空腹の影響
バイケー、B型ラジオリスナー様。 空腹は最高のスパイスっていう言葉あるじゃないですか。
これ言い始めた人は、おそらくドヤ顔だと思うんですけど、 このね納得感って、ちょっとイチャモンつけられないなぁって思うんですよ。
実際空腹の時に食べ物が美味しく感じるのって、 体に備わっている合理的な仕組みらしくてですね。
エネルギーが不足すると脳は食べろって、そっちの方に判断を寄せるとともに、 甘味への感受性を高めて苦味への抵抗を下げるらしいんですよね。
なんで結果として、普段なら微妙だなーって思う食べ物でも、十分に魅力的に感じることができる。 だからまあ錯覚とかじゃなくて、生存戦略として実際に行われている
味覚調整なわけですよ。
ですからこの空腹は最高のスパイスは事実であるって言えるわけなんですけど、 じゃあこれ他にも何かをね、振りかけたりとか足すわけじゃなくて、
こっちの認識の側を変えることで、味わいそのものを変えてしまうようなスパイスがあれば、
最高のスパイスの バリエーションが広がって、もっといろんなものを美味しく食べられるんじゃないかなって思うんです。
で今回これを考えるための補助戦として、 ドイツの哲学者カントをちょっと引っ張り出してみようかなって思ってて、
カントって 人間は時間と空間を通してでしか世界を認識できないって考えていたらしいんですよ。
これなんかねちょっと訳わかんないんですけど、実は言っていること自体は素朴で、 例えば家でドアが閉まる音を聞いたとき、僕たちって
バタンっていう音がして次にドアが閉まったってなんとなく考えるじゃないですか。 でも実際には音と動きってほぼ同時に起きているわけですよね。
ドアがバタンってなった後にドアが閉まったわけじゃなくて、それは同時に起こっていることじゃないですか。 それでも僕たちって出来事を必ず時間の順番に並べ替えて理解してますよね。
順番を作らないと出来事として認識できないからなんじゃないかっていうのがカントの考えなんですよ。
出来事がそのまま入ってくるんじゃなくて、時間っていう一本の線の上に並べ直された形で理解される。 でこれ空間も一緒で
コップの中の水とか自分の体とか部屋の広さみたいな。 僕たちって空間っていう枠組みを使ってバラバラなね、こう入ってくる刺激を整理して
物があるとか自分がここにいるって理解している。 もし時間とか空間っていう感覚がなければ情報は整理されなくて、ただ混ざったまま
混沌とした情報が流れ込んできてしまう。 なんで人は実はね物を直接見ているつもりで、実際には時間と空間っていうフィルター越しに見ている。
これがカントの哲学の大枠なんですよ。 でねこれを元に考えた時にお腹ペコペコとは僕たちにどういった効果を与えているのかなって
ちょっと考えてみたんです。 今お腹ペコペコっていう状態は言い換えるとお腹ペコペコ時間が積み重なった状態でもありますよね。
1時間前は平気だった。さっきからお腹が鳴り始めた。 元気が出なくなってきたっていう状態の変化を時間っていう一本の線の上で繋ぎ合わせて初めて
私はお腹ペコペコであるっていう自覚が生まれるわけです。 仮に僕たちがいつも腹が6分目の動物
いわゆる6分目アニマルに人体改造されたユートフィアに住んでいたとしたら お腹の違和感を空腹だと感じることすらできないかもしれないってことなんですよ。
ちょっとこれはあの… 具体例えがちょっと下手なんですけど
まとめますと空腹っていうのは食事を認識する時間っていうフィルターに大きく関わってくる要素であって だからこそ空腹が進めば進むほど
僕たちは時間に対する解像度みたいなものが上がって食事をより高い次元で認識できる ってわけです。
静寂と食体験
でね前置きが長くなりましたがここからが新しい最高のスパイスの紹介になります 空腹は時間に対応した最高のスパイスでは空間っていうフィルターはどうなん
