ノルウェーの森」だったということなんです。
もう一切中身触れずに語っているので、分かる人はほとんどいないかもしれないですが、
とにかく私の感覚はそうだったと。今回、「街とその不確かな壁」、最新の長編小説読みました。
テーマは「世界の終わり」で書かれたモチーフなんですが、それが第1部で、
第2部、第3部はその続きを書いているんですけど、結末が予測できてしまってあまり面白くなかったというか、
しかもその予測した結末は私にとってはあまりというか、やっぱりちょっと失望。
多分こういう結論にしていくんだろうなという予測のもと読んだところ、やっぱりそういう結論になってしまったので。
しかもあまり完結した感じもしてないんですよね。
ちょっとこういう回収の仕方をするんだろうなという。これは「国境の南、太陽の西」で感じた感覚と全く一緒だったというね。
そういうことで、ただ小説としては本当に村上春樹の言葉はすごく、
昔の「風の歌」とか、「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」に比べたらよっぽど読みやすいし、言葉もきれいだしね。
昔よりわかりにくくないし、読みやすいし、心地よくは読めるし、
納得感もなくはないんだけど、やっぱり違和感かな。これはもう私の個人的な感想ですね。
ノーベル賞を取るかもしれないという方の作品に対して言うことではないのかもしれないけれども、
あくまでもプライベート、私的な感覚として、やっぱり「ノルウェーの森」以降に広がっていった違和感、
そして「国境の南、太陽の西」で感じた絶縁的な違和感はやっぱりそのままだったというのが結論ということで、
全くよくわからない紹介になってますが、とにかくこれは私の記録としても少ししゃべっておこうと思ったので、
村上春樹作品の違和感
自分でもこれ収録始めてどんな話になるかわからないまま語ってきたんですが、
ここまで話したのが、やはり私にとっての村上春樹でしたね。
おそらくまだ健康だと思うので、この「街とその不確かな壁」の続編がもしかしたら出るかもしれませんね。売れ行き次第だと思いますが。
やっぱり悪い言い方すると、最初の3部作まではあんまり売れ行きを考えずに描いてただろうなという。
「世界の終わり」もおそらく売れる売れないということはあんまり考えずに描いてただろうなと思うんだけど、
「ノルウェーの森」あたりからやっぱりそういうことを意識し始めたような気はしますね。
やっぱりそこから違和感が始まったのかな。
あとは、それまでに初期作品で描いたものの回収の仕方がやっぱり、
「国境の南、太陽の西」が一つの村上春樹の決断であったという、
決断というより一つの人生の選択みたいなこと、
あるいは彼の人生哲学みたいなのがそこに現れたのかなと。
それはやっぱり私とは違うなというだけの話なんですけどね。
ごくごくプライベートな話で、こんな語り方もあっていいのかなと思って収録して配信しちゃいますけどね。
村上春樹ファンの方は何を全部読まずにたわごと言ってんだと思うかもしれないし、
そもそも村上春樹あんまり好きじゃない人はどう思うのかわかりませんが。
もっとね、ちゃんと跡付けて語るということも本当はやってもいいのかもしれませんが、
そこまでやる気もないですね、私は。
やっぱり私の村上春樹体験は1980年代で終わったという、
バブル崩壊とともに終わったという、そんな感じですかね。
ということで、ちょっとよくわからないLISTENトゥ・ブックスになってしまいました、9冊目。
村上春樹さんの「街とその不確かな壁」について、
そして私の村上春樹体験をちょっとしゃべりたかったのでしゃべってみました。
ではまた。
20:07
スクロール