1. 【Book Bridge Lab公式】文学サロン・アルボレ
  2. 第4回 奥田英朗『コメンテー..
2025-11-17 16:47

第4回 奥田英朗『コメンテーター』3~映画『コメンテーター』と『町長選挙』~

第4回 奥田英朗『コメンテーター』3~映画『コメンテーター』と『町長選挙』~

引き続き、奥田英朗『コメンテーター』についての3回目!三木聡の映画『イン・ザ・プール』と、シリーズ第3作『町長選挙』について紹介しています。

《奥田英朗『コメンテーター』》

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916873

サマリー

今回のエピソードでは、奥田英朗の著作『イン・ザ・プール』とその映画版について語られています。特に、監督の三木聡が描く独特なキャラクターやストーリー展開、主演の松尾鈴木の演技が際立って取り上げられています。このエピソードでは、映画『コメンテーター』とその原作の魅力、さらに続編の『町長選挙』についても語られています。特に、両作品が実在の人物をモデルにしている点や、それぞれの作品の独自の展開が示されています。

奥田英朗の作品紹介
この番組は、大人の読書教室、Book Bridge Labを代表の古原)がお送りするポッドキャストです。
今回もまた、奥田英朗、コメンテーターについての続きでございます。
まずは単行本で、イン・ザ・プール。
こちらには、イン・ザ・プール、立ちっぱなし、コンパリオン、フレンズ、いてもたってもの5作が入っていて、
その後、空中ブランコという単行本が出されて、
ちょうどその出されたのが2004年の4月なんですが、
翌2005年に出されたのが、映画イン・ザ・プールです。
こちら、監督が三木聡氏になっております。
三木聡氏という監督はご存知でしょうかね。
わりと人気があったもので言えば、ドラマの時効警察というシリーズがありまして、
こちらは2006年から2019年にかけて、さまざまなシリーズとして出されているドラマシリーズですね。
おだきり城が主演で非常に人気があった。
ミステリー的な要素もありつつ、
シュールなエンターテインメントというか、シュールなセリフ使いとか、
あとは、おそらく登場人物たちがどこまで計画的だったのかわかりませんが、
非常に即興的な小ネタがいっぱい入っているような、
そういった作風のものですが、
映画監督でもありまして、映画作品もわりとシュールな感じがある作品が多いですね。
代表作というか有名なものというか、個人的には自分が見たことがあるもので言うと、
まず2005年のイン・ザ・プール、あとはカメは意外と早く泳ぐ。
これ、ウベのジュリが主演だったものですね。
あとは2007年の図鑑に載っていない虫、これ伊勢谷佑介さんが主演のもの。
あとは2009年のインスタント沼、こちら麻生久美子さん主演のもの。
そしてずっと最近になりまして、2022年の大怪獣の後始末、
こちら山田亮介さんが主演だったものですね。
映画版の特徴
大怪獣の後始末という作品自体については、いろんな見方があると思うんですけれども、
それまでの三木さと氏武士というか、三木さと氏の作風を知っている人からすると何も違和感がない。
違和感って何て言うのかな。
大怪獣の後始末自体が怪獣映画っぽかったんですよね。
もちろんそれはパロディーなわけですよ。
あれはあくまで怪獣映画を前提として、
普通の怪獣映画だったらこういうことにはならないんだけれども、
こうなったら面白いよねっていうある種のパロディーとしての映画だと思うんですけれども、
それを大真面目に怪獣映画だと思ってみると、
少し違うなあっていう違和感を感じる方多かったと思うんですけど。
あくまであれはパロディーとして、
そもそも三木さと氏さんの作品っていうのはユーモアの詰め合わせというか、
あまり筋立てのストーリーとして希少転結が面白いとか、
そういう作風はあるんですよ。
筋立てはあるし、事故警察だってね、それこそミステリーだから、
そういう要素はあるんだけれども、
そこもいいんですよ、そこ面白いんですよ、その展開もね。
面白いんだけど、それ以上に小芝居とか作中劇とか、
あとは登場人物の個性的なセリフ回しなんかを楽しむのがいいと思うんですね。
そもそも三木さと氏さん自体がシティボーイズの舞台演出なんかもやられてる方で、