でしょうか 空間に対応する要素が分かればその要素こそ世間が知らないもう一つの最高のスパイス
なのではないか この事実をB型ラジオリストにだけにちょっとお伝えしたいんですよ
でねこれが静寂です 皆さん想像してみてください音がほとんどない状態
夜中のキッチンとか雪の日の住宅街早朝の駅 場所そのものは変わっていないのになぜか広く感じることってありませんか
壁が遠く感じる天井が高く感じるなんとの空間の輪郭だけがはっきりするあの感覚 私たちは空間っていう色眼鏡をかけたまま
五感でキャッチした情報をね整理しているわけですけども この時に特に聴覚って空間を意識するときに重要なんじゃないかなって僕思うん
ですよ 言い換えると静寂によって空間という枠の解像度が上がる
目の前のラーメンがあったとしてレンゲがスープに着水するときの音 具をかき分けて麺をつかんだ時のどんぶり内の位置関係とか
口から喉に抜けていく面とそこに絡み合ったスープ そのどれもが静寂の中でならありありと認識することができる気がするんですよ
逆にねラーメン屋の店主が迷惑系 youtube を爆音で流して 泣きじゃくる他人の子供が自分の足元でダダをこねていて
であの隣の客が理由もなく高笑いしていたら 食べているラーメンの味もわかりませんよね
つまり静寂っていうのは最高のスパイスなんですよ
特別な体験とスパイス
はい まあでもちょっと待ってほしいんですけどここまで考えて最高のスパイスの共通点を僕
見つけてしまったような今気はしていて 空腹も静寂もねスパイスって言いつつ何も足してないむしろ余計なものを
引いてますよね この共通点でいくと立ち食いも最高のスパイスと言えるのではないでしょうか
食事は座ってするものっていうそんな日常体験を打ち破り 食事を体験に引き上げてくれる感じ
そこで食べるものがまずかろうが美味しかろうが気分っていうのは紅葉をしますよね これは塩や胡椒には到達できない
最高のスパイスの世界の住人なんではないですか それでいけばですよ
日常体験を打ち破るという点で言えば民泊も最高のスパイスなんじゃないですか 民泊です
民泊ですね ホテルや旅館とは違う他人の生活感が漂う場所でおもてなしを受ける
これは民泊以外にありえないわけです 小さい頃友達の家でお泊り会をしたあの時旅行よりも刺激がありましたよね
朝起きると友人のお母さんが見慣れない朝食を作ってくれていて その時食べたものは美味しかったかどうかっていうよりも異国の味のような本当に
最高のスパイスがかかっているような感覚がありました その後その友人がね
マリオテニス64で負けすぎてブチギレで帰れって僕に言い放ったあのことも含めて 素敵な体験になるわけですよ
自分のね土俵のゲームで負けてかつ帰れって言ったあの友人のことも水に流してやろうと 根にもたずね水に流してやろうってまあそういうふうに思えるわけですよ
まあだからねそういうところも含めたなんか不思議な空気感っていう点で言えば もしかして年越しも最高のスパイスなんじゃないですか
年越しそば初詣で飲む甘酒洗い物を減らすために紙皿と割り箸で食べるオードブルー 家族が家族と過ごすために家にいる時間を共有する
これって年越しだけですよね だからこの年越しの時の食事もこれ最高のスパイスって言えますよね
というわけでね皆さん大晦日も近づいてきましたが今年はどんな年だったでしょうか 楽しいことや悲しいこと
思いがけない幸運や断ち切れない未練など様々なことがあったかと思います でもそれも今年越しが最高のスパイスだって言ったようにその思い出一つ一つが人生を彩る
最高のスパイス なのかもしれませんね
今後とも b 型ラジオへ一層のご指導のほどよろしくお願い申し上げます 年末ご対応のおりではございますが
お身体にお気をつけて良き新年をお迎えください 平和でした敬愚