シティボーイズって大竹誠さんと北郎さんと埼玉茂さんの3人組ですけど、
関係する人として、例えば、その3人の舞台演出として出してるのもあって、
北郎さんなんかが結構作品には出てくるんですよ、三木さと氏作品には出てくるんですけど、
あと他にも小田切状とか伏生理さんとか、伏生理さんは三木さと氏さんの配偶者にもなってますけれども、
伏生理さんとか松尾鈴木さんとかが出てくる印象がありますよね。
ちょっと不思議なキャラクターとか、不思議っていうかやや奇妙な、変な人たちがいっぱい出てくる作品が多いんですね。
このイン・ザ・プールっていう作品、映画作品も、
奥田秀夫の描いたイン・ザ・プール、もちろん奥田秀夫の描いたイン・ザ・プールもだいぶ奇妙な人がいっぱい出てくるんですけど、
それとはまた違った奇妙さというか、そういうものがあるんですね。
なんて言ったって主演が松尾鈴木なんですよ。松尾鈴木主演ってだけでもだいぶやばいなと思いますよね。
もちろん松尾鈴木といえば、劇団の主催者としても大人計画家の主催者としても有名ですけれども、
松尾鈴木が主演をしているというだけで、ちょっとやばいなって思うんですけど、
主人公のイラブさんのキャラクターというのはちょっと違うんですね。松尾鈴木さんの奇妙さが前面に押し出されていて、
もちろん風貌というかね、ビジュアルも違うわけですよ。キャラ設定的にもちょっと違っていて、もちろん基本設定は一緒なんです。
イラブ総合病院のイラブ一郎という後取り息子だっていう設定自体は一緒なんですね。
あと注射が好きだとかね。注射設定はそんなにはなかったのかな。
松尾鈴木の奇妙さが強くて、あまりイラブさんの奇妙さというか、原作のイラブ一郎の奇妙さとか、キャラクターとはまたちょっと違う。
セリフ回しとか、多少は重なる部分もあるんですよ。だけどやっぱり松尾鈴木のキャラが強すぎて、原作のインザプールのイラブさんとはだいぶ違う印象を受けましたね。
こちらの映画のインザプールの方では、表題作のインザプールと立ちっぱなし、あとはいてもたってもの3作が合体したような設定になっています。
そのこともあって、あまりネタバレしすぎて面白くないんですけど、大雑把に言うと全体としては立ちっぱなしっていうね。
こちらは、男性機がポッキーした状態のまま、戻らなくなってしまった。
というような章例の方が主人公なんですけど、それを小田切城が演じているんですけど、これは割合、原作通りな感じはありません。
でももちろん、全然違う部分はあります。原作と全く一緒じゃないんですけど、かなり映画で変えている部分もあるんですけどね。
おおむねそれはその通りで、それにインザプールといてもたってものエピソードがちょっと絡んでくるっていうね。
大きく3人の人物のストーリーが進んでいく。
その周りにね、例えば伏生里さんとか北梁さんとかね、伊賀松梁さんとか。
あとは森本龍さんとかね、今ではもう有名となりましたけど、江口則子さんも出てるし、牧陽子さんとかね、田中陽司さんとか、木下豊香さんとか。
まあまあもうなんか、名バイプレイヤー達っていうかね、周りを取り巻く人がひたすら面白くてですね。
そのやりとりのひとつひとつがですね、これがもう全然原作には相乗しない人たちがいっぱい出てきて、それが映画を面白くしてるんですね。
ですから、もちろん原作の筋書きはある程度尊重しつつも、かなり演劇的な要素もあるし、三木悟志全開な作品となっているんですよね。
原作との比較
面白いですよ、非常に面白いです。エンターテインメント作品としてかなり面白い作品ですので。
そうですね、もうなんかある種、筋書きとしてはかなり重なるんだけれども、それぞれの魅力があるので、原作読んでから見てもいいし、映画を見てから原作読んでもいいかなと思いますね。
私はもう原作の前にまず映画から入っているんですけど、やっぱり原作は全然違うなと思ったし、でもそれぞれの良さがあるというか、全然反目し合ってない。
それぞれがある意味では共通点もありつつ、響き合っててね、面白いなと思って、それぞれのイラブイチローの面白さがあると思うんですよね。
なのでぜひインザプール見ていただければと思います。単純な映画作品としてね、面白いです。
それがね、割とテイストとして面白いなと思ったら、その何でしょうね、
インザプールとしての面白さ、原作の面白さ的な部分じゃないところのメキサトシ的なセリフ回しとか、小ネタの数々っていうものに面白さを感じていただけたら、メキサトシの他の作品なんかもぜひ見ていただくと面白いかもしれないですね。
個人的にはインザプールとの出会いは本当にこの映画からだったので、映画はお勧めしたいところです。
ということで今回はこのコメンテーターにつながるというか、大事なんですよ、この映画を踏まえて、これは2005年なんですね。
2005年の映画があって、大体それと同時にまた連載は続いていくんですね。
連載は続いていて、この辺も話しましょうかね。
連載自体は続いていて、この次に単行本として出されるのが2006年に出される超長選挙ってやつです。
こちらはオーナー、アンポンマン、カリスマ家業、超長選挙ですね。
この4作が収録されているものです。
こちらの作品、特にオーナーとアンポンマンっていうのは、実際した人物がモデルになっているんですね。
『町長選挙』の特徴
オーナーは渡辺恒夫さんですね。
これ弓振りジャイアンツのプロ野球再編問題っていうのは2004年にありまして、球団を減らす的なことがあったわけですよ。
その話が元になっている。
当時を知る人からすると、ああこれねってわかるようになっていて。
またそれとちょっと絡むのがアンポンマンって、これは堀江門ですね。
堀江孝美さんがモデルになっていることは明らかなものですね。
これも当時の騒動がわかって、プロ野球再編に関わる問題とかね、一連それに関わる流れがあるんですけど、堀江門さんも関わる。
そのあたりの実在した人物がモデルになっているっていうところがあるのが面白いところでありますね。
で、それを踏まえて庁長選挙。
私これは庁長選挙結構好きで、これもまた他の作品とはまた違った威力があるんですよ。
他の作品とは違って、具体的な症例というか、精神的な身体的な症状っていうのが描かれることはかなり少なくて。
また個人というよりもこの集団。
ある島が舞台になっているんですけど、島の人々に焦点が当たっていくところとか、そこからエンディングにかけての流れとかが。
また他の作品とは違うんですよね。
他のイラブシリーズとはちょっと違うところもあって面白いなということで。
このあたりのテイストはそれぞれありつつも、全体としてはイラブ一郎ってキャラクターは割と一貫してるんですけど。
庁長選挙はその中でも少し異質な展開になっているという点で面白いですね。
この後、2009年にノイタミナ枠で空中ブランコというのがアニメ化になってますね。
これはちょっと情報がわからないというか、見てなかったのでわからないんですけど、そういうのも展開としてはあったようです。
ここまでが単行本3冊にわたってのものとなっております。
この後、文庫化もされてるんですね。
文庫がですね、in the poolが文庫が2006年、空中ブランコが2008年で、庁長選挙が2009年ということで、
大体2009年くらいまでで一旦収束するんです。
一旦この選ぶ一堂シリーズは終わるというか、連載の軸でいうと2006年の1月が庁長選挙で、
実はその後に2007年翌年にうっかり億万長者というのがオール良いもので出されてるんですけど、
こちらはですね、今回ようやく話題になってます、コメンテーターの方に収録されていくんですね。
その次の連載が随分下りまして2021年になるんですよ。
そう、時はまさにコロナ禍に入っていくんですね。
ですから一旦はね、一応2007年で収束しているんですね。
一回集結してるんですよ。
うっかり億万長者で選ぶ一堂シリーズは一回終わっていると言ってもいいかもしれません。
その後かなり10年以上経ってコロナ禍に再度現れた。
再度現れた選ぶ一堂が少し私の目からすると変化していた。
それまでの選ぶ一堂ではない、選ぶ一堂がそこにあったというふうに思っております。
ですから時間軸で言うとですね、3冊の単行本が出て文庫が出まして、
1冊だけうっかり億万長者というものが連載はされていたけれども単行本には収録されていない状態だった。
そこから時を経てコロナ禍に選ぶ一堂が再び登場してきたという流れになっております。
はい、ということで今回はここら辺にしておきましょう。
この番組ではお便りを募集しています。番組の感想や質問など年々お待ちしております。
アレ先はメールアドレス。ローマ字列週刊。 chisyukn.gmail.com
chicysyukn.gmail.comです。
ではまた次回もお楽しみに。ご案内の小原大輝でした。
16:47

コメント

スクロール